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霊界物語あらすじ

説明を読む
ここに掲載している霊界物語のあらすじは、東京の望月氏が作成したものです。
まだ作成されていない巻もあります(55~66巻のあたり)
第34巻 海洋万里 酉の巻 を表示しています。
篇題 章題 〔通し章〕 あらすじ 本文
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八月二十九日に湯ヶ島温泉にて第三十三巻の口述が終わった。それから口述者の誕生祝の神劇監督をはじめ、家屋の建て替えや立て直しの相談等に手間取り、口述は思うようにいかなかった。
ようやく九月七日に亀岡瑞祥閣に出張し、四五日休養の上、十二日から十四日の三日間で神助のもと、編み終わることができた。
筑紫の島、すなわち阿弗利加国へ三人の従者とともに渡った黒姫が、奇妙な運命をたどるという霊界の因縁物語を大略したものである。
本文
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本巻は三五教の黒姫が孫公、房公、芳公の三人の従者を引き連れて阿弗利加の建日の港に上陸し、小島別の旧跡の岩窟に立ち寄り、高山峠を越えて新しい教主に面会し、日向峠の森林にて三人の男女の命を救い、火の国の神館に進みゆくという、面白く趣味深い修養的物語です。
文中、楽天主義の真髄が、きわめて簡単に説いてあります。
本文
01 00 - 本文
01 01 〔942〕
高姫が高砂島に玉探しに行く前のこと、竜宮の一つ島から自転倒島に帰還した黒姫と高山彦は夫婦喧嘩の末、高山彦は姿を隠してしまった。黒姫は夫は筑紫の島に向かったものと思い込み、孫、房、芳の三人の従者を連れて筑紫の島に船出した。
一行は長い航海の末、建日の港に上陸した。ここはその昔、面那芸司や祝姫らが上陸した由緒ある港である。
黒姫は、黄金の玉を探しに行くというのは口実で、実際にはすでに玉への執着をほとんど脱却していた。ただ高山彦に衆人環視の中で縁切りされてその未練と執念から、老躯を駆ってまではるばると筑紫の島まで出てきたのであった。
孫公、房公、芳公は黒姫に甘言をもって連れ出されたが、黒姫の言動一致しないのを道中さんざん目撃し、黒姫への信頼はなく、ただただ早く高山彦を見つけ出して自転倒島に帰りたいという思いでいっぱいだった。
一行は港から山道に入って行った。三人は道中、黒姫を出しにして文句の掛け合いをしながら進んで行く。黒姫が、小島別が油を搾られた岩窟にさしかかるからと注意したが、黒姫の威厳は失墜しており、三人は何かと黒姫の粗を言い立てて反抗する。
黒姫は怒って叱りつけるが、孫公は軽口で返して笑いこける。孫公はその拍子に道端のとがった石に腰を打ち付け、真っ青な顔になって人事不省になってしまった。
本文
01 02 〔943〕
孫公が人事不省になったので、房公と芳公は必死に介抱を始めた。二人は黒姫に助けを求めるが、黒姫は罰が当たったのだといって冷酷に笑っている。
房公は倒れた孫公の体に向かって鎮魂を始めた。房公は、黒姫が冷酷なのは曲津に取り付かれたからだと言って、黒姫に霊を送っている。
倒れていた孫公はにわかに雷のような唸り声をたてだした。黒姫は真っ青になってその場にしゃがんでしまった。孫公は草の上にあぐらをかき、真っ赤な顔で唇を動かしだした。
黒姫は孫公に近寄り、自分が鎮魂したから助かったのだと吹いている。房公と芳公は黒姫の図々しさを指摘して文句を言うが、黒姫は意に介さず二人に食って掛かっている。
すると孫公は大口を開いて、黒姫の過去の所業を攻め立てる言霊歌を歌いだした。そして、高山彦は筑紫の島にはおらず、自転倒島に潜んでいると宣言した。
黒姫はこれを聞くと、神がかりした孫公に高山彦のありかを明かすようにと頼み込み始めた。孫公は、高山彦は聖地の伊勢屋の娘と浮気していると歌いだした。黒姫は茶化した孫公の歌に怒って文句をつけ、本当のことを明かすように迫った。
