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文献名1霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻
文献名2第4篇 竜宮占領戦よみ(新仮名遣い)りゅうぐうせんりょうせん
文献名3第25章 武蔵彦一派の悪計〔25〕よみ(新仮名遣い)むさしひこいっぱのあっけい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2019-06-12 17:57:11
あらすじ武蔵彦、春子姫、足長彦ら悪神は、小金橋破壊に失敗したため、魔軍を組織して竜宮上を占領しようと画策していた。このためには、地の高天原を内部的に瓦解させることが必要と感じ、探女を放って瑞の御魂の肉体を陥れようとしていた。瑞の御魂は霊を降して大八洲彦命と現れて、探女を追い払って悪神の企みを打ち砕いた。春子姫は竜宮の従臣神である小島別を説きつけて竜宮を攻めようとしたが、これも大八洲彦命に見破られ、小島別の立ち戻りもあって、春子姫は悶死して根底の国に堕ちて行った。春子姫の親である武蔵彦は筑波仙人の肉体を借りて、竜宮城の占領を企て、盤古大神を押し立てようとしていた。武蔵彦は竹熊を使って大八洲彦命を襲わせた。大八洲彦命は雷のごとき言霊を駆使して敵を追い払った。このとき、地の高天原では稚姫君命が不思議な神術を実行されて神助を現した。敗走した竹熊一派は、稚姫君命の前に表面改心を現して謝罪したため、許されたが、心の底では悪計を企んでいた。大江山から現れた邪神の頭領・鬼熊は、竹熊を密議をこらしていた。しかし竹熊の参謀である木常姫は鬼熊と意見の相違から大争闘を始め、鬼熊は大打撃を受けた。これはすべて、邪神の権力争いから起こったのである。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年10月21日(旧09月21日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1921(大正10)年12月30日 愛善世界社版151頁 八幡書店版第1輯 100頁 修補版 校定版151頁 普及版79頁 初版 ページ備考
OBC rm0125
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本文  武蔵彦、春子姫、足長彦の悪神は、最初の黄金橋破壊に失敗したので、こんどは大挙して一挙に之を打ち落さむとし、数万の雷神や、悪竜、悪狐および醜女、探女の群魔を堂山の峡に集め密議を凝らした。その時に参加した悪神は竹熊、木常姫を大将とし、八十熊、鬼熊、猿飛彦、魔子彦、藤足彦、中裂彦、土彦、胸長彦、牛人らの悪神が部将の位地につき、黄金橋の占領破壊に全力をつくした。
 そして木常姫、魔子彦は東の空より、猿飛彦は東南より、牛人、藤足彦は西北より現はれて三角形の陣をとり、数万の魔神を引率して、疾風迅雷的に竜宮城を占領すべき計画をめぐらし手筈を定めた。
 この目的を達するには、地の高天原を内部より混乱瓦解させねばならぬとし、魔軍はたくみに探女を放ち、そして瑞の霊の肉体を陥れむとして炎の剣や、氷柱の槍にて大々的攻撃を開始した。
 瑞霊は茲に霊を下して大八洲彦命と現はれ、寄せくる探女を真澄の剣を振かざし山の尾ごとに追ひ伏せ、河の瀬ごとに切りまくつた。その神勇に驚き周章ふためき四方に逃げ散つた。竹熊、木常姫らの計画は全く水泡に帰し、数多の部下を失ひ、失望の結果、ふたたび計を定め、金勝要神を薬籠中のものとせむとした。その主謀者は奸智に長けたる春子姫であつた。
