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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第7篇 宣伝又宣伝よみ(新仮名遣い)せんでんまたせんでん
文献名3第50章 磐樟船〔250〕よみ(新仮名遣い)いわくすぶね
著者出口王仁三郎
概要
備考この第5巻第50章に「蓑彦」が8回出るが、他の章(第2巻第22章、同第27章、第29巻第4章)ではすべて「美濃彦」になっている。
タグ データ凡例 データ最終更新日2018-10-07 23:27:48
あらすじ
大足彦はいまや足真彦と名前を変えて、宣伝の旅に諸方を巡っていた。常世の国の紅の郷にやってきた。この地は蓑彦という正しい神人が治めていた。

足真彦は、数十人の神人らが山林の楠の木をしきりに伐採しているのを見た。彼らの話によると、これは蓑彦が来るべき大洪水に備えて方舟を作っているとのことであった。

蓑彦は足真彦の後を追って来て、丁重に館に迎え入れた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月14日(旧12月17日) 口述場所 筆録者井上留五郎 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年4月15日 愛善世界社版295頁 八幡書店版第1輯 621頁 修補版 校定版300頁 普及版125頁 初版 ページ備考
OBC rm0550
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本文  生者必滅、会者定離、栄古盛衰は世の習ひとは云ひながら、一時は聖地ヱルサレムの神都において、大八洲彦命と共に天使の職の就きたりし機略縦横の神人も、今は配所の月を見る、苦しき憂きに大足彦の、神の命の成れの果、この世を忍ぶ足真彦、神と現はれ荒れ狂ふ、魔神の荒びを鎮めむと、神国を思ふ真心の、心の駒に鞭打ちて、山野河海を駆け廻り、天教山の神示をば、四方に伝ふる常磐木の、松の心ぞ勇ましき。足真彦は、
『三千世界一度に開く梅の花、開いて散りて実を結ぶ。時鳥声は聞けども姿は見えぬ』
と世を忍ぶ幽かな声に四方を逍遙ひながら、漸うここに歩みくる。
 淵瀬と変る仮の世の、昨日や今日の飛鳥川、彼岸に渡す弥勒の世、弥勒神政の成就を、深く心に掛巻くも、畏き神の宣伝使。
 ここは常世の国の紅の郷である。紅の館には蓑彦といふこの地方を治むる正しき神人があつた。
 足真彦は門前に立ち現はれ、この宣伝歌を小声に謡ひつつ、淋しげに通り過ぎた。
 少し前方に当つて、頻に木を伐る音が聞えた。足真彦は不知不識その音のする方に歩みを運びつつあつた。
 数十柱の神々は一生懸命に汗みどろになつて、この山林の樟の樹の伐採に余念がなかつた。棟梁神と覚しき図体の長大なる色の黒き神は、神々に向つて、
『オーイ皆の神たち、モウ休息してもよいぢやないか』
と呶鳴る。数多の神々は鶴の一声に、得物をその場に捨て、一所に集まり、倒した木に腰を掛けながら、四方山の話に花が咲いた。
甲『オイ皆の者、昔から紅の郷の名物といはれたこの樟樹山を、毎日々々伐採するなんて、一体、こりや何のためだらうな。蓑彦神さまも、ちつとこの頃はどうかして居りはせぬかな』
と辺りを憚る様な手付きをして、そこらをきよろきよろ見廻しながら口を切つた。
乙『ナンダとー。くすくす云ふに及ばぬ、凡夫の分際として、蓑彦様の御精神が判つてたまるかい。只お前たちや黙つて仰のまにまに俯向いて働いて居りやよいのだ。大神さまの為さることをくすくす批評するのは、みの彦、おつと、どつこい、身の上知らずといふのだよ』
