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文献名1霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻
文献名2第3篇 探険奇聞よみ(新仮名遣い)たんけんきぶん
文献名3第11章 怪しの女〔537〕よみ(新仮名遣い)あやしのおんな
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-11-26 17:12:32
あらすじ
天津祝詞を唱え終わって、一同は怪しい声がする方へと進んできた。道は狭くなってくる。すると傍らの岸壁に小窓が開いており、そこからたいへんな美人がちらりと顔をのぞかせた。一同は妖怪変化かと警戒しながら、先を争って窓から中を覗き込む。

美人はまたしても窓から顔をのぞかせ、三五教の宣伝歌を歌い始めた。鷹彦は、これは三五教の宣伝使が閉じ込められているのかもしれない、と言った。

岩彦は入口がないかと辺りを探し、妙な石が落ちているのを見つけた。石を押しのけると、仕掛けが出てきたので引っ張ると、石戸がめくれて開いた。

一同は中に入り、石段を登っていくと、二坪ばかりの平面な部屋に、先ほどの美人が座っていた。岩彦はてっきり妖怪変化かと思い、女を怒鳴りつけるが、女は平然としている。

女は一同の名前を知っており、また昨日からここで皆が来るのを待っていたのだ、という。鷹彦は名前を尋ねるが、女は三五教の宣伝使であれば、自分を知っているはずだ、と答える。

そこへ外から宣伝歌が聞こえてきた。そして小窓から中を覗き込んだのは、日の出別宣伝使であった。岩彦はにわかに元気付いて、女に対して正体をあらわせ、と毒づく。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月17日(旧02月19日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年10月30日 愛善世界社版132頁 八幡書店版第3輯 79頁 修補版 校定版132頁 普及版56頁 初版 ページ備考
OBC rm1311
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本文  一同は天津祝詞を奏上し終つて、怪しき声する方に向つて強行的前進を続けた。道はおひおひ狭くなつて来た。
岩彦『ヤア狭いぞ、まるで羊腸の小径だ、気をつけよ』
梅彦『窈窕嬋研たる美人の嬌音が聞えて居るぢやないか、中々もつて前途有望だ』
音彦『何だ、気楽さうに魔窟の探険に来てゐながら窈窕の美人もあつたものかい。何処までも貴様はウラル式を発揮する男だな』
梅彦『三歳児の魂百まで通せだ、雀百まで踊りを忘れぬ。况んや青春の血に燃ゆる梅彦に於てをやだ』
岩彦『アハヽヽヽ、それにしても最前の怪しき声は何だつたらう。僕甚だ以て諒解に苦しまざるを得ないわ』
亀彦『あれは魔神の囁きだよ。天津祝詞の言霊に旗を捲き矛を戢めて予定の退却と出掛たのだよ。オイオイ段々狭くなつて頭がつかへるぢやないか』
鷹彦『フルのケ原の真ん中に  聳り立ちたる巌の山
 醜の巌窟の六つの穴  探険せむと来て見れば
 六道の辻か知らねども  此処に一行廻り会ひ
 力限りに岩壁を  押した途端に亀彦が
