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文献名1霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻
文献名2第1篇 千万無量よみ(新仮名遣い)せんまんむりょう
文献名3第6章 曲の猛〔1043〕よみ(新仮名遣い)まがのたけび
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-10-31 14:13:07
あらすじ
そして、教祖様の言として、上田は結構な御魂を邪神界の神だと言って霊縛をかけたり神界の邪魔ばかりするので、綾部に帰れないようにするのだとおっしゃった。すると大雨で和知川の水があふれ、橋が流されてしまったのも、まったくご神徳のなせる業だと、懇々と説き聞かせ、自分に忠告するのであった。

自分は相当教育もある人たちが、こんなことを信じてわざわざ自分に言って聞かせるために綾部からやってきたことに呆れていた。

足立氏らと入れ違いに、出口澄子がやってきて、福島寅之助や四方春蔵らの神がかりが無茶苦茶に荒れ狂って上田先生の悪口を言い、信者たちがそれを信じ切ってしまっている、と注進に来た。教祖様は何事も神様に任すがよいと言って静観しているが、自分に早く綾部に帰ってもらい、一同の目を覚まして欲しいという。

また祐助爺さんがやってきて、綾部は福島らの神がかり騒ぎで町中の人が野次馬に集まり、しまいには野次馬の中で喧嘩が始まり、車引きの人足がご神前に土足のまま暴れまわって見物人がますます面白がり、困り果てていると報告した。

祐助爺さんは、また信者たちが教祖様の財産を食い物にして、日清戦争に出征した教祖様の息子・清吉さんの恩給もすっかり食いつぶし、それでいてお賽銭も入れず会計もせずに、神がかりだの霊眼だのにかまけていると嘆いた。

喜楽は半紙に爺さんの苦労を慰める狂歌を書いて渡すと、爺さんはありがたく押し頂いて懐に入れて帰った。二三日後、また祐助爺さんがやってきて、大切そうに牛人の金神からの筆先だとうやうやしく差し出す。

喜楽は、爺さんの眼を覚ますために、目の前で筆先を引き破った。爺さんは驚いたが、喜楽は爺さんに、金神からもらった扇子を破ってみろ、と進めた。爺さんは扇子を引き破ったが、罰が当たる気配もないので、また狂乱した村上房之助の神がかりに騙された、と怒った。

喜楽は祐助爺さんと一緒に綾部に帰った。大広間は信者があふれ、外には見物人がごった返してちょっとした騒ぎになっている。村上房之助に何者かが憑依して、信者におかしな命令をなしてたぶらかしていた。

