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文献名1霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
文献名2第3篇 邪神征服よみ(新仮名遣い)じゃしんせいふく
文献名3第35章 アルタイ窟〔465〕よみ(新仮名遣い)あるたいくつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-07-16 02:22:14
あらすじ
梅ケ香姫は、酋長の娘・清姫の身代わりとなって、唐櫃に入った。石凝姥神と時公は唐櫃を担いで、村人と共にアルタイ山に向かった。

アルタイ山の山口にさしかかると、にわかに空は黒く曇り、ものすごい山おろしが吹きすさんできた。村人たちはいっせいに逃げ出した。石凝姥神と時公は、近くの茂みに潜んで、様子を窺っている。

するとアルタイ山一帯に青い火がまたたきはじめ、その中でもひときわ大きな火が唐櫃に向かって降りてきた。しかし唐櫃の中から宣伝歌が聞こえてくると、火光は唐櫃の上を回るだけで降りてこない。

宣伝歌がさらに大きくなると、アルタイ山の青火は次第に小さくなって消えていってしまった。唐櫃の上を回っていた大きな青い火光も、西南の方向に逃げていってしまった。

石凝姥神は梅ケ香姫の唐櫃を開け、悪神が逃げ去ったことを告げた。梅ケ香姫は、石凝姥神を蛇掴に擬して、討ってかかる真似をする。石凝姥神は防戦する。

暗闇の中、梅ケ香姫は時公の近くにばったりと倒れた。時公は驚いて、蛇掴に命乞いをする。それを聞いた石凝姥神は、蛇掴の声色を使って時公をからかいだした。

時公は窮地に陥って、石凝姥神や梅ケ香姫の悪口を並べ立て出した。石凝姥神は元の声に戻って時公をたしなめた。

そうこうするうちに夜が明けてきた。見ると、そこら中に鬼の形をした岩石が散乱している。石凝姥神は辺りの岩で石鎚をつくり、鬼の石像を片っ端から打って砕いて回った。不思議にも、鬼の石からは血煙がさかんに噴出した。