 思ひ掛無き陥穽  呻りをたてて直線に
 ザンブと許り墜落し  泣かぬ許りに声たてて
 慈悲ぢや情ぢや宣伝使  何卒生命をお助けと
 吠面かわく可笑しさに  吾等五人は逸早く
 井戸端会議を開会し  多数決にて亀彦を
 救ふは全然不可能と  決定したる時も時
 なまくら海鼠の亀彦が  吠えて居るかと思ひきや
 素知らぬ顔にてムクムクと  階段上り吾前に
 現はれ来る可笑しさよ  シヅの巌窟の魔窟原
 醜の魔神を言向けて  世人の害を除かむと
 語らふ折しも何処となく  呂律も合はぬ言霊の
 ど拍子ぬけたる呻り声  これはてつきり曲神の
 悪戯事と推断し  天津祝詞を唱ふれば
 流石に猛き曲津見も  煙の如く消え失せて
 跡しら雪と解けて行く  此処に一行六人は
 足を早めて前進し  ヤツト極つた羊腸の
 小径の岩穴辿りつつ  行けども行けども限りなく
 逸る心の細道を  長蛇の陣を布きつつも
 いよいよ此処に喇叭口  開いて嬉し広庭に
 来りて見ればあら不思議  春の弥生の鶯か
 秋野にすだく鈴虫か  それより清き宣伝歌
 何処ともなく聞え来る  アヽ訝しや訝しや
 神が表に現はれて  善と悪とを立て別ける
 此世を造りし神直日  心も広き巌窟の
 魔神の征服面白し  アヽ面白し面白し
 進めよ進めいざ進め  如何なる悪魔の来るとも
 大和心を振り起し  厳の雄健び踏み健び
 厳の嘖譲を起しつつ  一歩も退くこと勿れ
 進めや進め巌の道』
と歌ふ折しも傍の岩壁より雪を欺く婉麗なる美人の顔、チラリと此方を覗き居る。
 梅彦は敏くも此顔を見て、
『ヤア大変だ、出たぞ出たぞ。ドツコイシヨ』
と言ひながら尻餅を搗く。
『ヤアヤア、待つた待つた。出た出た』
鷹彦『出たとは何だ。別に何にも居ないぢやないか』
梅彦『居ないの、居るのつて、意外の奴が居るのだもの』
鷹彦『何が居るのだい』
 梅彦は傍の岩穴を指さし、
『マアマア、あれを見い』
鷹彦『なんだ梅公、コンナ処に腰を下して、早く立たぬかい』
梅彦『イヤあまり日は永し、綺麓な花盛りだから一寸ここで腰打ち掛けて花の見物だ。貴様等が仕様も無い窈窕嬋研たる美人だなぞと言ふものだから、お化けの奴、御註文通り別嬪になつて化けて出よつたのだよ』
岩彦『アハヽヽヽ、此奴チツト逆上して居るな。何にも居はせないぢやないか。歩きもつて夢を見る奴が何処にあるかい』
梅彦『夢ぢや無いぞ、現ぢや無いぞ、幻ぢや無いぞ。ゆめゆめ疑ふな』
音彦『ヤア此奴変だぞ。オイ梅公、貴様はバのケぢやないか。フルのケ原の妖怪そつくりのロジックを使ひよつて』
梅彦『ヤア決して決して、妖怪どころか、マアその岩の穴を覗いて見よ。あの美しい声の出所はその穴の中だよ』
 駒公は岩に掻きつき背伸びをし乍ら、梅彦の指さした岩壁の穴を一寸覗き『ヤア』と言つたきりズルズルドスン、
『アイタヽ、イヤもう如何にも斯うにも奇つ怪奇つ怪、奇妙きてれつ、古今独歩、珍無類金覆輪の覆輪々々だ』
岩彦『何だ、二人共あの穴を覗いては怪つ体な事を言ひよる。どら俺が一つ厳重に臨検してやらう』
と言ひ乍ら又もや岩壁に駆け上り、一寸中を覗いて見て、
『ヤア居る居る、素敵滅法界な魔性の女だ』
鷹彦『ドレドレ、俺が一つ魔性の女の首実検と出掛てやらう』
岩彦『ヤア、待つた待つた、梅公に駒公の奴、腰を抜かしよつた様な美人だ。成功したのはこの岩サン計りだ。先取権は俺にある。見るなら見せてやらぬ事は無いが、何程コンミツシヨンを出すか』
