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文献名1霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻
文献名2第6篇 百舌鳥の囁よみ(新仮名遣い)もずのささやき
文献名3第34章 三大教〔284〕よみ(新仮名遣い)さんだいきょう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-04-23 18:47:10
あらすじ漂浪人たちが東彦の宣伝使の教えを聞いているところへ、また白髪異様の宣伝使が、節面白く謡いながらやってきた。この宣伝使は、霊鷲山の山麓・玉の井の郷に現れた三葉彦神の教理・三大教を奉じる宣伝使・北光天使であった。霊鷲山は、印度と西蔵の境に立つ高山であり、また黄金山は、聖地エルサレムの傍らに立つ橄欖山の別名である。白髪異様の老宣伝使・北光天使は、東彦天使が宣伝をしている傍らに立ち、聞き入っていた。東彦は北光天使が聞いていることも知らずに、一心不乱に五大教の教理を説いている。東彦はふと息をついたところで北光天使に気づき、お互いに名を交わした。東彦は、北光天使がどのような教理を奉じているのかを問いかけた。北光天使は、宣伝使とは、神がその口を借りて深甚微妙の教理を説示するものである。神の道は神人の知識考量でもって伝えるべきものではないはずだ、と答えた。東彦は、そのような宣伝使の重大なる意義を忘れて宗派の別を問うたことに恥じ入った。二人の宣伝使は岩の上に立ち、天津祝詞を奏上して天地の大神の洪徳を賛美し、三大教と五大教の宣伝歌を一つにして歌った。今度は北光天使が岩の上に坐を占めて、教えを説いた。漂浪人の一人は、東彦の教えは神が善と悪を立て別ける、という教えだったが、北光天使の教えは、直日に見直せ聞き直せ、と内省と諦めを促している。悪いのは自分たちではなく、この世を欲しいままにしている強者ではないか、と咬み付いた。北光天使は、どのような仕打ちを受けても、あくまで忍耐と寛容が肝心である、と返した。質問した男はこれを聞いて怒り、北光天使の背後に立って頭から小便をかけだした。北光天使は小便を浴びながらも泰然として講演を続けている。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月22日(旧12月25日) 口述場所 筆録者井上留五郎 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月10日 愛善世界社版204頁 八幡書店版第1輯 699頁 修補版 校定版204頁 普及版84頁 初版 ページ備考
OBC rm0634
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本文  黄金山下の埴安彦神の教示を天下に宣伝する東彦は、一同を集め、岩上に端坐し五大教の教理を説示する折しも、遥の前方より、又もや白髪異様の宣伝使現はれ来り、
『この世を造りし神直日 御魂もひろき大直日
 ただ何事も人の世は 直日に見直せ聞き直せ
 身の過ちは宣り直せ』
と節面白く謡ひつつ、此方に向ひて進み来る。
 頭髪は飽くまで白く、髯は八握の胸先に垂れ、是また純白にして、銀の如き光沢を放ち居たり。
 この宣伝使は、霊鷲山麓の玉の井の郷に現はれ出でたる三葉彦神の教理三大教を、天下に宣布する北光天使であつた。さうしてこの霊鷲山は印度と西蔵の境に屹立する高山であり、黄金山は聖地ヱルサレムの傍に聳え立つ橄欖山の別名なり。
 白髪異様の老宣伝使は、東彦天使の宣教を耳を澄ませて路傍に立ちながら静に聴き入る。東彦天使はこの宣伝使が、吾傍に来りて教理を立聞きせることを夢にも知らず、一心不乱に側目も振らず五大教の教理を説示しつつありき。
 北光天使は一同に目礼するのも打忘れ、襟を正して無我夢中にこの教理を聴きつつありき。東彦天使は少しく息を休めむとして口を閉ぢ、あたりを見れば、白髪異様の宣伝使が平岩の傍に佇立しゐるに驚き、
『貴下は何人なるや』
と軽き目礼と共に問ひかくるに、白髪異様の宣伝使は、慇懃に答礼を施しながら、
『吾は霊鷲山の麓に坐します三葉彦神の宣伝使なり。今貴下の御説示を聴き感歎措く能はず拝聴したり。願はくは吾にも教理の蘊奥を説示し給はずや』
と懇請する。
 東彦天使は宣伝使と聞き、直に岩の座を下りその前に進み、慇懃に会釈しながら、
『吾は愚鈍の性質にして、貴下らに教理を説くの力なし。只吾より後れたる信者に対し、神の道を朧気ながら口伝へするのみ』
と謙譲の色を表はし、固く辞し、かつ、
『貴下は如何なる教理を宣伝したまふや、聴かま欲し』
と云ふにぞ、北光天使は、
『こは心得ぬ貴下の御言葉かな。そもそも神の道は神人の知識また考量を以て伝ふ可きものにあらず。神は宣伝使の口を藉りて以て甚深微妙の教理を説示し給ふにあらざるか』