本文
01 03 〔944〕
孫公は神懸りの態のまま宣伝歌を歌いながら、黒姫の動機をからかい戒め続けた。孫公は歌の最後に、高山彦は筑紫の島の日の国で、神素盞嗚大神の八人の娘の一人・愛子姫と夫婦となって暮らしていると告げた。
それを聞いて黒姫はさらに逆上して詰め寄るが、房公は孫公のお告げがつじつまが合っていないと言って黒姫をなだめる。黒姫は納得して、房公と芳公を連れて筑紫の岩窟を目指していく。
房公と芳公は、孫公を助け起こして連れて行こうとしたが、孫公は目を閉じたままびくともしない。黒姫にせかされた二人は、やむを得ず孫公をそこへ置いていった。
三人はその日の暮れに筑紫の岩窟に着いた。かつて小島別命が月照彦神の神霊に厳しい戒めを受けて改心したという旧跡である。
黒姫は、自分は神様にお伺いを立てるから、邪魔になる二人はそこで寝ていろと房公と芳公に厳しく当たる。房公と芳公は黒姫に対してからかいながら批判して意趣返しをする。
黒姫は二人に孫公の霊がついたのだと鎮魂を始めるが、暗がりの中に足音がして、岩窟の中に入って行くように聞こえた。
本文
01 04 〔945〕
三人は寝つきもならず、岩窟のそばの暗闇の中に端座して世の開けるのを待っていた。すると岩窟の中からウーウーと唸り声が始まり、言霊により黒姫の行為を厳しく戒める声が聞こえてきた。
黒姫は悪神の声だとして岩窟からの声に口応えを始める。芳公は神様の声にさからうものではないと黒姫を諫めるが、黒姫は自分は国治立命様の片腕たる竜宮の乙姫の生き宮だと威張りだす。
芳公と房公は、生き宮はもっと立派な人間だと思ったがだまされたと黒姫に文句をつけ始め、口喧嘩のようになってしまう。
岩窟の声はさらに言霊により黒姫の所業を並べて非難し、改心を迫る。黒姫は気色ばんで、言霊により岩窟の声に対して孫公の作り声だろうと言い返す。
岩窟の声は最後には宣伝歌にて、高山彦が女を作っていると歌い、聖地の伊勢屋の娘といちゃついていると歌うと、何者か忍ばせて岩窟から出て行った。
黒姫はけしからんことを言うと立腹するが、芳公は高姫のローマンスが神界まで聞こえているのでしょうとすっとぼける。
本文
01 05 〔946〕
房公は岩窟の声の歌を聞いて自分も歌心になり、歌を歌いだした。黒姫を立派な生き宮と思ってついてきたが、道中にその言動を見聞きしてすっかり幻滅し、付いてくるのではなかったという後悔を、滑稽な歌に託して笑い転げた。
芳公も黒姫の所業を挙げて非難し、高山彦に早くこのことを注進して逃がしてやろうと歌い、笑い転げた。
黒姫は二人を戒める歌を歌うが、房公は高山彦の浮気をねたにして、さらに黒姫をからかう歌を歌う。芳公は黒姫に愛想をつかしたと歌い、国に残してきた女房を懐かしむが、房公に茶々を入れられ、二人は歌で言い争いを始める。
黒姫は二人を叱りつけ、朝拝の準備をして朝餉をすませるようにと歌った。黒姫は道中もいできたイチジクの実を持っていたので、三人は掛け合いしながらイチジクを争った。イチジクの実を食べて機嫌を直した三人は、宣伝歌を歌いながら筑紫ヶ岳を登って行った。
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01 06 〔947〕
三人は細い谷道を行く。芳公は滑稽な歌を歌いながら登って行く。黒姫の高山彦への恋慕に付き合わされて自分までこんな目に合わなくてはならない、という文句をたらたら歌っている。
三人は木陰に座って休息を取った。ふと上を見上げると、大きな蜂の巣が懸っている。すわ大変と、三人は立って逃げ出した。蜂は三人の頭を襲撃したが、笠をかぶっていたので針の被害は免れた。
命からがら山道を駆け上ったところで、三人は清水が湧いているのを見つけた。房公と芳公は水を飲んで国魂神の純世姫命に感謝をささげた。
黒姫は、師をさしおいて水を飲んだと言って二人におかんむりである。房公は、黒姫には慈愛の心が無いと言って故事を挙げて黒姫を責め、文句を言い立てる。芳公は止めに入り、黒姫も言い返すが、房公はこれからまだ急坂を登らなければならないから喧嘩は止めにしようと休戦する。
