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文献名1霊界物語 第29巻 海洋万里 辰の巻
文献名2第3篇 神鬼一転よみ(新仮名遣い)しんきいってん
文献名3第11章 日出姫〔833〕よみ(新仮名遣い)ひのでひめ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-12-28 17:58:42
あらすじ高姫が神殿に駆け上って扉に手をかけると、狭依彦命のご神体が現れて高姫を取ると、壇上から下に放り投げた。高姫はまたもや人事不省になって唸っている。奉仕者たちが慌てて介抱しようとするが、常彦は、神様に戒めを受けたのだから、高姫の改心のためにもしばらくは放って置いてもらうように頼んだ。一同が別間に入って神徳話に花を咲かせていると、突然神殿の間から高姫の金切り声が聞こえてきた。驚いて皆が駆けつけると、高姫が大男に持ち上げられて放り上げられていた。一同が駆けつけると、大男は煙のように消えてしまった。高姫は真っ青な顔で懸橋御殿を飛び出してアリナ山の方に駆け上って行った。常彦と春彦は見失っては大変と、慌てて高姫を追いかけていく。国玉依別の命により、竜と玉も一緒に高姫を追いかけた。高姫は鷹依姫一行が野宿した白楊樹の傍らまでたどり着いた。高姫は身体が非常に重たくなって草原に横たわり、寝てしまった。高姫は目を覚ますと自分がどこにいるかわからず、独り言を言っている。突然大きな怪物が現れて、高姫を掴んで喰おうとした。高姫は恐ろしさに震えていたが、そこへ喨々と音楽の音が聞こえてきた。すると俄かに力ついた。怪物は高姫をぱっと放した。高姫が目を開けると、梅の花を片手に持ち、もう片方の手に白扇を持った女神が厳然として現れていた。女神は高姫のこれまでの行いが神界の邪魔をしていたことを叱り、ここで改心すればまた神界の御用を務めることができると諭した。高姫は女神の光輝に打たれて罪を謝し、改心を約束した。女神は鷹依姫らが持ち出した黄金の玉を白楊樹から下ろすと高姫に授け、後からやってくる懸橋御殿の竜と玉に返すようにと命じた。女神は高姫に後戻りしないように諭し、先ほどの怪物は高姫の慢心を戒める鬼神であると戒めた。そしてアマゾン河をさかのぼって鷹依姫一行と合流し、そこで修行をなしてから自転倒島に戻って神業に参加するようにと示した。日の出姫神と名乗り、高姫に懸かっているのは金毛九尾であることを気を付けると、五色の雲に乗って天上に昇っていった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月12日(旧06月20日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年9月3日 愛善世界社版165頁 八幡書店版第5輯 526頁 修補版 校定版169頁 普及版77頁 初版 ページ備考
OBC rm2911
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本文  高姫は矢庭に神前に駆け上り、扉に手をかけた。忽ち頭の光つた脇立の狭依彦神、煙の如く朦朧と現はれ、高姫の首筋をグツと握つて壇上より、蛇を大地に投げつけた様に、ポイと撥ね飛ばした。高姫は暫く虫の息にてそこに打倒れ、何事か切りに囈言を言つてゐる。国、玉は驚いて『水ぢや水ぢや』と立騒ぐを、常彦は制し止め、
『モシモシ皆さま、構立をせずに、少時放つといて下さいませ。御存じの通御神前の脇に朦朧として御神体が現はれ、こらしめの為に高姫を取つて投げられたのですから、余り高姫を構うと、又へらず口を叩き慢心を致しますから、十分改心する所迄放つといてやつて下さいませ。高姫の身の為ですから……一人前の誠の宣伝使にしてやらうと思召さば、十分に苦ましておく方が高姫に対する慈悲になりまする』