すべての鬼の石像の首を落とすと、三人は凱歌を上げながら村に帰ってきた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月27日(旧02月01日) 口述場所 筆録者岩田久太郎 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年8月20日 愛善世界社版270頁 八幡書店版第2輯 488頁 修補版 校定版277頁 普及版123頁 初版 ページ備考
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本文  石凝姥神、梅ケ香姫二人の宣伝歌に、酋長鉄彦を始め一同の者は、やつと安心の胸を撫でおろし、梅ケ香姫の意見を容れ、清姫の身代りをこしらへ、梅ケ香姫を唐櫃の中に納めて、石凝姥神と時公の門番は唐櫃を舁ぎ、数百人の老若男女に送られて、アルタイ山の山口にさしかかれば、忽ち一天深黒に彩られ、烈しき山颪は岩石も飛ばさむ許りに吹き荒んで来た。一同は風に逆らひながら、漸くにして山寨の前に進み着き、梅ケ香姫を納めたる唐櫃を岩窟の前に静に据ゑ、村人は先を争うて倒けつ輾びつ闇の山路を下り行く。
 石凝姥神、時公の二人は、間近の茂みの中に身を横たへて、様子如何にと窺ひ居る。暫くあつてアルタイ山の一面に、大空の星の如く青き火光が瞬き始め、中より一層大なる松火の如き火は、ブウンブウンと唸りを立てて唐櫃の上空を、前後左右に駆け廻り駆け廻る事ほとんど一時ばかり、唐櫃の中よりは幽かなる宣伝歌響いて居る。この声に恐れてや、大なる火光は上空を廻るのみにて、容易に下りて来ない。
 数百千の山の青白き火は追々に消え失せ、咫尺も弁ぜざる闇黒と変じ、松火の火は追々と光薄く小さくなり行く。宣伝歌は唐櫃の中より次第々々と声高く聞え来る。一塊の火は忽ち上空に舞ひ昇り、西南の天を指して帯を引きつつ逃げて行く。
 石凝姥神はこの態を見て腕を組み、
『オイ、時公、今の火を見たか、随分立派なものだのう。到底アルタイ山でなければ、コンナ立派な火を見る事は出来ないぞ』
時公『ハイ、ドウも恐ろしい事で御座いました。何だか身体が縮かむ様で、手も足も動きませぬ』
『気の弱い奴だなア。貴様一寸声を当に、御苦労だが唐櫃のそばへ寄つて、梅ケ香姫はどうして居るか、調べて来て呉れぬか』
『ヘイ、イイエ、滅相な、ドウして足が立ちますものか』
『ソレナラ俺が行つて来るから、貴様はここに隠れて居れ』
と云つて立上らむとするを時公は、
『モシモシ、私も一緒に連れて行つて下さい。コンナ処に一人放つとけぼりを喰はされては堪まりませぬワ』
石凝姥『貴様、手も足も動かぬと云つたぢやないか。連れて行けと云つた処で、此闇がりに負うてやる訳にも行かず、仕方がない。マア神妙に待つて居るがよい』
『イヤ、ソレナラ、立つて御供を致します』
『ナンダ、なまくらな奴だ、臆病者だな、サア来い』
と手を引いて、唐櫃の前に探りさぐり進み行く。宣伝歌の声は唐櫃の外に洩れ聞えてゐる。
石凝姥『オー、梅ケ香姫殿、悪神は逃げ去つた様です』
と云ひながら、唐櫃の蓋をパツと取れば、梅ケ香姫は白装束の侭髪振り乱し、双刃の剣を闇にピカつかせながらスツクと起ち上り、
『ヤアー、アルタイ山に巣を構へ、人の命を奪ふ悪神蛇掴、思ひ知れよ』
と矢庭に声する方に向つて迫り来る其権幕に、時公はキヤツと叫びてその場に倒れ伏す。
『ホー、梅ケ香姫殿、お鎮まりなさい、拙者は石凝姥です。悪魔は最早西南の天に向つて火の玉となり逃げ去りました』
梅ケ香姫『ヤー、蛇掴、汝は吾宣伝歌に恐れ、再び計略を以て三五教の宣伝使石凝姥神と佯り、吾を籠絡せむとするか。思ひ知れよ』
と剣を抜き放つて、前後左右に振り立て振り立て迫り来る。石凝姥は後しざりしながら、
『マアマア、待つた待つた、本物だ』
梅ケ香姫『此期に及んで小賢しき其云ひ訳、聞く耳持たぬ』
と白装束の侭、石凝姥に向つて斬つてかかる。石凝姥は已むを得ず、闇中に幽かに見ゆる白き唐櫃の蓋を取つて梅ケ香姫の刃を受け止め、
『石凝姥だ石凝姥だ』
と頻りに叫ぶ。梅ケ香姫は岩角に躓きバタリとその場に倒れたるが、あたかも時公の倒れたる一尺ばかり傍なりしかば、時公は又もやキヤツと声立て、