本文
01 07 〔948〕
坂をのぼりながら、房公はまた滑稽な宣伝歌を歌いだし、はるばる遠い筑紫の島まで駆り出された苦労の恨みを黒姫にぶつけた。歌い終わると房公と芳公は疲れてその場にゴロリと横になってしまった。
黒姫は文句を言う二人をなだめて先に進むために、途中でむしってきた無花果の果実を二人に分け与えた。芳公が無花果に喰らいつくさまを見て、黒姫は思わず吹き出した。
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01 08 〔949〕
黒姫は二人をせきたてたが、芳公と房公はどうしたことか、その場から動けなくなってしまった。黒姫は怒って二人をその場に置いて、先に行ってしまった。
残された二人は身体が動かないことに不安になったが、神様が休養をさせようとしているのだろうと善意に受け取り、気を落ち着かせた。そして逆に、先に一人で行ってしまった黒姫の身の上を案じ、自分たちの身体の回復と併せて祈願をこらした。
日は次第に傾き、大粒の雨が降り出した。二人は一生懸命に三五教の大神に祈りをこらしている。強風が吹きだして山の老木や巨石を吹き飛ばし始めた。
そんな中、風のままに宣伝歌が聞こえてきた。宣伝歌の主は玉治別であった。玉治別は黒姫が恋の闇に迷って筑紫の島まで高山彦を追ってきたのを言向け和して、心を鎮めて聖地に連れ戻すためにやってきたのであった。
房公と芳公は、神徳高い玉治別の宣伝歌を聞いて感謝の涙を流した。玉治別の宣伝歌が終わると暴風雨はぴたりと止んだ。二人の身体も自由がきくようになっていた。
二人は玉治別の姿を探したが、辺りには見つけることができなかった。そこでまず、先の暴風雨で行き悩んでいるであろう黒姫に追いつくこととし、先を急いで急坂を登って行った。
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02 09 〔950〕
筑紫ヶ岳の山脈の中心である高山峠に、四五人の男たちが車座になって座っている。
玉公という男は、昔父親が日の出神の案内をした際にいただいた家宝の水晶玉に、このごろ黒い点が現れて、水晶玉による判じものの邪魔をして困っていると言う。黒姫が筑紫の島にやってきたことが国魂に悪い影響を与えているのではないかと疑っている。
一方、建日別命の一人娘である建能姫にこのごろ立派な婿ができ、建野ヶ原の神館に後継ぎができた慶事があったことを噂し合っていた。また、玉公は黒姫は国魂に災いを及ぼす人間に違いないからといきり立っている。
そこへ黒姫が山道を一人でやってきて、筑紫の島に高山彦という宣伝使が来ていないかを尋ねた。男たちの一人・虎公は、高山彦は筑紫の島で日の出の勢いで活動しており、愛子姫という若い奥方をもらって暮らしていると答えた。
黒姫はそれを聞いてはらはらと涙をこぼし、男たちに自分が黒姫であり、高山彦の本妻であると告げた。しかし男たちは、筑紫の島の高山彦は若い男であり、釣り合わないと不審に思う。
それでも玉公は、自分は黒姫を滅ぼそうと思っていたが、神徳高い高山彦の本妻であったとなると手出しをするわけにはいかないと、黒姫にいきさつを糾す。
虎公は、黒姫が三十五年前に生き別れた男の子がいるという話を聞いて、建野ヶ原の後継ぎ婿になった建国別は、ちょうど孤児であり年のころも一致することに思い至り黒姫に告げた。黒姫は、建国別が自分の息子かもしれないと思い至る。
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02 10 〔951〕
建野ヶ原の神館は小高い丘の上に建てられており、信徒がひっきりなしに参拝して神徳は四方に輝きわたっていた。