 丙は澄ました顔をしながら起ち上り、
『そもそもこの山は遠き神代の昔より』
丁『おいおいそらなに吐すのだい、遠きも糞もあつたかい。とぼけ人足に昔からの事が判つてたまるかい。俺が真正の事あ知つてらー。この頃それ、蟻が行列する様にドンドンと海を越えて東の国へ渡る奴があるだろう。彼奴はな、宣伝使とやらの言つたことに胆を潰しやがつて、蟻のやうな小さい神どもが、ユルサレルとか、ユルサレムとか、何だか妙な名の付いた都へ助けて貰ひに行きよるのだと云う事だよ。蟻の行列の様に沢山に並んで、有難いも糞もあつたものぢやない。それよりも船を沢山に持つてをる神人こそ、沢山な船賃を取りよつて、それをホントに有難がつてをるから、蓑彦さまも酢でも、蒟蒻でも、おつとどつこい誠に立派な、お賢い、知慧の深い、利益に敏い、気の利いた、賢明な、敏捷な……』
甲『そりや何を吐かすのだい。同じことばかり並べよつて、早く次ぎへ切り上げて先きを言はぬかい』
丁『切り上げて言へつたつて、コンナ大樹がさう早速に伐り上げられるかい』
甲『馬鹿、その次ぎを早く申せと言ふのだ』
丁『その次ぎはその次ぎかい。それでな、蓑彦さまは身の得を考へて、沢山に立派な船を造つて、蟻のやうな凡夫を沢山に乗せて駄賃を吸ひあげる積りだよ。吾々は汗水垂らして毎日日日木を伐らされて、ホントに気が利かないよ』
戊『馬鹿いへ、蓑彦はソンナ欲な神さまぢやない。よくも無い神人さまだよ』
丁『欲ないから悪いのだ。ソンナこと言つてゐると、今にそれ勝彦のやうに、またどえらい目玉を剥かれて、縮み上つて吠面かわいて謝まらねばならぬ事が出来てくるワ』
乙『真正の事は、お前たちも確乎せぬと大洪水が出るのだよ。蓑彦さまは吾々を助けるために、昔から秘蔵のこの山を伐つて、立派に樟の船を造つて、サア世界の大洪水といふ時に、お前たちも助けてやらうといふ御精神ぢや。そりやもう、ちつとも間違ひはないよ。吾々は堅くかたく信じてゐるのだ。堅いといつたら石に証文、岩に判を押したやうなものだよ』
丁『ソンナ大洪水が実際あるものだらうかな。俺もこの間から、何だか気に掛るのだ。毎日日日、今日で四五十日も雨はざあざあと降りつづくなり、大河小川の堤が切れるなり、低いとこの家はみな流されて了ふなり、この調子で二年も三年も降り続くものなら、それこそ事だ。きつと山も何にも沈んでしまふに違ひない。マア、マア、一生懸命に蓑彦さまの仰せに従つて働かうかい』
一同『それが宜からう、それが宜からう』
といつてまた起ち上り、樟の伐採に着手せむとする時、低い声にて宣伝歌を謡ひながら出て来る神人があつた。
『朝日は照るとも曇るとも
  常世の暗は晴れぬとも

 大地は泥に浸るとも
  誠の力は世を救ふ』

と謡ひつつ此方に向つて進み来る。神人らはこの宣伝使の歌に耳を傾けた。後より又もや、
『おーい、おーい』
と呼ばはりながら、宣伝使の後を追つかけて来る威厳ある男ありき。即ちこれは蓑彦なりける。一同は大地に拝跪した。
 蓑彦は宣伝使にたいし、鄭重に挨拶をなし、かつ地上神人の為に千辛万苦を排し、世界を遍歴し警告を与へ給ふその至誠を感謝しつつ、紅の館に伴ひ帰つた。
 足真彦は蓑彦に導かれ、館に立ち入り、奥殿深く進み入りぬ。
 そこには幾丈とも知れぬ大岩石があつて、数多の神人の姿が天然に現はれて居た。
 よくよく見れば王仁の身は、高熊山の岩窟の前に、何時の間にか霊より覚めて、両眼をぱつちり開いてその岩窟を眺めいたりけり。
(大正一一・一・一四 旧大正一〇・一二・一七 井上留五郎録)
(昭和一〇・三・二〇 於瀬戸内海航海中 王仁校正)
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