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文献名1霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
文献名2第1篇 大台ケ原よみ(新仮名遣い)おおだいがはら
文献名3第6章 空威張〔306〕よみ(新仮名遣い)からいばり
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-05-01 20:25:08
あらすじ
港に集まる船を眼下に眺めて、四、五の旅人が話しにふけっている。それは、かつて竜宮城の司神であったが、邪神の計略で玉を失ってしまった田依彦一行であった。

大台ケ原の大事忍男神について、「人を食らう邪神だ」、「いや、どんな大事変があっても泰然自若として忍び、世に尽くしてくれる神だ」、と論評している。

そして、田依彦の姉婿の豆寅が、大台ケ原の岩窟に引っ張っていかれて十年経つことに話題が及ぶと、そこへ、日の出神・大戸日別・天吹男の従者となって意気揚々と豆寅が現れた。

道端に潜む田依彦らは、夕闇をいいことに、豆寅のはげ頭に枝を投げつけると、豆寅は驚いて、滑稽な姿で泣き叫んだ。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月30日(旧01月03日) 口述場所 筆録者井上留五郎 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月31日 愛善世界社版32頁 八幡書店版第2輯 47頁 修補版 校定版35頁 普及版14頁 初版 ページ備考
OBC rm0706
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本文  日は西海に没せむとして、海面には金銀の波漂ふ。
 港に向つて集まり来る百舟千船の真帆片帆、眼下に眺めて四五の旅人、坂路に腰うちかけ談に耽り居るあり。
田依彦『あゝ今日も貰ふのかナ』
芳彦『貰ふつて何を。俺らに呉れる奴は何にもありやしない。呉れると云つたら、俺らの行る事が何ンの彼のと吐かして、大屋毘古が怒つて、ちよいちよい拳骨を呉れる位のものだよ』
田依彦『くれると云つたら、日が暮れることだ。それで、くれるなら貰ふかと云つたのだイ』
時彦『馬鹿、貴様は何時も水の中で屁を放いた様なことばつかり云ひよつて、まるで猿猴が池の月を取る様な考ばつかり起して、貰ふ事ばかり考へてゐるが、それほど貰ひたけりや乞食にでもなつたがよいワイ。田依彦と云へば、ちつとは頼りにもなりさうなものだのに、何時とても頼りない事をいふ奴だなあ。便り渚の捨小舟、取りつく島も無いわいなだよ、イヒヽヽヽ』
田依彦『何吐しよる、是でも元は竜宮城の立派な御方さまだぞ』
芳彦『玉とられ男奴が』
田依彦『貴様はなンだい。八尋殿の酒宴に竹熊の計略にかかりよつて、負けぬ気を出して、玉を奪られよつた張本人ぢやないか』
時彦『もー玉の談は止さうかい』
田依彦『時彦、貴様はアーメニヤの野で古狸につままれよつてナ』
時彦『もー云ふな、玉の談はこれ退りだ。もう玉切れだよ』
芳彦『たまらぬだらう』
時彦『フン、たまつたものぢや無い。たまたま持ちは持ちながら』
田依彦『冗談ぢやないぞ。それよりもこのごろ大事忍男さまの御布令が廻つたが、聞いてるかイ』
時彦『何ンぞ大事が起つたのかい』
田依彦『いや、神さまの名だ。時彦の欺されよつたアーメニヤの野で、くれる彦とかくれぬ彦とか、田依彦の好きな神さまが現はれよつてな「飲めよ騒げよ一寸先や闇だ」なンて判つた事を云ひよるぢやないか』
