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文献名1霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻
文献名2第4篇 混線状態よみ(新仮名遣い)こんせんじょうたい
文献名3第18章 波濤万里〔730〕よみ(新仮名遣い)はとうばんり
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ竜宮島・オーストラリヤ(オースタリヤ) データ凡例 データ最終更新日2022-10-15 02:02:36
あらすじ岩窟の中のバラモン教の祭典が済んで、老若男女が礼拝所から出てきた。信者の中の一人の老いた男・久助は、友彦を見るなり、六ケ月前に自宅に忍び入って強盗を働いた男だと認めて食ってかかる。その様子を見て蜈蚣姫を始め一同はあきれてしまう。そこへ、鶴公、清公、武公が東助の使いとしてやってきて、友彦の後を追ってやって来たが、この岩窟に逃げ込んだはずだから、召捕りに来たという。蜈蚣姫は三人に対して、友彦はここにいるから縛って連れて行くようにと申し渡す。高姫はかつての部下だった三人が、東助の家来になっていることに皮肉を言う。高姫と三人が言い合っている間に、友彦は這って逃げ出そうとしていた。しかし清・鶴・武が連れて来た犬に噛り付かれてしまう。鶴公、清公、武公は友彦を縛って引っ立てていった。一方蜈蚣姫は、高姫、貫州、久助を連れてオーストラリヤの一つ島に渡ることになった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年06月13日(旧05月18日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年4月19日 愛善世界社版282頁 八幡書店版第4輯 599頁 修補版 校定版287頁 普及版133頁 初版 ページ備考
OBC rm2318
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本文  世界の楽土と聞えたる  メソポタミヤの瑞穂国
 顕恩郷に現はれし  バラモン教の棟梁神
 鬼雲彦が懐中の  刀と恃む副棟梁
 鬼熊別や蜈蚣姫  中に生れた一粒の
 蕾の花の小糸姫  年は二八か二九からぬ
 仇な姿に憧憬れて  教の道の友彦が
 力限りに付き纏ひ  言葉尽して説き落し
 二人の親や人の目の  関所を越えて波斯の国
 荒野ケ原を打渡り  高山数々乗り越えて
 釈迦の生れし月氏国  錫蘭島に身を忍び
 夫婦仲良く暮す内  恋の魔風に煽れて
 力と恃む小糸姫は  只一通の遺書を
 残して浪路を打渉り  何処の果てや白波の
 船に姿は消えにけり  とり残されし友彦は
 夜食に外れた梟鳥  つまらぬ顔を曝しつつ
 執念深くも蛇の  魅れし如く気も狂ひ
 胸を焦して自転倒の  神島さして進み来る。
 尋ねる由も夏の夜の  虫に脛をば刺されつつ
 山川渉り蓑笠の  軽き扮装此処彼処
 彷徨ひ巡りて宇都山の  里に輿を据ゑ乍ら
 支離滅裂の説法を  説き広め居る折柄に
 三五教の宣伝使  天の真浦の神人が
 其神力に恐怖して  又もや此処を駆け出し
 流れ流れて淡路島  隈なく廻り北の果
 洲本の里の酋長が  館の内の失敗に
 廁の穴より籠脱けし  着衣を黄色に染め乍ら
 此世の瀬戸の浪の上  堅磐常磐に浮かびたる
 小豆ケ島に漂着し  狐狸に魅せられし
 如き怪訝な顔をして  国城山の岩窟に
 当途もなしに来て見れば  胸の動悸も高姫が
 差俯向いて独語  聞くより誰かと尋ぬれば
 口から先に生れたる  布留那の弁の高姫は
 口を極めて喋り出す  鼻持ならぬ屁理屈に
 忽ち据わる糞度胸  臭い婆アと知り乍ら
 鼻を抓んで岩窟に  伴ひ進み来て見れば
 思ひがけなき蜈蚣姫  般若の様な面をして
 鼻先赤い出歯男  出歯亀式の友彦を
 見るより早く仏頂面  蟹の様なる泡を吹き
 怨みの数々繰返す  その権幕の恐ろしさ
 流石の友彦肝潰し  小糸の姫が残したる
 皺苦茶だらけの遺書を  怖々前に差し出し
 蜈蚣の姫の手に渡す  婆アは手早く我顔の
 皺と同時に伸べ乍ら  潤んだ眼を光らせて
 覗いて見れば此は如何に  スパルタ文字にて記したる
 恋しき娘が筆の蹟  愛想づかしの数々を
 並べ立てたる可笑しさに  流石の婆も吹き出し
 音に名高きオセアニヤ  竜宮島に名も高き
 黄竜姫は吾子ぞと  初めて悟る蜈蚣姫
 嬉し悲しの泣き笑ひ  一座白けた最中に
 岩窟の口を押開き  ドヤドヤ出て来る男あり
 あゝ惟神々々  霊も腰もスツカリと
 抜かした馬鹿の友彦が  身の上こそは哀れなる
 奥の間の祭典は済んだと見えて、数多の老若男女は此場にドヤドヤと現はれ来り、蜈蚣姫に祭典無事終了の報告をして居る。頭の頂辺が饅頭の様に禿げた男、友彦の顔を見るなり、
