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文献名1霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻
文献名2第4篇 天地転動よみ(新仮名遣い)てんちてんどう
文献名3第26章 庚申の眷属〔176〕よみ(新仮名遣い)こうしんのけんぞく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-04-17 01:13:12
あらすじ
有国彦を押しとどめたのは、ヒマラヤ山の八王・高山彦であった。高山彦は八王撤廃論は八王大神が主権を握ろうとするための姦策であり、逆に八王が一致団結して国祖を盛り立てるよう同盟したらどうか、と提案した。

行成彦は、それでは八王同盟の主宰は、八王大神としたらどうか、と提案し、賛成を得た。また高山彦は武備撤廃を呼びかけ、これも諸神の賛成を得た。

この間、道彦が化けた八王大神はただだまってうなずくのみであったため、高山彦、行成彦の提案はどんどん議決してしまった。常世姫はどうすることもできず、仕方なしに八王同盟は認めたが、武備撤廃については反対の意を表明した。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年12月24日(旧11月26日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月30日 愛善世界社版165頁 八幡書店版第1輯 431頁 修補版 校定版174頁 普及版74頁 初版 ページ備考
OBC rm0426
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本文  有国彦は、常世会議より脱退せむことを宣言し、降壇せむとするや、
『暫く、しばらく』
と、大声に呼ばはりたる神司は、ヒマラヤ山の八王高山彦なりき。高山彦はただちに登壇し満座を睥睨し、おもむろに口を開いていふ。
『そもそも今回の会議は、八王の撤廃をもつてその眼目とするもののごとし。八王大神はさきに八王聯合を図り、一大団結力をもつて、聖地ヱルサレムの天使長大八洲彦命以下の神司を協力一致弾劾して失脚せしめたるは、今日にいたつて考ふれば、吾々は実に天則違反の非行為なりと思ふ。その後の世界一般の形勢は、ますます悪化し紛糾混乱の巷と化し去りしは、はたして何に原因するものぞ。吾々は思ふ、これ全く国祖の大御心に叶はざるがためなりと。しかるに今回の提案たるや、各山各地の八王八頭の政令おこなはれず、地上の世界はあたかも修羅の巷と化しさりしを口実に、また八王の無能を口実としてこれを撤廃し八王大神みづから特権を握りますます欲望を完全に達成せむとするの下心あることは、吾々の天地の大神に誓つて声明するところのものである。ゆゑに吾々の考へとしては、八王の撤廃論をすみやかに撤回し、八王一致団結して各自の中より主宰者を選出し、確固不動の団結を造り、もつて国祖の聖慮に叶へる神政を顕彰し、地の高天原に従前の過失を詫び、国治立命の管理のもとに服従し、誠心誠意帰順の実を挙ぐるに如かずと思ふ。諸神司の賛否如何』
と述べ了るや、満場破るるばかりの拍手と賛成の声に充たされける。
 高山彦は笑を満面にたたへながら、
『諸神司は吾が主張にたいし、十二分の賛成を表したまへり。これより総統者の選挙に移らむ』
と言ふや、高座の上左側に控へたる行成彦はふたたび登壇し、
『高山彦の説に吾々は双手を挙げて賛成するものなり。ついては従前のごとく八王大神をもつて総統者と選定せば如何』
と提議したり。満場の諸神司は行成彦の提議に一も二もなく賛成の意を表したれば、いよいよ八王の撤廃は否決され、八王大神これを総統することとなり、地の高天原に直属し、柔順に国祖の神命に奉仕すべきことを決定したりけるは、世界平和のため慶賀にたえざるなり。
 高山彦はふたたび口を開き、
『世界平和のために各自の神司らの武装の一部を撤廃するの件は、諸神司においても御異存なかるべきを確信す。賛成者はすみやかに起立されむことを』
と述ぶるや、諸神司のほとんど八分までは、一斉に起立し、かつ賛成を唱へたる。その声あたかも常世城も震動するばかりなりける。
 八王大神は高座の中央に黙然として控へ、庚申の眷属よろしく、見ざる、聞かざる、言はざるの三猿主義を採り居たるもののごとし。常世姫は事ここにいたつては如何ともするに由なく、たちまち容色を和らげ満場の諸神司にむかつていふ。
『諸神司らの誠心誠意世界の平和を希求さるるは、八王大神をはじめ吾々の実に欣喜に堪へざるところであります。要するに八王大神をはじめ大自在天の提議にかかはる八王の撤廃案は、その実諸神司の誠意のあるところを伺はむための反正撥乱的神策でありまして、もはや吾々は諸神司の至誠公に奉ずるの御精神を実地に拝察しました以上は、何とも申し上げやうはありませぬ。従前のごとく八王大神をもつて八王の総統者となし、聖地にたいし協力一致帰順の誠をいたせば、今回の大目的は、完全に成功したものといつて差支へはないのであります』
と打つて変りし常世姫の燕返しの変節改論に、諸神人は思はず顔を見合はし、その先見の明と機敏に舌をまきにける。
 常世姫はふたたび口を開き、
『かくの如く決定する以上、たがひに和衷協同の実を挙げ、もつて律法を遵守し、至誠至実の結合を見たる上は、あながちに、各神人の武装を撤回するの必要は無きものと考へます。要はただ諸神司の心を改むるにあるのみ。この点については、いま一応御熟考を願ひます』
といつてのけ、自分の席に帰りける。
(大正一〇・一二・二四 旧一一・二六 外山豊二録)
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