一年前に婿入りし神館の主となった建国別は、黙然として想いにふけり、妻の建能姫の呼びかけにも気が付かないほど悩んでいた。建国別は、自分は今でこそ立派な名をもらって建日別命の後を継いでいるが、幼名は金太郎と言い父母の顔も知らず育ったため、父母に会いたいという執着心にさいなまれているのだと建能姫に明かした。
建能姫は、今日はちょうど建国別が婿入りして神館の後を継いで一年になる吉日のため、夫婦そろって神様にお礼を申し上げ、役員信者にお神酒を饗応しようと提案した。建国別は妻の心遣いに感謝した。
夫婦そろって奏上する祝詞は相和して得も言われぬ風韻が境内に隈なく響き渡った。役員信者たちは今日の祝宴に列して口々に建国別夫婦の高徳を称えあっていた。
そこへ、玉公に案内されて黒姫がやってきた。玉公は門番に、黒姫が建国別の母親かもしれないと告げて、建国別に目通りを願い出た。
建国別は神前での感謝祈願を終わって、建能姫に、自分の両親は立派な宣伝使となって活動しているような感覚を得たので、非常に心が晴れたことを告げていたところであった。
そこへ門番の幾公があわててやってきた。幾公はてっきり黒姫が建国別の母親だと早合点して、注進にきたのであった。建能姫は、まずは自分が黒姫を案内してくるので、その上で面会して真偽を確かめようと言い、幾公に口止めする。あわて者の幾公はすでに幹部の健彦をはじめ、数人に話してしまった後であった。
建能姫は幾公のあわて振りや脱線振りに笑いをこぼしながらも、黒姫に挨拶をなして奥座敷に案内をした。
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02 11 〔952〕
建日館の別殿に招かれた黒姫は、建日別、建能姫とともに話し合い、実の親子かどうかの確認をしていた。
黒姫は自分の出自とこれまでの経緯を語った。黒姫は、自分の夫・高山彦を追って来たのだと明かすが、建日別は自分の師匠であり筑紫の島の神司である高山彦と、黒姫の夫という高山彦が一致せずに不審に思っている。
また、黒姫の息子は幼名を富士咲と言い、背中に富士の山のような白い痣があると聞いて、建日別は自分は黒姫の息子ではないと悟った。建日別は真珠で十の字をかたどり「東」「高」という字の彫られた守り刀と共に捨てられていたという。
黒姫はその守り刀の特徴を聞いて、以前に高姫が印としていた十の字のことが思い当った。黒姫は、高姫も若いころに身の過ちから男の子の捨て子をしたことがあることを聞いていたので、なおさら怪しんだが、推測で間違ったことを吹聴しても迷惑をかけるだけだと思い直し、建日別夫婦には高姫のことは黙っていた。
実の親子でないことがわかって三人は残念がったが、建日別、建能姫は世界を宣伝に歩いている黒姫に対して、もし何か建日別の両親に関することを聞いたなら知らせてほしいと懇願した。
黒姫は建日別夫婦の切実な願いを聞いて、自分の子供ももし健在ならばこのように母である自分を尋ねているであろうと思い当り、心に感じて懺悔の涙を流した。
そうしているところへ、門番の幾公の早とちりを真に受けた差配の健彦が幹部連を連れてやってきて、建日別に母親との再会のお祝いの言葉を述べた。建日別は、母親でないことがわかったところだと説明するが、健彦は、すでに村中に発表してしまったという。
あきれた建日別は幾公を呼ぶが、幾公もすっかり黒姫が建日別の母親だと思い込んでしまっていた。
さらにそこへ、小間使いのお種がやってきて、黒姫のお供の宣伝使が黒姫を尋ねて館にやってきたと伝えた。建日別は、すぐに奥に通すようにと伝えた。
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02 12 〔953〕
房公と芳公は、黒姫に先に行かれ、激しい嵐に会いながらも玉治別宣伝使の宣伝歌に救われ、黒姫も嵐に悩んではいないかと必死に山道を追って進んでいた。
房公と芳公は、黒姫が出くわした村人たちのところまでやってきた。黒姫を建日別の館に送って行った玉公以外の村人は、山中の道に座ったままでいた。村人の一人、侠客の虎公は、房公と芳公のさまを見て、草鞋をめぐんでやろうと声をかけた。
