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文献名1霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
文献名2第1篇 長途の旅よみ(新仮名遣い)ちょうとのたび
文献名3第6章 刹那信心〔399〕よみ(新仮名遣い)せつなしんじん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-06-23 19:27:58
あらすじ三笠丸は怪しき物音ともに、いまや海底に沈もうとしていた。松・竹・梅の三姉妹と照彦は少しも騒がず、天に向かって合掌し、何事かを奏上した。そして竹野姫はすっくとたって吹き来る風に向かい、しとやかに歌い始めた。神々の助けを請い、自分たちの父を訪ねる心情を吐露し、風をおさめて船を救うように祈願の歌を歌った。この言霊に、雨も風も波もぴたりと止んだ。そして不思議にも暗礁に乗り上げて沈没しようとしていた三笠丸は、何の故障もなく静かに海面を進行し始めた。船客たちは三五教の神徳にしきりに感心している。その日の黄昏時、船は智利の港に到着した。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月12日(旧01月16日) 口述場所 筆録者森良仁 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月5日 愛善世界社版43頁 八幡書店版第2輯 290頁 修補版 校定版46頁 普及版18頁 初版 ページ備考
OBC rm0906
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本文  暴風は百千の虎狼の一度に嘯き呻るが如く、猛き声を響かせ、遠慮会釈もなく吹き捲る。何の容赦もあら浪の、立ち来る態、実に凄じき光景なりけり。
 三笠丸は怪しき物音、ガラガラバチバチ、今や海底に沈まむとす。
 数多の船客は、色を失ひ、起ちつ坐りつ、限りある船中を狂ひ廻る。
 松、竹、梅のあだ娘、照彦の四人は、磐石の如く少しも騒がず、天に向つて合掌し、何事か頻りに奏上せり。
 窈窕花の如く、新月の眉濃やかに描かれ、容姿端麗なる自然の天色、桃の花の如き竹野姫はスツクと起つて吹き来る風に打ち向ひ、声も淑やかに歌ひ始むる。
『黒白もわかぬ暗の世の  汚れを払ふ天津風
 今や吹き来る時津風  吹けよ吹けふけ科戸の風よ
 常世の暗を吹き払ひ  此の世の塵を清めかし
 浪よ立て立て高砂の  尾の上の松のかくるまで
 隠れてまします高砂の  父の御側へ連れて行け
 常世の浪のしき浪の  寄せ来る音は松風か
 山の嵐かわが恋ふる  恋しき父の御声か
 心のたけのありたけを  一度に開く白梅の
 花の顔月の眉  竜の都に鎮まりし
 乙米姫の御姿  木の花姫の顔は
 天津御空を昇ります  日の出神の如くなり
 大空伝ふ月の影  はやく晴らして月照彦の
 神の守りを与へかし  俄の暴風に大足彦の
 神の命の足真彦  倒けても起きよ沈みても
 直様浮けよ惟神  神の救ひの此船は
 深き恵みを三笠丸  空打ち仰ぎ眺むれば
 春日の山や三笠山  峰より昇る月影の
 はるる思ひも今しばし  暫し止めよ時津風
 風の便りにわが父の  ウヅの都に坐ますと
 探ねて来る姫神の  心の露を汲み取れよ
 仮令御船はくつがへり  海の藻屑となるとても
 神より享けし此身体  如何でか死なむや科戸彦
 科戸の姫よおだやかに  鎮まり給へ逸早く
 この世を渡すのりの船  三五教を守る身の
 わが乗る船に穴はない  あな有難や三笠丸
 あな尊しの三笠丸  神の恵を笠に着て
 清き教を杖となし  みろくの船に乗せられて
 高砂島に進み行く  吾らを守る大足彦の
 神の命の御恵み  木の花姫や乙米姫の
 神の命や琴平別の  貴の命よ朝日子の
 日の出神よ村肝の  吾らが心を照らせよや
 心の空はてるの国  秘露の都も近づきて
 春は過ぐれど巴留の国  進む妾を救ひませ
 進む妾を救ひませ  又此船の諸人も
