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文献名1霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
文献名2第1篇 長途の旅よみ(新仮名遣い)ちょうとのたび
文献名3第3章 三笠丸〔396〕よみ(新仮名遣い)みかさまる
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ(池沢原次郎、池沢原治郎、池沢原二郎) データ凡例 データ最終更新日2020-10-16 17:32:22
あらすじ
エデンの河を渡り、山を越え野を越え、一行はアフリカにやってきた。アフリカのヨルの港から、三笠丸という船に乗り、高砂洲へと向かった。

地中海を渡る間、姉妹は身の上を読み込んだ宣伝歌を歌っていた。その歌声は船内に響き、船客たちはそれを聞いて噂話に花を咲かせたり、そのはずみに喧嘩をしたりしている。

このとき、またもや船内から男の声で宣伝歌が聞こえてきた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月12日(旧01月16日) 口述場所 筆録者池沢原次郎 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月5日 愛善世界社版21頁 八幡書店版第2輯 283頁 修補版 校定版23頁 普及版9頁 初版 ページ備考
OBC rm0903
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本文  主人を思ふ真心の  赤き心は紅葉の
 色にも優る照彦が  父に会ふ日を松代姫
 心の竹野ある限り  山と積みてし苦しさや
 谷の戸開けて鶯の  鳴く音淋しき梅ケ香姫の
 貴の命と諸共に  エデンの河を打渡り
 世は九分九厘足曳の  山を打越え野を渉り
 心も勇む四人連  心つくしのアフリカの
 ヨルの港に着きにけり。
 今や船は帆に風を孕んで智利の国へ向はむとしてゐる。船人は声を限りに出船の時迫れるを叫んでゐる。数十の乗客は先を争うて乗込んだ。松代姫の一行も漸くにして船に乗りたるか、三笠丸は青葉滴る岸を離れて西へ西へと波の琴を弾じながら、海面静かに滑つて行く。
 日は漸く斜に、さしもに広き大海原は金波銀波の錦の蓆、なみなみならぬ眺めなりけり。船頭は声を張り上げ、
『筑紫の国をあとに見て  ウヅの都へはせて行く
 道は三千三百里  通ふも遠き波の上』
と暢気さうに唄ふ。一行はあと振返り流れ行く雲を眺めて望郷の念に駆らるる折しも、日は漸く水平線下に姿を没し、夜の帳はおろされて、黒白もわかぬ波の上、滑り行く海面は僅に船の微な音の聞ゆるのみ。この時船の一隅より、
『朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 筑紫の海は深くとも  天津御空は高くとも
 神の恵みに如かざらめ  神のいきより生まれたる
 わが垂乳根は今いづこ  母は黄泉に出でまして
 何の便りもなみの上  あとに残りし桃上彦の
 父の命の在処をば  探ねむための旅の空
 神が表に現はれて  善と悪とを立て別ける
 この世を造りし神直日  罪科深きわが父の
 穢れをここに荒磯の  尊き夢を三笠丸
 ウヅの都を立出でて  うづまきわたる和田の原
 親島子島のここかしこ  数多浮べる世の中に
 一人の親に生別れ  雲霧わけて進む身の
 みづの身魂ぞあはれなり  あゝ皇神よ皇神よ
 心も広く大直日  見直しまして片時も
 いと速けく父上に  会はせ給へよわだつ神
 風凪ぎ渡る海原は  波も静かにをさまれど
 親を慕へる雛鳥の  心の波は騒ぐなり
 心の波は騒ぐなり  ただ何事も人の世は
 直日に見直し聞き直し  身の苦しみは宣り直す
 神の教と聞きつれど  山より高く海よりも
 深き恵みの神の裔  桃上彦のわが父に
 いつか相生淡路島  通ふ千鳥の声高く
 歌ふ心を平けく  いと安らけく聞しめせ』
とやさしき女の声聞え来る。更け渡る春の夜の大空は、何処ともなくドンヨリとして、星は疎らに、あちらに一つ、こちらに三つ、五つ、十と、雲の帳をあけて覗くのみなり。
 船客はそろそろ白河夜船を漕ぎ出し寝に就く。折柄の東風はぴたりとやみて、肥えた帆は痩せしぼみ極めて静寂なり。船客の四五人は眠りもやらず雑談を始めて居る。
甲『オイ、今のやさしい声はあら何だ。月は照るとも曇るとも、ナンテ云つてるやうだが、此頃は真の暗だ。照るも曇るもあつたものか、訳のわからぬ事を云ふ奴だね』
乙『貴様、わからぬ奴だな。ありや宣伝歌だよ。今晩の事を云つてるのではないよ。ありや三五教の宣伝使が歌ふ神歌だ。よく聞いて見よ、なかなか味があるよ』
甲『それでも貴様、海の上だと云つたよ。現在今の事を云つてゐよるのだ。貴様は女宣伝使だと思つて弁護をするのか。本当に抜目のない奴だ。船に乗りながら又重ねて船に乗らうなんて、ソンナ野心を起したつて九分九厘行つたところで、クレンと覆されるのだ。この間の朝日丸に乗つた時に、三五教の宣伝使が、改心せぬと何時船が覆るやら知れぬと云つてゐたよ』
丙『船の中でかへるのかへらぬのと縁起の悪い事を云ふない』
甲『ナンボ船だつて、行き切りにはなりはしない。いづれ一篇は帰つて来るのだ。かへらいで堪らうかい。今朝も出掛に俺の所の乙姫が、用がすみたら一時も早く帰つて頂戴、三笠丸に乗つて智利の国へ行つて、妙な船に乗つてみかさでもかかぬやうにして、早く帰つて下さいねえ、ナンテ吐かしよつて、こなさまの肩をトントンと叩きよつた。そしてな、早く帰つて妾の船に、とよ』
丙『莫迦にするな。何だい乙姫ナンテ、どてかぼちやのひちおたふくみたやうな嬶を大事さうに、乙姫が聞いて呆れるワ。貴様が智利の国でかさでも被つて戻つて来てな、妙な事をやつて貴様の嬶の鼻をおと姫にするのだろ、其処らが落ちだよ』
乙『オイオイ、三人も別嬪が乗つてゐるぢやないか。そんな仕様もない話をすると愛想を尽かされるよ』
丙『愛想を尽かされたつて構ふものか。俺等の自由になるのではなし、貴様、矢張り色気があるね』
乙『あらいでかい、この世の中に色気と自惚と欲のない奴があるものか。貴様は欲はない、よくない奴は所謂悪人だよ』
『何を吐かしよる』
と声を目当に頭をポカンとやつつける。
『アイタタ、こら喧嘩をするのか。地中海の汐風に曝したこの腕だぞ。サア来い』
と暗闇紛れに拳骨を固めて、見当を定めてブン殴れば、
『キヤーア』
と女の声。
『やあ、これは失敬。狸の奴、替玉を使ひよつたな。声を上げぬか、卑怯ぢやないか』
 くらがりから、
丙『俺もこんなひけふに陥つては頭が上らぬワイ。チウの声も出ぬ事はない事はない』
丁『まるで鼠の様な奴だなア』
と囁きゐる。忽ち沖のあなたより荒浪狂ふ音迫り来り、咫尺を弁ぜぬ闇の中に、波は鬣を振つて舷に噛みつき来りしが、此時又もや男の声として、涼しき宣伝歌は船の一隅より聞え来りぬ。
(大正一一・二・一二 旧一・一六 池沢原次郎録)
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