神がかりの村上は自分を見るなり、扇子に何か書いたものをもったいぶって差し出したので、喜楽は一同の目を覚ますちょうとよい機会だと、扇子で村上の顔をたたいた。

奥からは四方春蔵ら三人が、喜楽に神罰を当てろと細い声で叫んでいる。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年10月14日(旧08月24日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年4月3日 愛善世界社版55頁 八幡書店版第7輯 177頁 修補版 校定版55頁 普及版27頁 初版 ページ備考
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本文
 四方源之助、西村文右衛門の両氏は、喜楽のすすむる茶を飲み乍ら、又話を続けられた。
『金明会の御広間では、先日から世に落ちて御座つた、沢山の金神様や竜神様が、今度勿体なくも艮の金神さまが、此世へおでましなさるに就て、今度の際に、今迄おちてゐた神を此世へ上げて、其霊魂を救ふてやらねば、モウ此先万劫末代あがることが出来ぬから、今上田の審神者が綾部へ帰つて来たら、邪神界の神ぢやといふて封じ込めたり、追つ払つたり、霊縛をかけたり、いろいろと神界の邪魔許り致すに依つて、気の毒乍ら、暫くの間上田を綾部へ帰らぬ様にしてやると仰有つた。教祖様の御言葉の通り、俄に大雨が降つて来て、和知川は一升二合の水が出て、綾部の大橋が流れて了ひました故、上田サンが綾部へ帰れぬやうになつたのも、これも全く出口の神の広大無辺の御神徳だと思ひます。神さまは大変に先生を嫌うて居られますから、今度綾部へお帰りになつても、今までみたやうに我を出さぬ様にして、何事に依らず、出口の神様と神懸りサンの言に従うて下さらぬと、いつもゴテゴテ致しまして、先生には綾部に居つて貰ふことが出来ぬやうになりますから、私たちは先生を大事に思ふ余り、ソツと御意見に来たのであります。兎角出る杭は打たれると云ひますから、何神さまにでも敵対なさらぬが天下泰平ぢや、先生の御身の得ぢや』
と忠告をする。喜楽は相当教育あり、村でも町村会議員まで勤めてゐる様な人が、こんな事を云ふと思へば余りのことで呆れて答へる言も知らなんだ。二人はいろいろと喜楽に意見をした後帰つて行く。
 それと行違に、喜楽が上谷まで帰つたと聞いて、出口澄子が密かに走つて来て、
澄子『先生、あなたの御不在中に、四方春三サンやら村上サン、黒田サン、塩見サン等が御広間へ帰つて来て、無茶苦茶な神懸をしたり、他愛もないこというたり、飛んだり、跳たり、しまひには裸になつた儘屋外を走つたり、上田は神界の大敵役だから、今度帰つて来ても金明会へ入れることはならぬ、皆の者がよつてたかつて放り出して了へ、三人世の元、これ丈居つたら結構々々、上田は悪神の守護神ぢや、鬼の霊だから、鬼退治をすると云つて、春三サンが先生の顔に角の生えた絵を書いて、釘を打つたり叩いたり、唾を吐きかけたりして、大変に煙たがつて、悪い口許り言ひますので、皆の信者がそれを真に受け、そんな先生なら帰んで貰へと、口々に言ふので仕方がないので、教祖さまにチツと云うて聞かして貰はうと思うて申し上げますと、教祖ハンは平気な顔で、何事も神界へ任すがよいと云うて黙つて居られますなり、一体何が何やら訳が分りませぬ故、一時も早う帰つて貰うて、皆の人等の目を醒ましたいと思ひ、役員信者に隠れて、知らせに一人で走つて来ました』
と気色ばんで報告するのであつた。そこで喜楽は、後の修業者を四方藤太郎氏に任しておき、一先づ綾部へ立帰らうとしてゐる所へ、又々例の祐助爺サンが走つて来て、大地へ手をついて泣声を出し乍ら、
祐助『一寸先生に申上げます。昨日の夕方からお昼までが余り騒がしいので、町中の人が芝居でも見るやうに面白がつて集まり来り、門口も道も山の如うに、大勢が冷笑に来ますので、大変に困りましたけれ共、何にも知らぬ盲人間だと思うて、相手にせずに役員も信者も、一生懸命に幽斎を修行して居ました所、夕方に西八田の小万といふ俥ひきが、横の細路を空車をひき乍ら……金神々々阿呆金神、気違金神、夢金神、乞食金神、根つからましな人間が来ん神ぢや……と大きい声でいろいろ悪いことを並べ立て、沢山の見物人を笑はして通りつつ、俥を泥田の中へ転覆さしました所が、丁度そこを通りかかつた人が、それを見て……お前は余り金神さまの悪口を言うたので、神罰が当つたのぢやと言ひましたら、人力曳の小万が怒つて、其人を殴りかけましたので、ビツクリして西の方へ一目散に逃出しました。サアさうすると小万が……金神の信者たるものが、人が泥まぶれになつて困つて居るに罰とは何ぢや、そんなことを吐した奴を、今ここへ引ずり出せ……と呶鳴つて広間へあばれ込み、西原の善太郎サンが参つて居りましたら、白い浴衣を着てゐた餓鬼ぢや、此奴に違ひないと云つて、土足のままで御神前へあがり、あばれ狂ひ、神さまの御道具を片つ端からメチヤメチヤに叩き壊して了ひ、沢山の町の人が面白がつて、……ヤレ金神征伐ぢや、ヤレヤレ……とケシをかけたり嘲笑つたりして、一人も仲裁する者はなし、散々に神さまの悪口を言うた揚句ヤツとのことで其晩の十二時頃に帰つて行きました。皆の信者はチクチクと怖がつてゐますなり、警察は側にあつても、常から足立サンの行状が悪いとか云つて、保護もして下さらぬなり、此爺イも誠に残念で残念で堪りませぬ』
とソロソロ声を放つて泣き出した。