と真心から語り出したるを、一同は常彦の言に従ひ、高姫が自然正気に復る迄、そこに放任しておき、各自別間に入つて、神徳を戴き、昼飯などを喫し、悠々として世間話に耽つてゐた。暫くすると神殿に於て、高姫の金切声が聞えて来た。常彦、春彦、国、玉等一同は此声に驚いて、神殿に駆けつけ見れば、高姫は何とも知れぬ大きな男に、毬つく様に、放り上げられたり、おとされたり、なぶりものに会はされ、悲鳴を上げゐたりける。
 常彦、春彦の姿を見るより、大の男は煙の如くに消えて了つた。此大の男と見えしは、鏡の池に現はれました月照彦命の出現であつたとの事なり。
 高姫は真青な顔をし乍ら、懸橋の御殿を表に駆け出し、一生懸命にアリナの山を指して登つて行く。常彦、春彦は見失うては大変と、高姫の後を一生懸命に追つかけて行く。国玉依別命の命令によつて、竜、玉の両人は常彦、春彦の後より、『オーイ オーイ』と呼ばはり乍ら、アリナの峰を駆け登り行く。
 高姫は漸くにして、鷹依姫一行が野宿したる白楊樹の傍まで駆け着いた。何とはなしに身体非常に重たくなり、疲労を感じ、グタリと横になつて、大蜥蜴の沢山に爬行して居る草原に横たはり、他愛もなく寝て了つた。
 夜半に目を醒まし、そこらあたりをキヨロキヨロと見廻し、
高姫『ハテナア、ここは何処だつたいなア。鏡の池の懸橋御殿の中だと思つてゐたのに、そこら中が萱野原、人の子一匹居りはせぬ。アハー、やつぱり鏡の池のスツポン奴、此野原を、あんな立派な御殿と見せて、騙しよつたのだな。悪神と云ふものは油断のならぬものだ。禿頭の神が出て来て、取つて放かしたり、大きな男が現はれて、此高姫を毬つくやうにさいなめよつたと思つたが、ヤツパリ騙されて居たのかなア。昔常世会議の時にも、八百八十八柱の立派な国魂神が、泥田の中で狐に魅まれ、末代の恥をかいたと云ふことだが、ヤツパリ此高砂島も常世の国の陸つづきだから、居ると見えるワイ。アヽドレドレ眉毛に唾でも付けて、しつかり致しませう。……時に常や春の周章者は、どこへ沈没しよつたのか、テンで影も形も見えなくなつて了つた』
と独語を云つて居る。
 俄に大粒の雨パラパラパラと降り出して来た。満天黒雲に包まれ、次第々々に足許さへ見えなくなつて来た。獅子、虎、狼の吼えたける様な怪しき唸り声は、暴風の如く耳をつんざく。寂寥刻々に加はり、流石の高姫も茫々として際限もなき原野の中に只一人投げ出され、足許さへ見えなくなり、心細さに目を塞ぎ、腕を組み、大地に胡坐をかき思案に暮れて居る。
 パツと雷光の如き光が現はれたと思ふ途端に、雲突く計りの白髪の怪物、耳迄引裂けた口から、血をタラタラと垂らし乍ら、高姫の前にのそりのそりと浮いた様に進み来り、
怪物『アハヽヽヽ、人肉の温かいのが一度食つて見たいと、常がね希望して居たが、アヽ時節は待たねばならぬものだ。少し古うて皺がより、肉が固くなり、骨も余り軟かくないが、これでもひだるい時にまづい物なし、辛抱して食つてやらうかな。イヒヽヽヽ、ウフヽヽヽ、エハヽヽヽ、オホヽヽヽ。甘いぞ甘いぞ』
とニコニコし乍ら、高姫の髻をグツと握つた。高姫は猫に掴まつた鼠の如うに、五体萎縮し、ビリビリと震ひ戦いて居る。此時何処ともなく、嚠喨たる音楽の音が聞えて来た。此声の耳に入ると共に、高姫は俄に心晴れ晴れしくなり、強力なる味方を得たやうな気分に充された。怪物は高姫の髻を握つた手をパツと放した。目をあけて見れば、容色花の如く、水のしたたる様な黒髪を背後に垂らし、梅の花を片手に持ち、片手に白扇を拡げて持つた女神、厳然として現はれ、言葉静かに宣り玉ふやう、