芳彦『さうだ、よう判つたことをいふね。「万劫末代この玉は、命に代へても渡しやせぬ、五六七神政の暁までは、たとひ火の中水の底」なンて、気張つてをつた時彦でも玉を奪られるのだから、ほンとに一寸先は闇雲だ。闇雲といつたら此頃の大台ケ原の神さまぢやないか。毎日日日彼方の人を奪り、此方の人間を奪り、甲も喰はれた乙も呑まれたと、喰はれたり、呑まれたり、引張られたりする噂ばかりだ。ぐづぐづして居ると玉どころの騒ぎぢやない、命までも奪られて了ふぞ。それで昔から無い大事、命は惜いなり、そこで大事忍男と云ふのだよ。どえらい悪神ぢやて』
玉彦『馬鹿云へ。大事忍男さまと云ふのは、それは何ンな大事変があつても、大艱難が出てきても、大台ケ原の山の様に泰然自若として能く忍び、世界のために尽してくださると云ふことだよ。お前たちの忍ぶと云ふことは、自分より強い者が出てきて、怖さに堪へ忍ぶのであつて、実際は屈するのだ。吾々はそンな忍びとは違ふ。大事忍男さまの大御心を心として、いかなる艱難辛苦をも能く堪へ忍びて、一言の小言もおつしやらぬのだよ』
時彦『ハヽア、それで嬶に呆けよつて、玉を奪られて、屈するのでなくつて能く忍ぶのだな、偉いものだい。併しこのごろ日の出神とか云ふ、偉い宣伝使がこの辺を廻つてをるぢやないか。なンでも大台ケ原の大事忍男さまを亡ぼすと云つて、ただ単独山を登つて行つたさうぢや。どうせ、飛ンで火に入る夏の虫だがなア。ともかく、時の天下に従へ。時節にや叶はぬ。なンぼ力の強い神だつて大勢と一人では叶はない。お負に大きな巌窟の中に構へてをる魔神さまに向つて戦つたところで、勝敗は見え透いてゐる。どれどれ早く帰のかい』
芳彦『おい、田依彦、貴様のとこの姉婿の豆寅は、たうとう巌窟の中へ引張られて行つたぢやないか、きつと今頃にや喰はれて了うて居るぜ。引張られよつてから殆ど十年になるが、何の音沙汰も無いぢやないか』
田依彦『音信しやうにも、言伝しやうにも巌窟の中では仕方がない。それよりも早う帰つて草香姫にな、機嫌でもとつてやるがよからう。それもう、そこらが暗くなつて来たぞ、帰のう帰のう』
と立ち上らむとする処へ、豆寅は日の出神、大戸日別、天吹男の三柱と共に宣伝歌を歌ひながら、現はれ来たり。
 豆寅は勢よく肩を聳やかしながら、
『日は黄昏となりぬれど  光り眩ゆき禿頭
 豆寅さまが現はれて  日の出神の御家来と
 なつたる今日の嬉しさは  死ンでも生きても忘られぬ
 千年万年たつたとて  この嬉しさが忘られよか
 巌窟の中を逃れ出て  漸く此処へ帰つてくるは来たものの
 一ぺん草香の顔見たい  十年振でさぞやさぞ
 女房の草香は喜ンで  やにはに飛びつき獅噛付き
 まめであつたか豆寅さま  嬉し嬉しと泣くであろ
 それに付けても何時までも  音信の無いは田依彦
 玉を抜かれた玉彦や  死んでもよしの芳彦や
 胸もときとき時彦を  けなりがらしていちやついて
 一つ吃驚させてやろ  あゝ面白い面白い
 面白狸の腹鼓  山が裂けよが倒れよが
 びくとも致さぬ豆寅の  一つ度胸を見せてやれ
 やれやれ嬉しい嬉しい』
と手を振り足を奇妙に踊らせながら、この坂路を下りきたる。
 路傍に憩へる田依彦以下の四人は、暗がりに光る豆寅の頭に向つて、傍の木の枝を取つて光を目当に、ぴしやりと投げつけたれば、豆寅は『アツ』と叫んでその場に仆れ、
『でゝゝ出た出た、ばゝ化物。ひゝゝ日の出神、おゝお助けお助け』
と声をかぎりに泣き叫ぶこそ可笑しけれ。
(大正一一・一・三〇 旧一・三 井上留五郎録)
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