 凩や犬の吠えつく壁の蓑

 涙をふいて又祐助爺サンがソロソロと悔み出した。
祐助『モシ先生さま、よう聞いて下さいませ。出口の神さまが、日清戦争で台湾で亡くなられた清吉サンの恩給とか年金とかを、これは生命と釣換の金ぢやからと云うて、一文も使はずに貯ておかれたお金を、銀行からひつぱり出して、勿体ない白米を二石も買うて下さりましたが、毎日日日皆の者が出て来て食ふので、最早一升もないやうになりましたから、又出口の神様が銀行から金を出して来て、白米や油を買うて下さいましたが、種油丈でも五六升も一日に此頃は要ります。それでもまだ邪神界が暗いから、マツと灯明をつけてくれと、お三人サンの神懸の口をかつて仰有るので、百目蝋燭を二三十本づつ立てますので、大変な物要りで御座いますが、金の一銭も上げやうとせず、どれもこれも皆よいことにして、出口の神さまの手足許りかぢつて、心配り気配りする誠の信者は一人もなし、誠にお気の毒千万で、此爺イも神さまに申し訳がない、四方平蔵サンは天眼通とかが上手だというて、お三人サンと一つになつて、望遠鏡でも覗くやうに妙な格好して、……平蔵どのあれを見やいのう……と三人サンが仰有ると、平蔵サンが目をふさいでハイハイ拝めました拝めました、大きな竜神さまが現はれましたとか云つて、一心不乱になつて御座るもんだから、会計のことは一寸も構うて下さらず、中村の竹サンは、お筆先を一心不乱に朝から晩まで、晩から夜中まで、阿呆のやうになつて、節を附けては、浮かれ節の様に、読んで読んでよみ倒して、アハヽヽヽ、オホヽヽヽと笑うて許り、何にも役には立たず、出口の神さまはお筆先の御用計りして、こんな大騒ぎをして居るのに、そしらぬ顔をして居られますなり、私もコラ何うなることかと、余り心配致しますので、元から沢山ない禿頭が一入禿て、其上竈の煙で黒光になつて了ひまして、皆の役員サンが……御苦労の黒うの祐助とひやかします、アタ阿呆らしい、神さまの事でなかつたら、隠居の身分で安楽に暮せるものを、誰がこんなことを致しませうか』
と涙交りの黒い顔を黒い手で撫で廻し、歯糞の溜つた口から一口々々唾を飛ばして、喜楽の顔へ吹きかけ乍ら、一生懸命になつて喋り立ててゐる。そこで喜楽は側にあつた半紙に筆を走らせ、

 禿頭鳥居もかみもなきままに
  クロウクロウと愚痴を祐助

と書いて与へたら、
祐助『アハヽヽヽ此奴ア有難い』
と喜んで押頂き、懐に捻込んで一目散に又もや綾部へ帰つて行く。
 それから三日目に又此爺イさんがスタスタとやつて来て、何か大切相に風呂敷包から手紙の様な物を出し、
祐助『先生、これは畏くも、牛人の金神様から、上田先生に対しお気付けのお筆先で御座いますから、叮重にして御覧下さいませ』
と差し出す。喜楽は直に披いて見ると、不規律な乱雑な書方で、
『牛人の金神が上田に一寸気をつけるぞよ。神の都合があるから、修業者一統引つれて帰るべし、此神の命令を叛いたら怖いぞよ云々……』
と記してある。喜楽は祐助爺イサンの迷ひを醒ます為に、其手紙を目の前でバリバリと引さいて見せた。爺サン吃驚して、
祐助『アヽ先生勿体ない、そんな事をなさると神罰が忽ち当りますぞ』
と躍気となる。喜楽は祐助サンに向つて、
喜楽『ナアに心配が要るものか、お前が牛人の金神に貰うたとかいふ其扇子を一つ引裂いてみるがよい。決して罰など当るものでない』
と励ましてみると、どつちやへでも人の言ふことにつく、阿呆正直者の祐助サンは、其場でベリベリと破つて了ひ、別に手も足も歪み相にないので、祐助さんはソロソロ地団駄を踏み出し、
祐助『此頭の禿げた爺イが、まだ十八やそこらの村上に騙されたか、エヽ残念至極口惜しやなア』
と其扇子を大地に投げつけ、踏むやら蹴るやら、其様子の可笑しさ、気の毒さ、何とも云ひやうがなかつた。
 それから祐助サンと同行して、金明会の広間へ帰つてみると、御広前には信者が溢れて居り、屋外には見物人が山をなして、邪神の面白い神懸りをひやかして居る。喜楽はすぐに内へ這入ると、村上房之助に何者かが憑依して、沢山の信者をたぶらかし、あつちやへ行け、こつちやへ行けと嬲り者にし乍ら荒れまはつてゐる。何にも訳を知らぬ信者が、神様だと思うて怖がり、ヘイヘイハイハイと言ふが儘になつてゐた。村上は自分の顔を見るなり、
村上『オヽ上田か、よく帰つた。此方は小松林命だ。その方は牛人の金神の命令をよく聞いた、偉い奴だ、其褒美として之を其方に使はす間、大切に保存するがよからうぞよ』
と大きな骨の扇に、何かクシヤクシヤと書いて勿体振つて差出すのを、手に取るより早く、数多の役員信者の目をさますにはよい機会だと思つて、其大扇で村上の頭を三つ四つ叩いてみせた。信者は各自不思議な顔をして、喜楽の顔許りながめて居る。奥の間の方から例の三人程の声として、
『上田殿が今帰りよつた。大神さま早く神罰を当てて下さいよ』
と細い声で、叫んで居た。

 心なき世人の誹何かせむ
  神に任かせし吾身なりせば

(大正一一・一〇・一四 旧八・二四 松村真澄録)
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