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文献名1霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
文献名2第11篇 新規蒔直しよみ(新仮名遣い)しんきまきなおし
文献名3第46章 探湯の神事〔146〕よみ(新仮名遣い)くがたちのしんじ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
百照彦の妻・春子姫は天上界で天人の舞曲に通じた芸能神であった。百照彦・春子姫は、主人・真心彦を慰めるために天人の舞曲を披露したが、真心彦は春子姫の舞曲に心をとろかし、神務をないがしろにするほどになった。

その結果、真心彦と春子姫の間柄に面白からぬ噂が立つことになった。国祖は真心彦・春子姫を呼んで事の真偽を詰問した。すると春子姫に稚桜姫命が降臨し、探湯の神事を行って潔白を証明するように、と託宣した。

探湯の結果、二人の潔白が証明されたが、真心彦は舞曲に耽溺して神事をおろそかにした罪を恥じて、天使の職を辞することになった。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年12月09日(旧11月11日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月3日 愛善世界社版269頁 八幡書店版第1輯 356頁 修補版 校定版273頁 普及版122頁 初版 ページ備考
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本文  百照彦は黙然として春子姫の面色を打見やりつつありしが、たちまち膝を前めて、
『汝の愉快にみちしその容貌、たしかに妙案あらむ、はやく吾がためにその妙案を物語れよ』
と顔色に光をあらはし勢よく問ひければ、春子姫はこたへていふ、
『妾は元来芸無し猿の不束者なれども、ここに一つの隠れたる芸能あり。そは天人の舞曲にして、天上において諸神の讃歎やまざりし、妾が独特の芸能なり。妾もし夫の許しを得ば、夫とともに真心彦の御前において一曲を演じまつらば、かならず歓ばせたまはむ』
と得意満面にあふれて勇ましげに言ふ。百照彦はおほいに驚きて、
『アヽ汝は何時のまにか、かかる芸能を覚えたるか』
と尋ぬれば、春子姫は、
『妾は貴下のもとに娶らるるまで、高天原の神殿に奉仕し、日夜舞曲を奏し、神歌をうたひ、大神の神慮を慰め奉る聖職に奉仕せしが、その技はつひに神に入り、妙に達して、天上における第一位の芸能者として、もてはやされしが、このたび地の高天原の改革につき、貴下は真心彦とともに赴任さるるに際し、大神の命によりて貴下の妻と定められたり。されど、貴下は大神の御心のあるところを毫も知りたまはず、ただ単に自ら選びて妾を妻に娶りしごとく思召したまへども、夫婦の縁は決して独自の意志のごとくになるべきものに非ず。いづれも大神の御許しありての上の神議りのことなれば、夫婦の道は決して軽忽に附すべきものにあらず。いづれも皆夫婦たるべき霊魂の因縁ありて、神界より授けらるるものなり』
と天地の因果を説き示し、夫婦の道は神聖にして犯すべからざる理由を諄々として説き立たり。
 百照彦は初めて妻の素性を知り、かつ神律の重ンずべきを深く感得したりしが、百照彦はさらに妻にむかひ、
『汝はさほどの芸能を有しながら、現在夫たる吾に今日まで何故に告げざりしや』
と怪しみ問ふを、春子姫はこたへて、
『妾は貴下の妻となりし上は、妻たるの務めを全うせば足る。いたづらに芸能に驕り慢心に長じ、つひには夫を眼下に見下すごときことありては、天地の律法を破る大罪なれば、夢にも芸能を鼻にかけ不貞の妻と笑はるるなかれとの、父母の固き教訓なれば、今日まで何事もつつしみて、一度も口外せざりし次第なれども、今日夫の辛労を傍観するに忍びず、この時こそは妾が得意の芸能を輝かし、夫を輔佐し奉らむと決意したる次第なり。諺にも芸は身を助くるとかや、妾の身は何れになるも問ふところにあらざれども、現在の大切なる夫の神業を助け、なほ殊恩ある主の御神慮を慰め奉ることを得ば、妾が鍛錬したる芸能の功も、はじめて光を発するものなれば、女性の差出口、夫にたいして僣越至極の所為とは存じながら、夫を思ふ一念にかられて、はづかしながら妾の隠し芸を知れることをふと申上げたるなり』
