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文献名1霊界物語 第32巻 海洋万里 未の巻
文献名2第2篇 北の森林よみ(新仮名遣い)きたのしんりん
文献名3第10章 暗黒殿〔901〕よみ(新仮名遣い)あんこくでん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ雄島(冠島) 雌島(沓島) データ凡例 データ最終更新日2022-05-10 19:09:56
あらすじ外から見たよりも広く、青畳を敷き詰めた岩窟内に高姫が感嘆していると、高子姫は、この岩窟は自分が生まれたときから自分の父が開掘し始めたもので、今年で五十六億年目になるという。高子姫は、自分は竜宮の乙姫で夫は日の出神、ここは暗黒世界の中心点で五里霧中郷で高姫村の黒姫御殿だ、と言い出した。高姫は自分がだまされてここに連れ込まれたことに気が付き、高子姫を詰問した。高子姫はにわかに白髪の化けものと変じて、言霊歌で高姫の執着心を責め始めた。高姫はここからが化けもの退治の幕開きだといきがって、常彦とヨブを大声で叱咤した。しかし常彦とヨブは、高姫が草原で一人叫んでいるので不思議に思い、声をかけているのみであった。高姫は一人、岩窟の中に居る気で高子姫とやりあい、いきりたっている。高子姫は、玉は自転倒島付近の小島にあり、雄島雌島には麻邇の宝が隠してあると明かした。そして、鷹依姫と合流して御用を勤めあげ、改心して玉照彦・玉照姫に使えるようにと高姫を諭した。高子姫は岩窟の壁を透かして鷹依姫一行の様子を映し、高姫に見せた。鷹依姫たちは兎と鰐に取り囲まれて宴に興じていた。高姫は怒り、鷹依姫たちに詰め寄ろうとしたが、それは鏡に姿が映っていたのであった。今度は高姫は、自分の姿が映ったのを見て驚き、常彦とヨブを呼んで、自分の姿と同じ化けものを殴りつけるようにと命じた。常彦とヨブは本物の高姫を殴りつけた。高姫は合点が行かない様子だったが、高子姫を成敗しようと、岩窟の入り口に向かって、常彦とヨブとともに追っかけて行った。高姫が岩窟の入り口に来ると、春彦が大笑いしている。高姫は、高子姫を追ってい行った常彦とヨブが見えなくなってしまったのだ、と春彦に言うが、春彦は高姫・常彦・ヨブはさいぜんから、泥水の葦原で転がっていたと指摘した。そこへ三人の怪しい女たちが現れた。高姫は殴りかかるが、女たちの姿はぱっと消えて、大きな白狐が這い出し、森林に消えてしまった。高姫はこれより翻然として悟り、玉への執着心を心の底から払拭し去った。そして時雨の森の邪神を言向け和してめでたく自転倒島に帰国することとなる。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年08月22日(旧06月30日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年10月15日 愛善世界社版111頁 八幡書店版第6輯 189頁 修補版 校定版117頁 普及版44頁 初版 ページ備考
OBC rm3210
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本文  外から見た割とは非常に広い岩窟と見え、二間幅の隧道が高く穿たれて居る。そこを二三丁許り雄大なる岩窟に呆れつつ、三人の後に従つて行く。
高子『ここが妾の住居で御座います。どうぞ御遠慮なく御上り下さいませ』
高姫『ハイ有難う。何とマア綺麗な青畳を敷きつめ、立派な壁掛がかかつて居りますなア。どうしてマア此不便な土地に、こんな立派な行届いたことが出来たでせう。熱心と云ふものは怖いものですね。こんな固い岩を穿つて、こんな館を拵へるには、随分時日が掛つたでせうな』
『ハイ、私の生れた時から、私の父がそろそろ開掘にかかりました。丁度今年で五十六億万年になりますよ、ホヽヽヽヽ』
『何と仰有る。お前さまが生れた時に掘りかけた此岩窟、五十六億万年とは、チト勘定が合はぬぢやありませぬか。お前さまの年はまだ十七八才の花の蕾ぢやないか』
