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文献名１惟神の道
文献名２よみ（新仮名遣い）
文献名３世界よ何処へ行くよみ（新仮名遣い）
著者出口王仁三郎
概要
備考「昭和青年」昭和七年四月号所収「世紀末観」の抜萃
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データ最終更新日----
ページ18
目次メモ
OBC B123900c007
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本文
世界よ何処へ行く。
全く世界は何処へ行くのであるか。
仏典はたまたあらゆる神示において示されたる末世は既に来てゐるのであって、百鬼は白昼横行し、仁義道徳は地を払ひ、暗黒無道の世態は正に常世の暗といはねばならぬ。
人心の荒び、これは実に恐ろしいことで、父子兄弟の争ひ、親戚の離反、朋友間の信義の忘却、主僕の疎遠、上下の反目、老子の対峙等々、世道の頽廃は実に言語に絶してゐる。人道は今や壊滅してしまったと云はねばならない。
国家社会は刻々に危機に陥り、あらゆる曲神は時を得がほの横行振りを発揮してゐる。富豪家の堕落は社会を極度に汚し、淫酒にふけってあへて為す所なく、社会の心臓たるべき都会人は安逸快楽に馴れ切って奢侈の限りをつくせば、従って純朴の気は田舎からも去ってしまふ。国家の中堅で、社会の第一線に立つべき青壮年はこの悪風に眼を眩惑されて、争って悪魔の虜となり、国内に異邦的精神の発生をみるまでに至り、未来の賢妻良母たるべき女子は紅白粉を塗り立てて胡蝶の如き生活に日を送る。全く淫靡の世風は吹き荒んで、聖者の遺訓はあっても鼻紙ほどの重きをなさず、法令は存してもこの人心を如何ともすることが出来ない。人心の堕落はすべてに反映して経済的の危機も正に来てゐるのであって、農業の不振は商工業に大なる影響を来すこと言ふまでもなく、世界的の不景気風はフーヴァ風犬飼風の対抗ぐらゐでは止むことを知らぬ。
国家の富が増進したとて喜んだ時もあったが、しかし、実際は人々の頭上に飢餓は迫って来てゐる。経済的不備は生産過剰を招いて物価の凋落は一層世間を不景気に落とし、輸入超過につぐ超過で、経済界は赤字また赤字で、窮乏その極に達したの観がある。かくて国庫はまさに窮乏して兌換借款とその行くところを知らず……。
この人心の悪化、経済界の危殆は人々の生命財産をおびやかすこと正に甚大であって、法警の完備した現代にますます殺傷の行なはれる事は寒心に堪へない。人心の悪化は政界の不完全を物語るとみてもよく、暴戻の横行に誠の人士は進むの道を奪はれてしまひ、奸侫邪智の者の天下となって挽回するよすがもない娑婆世界となってしまった。国家の元老は名のみ希ひ己れの勢力と配下を持つことにのみ余念なく、政客に正義なく、ただ政権を弄ぶかの如く見え、吾が党擁護が彼らの仕事となったかの観がある。国家の選良は国議を軽視し、国帑を浪費して民の負担を日に重からしめ、かくて国家破産の緒を開き、あまつさへ彼の神聖無垢であるべき我らの議事堂に、あだかも雲助輩の行動を演出することは慷慨にたへぬ事である。
医学の完備した世に悪疫のますます蔓延して行く現代であり、交通機関は完備してしかも有無相通ずる道もない今日である。学説出でてますますその偏狭陋劣さを現はし、怪論迷説は世を闇黒に導くのみの現代である。国防成って国辱しきりに起こるの時、武人は士道華やかなりし頃の気概なく、むしろ物質に愛着を感じてゐる現代を思ふ時、ますます世界よ何処へ行くの感は深い。
人心を天国浄土に導くべき宗教はどうしたのかと叫ばずにはをられない。宣教師または僧侶は、エホバ、仏陀の教義を曲解し誤説して、彼らは極力宗祖の教旨を滅ぼしてゆく。道を説く彼らの品行の堕落は正視出来ぬものがあり、かへつて精神界を攪乱しつつある古今未曾有のこの世相には、天神地祇も正に怒りを発したかの観がある。台風、時ならぬ雷鳴、しきりに臻る水難、旱魃、地震、大火等、軍神つひに憤って天賊地妖を隈なく鏖殺し清め給ふ御心を覚らねばならぬ。
しかし、神は愛であり慈悲である。神は恵みの主であらせられる。神はみろく下生を、あるひはキリストの再臨を誓約した。即ち神の恵みは天来未知の大偉人の力に依って最後の峠を越さしめ、選民を永久に救って下さるのであって、ここに初めて天国浄土は地上に顕現するのである。徹底的に邪神を懲らし善神を救ふ神の大経綸、これこそ大和民族に賜はった神の御遺訓であり、誓約なのである。