 千尋の海のいや深く  底ひも知れぬ御恵みに
 救ひ助けよ天津神  国津御神や綿津神
 今吹く風は世の人の  心の塵を払ふ風
 降り来る雨は世の人の  汚れを洗ふ清の雨
 今立つ浪は世の人の  怪しき行ひ断つの浪
 風よ吹けふけ雨も降れ  浪よ立て立て勇み立て
 心のたけの姫が胸  一度に開く梅ケ香姫の
 妹の命や神の世の  来るをまつよの鶴の首
 亀の齢の永遠に  浪をさまれよ四つの海
 天津御空は日の神の  日の出神と照彦の
 清き心を憐れみて  船諸共に救ひませ
 船諸共に救ひませ』
と花の唇を開いて歌ふ。
 この言霊に、雨も風も浪もピタリと止んで、再び太平の大海原となり、煌々たる夏の太陽は、海面を照らして輝き渡りぬ。
 暗礁に乗り上げ、殆ど海中に没せむとせし三笠丸は、不思議なるかな、何の故障もなく、凪ぎ渡る海面を、静かに滑めて西へ西へと進行してゐる。
 船中には又四五人の囁き声一隅に聞ゆ。
甲『エライ事だつたなア。この船には三人の弁財天が乗つて御座つたお蔭で生命が救かつたのだよ。マアマア吾々もお蔭で地獄行きを助かつた。一寸下は水地獄だ、カウして一枚板の上は安楽な極楽だが、一寸違へば地獄でないか、これを思へば吾々はよく考へねばなるまい。日々に行つて居る事は恰度此船のやうなものだ。一寸間違うたら地獄だから、うかうかしては此世は渡れない、なんぼ陸ぢやと言つて、沈まぬとも言へぬ。陸に居ても悪い事をすれば、心も沈み身も沈み、一家親類中が皆沈んで、浮かぶ瀬がなくなつて了ふのだ。うかうかしては暮されぬわい』
乙『さうだネ、何は兎もあれ有難い事だつたネ。あの三人の女神さまは、アリヤ屹度吾々のやうな人間ぢやないぜ。あまり吾々は慢心が強いからナ、此世は人間の力で渡れるものなら渡つて見よ。力のない智慧の暗い、一寸先の分らぬ愚な人間が、豪さうに自然を征服するとか、神秘の扉を開いたとか、造化の妙用を奪ふとか、くだらぬ屁理屈を言つて威張つて居つた所で、今日のやうな浪に遭うたら、毎日日日船を操縦ることを商売にして居る船頭さまだつて、どうする事も出来やしない。人間は神様を離れて、何一つ此世に出来るものはないのだ。かう言つて吾々が物を言つてるのも、皆神様の尊い水火がこもつて居るからだ。ウラル教の宣伝使のやうに、呑めよ騒げよ一寸先は闇よ、暗のあとには月が出るなぞと、勝手な熱を吹いて、ドレだけ威張つて見た所で、人間たる以上はダメだ、ドウしても、神様の広き厚き御恵みに頼らねばならないのだ。アヽ惟神霊幸倍坐世惟神霊幸倍坐世』
丙『オイお前は中々よい心得だ。ソンナ結構な事、何処の誰に聞いたのだい』
『吾は黄金山に現はれ給ひし埴安彦命さまのお始めになつた、三五教の教を聞いて、それからと言ふものは、あれ程好きな酒が自然に飲めなくなつて、此頃は少しの御神酒を頂いても、直に酔うて心持ちがよくなつたよ。今までは酒を飲めば飲むほど、梯子酒で飲みたくなり、腹は立つて来る。一寸したことにもムカついて、女房を殴る、徳利を投げる、盃は破れる、丼鉢は踊る、近所の人達に悪酒ぢや、酒狂ぢやと言はれて持て余された者だが、どうしたものか、三五教の飯依彦と言ふ竜宮島の宣伝使が熊襲の国へ出て来て、皆のものを集めて、鎮魂の洗礼を施してくれたが最後、気分はスツカリして酒は嫌ひになり、何とはなしに世の中が面白くなつて来たのだ。ホントによい教だよ。お前も一つ三五教に入信したらどうだい。大にしては治国平天下の教、小にしては修身斉家の基本たるべき結構な教の道だよ』
丙丁戊『成程結構だなア。吾々も無事安全な時には、ナーニ神が此世に在るものか、人間は神だ、人は万物の長だ、天地経綸の司宰者だと威張つて居たが、今日のやうな目に遇うては、吾輩のやうな無神論者でも、何だか腹の中の悪いコロコロが、喉から飛び出しよつて、本当に叶はぬ時の神頼み、手を合して縋る気になつて来るワ。アヽ人間と言ふものは弱いものだなア』
 諸人の囁き声を満載した神の守護の三笠丸は、万里の浪を渡つて、其日の黄昏時、智利の港に近づきたり。
(大正一一・二・一二 旧一・一六 森良仁録)
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