『イエイエ、私はそんな若い女では御座いませぬよ。芝居の役者ぢやないが、どないにでも女と云ふものは化けられますからなア。顔の皺に白粉を一杯埋めて、其上に鬢つけ脂をコテコテと蝋のやうにぬり、其上に又白粉を白壁のやうにぬつて一寸紅をあしらひ、白髪には黒い汁をぬつて、此通り若く見せて居るのですよ。ここは陸の竜宮で、妾は乙姫で御座います。そして私の夫日の出神は奥に高鼾をかいて休んで居ります。いつも貴女の御肉体を借用致しますさうで御座いますが、随分貴女も御困りでせう。私は貴女の家来の黒姫さまの体内をチヨイチヨイ拝借致す竜宮の乙姫で御座います。竜宮の乙姫はいつ見ても若い顔をして居ると、世界の人間が思うて居りますが、此通り化けて居るのですからなア。お前さまも大化物の容器だから、随分おめかしやうによつては若く見えますよ。ホヽヽヽヽ』
『何と合点の行かぬ事を仰有るぢやありませぬか。チト私は合点が往きませぬがなア』
『そらさうでせう。此処は五里夢中郷といふ暗黒世界の中心地点、高姫村の黒姫御殿と名が付いて居る怪体な処ですよ』
『貴女は私をこんな所へうまくだまし込んで、玉をやらうなぞと云つたのは、何か一つの企みがあるのでせう』
『ハイ、勿論のこと、大いに目的があつての事で御座いますワ』
『其目的とは何ですか、聞かして下さい。返答次第に依つては、此高姫にも一つ了見がありますぞや。化物なんかに化されて、おめおめして居るやうな高姫とは違ひますぞや!』
と大声に呶鳴り立てた。お月、お朝の両人はおチョボ口を尖らし、
『ホヽヽヽヽ……』
と笑ひ嘲る。高子姫の姿は俄に白髪と変じ、皺だらけの渋紙のやうな面をヌツと前につき出し、尖つた牙を下唇より一寸許り、下まではみ出し、
『イヒヽヽヽ、イツ迄もイツ迄も執着心の取れぬ婆アさまだのー。
ウフヽヽヽ、ウロウロと世界中をうろたへまはる玉捜し、
エヘヽヽヽ、エヽ加減に諦めたらどうだ。改心したかと思へば、玉の声聞きや、すぐ慢心する困つた高姫婆アさま、
オホヽヽヽ、オソロしい負惜みの強い、疳のきいた婆アさまだのー、
カヽヽヽヽ、カんで食てやらうか。イヤサ、咬んで呑んで吐き出してやらねば、まだ本当の改心は致すまい。何と云つても常世姫の身魂の継承だから、しぶといのも無理はないわいのう』
高姫『如意宝珠の玉を見せると云つたぢやありませぬか。そんな婆顔をしてだまさうと思つたつて、だまされもおどろかされも致しませぬよ。サアこれから高姫が岩窟退治の幕開きだ。……オイ常彦、ヨブの両人、何をおぢおぢと慄うてゐるのか、千騎一騎の此場合、チツト気を付けなされ』
常彦『高姫さま、此草つ原で貴女何を一人、喋くつて居るのですか』
『お前も余程好い呆け人足だなア。此立派な岩窟がお前の目にはつかぬのか』
ヨブ『高姫さま、向ふの森蔭にモールバンドのやうな怪獣が此方を向いて睨んで居ますよ。チトしつかりして下さい』
『お前こそしつかりして呉れなくちや困るぢやないか。そんなとぼけた事、千騎一騎の場合になつて、云うてるやうなことではどうなりませう。何の為にお前をはるばる連れて来たのだい。こんな時に足手纏ひにならうとは、如何な高姫も思はなかつた。……オイオイ高子姫と吐す化物婆ア、早く金剛不壊の如意宝珠を出して来ないか。日の出神を偽ると、八万地獄へ落として、水責火責の成敗にあはしてやるぞよ。三千世界の救主を何と心得て居るか!』
高子『オホヽヽヽ、玉が見たければ、自転倒島の附近の小島を捜しなさい。さうして麻邇の宝は雄島雌島にかくしてあるぞえ。早く鷹依姫に廻り会ふて、麻邇の宝珠の御用を天晴れ勤め上げ、スツパリ改心致して、玉照彦、玉照姫様に心の底から御仕へ致し、我情我慢を出さぬ様にしなさいよ』
『おいて下さい、お前さま等に意見を受けずとも、チヤンと此高姫が胸にあるのだ。雄島雌島に隠してあるなんぞと、そんな馬鹿を云ふものでない。何奴も此奴も云ひ合はした様に、麻邇の宝珠は、雄島雌島に隠してあると異口同音に言ひくさる。そんな古い文句はモウ聞きあいた。サア約束通り、玉がなければ許してやるから、鷹依姫に面会さしたがよからうぞ。それをゴテゴテ言ふならば、此高姫も千騎一騎の活動だ』
 高子姫は白髪の醜き婆アさまの姿になつた儘、
『高姫さま、こちらへ御座らつしやれ。鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの四人の御方に面会させてあげませう』
と先に立つて岩窟を右に廻り左に廻り、うす暗い奥の方まで連れて行く。
高子『サア高姫さま、ここに四人共居られます。ゆつくり御話し下さいませ』
 見ればガラスの如く透き通つた隔ての中に、鷹依姫を始め一同は兎と鰐に取巻かれ、嬉しさうに果物の酒を飲んだり、唄つたり、踊つたり、愉快さうに戯れて居る。高姫は之を見るより、隔てのガラスのあるとは知らず、