房公と芳公は、虎公とおかしな掛け合いを始める。房公と芳公は、黒姫という婆様がここを通ったかと尋ねる。虎公は相撲を取って自分に勝ったら教えてやると返す。芳公と房公は相撲の経歴についての与太話をし、虎公は大いに受けた。
虎公は二人を案内して建日別の館に連れて行くことになった。
本文
02 13 〔954〕
虎公以下三人の村人たちは、房公と芳公を建日館に案内する。道々、房公は声を張り上げて歌いだした。
房公の歌は、黒姫をからかいながら、これまでの道中やいきさつをこっけいに歌いこんでいた。次に虎公は、この歌に引き出された自らも歌いだした。
虎公は、玉公の相談に山中で乗っているところへ黒姫に出くわし、黒姫の言付で房公と芳公を待っていたことを歌った。そして房公や芳公とのこっけいな掛け合いの様を歌いこみ、建日別や黒姫が親子対面できるようにとの祈りで歌を終えた。
芳公はまた、黒姫の過去や所業を滑稽な歌にして歌いながら、一行は建日館を指して進み行く。
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02 14 〔955〕
建日館にて、黒姫を案内してきた玉公は、幾公から臨時の門番を頼まれて門番部屋に詰め、門を守っていた。
そこへ虎公が、黒姫のお供を連れてきたと言って門の外から声をかけた。虎公、房公、芳公、玉公は門の内外で、おかしな掛け合いを続けている。
虎公は門の外、塀の小さな窓から酒席に向かって無花果の実を三四十ばかり投げ込むいたずらを始めた。酔った客たちは驚き、熊公は喧嘩を始めた。見かねた虎公は酒席に飛び込み、熊公をなだめた。
お種は虎公を見つけて声をかけた。虎公はようやく、お種に黒姫のお供が門の外にやってきていることを告げた。お種の注進を受けて、建日別一行は黒姫を伴って虎公のところにやってきて挨拶をなした。
房公と芳公は一同と目通りする。建日別夫婦は黒姫たちに、ゆっくりとするように勧めるが、黒姫は気が急くと言って火の国に向かってさっさと旅立ってしまう。
房公と芳公は、黒姫が建日別が息子でなかったことを気に病んで落ち込んでいると見て取り、心配になって後を追って黒姫の後を尋ねて行く。
本文
02 15 〔956〕
黒姫は、自分の尋ねる息子かもしれないと思った建日別が、案に相違して別人だったことに力を落とし、火の国の神館で若い女房の愛子姫をめとっていると聞いた高山彦を訪ねるべく、心も面白からずとぼとぼと険しい坂道を降って行く。
芳公と房公も、黒姫の姿を見失わないようにと、山道を拍子をとりながら追って行く。一方黒姫は高山川のほとりで、腰掛岩に座って体を休めていた。黒姫が思案に暮れていると、手長猿の大群が鎖つなぎに降りてきて、頭のかぶりものを奪ってしまった。
黒姫は猿に向かって石を投げたり抵抗したが、猿たちは糞尿をかけたり実を投げたりしてきた。とうとう猿は黒姫の髪をつかもうとしてきたので、黒姫は鎮魂の姿勢を取ったところ、猿たちも真似をして鎮魂の姿勢を取った。
黒姫は猿たちが自分の真似をするのを見て、大地に大の字になった。すると猿も真似をして樹上で大の字になったので、樹から落ちてしまい、猿たちは逃げてしまった。
次いで猿の親玉のような五六匹の大猿が現れてやはり黒姫を悩め始めたので、黒姫は片足で立って見せた。大猿も真似をして樹上で片足立ちをし、地上に落ちて悲鳴を上げ、逃げてしまった。
猿に奪われた笠は、樹上から黒姫のもとに落ちてきた。そこへ房公と芳公が追いついてやってきた。黒姫は猿の襲撃のことを房公と芳公に話した。二人が建日館で酒も飲まずに追って来たことを聞いて、黒姫は二人をからかった。
ひとしきり話を交わすと、黒姫は笠をかぶり杖をついてさっさと先に行ってしまう。房公と芳公が呼び止めるのも聞かず、火の国の都を指して急ぎ行く。
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02 16 〔957〕