と問ひ返したるに、東彦天使はその理に服し、
『吾は誤れり。日夜大神の神示を宣伝弘布する身でありながら、かくの如き重大なる意義を忘却し居たり。嗚呼耻かしや』
とさし俯向きて、袖に顔を隠すを見て、北光天使は気の毒がり、
『致らぬ吾らの過言無礼許させたまへ。吾は神人を思ふの余り、かくも不遜の言辞を、宣伝使たる貴下に申上げしは不覚の至りなり。実に耻かしさの限りよ』
と吾心に省み、大に耻づるものの様なりける。
 ここに二人の宣伝使は岩上に立ち、宣伝歌を交る交る謡ひて、天津祝詞を奏上し、天地の大神の洪徳を賛美したりける。而して二人の宣伝歌を合一して、一つの歌に延長したり。
『神が表面に現はれて  善と悪とを立て別ける
 魂を研けよ立替へよ  身の行為も立直せ
 この世を造りし神直日  霊魂もひろき大直日
 ただ何事も人の世は  直日に見直せ聞き直せ
 身の過失は宣り直せ』
 東彦天使は席を譲つて、北光天使を平岩の上へ安坐せしめ、神の教示を聴き入りぬ。この時一同は合掌して神徳を讃美し、異口同音に宣伝歌を謡ふ。一同の顔には以前に引代へ、愉快に充てる血色漂ひける。
甲『只今の宣伝使に御尋ね致します。前刻より黄金山の宣伝使様に承はりますには、この世の中は善悪の立替があり、大慈大悲の神様が現はれて善人を助け、悪人を亡ぼし、強きを挫き、弱きを救ひ、吾々の地に落ちたる人民を天国に救うて下さると云ふ事であります。実に吾々は再生の思ひと、歓喜に堪へませぬ。然るに、又もや貴神がここに現はれて、「ただ何事も人の世は、直日に見直せ聞直せ云々」と仰せられましたが、一体これは何う云う事でありませうか。詳しく御説示を願ひます。吾々は祖先伝来の山や田地を悪人に占領せられ、女房は奪ひ取られ、住居は焼かれ、食ふに食なく、眠るに家なく、親子夫婦は四方に離散し、実に在るにあられぬ、悲しい世を送つて居ります。私はそれ故斯く乞食となりて四方を廻り、家を焼き女房を奪つた悪者を探し求めて、仇を討つてやらうと考へ、苦労艱難を致してをりますが、若し神様がこの世に在らつしやるのならば、何故こんな不公平な事があるのに、黙つて見て居られるのでせうか。私はこの世に神の存在を疑ひます。先の宣伝使の言はれたやうに、善悪を立替る神様が在るとすれば、一日も早くこの無念を晴らして欲しいと思ひます。然るに只今貴下の御言葉の中に「ただ何事も人の世は、直霊に見直せ聞き直せ」と仰せになりましたが、これは要するに何事も諦めよとの教ではありますまいか。先の神様の教と貴下の教とは、どうしてもつばねが合はないやうな考へがするのです。どうぞ詳しく御諭しを願ひたう存じます』
 ここに北光天使は、
『神様は至善至美至仁至愛の御方である。故に悪を憎み、無慈悲を御嫌ひ遊ばすのは云ふ迄もない。しかし人間はいかに立派な賢い者でも、神様の御智慧に比べて見れば、実に耻かしいものであります。災多く、悪魔の蔓延る今日の世の中は、どうしても無限絶対力におはします神様の力に依頼らねばならぬ。あなたが家を焼かれ、山林田畑を掠奪され、女房を取られて、その怨みを晴らさうと思ひ、諸方を尋ね廻らるるのは人情として尤もであり、吾々も満腔の同情をよせますが、併し、そこを人間は忍耐して、敵を赦してやらねばならぬのです。そこが人間の尊い所であつて、神様の大御心に叶うといふものです』
と聞くや否や、甲はムツクと起ち上り、
『馬鹿』
と叫び、かつ隼の様な眼を剥いて北光天使を睨みつけ、息をはづませながら、
『オヽ俺はコヽ斯んな宣伝使の吐かす事は、キヽ気に食はぬ。腰抜野郎奴。嬶を奪られ、家を焼かれ、悪人に財産を全部ふんだくられ、寝る家もなく、食ふ物もなし、親子は散り散りばらばらになつて、在るにあられぬ艱難苦労をして居るのに、苦労知らずの人情知らず奴。ナヽ何が、カヽ神さまだ。赦してやれも糞もあつたものかい。尻が呆れらア。あまり人を馬鹿にするない。そんならお前の頭に、オヽ俺が今小便を引つかけてやるが、それでもお前はオヽ怒らぬか』
といひながら、宣伝使の背後に立ち、端坐せる北光天使の頭をめがけて、ジヤアジヤアと放りだした。東彦天使その他の一同は、
『待て待て』
と叫ぶ。その間に小便は全部放出し了りぬ。
 北光天使は莞爾として坐りゐたり。
 甲は尚も口汚なく、
『ヤイ腰抜、弱蟲、小便垂れ、洟垂れ』
と罵る。一同は、
『オイ貴様が小便垂れぢやないか。今現に小便を垂れたであらう。人のことだと思つて自分の事を吐かして居らア。オイ、洟を拭かぬかい。水洟垂らしやがつて、洟垂れの小便垂れとは貴様のことだよ』
といふに、甲は躍起となり、
『なに、俺が小便垂れたのぢやない。小便の方から出よつたのだ。俺や、洟垂れアせぬ、洟の方から出て来やがつたのだい』
と不減口を叩く。
 北光天使は泰然として、小便を浴びたまま講演をつづける。
(大正一一・一・二二 旧大正一〇・一二・二五 井上留五郎録)
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