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文献名1霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻
文献名2第2篇 意気揚々よみ(新仮名遣い)いきようよう
文献名3第14章 鏡丸〔481〕よみ(新仮名遣い)かがみまる
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-10-24 18:36:01
あらすじ松代姫、梅ケ香姫の一行は、時公らを引き連れて、琵琶の湖のほとりに着いた。風を避けて二三日逗留したのち、湖を渡るために鏡丸の客となった。船中の客は、コーカス山の大気津姫についての噂をしていた。それによると、コーカス山の山奥に豪勢な宮殿を建てて、民を絞り、自分の眷属だけが栄華に暮らしている、という。大気津姫を言向け和しに行った、竹野姫という素盞嗚命の御使いも、行ったきり帰ってこないという。一行はコーカス山に登って、大気津姫を言向け和すことにした。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月01日(旧02月03日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年9月10日 愛善世界社版131頁 八幡書店版第2輯 560頁 修補版 校定版131頁 普及版55頁 初版 ページ備考
OBC rm1114
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本文  松代姫、梅ケ香姫は時公等を引伴れ、一望千里の雪野原を、日数を重ねて遂に琵琶の湖の岸辺に着いた。湖上風波烈しきため已を得ず、二三日此の岸辺に空しく日を過し、漸く船中の人となつた。此の船の名を鏡丸と云ふ。数十人の乗客は先を争うて鏡丸に乗り移り、一行五人もやつと安心したものの如く船中の客となりける。
松代姫『ヤア、随分偉い雪でしたな。此の塩梅ではコーカス山は、随分積んで居りませう』
時公『イヤ、御心配には及びませぬ。貴方のやうな色の白い宣伝使がお出でになれば、雪の方から遠慮して消えて了いますよ。アハヽヽ、此処にも勝公の様な奴が乗つて居ると宣伝に都合が好いのだが、ネエ梅ケ香姫さま、船に乗ると思ひ出しますわ』
梅ケ香姫『ホヽヽヽ、歌でも歌つたら、又ウラル教の方が乗つてゐて一芝居始まるかも知れませぬな』
 此の湖は明志の湖に比べて余程広く随つて波も高く、航路も日数がかかるのである。船客は退屈紛れに口々に彼方此方に一団となつて、世間話に耽つてゐる。
甲『世の中には妙な事があるものだな。アルタイ山には蛇掴みと云ふ目玉の四つある悪神が居つて、大蛇を喰つたり、人を喰うさうだし、クス野ケ原には一つ目の化物が出たり、大蛇が人を呑んだり、随分物騒な世の中だ』
乙『そんな事、知らぬものがあるかい、彼程名高い話を、夫れよりもモツトモツト珍しい話がある。お前達の後れ耳には未だ這入つて居るまい』
甲『莫迦云へ、俺は八つ耳だ。世間の噂は一番に此耳に這入るのだ。さうして目もよく利く、鼻もよく利く、口もよく利く、俺の舌は酒の善悪もよく利くなり、手も足も利くなり、腕も利けば、威喝も利く、夫れでも俺の精神は、きかん気者だぞ。愚図々々吐すと承知をしないぞ』
乙『アハヽヽヽ、蟷螂のやうな三角な面しやがつて、目ばつかりギヨロギヨロ剥いて偉さうに云ふない』
甲『そんなら何だい。聞いてやらうかい』
乙『それ見たか、確り聞け。このごろ黒野ケ原に雪婆のやうな玲瓏玉の如き孔雀姫と云ふ、それはそれは頗る別嬪の魔神が現はれて、其処を通つた奴は、誰も彼も皆喰はれて了ふと云うことだ』
甲『ウンさうか、それは初耳だ。天に口あり、壁に耳ありと云ふ事だが、俺の所の家は俺の体と同じやうに壁の肉が皆落ちて、骨ばつかりだから、壁からも聞かして呉れなんだのだ。マアお前の御壁で珍しい話を骨折つて聞かうかい』
珍公『オイオイ、お前達そんな古い話を今頃に何云つてるのだい。モツトモツト新らしい珍無類の珍談があるのだ。此珍さまは耳が敏いからな』
甲『オイ珍公、口上ばつかり列べやがつて後を言はぬかい』
珍公『今云うて聞かすから小男鹿の耳振り立てて、畏み畏み聞し召せ』
甲『早く云はぬかい』
珍公『八釜敷云ふない。さう安売りしては値打が無いわ。貴様ん所の嬶の尻のやうな名の付いた神さまが現はれたといのう』
甲『俺ん所の嬶の尻みたいなとは何だ。臼の化物でも出たのか』
珍公『臼ぢやないわ、貴様もよつぽど薄野呂だ。何でも大きな団尻姫とか云ふ神さまが現はれたのだ』
乙『アハヽヽヽ、フン何を吐しやがるのだ。偉さうに聞きはつりやがつて、知りもせぬ癖に知り顔しやがつて、尻が呆れるワイ』
珍公『オー、尻で思ひ出した。大気津姫だ』
甲『その大気津姫が何うしたと云ふのだ』