黒姫が駆け出して行ってしまった後、房公と芳公は腰かけて休みながら、雑談にふけっていた。まずは自分の半生の来し方を振り返り、二人は思ったような働きができなかったことを思い悩んでいる。
次に二人は、昨日の嵐の中で玉治別の宣伝歌が聞こえてきたことの不思議を語り合った。すると三尺ほどの童子が七八人が忽然と傍らの谷道に現れた。童子たちは二人をからかう歌を歌い、神様の噂をして疑いを持っていると気を付けると消えてしまった。
芳公と房公は、神様が気を付けるために童子と顕現し、悲観の心になっていた自分たちに注意を与えたのだと合点した。房公は悲観の心の鬼を戒める宣伝歌を歌い、いそいそと黒姫を追って行った。
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03 00 - 本文
03 17 〔958〕
日向峠の山麓の深い森の中で、数十人の荒男たちが二人の縛られた女を声高にののしっている。建日の村の侠客・虎公の女房のお愛と、その妹のお梅が捕えられていたのであった。
お愛は火の国の侠客・大蛇の三公に懸想され、さらわれて無理談判をされているところであった。
お愛は侠客の妻だけあって、三公の脅しにもまったく気おくれせず、縛られながらも三公をののしり、あくまで虎公への操を貫いて死ぬ覚悟である。
その様子に三公の子分・兼公は感心し、自分はお愛の子分になろうと言いだす。三公は怒って、お愛とお梅と共に、兼公も殺してしまうべく縛り上げてしまった。
闇にまぎれてお梅は自分の縄を解いてしまったが、誰も気が付いていなかった。三公は縛られた三人を打ちのめすように命令した。子分たちは三人に打ってかかる。そのとき、森の中に宣伝歌が聞こえてきた。
本文
03 18 〔959〕
そこへ通りかかった宣伝使は孫公であった。孫公は大蛇の三公の一味が三人を縛って打ちかかっている惨状を目にし、木陰から大音声に呼ばわった。孫公は、筑紫の島の神司・高山彦の名を借りて、一味を驚かそうとしたが、樹上に潜んでいた子分たちに見破られてしまう。
孫公も一味に打倒されて、同じく縛られてしまった。日が落ちて暗闇になったのを幸い、お梅はどこかへ逃げてしまっていた。
三公と子分の与三公は、さらにお愛に気を変えるように迫るが、お愛はまったく相手にせず、自分を早く殺して他の者たちは助けるようにと答え、三公を激しくののしった。三公は怒ってお愛をなぐり殺してしまった。
三公は子分たちに下知して深い穴を掘り、三人を埋めて地固めをし、上にたくさんの石を乗せてしまった。三公は高笑いをし、子分たちを引き連れてその場を去った。
闇に隠れて様子をうかがっていたお梅はこわごわ近寄ってきて、三人を埋めた塚を掘り起こそうと上に乗せられた石をどかそうとしたが、石は重くびくとも動かなかった。お梅はその場に泣き崩れてしまった。
本文
03 19 〔960〕
黒姫は、火の国に向かって山道を急いでいた。黒姫は日向峠の手前で街道に出る道がわからず、山中の遠回りの道に迷いこんでしまい、深谷川にかかる朽ちた丸木橋の手前で立ち止まっていた。
すると突然、三尺ばかりの一人の童子が現れ、この橋を渡らなければ想う人には会えない、という歌を歌うと忽然と消えてしまった。黒姫が不思議に思っていると、また七八人の童子が現れ、この先で大蛇の三公に縛られて生き埋めにされた高山彦やお愛という人がいる、と歌で告げた。
黒姫は高山彦と聞いてにわかに心配になってきた。そこへ玉治別の宣伝歌が聞こえてきた。玉治別が近くにいると知って心強くなった黒姫は、思い切って朽ちた丸木橋を渡り、無事に向こう岸に着いた。
すると、身なりがぼろぼろになって泣きはらした少女が向こうからやってきた。黒姫が心配して声をかけると、少女は泣き伏して、自分の姉が生き埋めにされたと黒姫に助けを求めた。
少女はお梅であった。黒姫はお梅を背負って道案内をしてもらい、三人が埋められている塚のところまでやってきた。黒姫は石を押しのけようと神号を唱えながら必死に押したが、石はびくともしなかった。
すると八人の童子がどこからともなく現れて、大きな石を投げ捨ててしまい、また煙となって消えてしまった。