鷹彦『アハヽヽヽ、貴様たちは化物であらうが何であらうが、女でさへあれば良いのだな』
岩彦『天地開闢の初めより女ならでは夜の明けぬ国だ。これや又何とした有難い事だらう、これだから旅は良いもの辛いものと言ふのだい』
鷹彦『ともかく見る丈け位は無料でもよからう。別に俺の慧眼で一瞥したと言つたとて、それがために痩るものでもあるまい。また春の氷の様に溶けもせまいから』
音彦『鷹彦サン、亀公と三角同盟を結んで此奴等の堅塁を粉砕し、一つ其美人を占領したら如何ですか』
岩彦『占領しようと言つたつて岩の中に居る岩姫だ。如何する事も出来やしない』
 この時又もや美人は巌の口に麗しき面貌を現はし、ニタリと笑ひ乍ら、
『神が表に現はれて  善と悪とを立て別ける
 この世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  直日に見直し宣り直せ』
岩彦『ヤアこの化物、洒落てやがる。三五教の宣伝歌を歌つてるぢやないか。チツト合点がゆかぬぢやないか』
 鷹彦諸手を組んで稍そり返り乍ら、
鷹彦『ウーン、ウン、オイ一同の宣伝使、これや何でも三五教の女宣伝使に相違ないぞ』
岩彦『入口も無いのに、コンナ細い穴から化物ぢや無ければ、出入する事が出来ぬぢやないか。これやこれやてつきりバの字にケの字ぢや』
 鷹彦首を振りながら、
鷹彦『イヤイヤ、待て待て。沈思黙考する丈けの余地は十分にある。何でも豪胆な宣伝使が吾々の如く探険にやつて来て魔神の計略にかかり、岩の中に閉ぢ込められて居るのかも知れない。一つ力限りこの洞の岩壁を押して見ようか、何処かに隠し戸があるに違ひないぞ』
音彦『あまり力入れて押すと、また亀公の様に空中滑走をやつて井戸の底に着水するかも知れない。やあわりと押したがよからう』
岩彦『何、躊躇逡巡する必要があるか』
と言ひ乍ら、あたりの岩壁を金剛力を出してウンウンと押して見て、
『アヽ、如何しても入口がハツキリせぬわ、これや何でも仕掛があるに違ひない。ヤア此処に妙な石が落ちて居る、之が仕掛かも知れぬぞ』
と言ひつつその石を片手を伸ばしてグイと取り除けた。忽ち両手の這入る様な恰好な穴があいた。岩公は両手を引つかけた儘ウンと背伸びをする途端に、厚さ四五寸許りの石の一枚戸が剥くれて来た。
『ヨー、コンナ事をやつてゐよる。何でも入口はこの辺にあるに違ひないぞ。オイ皆の者、サア来た来た』
と言ひ乍ら穴を潜つて一間許り前進すると又もや岩の戸にピタリと止まつた。岩彦は力限り岩の戸を向ふへ押した。途端に岩戸は思ひの外軽く開いた。一同は先を争うて岩戸の中へ進み入るのであつた。岩壁には足掛が刻まれてある。それを一歩々々登つて行くと二坪ばかりの平面な処がある。その中央に容色婉麗なる以前の美人がやや俯向き、羞しげに坐つてゐた。岩彦は見るより『ヤア』と驚いて倒れむとしたが、『ドツコイ』と気を執り直し全身に力を籠め乍ら、声まで震はせ、
岩彦『ヤイヤイ、ヤイ、一体全体貴様は何物のお化けだ。大蛇か、鬼か、狼か、古狐か、古狸か、もう斯うなつては仏の椀ぢや、かなはぬぞ。有り態に白状致せ。吾々六人の勇士に包囲されては、もはや遁走する事も出来まい。サア尋常に白旗を掲ぐるか、開城するか』
女『ホヽヽ、之はしたり俄宣伝使の岩彦サンとやら、大変なお元気で御座いますこと』