『コレ鷹依姫さま、何の事だい。千騎一騎の此場合、お前さまは気楽さうに、こんな魔神の岩窟に這入つて、兎や鰐を相手に酒を飲んで、踊り狂うて居るといふ事がありますかいな。私はお前の後を尋ねて、お前の難儀を助けたいと思つたから、危険を冒してここまでやつて来たのだ。それ程気楽に暮して居るのなら、アタ阿呆らしい、ここまで来るのぢやなかつたに』
と飛び込み、鷹依姫、竜国別を引摺り出さうとする刹那、ガラスに顔を打ちつけ、
『アイタヽヽヽ、此高姫と同じ奴が向方に一人這入つてゐる、コラ化物!』
と腕を振上げると、向ふも腕を振り上げる。此方が目を剥けば、向ふも目を剥く。高姫は初めて鏡を見たのである。
『コレコレ常彦、ヨブさま、これ御覧! 私に寸分違はぬ化物が居やがる。一寸も油断はなりませぬぞや。蜃気楼の様に私の姿をソツクリ其儘に現はして居やがる。油断のならぬ化物だぞ。一寸ここまでお出でなさい』
 二人は『ハイ』と答へて、高姫の側にすりよつた。又もや常彦、ヨブの同じ姿が立つて居る。高姫は二人を見比べて又もや頓狂な声を出し、
『又しても化けよつたなア。コレコレ常彦、ヨブさま、しつかりせぬか。お前迄が模型をとられて了つたぢやないか。是からキツト此化物奴、高姫、常彦、ヨブと姿を変じ、其処等あたりを、だまし歩くに間違ひないから、今の間に亡ぼしておかねばなりませぬぞや。サア高姫が力一杯、此奴と格闘してこらしめてやるから、お前はお前の模型と、一つ力比べをしなさい。……コレコレ鷹依姫、竜国別、お前は化物の後に居るのだから、一つ加勢をしてお呉れ。さうすりや、私の姿の化州を前と後からはさみ討ちに、こんな化物は一人と一人は到底互角の勢で勝負がつくまい。人が口を動かせば動かす真似をさらす、稀有とい奴、……コレコレ常彦、ヨブ、お前は後まはしにして、私の模型から叩きつけて御呉れ』
 常彦、ヨブの両人は、
『ハイ承知致しました』
と鏡に映つた高姫の頭を目がけて、力一杯になぐりつけた。高姫はビツクリ仰天、
『アイタヽヽヽ、コレ両人何をする、私ぢやない、向方の化州ぢやがな』
 二人は鏡の顔を目当に力一杯なぐりつける。
『又しても私をなぐるのんかいな。ソレ向方の奴ぢや』
常彦『向方の奴を擲つて居るぢやありませぬか。あれを御覧なさいよ。化州をなぐると思へばお前が知らぬ間になぐられたのだ』
『エヽ鈍な男だなア。それだから、まさかの時に間に合はぬと、何時も云ふのだ。……痛いがなア、モウおいておくれ』
常彦『そんなら措きませうか』
高姫『何だかチツとも合点が往かぬぢやないか。エヽ仕方がない、何と云つても、鷹依姫、竜国別の奴、酒に魂を取られやがつて、兎や鰐を相手に遊んで居やがる。モウかうなる上は第一の魔性の女を制敗致せ』
『さうぢや さうぢや』
と両人は高子姫の後を追つかけて行く。高姫はブツブツ呟き乍ら、自分と同じ姿に向つて睨めつけ乍ら、サツサと岩窟の入口指して走せ帰る。外に仁王の如く立つて居る春彦は大口あけて、
『アハヽヽヽ、オホヽヽヽ』
と哄笑してゐる。高姫は之を眺めて、
『コレコレ春彦、お前は余程馬鹿ぢやなア。何を気楽さうに笑うてゐるのだい。常彦、ヨブの両人は、行方が分らなくなつて了つたよ。お前もチツトしつかりせないと、どんな事が此悪魔の岩窟には起るか知れぬ。エーエ腑甲斐なや、足が立たないのかや』
春彦『アハヽヽヽ、高姫さま、最前から随分泥水の葦原で能く踊りましたな。二人はあこに転げて居るぢやありませぬか』
 斯かる所へ以前の三人の女、美しき姿となつて現はれ来り、
『高姫さま、誠に済みませなんだねえ』
高姫『エヽ化物奴、思ひ知れ!』
と拳を固めて、三人目がけて、打たむとする其刹那、パツと三人は煙となつて消えて了つた。白狐の姿目の前に三つ、のそりのそりと這ひ出し、あなたの森林目がけて一目散に逃げ去り「コンコンカイカイ」と鳴き立てて居る。高姫は始めて気がつき、あたりを見れば、シクシク原に泥まぶれとなつて、立つて居る事が分つて来た。是より高姫は翻然として悟り、玉の執着心を悉く心の底より払拭し去り、遂に時雨の森の邪神を言向け和し、目出度く自転倒島をさして帰国の途に就けり。
(大正一一・八・二二 旧六・三〇 松村真澄録)
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