黒姫は神に感謝し、一生懸命に土をかき分けて掘り起し出した。黒姫は三人の男女を掘り起こした。三人の縄を解き、草の上に寝かせて天の数歌を歌い、蘇生を祈願した。
お梅が汲んできた谷川の水を口に含ませると、お愛は気が付き、お梅に飛びついた。お梅は、三五教の宣伝使が助けてくれたのだとお愛に伝えた。孫公と兼公も気が付き、黒姫に礼を述べた。
黒姫は神助によって石を取り除き、三人を助けることができたことを告げた。一同は黒姫の後ろに端座して天津祝詞を奏上し、感謝祈願を行ったのち、元来た道を引き返して行った。
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03 20 〔961〕
建日館の奥の間では、建日別と建能姫が、黒姫の子供を思う真心に感じて讃え、また心配していた。また建日別は、建能姫の諭しにより、自分の両親探しについても神様の御心に任せようと決心をあらわした。
そこへ虎公と玉公が子分たちを連れて、建日別と建能姫に別れの挨拶にやってきた。建国別はもっとゆっくりしていくようにと言うが、玉公の所持する水晶玉の変異により、虎公は留守に不安を感じているからと別れを告げた。
建日別は何事もないように神前に祈願をしておくからと虎公たちに言葉をかけた。一同は建日別の心に感謝して館を去った。
虎公は、玉公とその他三人を連れて駆け出した。足拍子を取りながら、留守宅の不安を宣伝歌に歌いながら息をはずませて帰って行く。
本文
03 21 〔962〕
虎公は、玉公、新公、久公、八公を連れて、火の国街道までやってきた。ここは黒姫が手長猿に悩まされた場所である。大蛇の三公は、ここに子分たちを潜ませて虎公を襲わせようとしていた。
大蛇の三公の手下・六公は、大勢の子分を引き連れて現れ、虎公に啖呵を切った。虎公はそこに落ちていた木切れを拾うと、四五十人に対して暴れこんだ。六公以下はこの勢いに肝をつぶして散り散りに逃げてしまった。
虎公は、今日に限ってこれほどの元気が出たことを不思議に思ったが、玉公は、どこからともなく荒武者が現れて虎公の加勢をしていたのを見たと話した。虎公は神様のご加護があったことを悟り、感謝の涙を流して大地に伏して祈りをささげた。
虎公は子分たちと共に、宣伝歌を歌いながら駆け出した。丸木橋を渡ったところで、黒姫が妻のお愛と妹のお梅、二人の男を連れて向こうからやってくるところに出くわしたのであった。
本文
03 22 〔963〕
矢方の村の大蛇の三公の館では、三公が子分たちの慰労会を開いていた。高公は、三公がお愛を殺し、二人の男を生き埋めにしたことを気分悪く思い、そのことを愚痴にしてやけ酒を飲んでいる。
徳公は、実は親分はお愛を殺しておらず、生きたまま息ができるようにして埋めておいて、自分に掘り出させて恩義を感じさせる計略なのだ、と酒の席で明かしてしまう。一方で六公たちを遣わして虎公を亡き者にし、お愛の心を靡かせようというのである。
与三公は、徳公にお愛を掘り出しに行けと催促するが、徳公は酒を飲みすぎて管を巻いている。そこへ六公の一団が帰ってきた。
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03 23 〔964〕
三公は六公を自分の居間に呼んで、虎公暗殺の首尾を確認する。六公は虎公の勢いに負けて逃げ出してきた手前、話をはぐらかして結果をごまかそうとしている。三公はあきれはて、六公の報告を与三公と勘公に任せ、自分は徳公のところへ出立の催促に行った。
徳公は、この闇の中に深い森の中へお愛を掘り出しに行くことがにわかに恐くなり、三公、与三公、勘公に役目をおろしてもらうように頼み始めた。
そこへ子分たちがやってきて、虎公とお愛の幽霊が、大勢を引き連れて押し寄せてきたと注進した。与三公と勘公はアッといって腰を抜かし、その場に倒れてしまった。
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