岩彦『益々合点のゆかぬ大怪物、コラ、貴様何程うまく化けてもこの方の天眼通で、チヤンと調べてあるのだ。お気の毒乍ら貴様の尻を見い。大きな尻つ尾が見えてるぢや無いか』
女『ホヽヽヽヽ、何の尻つ尾が見えて居りますか。大蛇ですか、狼ですか、狐か、獅子か、狸か、猫か、鼬か、鼠か、あてて御覧』
岩彦『ナヽヽ何を吐きよるのだ。図太い化物奴が。一体俺を誰方と思つてけつかる』
女『ホヽヽヽヽ、誰方でもありませぬ、此方サンぢやと思ひます。オヽヽヽ可笑し、お元気なお身体、お達者相なお姿』
岩彦『コラ、俺が尾が見えると言つたらよい気になつて、お元気だの、お達者だのと人の言葉の尾につけて横道者奴が。鬼、大蛇狼の何奴かのお化け奴が』
女『ホー之は鷹彦サン、梅彦サン、音彦サン、亀サン、駒サン、昨日から此処にお待ち受けして居ましたよ』
鷹彦『ヤア、さう言ふ貴女は何れの方でござるか、拙者一向一面識もござらぬ』
女『オホヽヽヽ、貴方は三五教の宣伝使、妾の姿をお覚えぢやありませぬか』
鷹彦『ホー一向合点の虫が承諾しませぬワイ。一体全体貴女様は、何れの神様でございますか』
女『鷹サン、マアマア気を落ちつけて妾の素性を洗つて御覧、それが分らない様な事では三五教の宣伝使も駄目ですよ。醜の巌窟の征服もさつぱり零ですよ』
岩彦『オイオイ梅公、音、亀、駒、貴様何だ。何時もベラベラ口車を廻転させる癖に今日に限つてその沈黙は何だい。まさか汽缶の油がきれたでもあるまいに、俺計りに談判させよつてチツト交渉したら如何だい』
女『オホヽヽヽ、あの岩サンの気張り様、妾はあまり可笑しくて横腹が痛みます』
岩彦『痛まうと痛むまいと俺の知つた事かい。コンナ魔窟の中に巣剿ひよつて吾等を誑らかさうと思つても、ソンナ者に瞞著されるものと選を異にするのだ、あまり巫山戯るない。良々加減に正体を現はさぬと此岩サンの鉄拳がお見舞ひ申すぞ』
女『オホヽヽヽ、貴方がたは能く能く分らぬ人ですね。二つのお目は銀紙ですか、節穴ですか、不思議な先の見えぬお目だこと。オホヽヽヽヽヽ』
岩彦『エーイ、怪つ体の悪いこのお化け奴、優しい顔をしよつて失敬千万な事を言ひよる太い奴だ。もう此上は勘忍袋の緒が切れた。サア覚悟致せ』
女『オホヽヽヽ』
鷹彦『ハテナ、此奴は只の狸ぢやあるまいな』
女『ホヽヽヽ』
岩彦『狸どころか、大化物の親玉だ。狸なら八畳敷に居る筈だ。僅かに四畳敷位な巌窟に棲んでる化物だから大方土蜘蛛の精だらう、ヤイ土蜘蛛、俺を何時までも甘いと思つて居るか、甘けら砂糖だと思ひよるのか。何だ、甘つたるい声を出しよつて、弥生の鶯の真似をして、オホヽヽヽと、それや一体なんの芸当だい。真実に荒男の六人も向ふに廻して悠々自適、国家の興亡吾不関焉と云ふ様な落着き払つたその腰つき、小癪に触る代物だナア』
女『ホヽヽヽヽ』
 この時又もや宣伝歌が聞えて来た。宣伝歌の主は外より岩穴を一寸覗いて見て、
『ヤア鷹サン、岩サン、此処に居つたのか』
岩彦『ヤア貴神は日の出別命様、ようマア来て下さいました。之だから神様は九分九厘まで行つたら助けてやらうと仰しやるのだ。サアもう大丈夫だ。サアお化け、何なつと吐け、もう叶はぬぞ』
と俄に肩を聳やかす其可笑しさ。
女『ホヽヽヽヽ』
(大正一一・三・一七 旧二・一九 北村隆光録)
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