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文献名1出口王仁三郎著作集 第3巻 愛と美といのち
文献名2美 >俳茶一味よみ(新仮名遣い)
文献名3俳道よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考全集5「俳道」と同じ。
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-10-08 19:59:12
ページ212 目次メモ
OBC B195303c337
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本文  俳道は天地剖判の以前から流れている。森羅万象はことごとく俳的表現である。
 釈迦が女性醜と人間醜に中毒の結果は、ヒマラヤ山という小さい茶室に逃げこんだ茶人であった。「ソロモンの栄華も要らず百合の花」だの「陽炎や土にもの書く男あり」だのと発句つていたヤソも、ある意味における俳諧師である。
 天地はそのままにして茶室である。自然の詠嘆はそのままにして天国の福音である。しかしクリスチャンにヤソがわからないように、茶人は茶を知らず、俳人は俳道が分かつていない。ヤソ教はロシアもこれを見かぎつてしまつた。マホメット教も本場のトルコに捨てられた。日本の神道も仏教も、とうの昔に国民から捨てられているが、これを知らないものは神道家と仏の僧侶はかりである。
 すべての人々はいずれもみな宗教家である。いな宗教が人を有っているのである。そして宗教に見放されているものは宗教家である。今の俳人と称するものも、みな俳道から捨てられた俳亡者である。
 そして日本俳壇の中興は、戦国争覇の頂点に対峙して、旗鼓相衝った機山、不識庵の連中であった。信玄が城をもたず、謙信は甲冑をまとわなかった。自分が入蒙戦争の際にも銃剣を持たなかった。それはいわゆる山川を城となしているからであり、敵中を行くあたかも無人の平野を行くがごとくであったからである。また彼の謙信は一生涯刀を抜かなかった。大事な軍ほど人数を減らし、川中島で信玄に迫った時はひとりであった。恋にはつれが邪魔になるごとく思ったのだ。信玄、謙信は相思、相愛の恋仲のような態度をもっていた。恋というものは、殺したり、殺されるはずのものだからで、殺しもせず、殺されもしないものは恋ではない。信玄が死んだと聞いて、茶碗をなげうって慟哭した謙信の心は、可憐しい恋であったのだ。「乾坤破壊の時如何」「紅炉一点雪」、この両者のラブレターに徴しても、彼らが自然にたいする恋の深さをうかがうことができる。「数行の過雁三更の月」、これ彼らが全世界を手に入れたよりもまさつた法悦であった。これ俳道の猛者にあらずしてなんぞやである。
 それに彼の信玄の後裔だという武野紹鴎や、紹鴎の弟子といわるる千利休のごとき俳人は、水呑み百姓までが、天下を奪わんと猛り狂っている真只中に、落葉の響き、霜の声に耳を傾けて四畳半裡に大宇宙をつつみ、欠け茶碗に天地の幽寂をあじわって、英雄の心事を憫んでいた。十里の長城、いな土居をめぐらして帝都を復興し、聚楽邸を築いて、花洛とともに花も月もおのれ一人の所有となし、桃山城を建設して天下の美人を専擅し、驕奢と栄華に耽溺し陶酔した豊臣氏に、荒壁造りの茅舎を見せびらかして飛びつかせ、茶杓で丸木柱にふんじばってしまった利休は、俳諧史上の逸品である。外面的には利休は、ついに豊公に殺されたが、内部的精神的からみれば、豊公は利休に殺されたのである。時めく天下の関白が、利休のために、四畳半裡に引きずりこまれて以来の豊公は、もはや以前の豊公ではない。豊公は内部的に利休に殺されて、英雄の分際からただの凡爺にたちかえって、未見の世界が見られたのは、小不幸中の大幸福だったのである。また利休は豊公に殺されたおかげで、永遠の生命を獲得したのであった。
 この一挙両得のなかに、有声に無声を見、無色に有色を聞く俳道の真趣がある。糸の掛けたらぬ琴に、ありあまる琴の音色を聞くほどの人間でなければ、俳道はとうてい分かるものでない。
(「明光」昭和4年3月)
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