『ヘヽ蛇掴様、ワヽ私は時公と云ふ男で御座います。貴方のお好きな餌食を御供へに来た者、どうぞ命ばかりは御助け下さいませ。お気に入らぬか知りませぬが、実の処を白状致しますれば、清姫ではなくて、なんでも酸い酸い名のついた風来者の乞食姫で御座います。併し食つてみな味は分りませぬ。お気に入らねば、又明日の晩に本真物を持つて来ます。是でよければ、どうぞ辛抱して、私はお助け下さいなー』
 石凝姥は暗中より、
『ホー、時公の奴、不埒千万な、其方は清姫の身代りを持つて来たなア。身代りで済むものなら、男でも女でもかまはぬ。この梅ケ香姫はスツぱくて此方の口に合はぬ。貴様の肉はポツテリ肥えてウマさうだから、これから貴様を御馳走にならうかい』
時公『ソヽヽヽヽそれは違ひます、そんな約束ぢやなかつたに、マヽ待つて下さいませ。食はれる此身は厭はねども、内に残つた女房が嘸歎く事で御座いませう。命ばかりはお助け下さいませ。アヽ、こんな事になると知つたら、三五教の奴乞食の様な、石凝姥とやらの云ふ事を聞くぢやなかつたのに、是から彼奴を私が平げて、貴方の恨を晴らしますから、どうぞお助けを願ひます』
 梅ケ香姫闇がりより、
『ホヽホヽホヽ』
時公『なんだ、アタいやらしい。ホヽホヽ処かい、今食はれかけて居るとこぢや。お前は替玉で、蛇掴様のお気に入らぬとて、助かつて嬉しからうが、俺の身にもなつて見たがよい。千騎一騎の背中に腹の替へられぬ、苦しい場合になつて居るのに、人を助ける宣伝使が笑ふと云ふ事があるものか。馬鹿にするない。もう斯うなつては破れかぶれだ。俺が食はれる前に貴様の命を取つて腹癒せをしてやらう』
『ホヽホヽホヽ、時公さま、貴方口ばつかり御達者ですなア、御手足が動きますか』
『ウヽ動かいでかい、動かして見せてやらう、かう見えても、もとは時野川と云つて、小角力の一つもとつた者だ。乞食女の阿魔女奴が何を吐しよるのだ。それにつけても石凝姥の奴、偉さうな法螺ばかり吹きよつて雲を霞と逃げて仕舞ひよつた。どうせ三五教の宣伝使に碌な奴があるものか。ほんたうにドエライ目に遭はせよつたワイ』
 石凝姥作り声をして、
『コラコラ時公、頬桁が過ぎるぞ。舌から抜かうか』
時公『下からも上からもありませぬ。私の様な骨の硬い味のないものを食つた処で、胸が悪くなるばかりです。梅ケ香姫よりもう一段酸い酸い、粋な男と内の嬶が申します』
『その酸い奴が喰つて見たいのだ』
『矢張り嘘です、酸い奴は梅ケ香姫』
 石凝姥は元の声になつて、
『オイ時公、随分俺の悪口をよく囀つたなア。とうの昔に蛇掴はアーメニヤの方へ逃げて仕舞つたよ。最前から蛇掴と云つたのは、暗がりを幸ひ、俺が一つ貴様の肝と心の善悪を調べて見たのだ。貴様はまだまだ改心が出来て居らぬワイ』
『ハイハイ、ほんま物ですか。ほんま物なら今から改心いたしますから赦して下さいな』
『蛇掴の肉体は逃げ去つたが、其霊が俺に憑つて、貴様を喰へと云ふのだ。必ず石凝姥を鬼の様な奴と恨めて呉れなよ。俺に憑つた副守護神が、貴様をこれから喰ふのだよ』
『あなた、そんな殺生な副守護神を去して下され』
梅ケ香姫『ホヽホヽホヽ』
時公『コレコレ梅ケ香さま、旅は道連れ世は情だ。かうして三人この深山に出て来たのも深い因縁があつての事でせう。貴女宣伝使なら、あの副とか守とか云ふものを去して下さいな』
『ホヽホヽホヽ』
石凝姥『アハヽヽヽヽ、嘘だ嘘だ』
時公『ウヽ、ウヽソウですか』
『洒落処でないワイ。もう夜が明ける、サアサア支度だ支度だ。梅ケ香様、貴女は女の事だから、此唐櫃にお這入りなさい。私と時公と舁いで帰ります』
『舁げと云つたつて腰が抜けて舁げませぬ』
 かくする中、東雲の空紅を潮し、あたりはホンノリと明け放れた。見れば辺りには大小の鬼の形したる岩石が、そこら一面に散乱して居る。石凝姥神は辺りの手頃の細長き岩片を拾ひ、之に息を吹きかけ頭槌を作り、鬼の化石を片つ端より頭を目がけて叩き割れば、不思議や、其石よりは霧の如く、血煙盛んに噴出す。幾十百とも限りなき鬼の化石を一つも残らず首を斬り、ここに三人は悠々として山を下り、再び鉄谷村の酋長鉄彦の家居をさして悠然として凱歌をあげて帰り来る。
(大正一一・二・二七 旧二・一 岩田久太郎録)
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