男『ヤア、貴様は六ケ月以前に我家に忍び入り、我留守宅を幸に女房を○○し、額に負傷を負はせ逃げ去つたる友彦と言ふ奴であらう。俺が門口へ帰つて来る途端、我家より血刀提げ飛び出した奴の顔そつくりだ。貴様は留守の家に巧言を以て入り込み、友彦の宣伝使だと申し、女房の隙を覗ひ大それた事を致して逃げ失せた奴、最早天命の尽、覚悟をせい』
 此男の言葉に蜈蚣姫始め一同は、呆れて二人の顔を穴もあけよと許り睨みつけて居る。
友彦『滅相な事を仰せられては困ります。他人の空似と申しまして、世界には、二人や三人は同じスタイルの者はある相です。貴方のお見違ひで御座いませう。何卒とつくり調べて下さいませ』
男『私は明石の里の久助と言ふ者だが、日の暮まぎれに顔はよく分らねど、鼻の頭の赤い特徴が何よりの証拠だ。も一つ確める為めに女房が次の間にお籠りをして居るから、呼んで来て調べさして見る。……これこれお民、一寸来てお呉れ』
友彦『メヽヽ滅相な。御夫婦共御苦労を掛けて済みませぬ。過ぎ去つた事は水に流したが却て御都合が宜しからう。過越し苦労は神様の道に大禁物だ』
久助『お前の方は御都合が宜からうが、久助にとつては、無理難題を掛けた様に皆の人々に思はれては誠に御都合が悪い』
と言つて居る所へ女房お民はシトシトと出で来り、友彦の顔を見るや否や、
お民『アツ泥棒』
と言つたきりビツクリ腰を抜かして仕舞つた。久助は驚いて、
久助『こりやこりや女房、是丈け沢山の人が居るのだから、泥棒の一人位は恐るるには足らぬ。まア気をしつかりと持つて呉れ』
と背を無理に叩く。貫州は両手を組んで『ウン』と霊を送る。お民は漸う気を取り直し、
お民『お前は此春吾家に入り来り妾に無礼を加へた上、金を浚つて逃げ去つた悪党者、妾が額の疵は汝が残せし罪の痕、之でも言ひ分あるか』
と歯を食ひ縛り目を睜らし睨みつける。友彦は、
友彦『ハイ、誠に……』
と僅かに言つたきり、床に頭をすりつけて地震の神の神懸りをやつて居る。
 岩戸を開いて入り来る三人の男、
男『ヘイ、御免なさい、私は淡路島の洲本の酋長、今は東助様の家来となつた清公、武公、鶴公の三人で御座る。極悪無道のバラモン教の宣伝使と名告る大盗賊、雪隠の跨げ穴より脱け出し、浜辺に繋ぎし酋長の所有船を盗み、艪を操り海原に逃げ去りしと訴ふる者あり。我々酋長の命令に依り直に船を用意し友彦の後を追ひ来る折しも暴風に出会ひ、艪は折れ進退の自由を失ひ漸く此島に漂着し、見れば泥棒が乗つて来た東助と刻印のついた釣船、てつきり此島に逃げ忍び居るならむと、吾々三人後を追つ駆来て見れば、嗅覚鋭利な此犬の力によつて、此処まで尋ねて参つた捕手の役人で御座る。もう斯うなつてはお隠しになつても駄目で御座る。糞の臭が此岩窟の中まで続がつて居る以上は、てつきり泥棒は当岩窟に居るに相違御座るまい、さア速かにお渡し召され』
と肩臂怒らし仁王立ちになつて力味かへり居る。
蜈蚣姫『皆さま、御苦労で御座つた。此処に犬が一匹居りまする。何卒早く縛つて御帰り下さい。どうも斯うもならぬ友彦と言ふ野良犬で御座います。オホヽヽヽ』
と歯の脱けた口から零れた様な笑ひをする。高姫は目敏く三人の顔を見て、
高姫『誰かと思へば清に武、鶴の三人ぢやないか。東助船頭と共謀になつてようこの高姫を馬鹿にした。さア良い処へうせた。もう量見ならぬぞ。……モシモシ蜈蚣姫さま、貴女の部下を十人ばかりお貸下され。如何も斯うもならぬ反逆者、懲戒の為め縛りつけて、チツと許り膏をとつてやらねばなりませぬ』
三人『アハヽヽヽ、オイ高……婆ア何を吐かすのだ。勿体なくも淡路島の洲本に於て雷名隠れなき人子の司、東助様の御家来だぞ。今迄は貴様に清だの、武だの、鶴だのと頤の先で使はれて来たが、もう今日の俺達はチツと相場が違ふのだから其心組で謹んで返答をせい。無礼な事を致すと貴様も一緒に召捕つて帰らうか』
 高姫は泰然自若として、
高姫『オホヽヽヽ、鉛製の閻魔の様な其態は何だ。見つともない。玩具の九寸五分を以て嚇かす様な事をしたつて此高姫は、いつかな いつかなビク付く様な弱い女で御座いませぬワイ。之でも猪食つた犬だ。見事召捕るなら召捕つて見よ』
と争ふ其隙を考へ、友彦は四つ這ひになつて、ノソリノソリと黒い褌を尾の様に垂らし乍ら、表口さして遁げ出さうとする。三人の引張つて来た洋犬はワンワンと威喝し乍ら友彦の尻に噛じり付いた。蜈蚣姫は何が何やら、二組も三組も混線した此争ひに肝を潰し、一生懸命に、
蜈蚣姫『南無バラモン教主大国別命、守り給へ幸倍給へ』
と一心不乱に汗を流して祈願して居る。清、武、鶴の三人は友彦を高手小手に縛め、岩窟の外に引き出し、茨の苔を携へ、
『さあ、泥棒、キリキリ歩めツ』
と引張り行く。
 是より蜈蚣姫は、高姫、貫州、久助を伴ひ、宝の所在の探索を兼ね、オースタリヤの女王黄竜姫に面会せむと、一艘の船に身を託し果物を数多積込み、小豆ケ島を後に、瀬戸の海を乗り切り馬関海峡を越え、西へ西へと進み行く。
(大正一一・六・一三 旧五・一八 北村隆光録)
(昭和一〇・六・五 旧五・五 王仁校正)
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