 春子姫は藤足彦、牛人とともに、小島別を甘言をもつて説きつけ、小島別の手によつてその目的を達せむと企らんだのである。小島別は元来正直の性質であるから、春子姫の詐言を信じて車輪の運動を開始したが、彼は厳の霊の霊眼に見破られて目的を妨げられ、つひに自棄気味になつて大々的活動をはじめ、木常姫、中裂彦の悪神を加へ、鞍馬山に立てこもつて該山の魔王と諜し合せ、数万の邪霊を引つれ、強圧的に竜宮城を占領せむと企てた。しかし注意ぶかき大八洲彦命の烱眼に再び看破られ、小島別の覚醒的返り忠とともに第二の計画も全然破れてしまひ、春子姫は遂に悶死を遂げ、根の国底の国に落ち行くの止むを得ざる破目となつた。
 春子姫の親なる武蔵彦は、こんどは筑波仙人の体を藉り、またもや竜宮城の占領を企てた。しかるに武蔵彦の目的とするところは竜宮城の占領ばかりではなく、地の高天原の聖地をも占領し、その上国常立尊を退去させ、盤古大神をもつて、これに代らしめむとするのが根本的の目的であつた。
 さて仙人には神仙、天仙、地仙、凡仙の四階級がある。そしてその四種の仙人にも、正邪の区別がある。筑波仙人は邪神界に属し、第三階級に属する地仙である。
 またもや武蔵彦は黒姫、菊姫、八足姫を先頭に立て、竹熊に策を授けて再挙を企てた。竹熊はまづ第一に金勝要神をわが手に籠絡せむとし、土彦、牛人、中裂彦、鬼熊らの部将株と、大江山に集まつて熟議を凝らした。竹熊は表面きはめて温良な風姿を装うてゐるが、その内心は実に極悪無道の性質をもつてをり、いろいろと手を換へ品を換へ、厳の御魂に取りいつて、表面帰順の意を表し木常姫を手に入れ、またもや小島別を誑惑し、牛人をしてつひに大八洲彦命を計略をもつて亡ぼさしめむとした。牛人の悪霊は謀計をもつて大八洲彦命を堂山の峡に導き、竹春彦、藤足彦その他数名の邪神に命じて、雙方より之を攻め討たしめむとした。そこへ守高彦といふ武勇絶倫の神現はれて、大八洲彦命の危難を救はむとした。されど守高彦はある附属の女神のために後髪をひかれて、進むことができなかつた。
 竹熊の部下は、今や大八洲彦命に接近しきたり、十握の剣を抜き持ちて前後左右より斬りつけた。大八洲彦命は雷のごとき言霊を活用し、厳の御魂の御加勢により、脆くも敵は退散した。
 この時地の高天原においては稚姫君命は大いに御心配あそばし、不思議な神術を実行され、その神術と言霊と相俟つて敵を退散せしめ無事なるを得たのである。その神法は千引の岩を大神の神殿に安置し、岩の上に白き真綿と、赤き真綿とを重ねて岩にかぶせ、赤色の長き紐をもつて十二廻り廻し、これを固く縛らせられたのである。これは神界の禁厭であつて、一身上の一大事に関した時に行ふものである。
 大八洲彦命の言霊の雄健びと神術の徳によつて一旦退却した竹熊の一派は、ただちに地の高天原に馳せ登り、稚姫君命の御前にまかり出でて表面に改心を装ひ、命をして深く安堵せしめおき、油断の隙に乗じて、執念深くも金勝要神を手にいれむと百方苦心をめぐらし、夜を日についで大々的活動を続けをるを見たまひし大神は、竹熊一派を憐れみ、善心に立ち帰らしめ、善道に導き救はむとして、種々と因果の理法を説き教へられた。
 されど元来悪神の系統なれば、表面には改心せしごとく装ひをれども、内心はますます荒んで来るばかりである。そこへこの度は、大江山から現はれた邪神の頭領株、鬼熊なるもの現はれきたり、竹熊と密謀を凝らし、あくまでも最初の目的を達せむと試みたが、この鬼熊と木常姫との間に、非常な意見の衝突をきたしたために、竹熊との関係上自滅的に破れてしまつた。竹熊は木常姫と同腹で、今度の計画を立ててゐたのである。そこで鬼熊と木常姫は、意見の大衝突より大争闘をはじめた。又ある事情のために竹熊は鬼熊と争ひ、鬼熊に対して非常の打撃を加へた。この衝突たるや総て彼ら悪神の権力争ひのために起つたのである。
(大正一〇・一〇・二一 旧九・二一 加藤明子録)
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