と夫の前に両手をつき、敬虔の態度をあらはし物語りたり。
 ここに百照彦は妻を伴なひ、主真心彦の館に参向し、春子姫の芸能のすぐれたることを進言したりけるに、命はたちまち顔色をやはらげ、さも愉快気に、
『天地神明の神慮を慰め、万物を歓ばしむるの道は歌舞音楽に如くものはなし。幸ひにも春子姫芸術に妙をえたるは何よりの重宝なり。一度吾がために一曲を演ぜよ』
と言葉もいそいそと所望したりける。
 百照彦は主の愉快さうなる顔色を見て、やつと安堵せしものの如く胸をなでて笑声を作りける。
 春子姫は、会心の笑みをもらしながら、舞衣に着替へ長袖しとやかに舞ひはじめしが、実に春子姫の言へるごとく、その技、妙に達し神に入り、天地神明の嘉賞したまふも当然なるべしと、真心彦をはじめ百照彦もただ感にうたれて恍惚たる有様なりける。その妙技の非凡なるを伝へ聞きて、大将軍沢田彦命まで臨席せられ、真心彦にむかひて、
『貴下は実に良き従臣を持たせらる。吾は羨望の念にたへず』
と言ひながら、その妙技に首を傾けて観覧したまひける。百照彦、春子姫はおほいに面目を施し、主の賞詞をうれしく拝受して厚く礼を述べ、吾が館に帰りただちに神前に神酒を奉献して、感謝の祝詞を奏上したりける。
 それより天使真心彦は、春子姫の舞曲の優雅なると、その神格の高尚なるとに心をとろかし、一にも春子姫の舞曲、二にも姫の音調と、事あるごとに二人を招き酒宴をもよほし、つひには神務を捨てて絲竹管絃の道にのみ耽溺し、真心彦と春子姫の間に面白からぬ風評さへ立つにいたりける。
 真心彦は元来仁慈の念ふかく、かつ多情多感の神司なりけり。それゆゑ外部の風評を耳にするや、春子姫にたいする同情の念は日をおうて昂まり、悪しき風評はますます油の浸潤するがごとき勢にて内外に拡まりにけり。
 このことたちまち国治立命の耳に入りたるより、命はただちに真心彦を召しだして厳しく不義の行為の有無を詰問されたりしが、真心彦は首を左右にふり、
『吾いやしくも聖地の重神司として、天使の職を忝なうし、天地の律法を宣伝すべき聖職にあり。いかでか斯かる忌はしき行為を敢てせむや。天津神国津神も、吾が心身の潔白を照鑑ありて、わが着せられし濡衣を干させたまへ』
と一心不乱に祈願を凝らしたり。そのとき春子姫は突然身体激動して憑神状態となりぬ。これは稚桜姫命の降臨なりける。命は教へ諭していはく、
『よろしく探湯の神事をおこなひ、その虚実を試みよ。神界にてはこの正邪と虚実は判明せり。されど地上の諸神人は、疑惑の念深くして心魂濁りをれば、容易に疑ひを晴らすの道なし。ゆゑに探湯の神事を行なひ、もつて身の疑ひをはらすべし。正しきものは、神徳を与へてこれを保護すべければ、いかなる熱湯の中に手を投ずるとも、少しの火傷をもなさざるべし。これに反して、汚れたる行為ありし時は、たちまちにして手に大火傷をなし、汝の手はただちに破れただれて大苦痛を覚ゆべし』
と宣示されたり。
 真心彦は、喜びて頓首したまひ、ただちに探湯の神事に取かかりけり。八百万の神人はその虚実を試すべく探湯の斎場に垣をつくり片唾をのンで見ゐたりしが、沸きかへる熱湯の中に、怖ぢず臆せず、真心彦は天津神国津神にむかつて祈願し、泰然自若として手を浸し入れたり。つづいて春子姫も同じく手を浸し、久しきにわたるといへども、二人ともに何の火傷もなく、ここに二人の疑ひはまつたく払拭されにける。二人は天地にむかいて神恩の有難きを謝し、慟哭やや久しうしぬ。八百万の神人は一斉に手をうつて、二人の潔白を賞讃したりける。国治立命は、二人の清浄無垢の心性を賞し、かつ種々のありがたき言葉を賜ひ、かつ今後は神祭のほか断じて舞曲に耽溺し、絲竹管絃にのみ心を奪はれ、神務を忘却するごとき不心得あるべからず、と厳しく教へ諭したまひ、悠然として奥殿に入らせたまひける。
 真心彦は大いに愧ぢ、
『我は大いに過てり。我が悪しき風評の高まりたるは、わが不徳の致すところなり。聖地の重臣として、いかで他人に臨み得むや』
と直ちに国治立命の御前にいたり、天使の聖職を弊履を捨つるがごとく辞したりにけり。
(大正一〇・一二・九 旧一一・一一 外山豊二録)
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