かくて真人生まれ来たり、惟神の大道を世界に敷衍する時、五逆十悪の濁世は消滅して、天地自づから清浄に、主神の意志の完全に地上に行はるる新しき国土は開かるるのである。
全く世界は何処へ行くのであるか。
仏典はたまたあらゆる神示において示されたる末世は既に来てゐるのであって、百鬼は白昼横行し、仁義道徳は地を払ひ、暗黒無道の世態は正に常世の暗といはねばならぬ。
人心の荒び、これは実に恐ろしいことで、父子兄弟の争ひ、親戚の離反、朋友間の信義の忘却、主僕の疎遠、上下の反目、老子の対峙等々、世道の頽廃は実に言語に絶してゐる。人道は今や壊滅してしまったと云はねばならない。
国家社会は刻々に危機に陥り、あらゆる曲神は時を得がほの横行振りを発揮してゐる。富豪家の堕落は社会を極度に汚し、淫酒にふけってあへて為す所なく、社会の心臓たるべき都会人は安逸快楽に馴れ切って奢侈の限りをつくせば、従って純朴の気は田舎からも去ってしまふ。国家の中堅で、社会の第一線に立つべき青壮年はこの悪風に眼を眩惑されて、争って悪魔の虜となり、国内に異邦的精神の発生をみるまでに至り、未来の賢妻良母たるべき女子は紅白粉を塗り立てて胡蝶の如き生活に日を送る。全く淫靡の世風は吹き荒んで、聖者の遺訓はあっても鼻紙ほどの重きをなさず、法令は存してもこの人心を如何ともすることが出来ない。人心の堕落はすべてに反映して経済的の危機も正に来てゐるのであって、農業の不振は商工業に大なる影響を来すこと言ふまでもなく、世界的の不景気風はフーヴァ風犬飼風の対抗ぐらゐでは止むことを知らぬ。
国家の富が増進したとて喜んだ時もあったが、しかし、実際は人々の頭上に飢餓は迫って来てゐる。経済的不備は生産過剰を招いて物価の凋落は一層世間を不景気に落とし、輸入超過につぐ超過で、経済界は赤字また赤字で、窮乏その極に達したの観がある。かくて国庫はまさに窮乏して兌換借款とその行くところを知らず……。
この人心の悪化、経済界の危殆は人々の生命財産をおびやかすこと正に甚大であって、法警の完備した現代にますます殺傷の行なはれる事は寒心に堪へない。人心の悪化は政界の不完全を物語るとみてもよく、暴戻の横行に誠の人士は進むの道を奪はれてしまひ、奸侫邪智の者の天下となって挽回するよすがもない娑婆世界となってしまった。国家の元老は名のみ希ひ己れの勢力と配下を持つことにのみ余念なく、政客に正義なく、ただ政権を弄ぶかの如く見え、吾が党擁護が彼らの仕事となったかの観がある。国家の選良は国議を軽視し、国帑を浪費して民の負担を日に重からしめ、かくて国家破産の緒を開き、あまつさへ彼の神聖無垢であるべき我らの議事堂に、あだかも雲助輩の行動を演出することは慷慨にたへぬ事である。
医学の完備した世に悪疫のますます蔓延して行く現代であり、交通機関は完備してしかも有無相通ずる道もない今日である。学説出でてますますその偏狭陋劣さを現はし、怪論迷説は世を闇黒に導くのみの現代である。国防成って国辱しきりに起こるの時、武人は士道華やかなりし頃の気概なく、むしろ物質に愛着を感じてゐる現代を思ふ時、ますます世界よ何処へ行くの感は深い。
人心を天国浄土に導くべき宗教はどうしたのかと叫ばずにはをられない。宣教師または僧侶は、エホバ、仏陀の教義を曲解し誤説して、彼らは極力宗祖の教旨を滅ぼしてゆく。道を説く彼らの品行の堕落は正視出来ぬものがあり、かへつて精神界を攪乱しつつある古今未曾有のこの世相には、天神地祇も正に怒りを発したかの観がある。台風、時ならぬ雷鳴、しきりに臻る水難、旱魃、地震、大火等、軍神つひに憤って天賊地妖を隈なく鏖殺し清め給ふ御心を覚らねばならぬ。
しかし、神は愛であり慈悲である。神は恵みの主であらせられる。神はみろく下生を、あるひはキリストの再臨を誓約した。即ち神の恵みは天来未知の大偉人の力に依って最後の峠を越さしめ、選民を永久に救って下さるのであって、ここに初めて天国浄土は地上に顕現するのである。徹底的に邪神を懲らし善神を救ふ神の大経綸、これこそ大和民族に賜はった神の御遺訓であり、誓約なのである。
かくて真人生まれ来たり、惟神の大道を世界に敷衍する時、五逆十悪の濁世は消滅して、天地自づから清浄に、主神の意志の完全に地上に行はるる新しき国土は開かるるのである。
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