女神『其方は高姫であらうがな。今迄我情我欲の雲に包まれ、少しも反省の念なく、日の出神の生宮を標榜し、随分大神の御神業に対し妨害を加へ来りし事を悟つて居るか。其方は力一杯神界の御用を努めた積りで、極力神界の妨害を致し、神の依さしの教主言依別命に対し、悪言暴語を以て向ひ奉り、黒姫を頤使して今迄聖地を混乱致した其方の罪、山よりも高く、海よりも深し。さり乍ら、汝今茲にて悔い改めなば、今一度其罪を赦し、身魂研きし上、神界の御用に使うてやらう。高姫、返答は如何であるか』
と宣らせ玉ひ、高姫の顔を熟視し給ふ。高姫は女神のどこともなく身体より発する光輝に打たれ、
『ハイハイ、今日限り改心致しまする。どうぞ今迄の罪はお赦し下さいませ。如何なる事でも、神様の仰せとあらば承まはりませう』
女神『然らば汝に申し付くる事がある。此白楊樹の空に、錦の袋止まりあり、其中には、テーナの里の酋長が鏡の池に献りたる黄金の宝玉あり。今これを汝の手に相渡す。汝が手より明朝茲に現はれ来る懸橋御殿の神司、玉、竜の両人に相渡し、持帰らしめよ。金色燦爛たる此玉を眺めて、再び執着心を起す如きことあらば、最早汝は神界の御用には立つ可らず。能く余が言葉を胸に畳みて忘るるな』
高姫『ハイ、決して決して忘れは致しませぬ。今日限り、玉に対する執着心は放棄致します』
 女神は白楊樹に向ひ、
『来れ来れ』
と招き玉へば、不思議や、白楊樹は暗の中に輪廓明く現はれ、錦の袋はフワリフワリと女神の前に降り来たりぬ。
女神『高姫、此錦の袋の中には黄金の如意宝珠が包まれあり。披見を許す。早く撿め見よ』
 高姫は、
『ハイ』
と云ひ乍ら、袋の紐を解き、中を覗き見てハツと計り、其光に打たれ居る。
女神『どうぢや、其玉は欲しくはないか』
高姫『イエもう決して、何程立派な玉でも、形ある宝には少しの未練も御座いませぬ。無形の心の玉こそ、最も大切だと御神徳をとらして頂きました。決して決して今後は、玉に対して、心を悩ます様なことは致しませぬ』
女神『又後戻りを致さぬ様に気をつけて置く。就いては、汝これより常彦、春彦と共に此原野を東へ渉り、種々雑多の艱難を嘗め、アルの港より海岸線を舟にて北方に渡り、ゼムの港に立寄り、そこに上陸して、神業を修し、再び船に乗り、チンの港より再び上陸して、アマゾン河の口に出で、船にて河を遡り、鷹依姫、竜国別の一行に出会ひ、そこにて再び大修業をなし、言依別命、国依別命の命に従ひ、直様自転倒島に立帰り、沓島、冠島に隠されてある、青、赤、白、黄の麻邇の珠を取出し、錦の宮に納めて、生れ赤子の心となり、神業に参加せよ。少しにても慢神心あらば、最前の如く、鬼神現はれて、汝が身魂に戒めを致すぞよ。ゆめゆめ疑ふ勿れ。余れこそは言依別命を守護致す、日の出姫神であるぞよ。今日迄其方日の出神の生宮と申して居たが、其実は金毛九尾白面の悪狐の霊、汝の体内に憑りて、三五の神の経綸を妨害致さむと、汝の肉体を使用してゐたのであるぞや』
高姫『ハイあなた様から、さう承はりますと、何だか、其様な心持が致して参りました。それに間違は御座いますまい』
女神『最早夜明けにも近ければ、妾は天教山に立帰り、日の出神、木花姫神に汝が改心の次第を申し上げむ。高姫さらば……』
と言ふより早く、五色の雲に乗り、天上高く昇らせ玉うた。高姫はホツと一息し乍ら、あたりを見れば、夜は既に明け放れ、東の空は麗しき五色の雲靉き、太陽は地平線を離れて、清き姿を現はし給ふ間際なりけり。
(大正一一・八・一二 旧六・二〇 松村真澄録)
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