珍公『マア黙つて聞け。何でも其奴はな、美味ものが好きで、美しい着物が着たうて、綺麗な、立派な家を建てて、沢山の男衆や、女子衆を使つて、栄耀栄華に暮す奴だと云ふことだ』
甲『誰だつて、美味物は好きに定つて居る。身体に掻き破りの出来るような着物を着るより、お蚕の柔かな着物を好むのは、別に大気津姫ぢやなくつても、俺の所の大尻姫でも同じ事だ。世界中に美味物嫌ひな奴があるか。人間は着たり、喰うたりするのが楽しみだ、珍しさうに何吐しやがるのだ』
珍公『わかりきつた、定つたこと云ふのが、珍らしいのだ。今の世の中は分らぬことの、定りの無い事を云ふ奴が、皆彼奴は賢いとか、学者だとか、悧巧だとか言はれる世の中だ。本当の真直な事を云ふ奴は、皆莫迦にする世の中だ。これが逆様の世の中と云ふのだよ』
甲『考へて見れば、そンなものだなア。夫でも世の中は裏表があるものだ。マア一寸この湖を覗いて見い。斯うして船に乗つて頭を上にして、吾々は乗つて居る積りだが、鏡の池の水鏡を覗いて見ると、船は下向きになりやがつて、貴様等の頭が下向になつてゐるわ、これが世の中の事が鏡に映つて居るのだ』
 時公はこの話を耳を澄して興味がつて聴いてゐた。忽ち身を起し、三人の前にバタリと胡床をかき、
時公『ヤア、最前から御話を承はれば、珍しさうな珍しくないやうな、妙な御話を聴きました。一体その大気津姫とやらは、何処に居るのですか』
甲『お前さまは何処の人か知らぬが、人に物を尋ねるのに名乗りを上げずに何のことだ、名を名乗りなさい。行儀を知らぬ人だな』
時公『アー、これは失礼しました、私の名は時々脱線すると云ふ時公と申します』
乙『あまり大きな男がやつて来るので、胸がどきどきした。大気津姫の話なら私が本家本元だ。聴いて貰ひませう』
時公『アヽ、それは有難う』
乙『その大気津姫はコーカス山の山奥に、立派な宮殿を造り、沢山の家来を従れて、何でも人民の膏を搾つて、自分等の眷属ばかりが栄耀栄華に暮して居るさうです。此間も素盞嗚命さまの御使とやらが、大気津姫を一つ帰順さすとか、何とか言つて行つた限り帰つて来ませぬと云ふ専らの評判です』
時公『それは何といふ方です』
乙『サア、何といふ方か名は忘れたが、何でも長いやうな名であつた』
甲『その女は大蛇姫と違ふか。大蛇と云ふ奴は随分長いものだ。さうして女だてらにそンな処へ一人で行くなんて、よほど太い奴だぜ。大方クス野ケ原の大蛇の化物かも知れぬ。大蛇姫と大気津姫との戦ひは随分見物だらう』
珍公『でも竹のやうな名だつたぞ』
時公『竹野姫と云ふ御方と違ふか』
珍公『アー、その竹野姫だ。その女が雪の降るのに只一人、月は照るとも虧るとも、雪は積むとも解るとも、大直日だとか、大気津姫だとか、見直すとか、斬り直すとか、偉さうに云つて山へ登つた限り、雪に鎖されたのか、大気津姫にしてやられたのか一向その後の消息がわからぬといふことだ。女だてらに豪胆にも、彼んな猛獣や大蛇ばかりの山へ往くから、そんな目に遭うのですな』
時公『はてな』
梅ケ香姫『モシモシ姉さま、今の話は中の姉さまのことぢやありますまいか。若しさうだつたら私何うしませう』
松代姫『イヤ、心配なさるな。何処へ行つても神様と二人連れだ。この地の上は皆国治立命様と金勝要神様と、素盞嗚命様とが御守護遊ばす御地面だから、屹度神様の御用をして居る竹野姫、滅多なことはありませぬよ』
梅ケ香姫『姉さま、さうでしたねエ。余り心配してつひ迷ひました。一日も早くコーカス山とやらへ行つて、姉さまに力をつけて上げませうか』
松代姫『まだ貴女は心配をなさる。そんな取越苦労は要りませぬ』
梅ケ香姫『ホヽヽヽ』
時公『モシモシ御姉妹様、何うやらこれは竹野姫さまのことらしい様に思はれます。一つコーカス山へ駆け上つて、時公が一働き致します。マー見てゐて下さい』
松代姫『何うなさるの』
時公『その大気津姫と云ふ奴改心すればよし、改心せぬとあれば素盞嗚命様の御威勢を借つて、斬つて斬つて斬り廻し、乾児の奴らを残らず血祭りにしてやりませうかい』
梅ケ香姫『又しても時さま、そんな乱暴なことを云ひますか。詔り直しなさい』
時公『明志丸から今鏡丸に乗り直したとこです』
梅ケ香姫『マアマアよろしい。悠然と気を落つけて手荒いことをせぬやうに、三五教の宣伝歌で言向和しませう』
時公『三五教は表教と云ふのですか。誰も彼も此歌を聞くものは賛成せぬものはありませぬ、大持てに好う持てる大持て教ですな。其処で神が表に現はれると云ふのでせう。これからコーカス山へ駆け上つて、善と悪とを立別ませうかい』
 五日五夜の航海も無事に、漸く船は西岸に着いた。乗客は先を争つて上陸する。五人は悠々として歌を歌ひ乍ら又もや西北指してコーカス山目あてに進み行くのであつた。
(大正一一・三・一 旧二・三 外山豊二録)
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