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文献名1霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻
文献名2第3篇 冒険神験よみ(新仮名遣い)ぼうけんしんけん
文献名3第17章 旅装〔1054〕よみ(新仮名遣い)りょそう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-11-07 13:47:05
あらすじ
明治三十三年八月一日、喜楽は郷里の義弟が危篤の電報に接して、急いで故郷へ帰った。義弟の西田元吉は重体であったが、神界へ祈願の上全快することを得た。これが西田元教が信仰の道に入ったきっかけである。

喜楽が綾部へ帰ってみると、門口に荷物一切が荒縄や新聞紙で包んで放り出してある。聞けば、四方春蔵が独断で役員会を開き、教祖にも内緒でこんなことをしたのだという。

四方春蔵は陰謀が露見し、四方平蔵を取り持ちにして謝罪の嘆願をなし、ひとまず無事におさまった。しかし機会さえあれば上田を追い出してやろうという考えは少しも離れなかった。

自分は教祖に招かれて、義弟が回復した報告をなして喜び合っていたが、そこに中村竹蔵がやってきて、お筆先を盾に喜楽を非難し始めた。教祖は中村をたしなめ、三宝の上に置かれた筆先を気楽に渡された。

そこには、普通の人間では行かれないところに出修する旨が書かれていた。教祖のほかに、上田海潮、出口澄子、四方春蔵の三人を連れて行くとあった。

自分は四方春蔵が同道することに異を唱えたが、神様の主意を教祖に諭されて納得した。その日は八月七日であった。

教祖は自分に、恐ろしいことがあるから裏口を開けてごらんなさい、神様が皆の戒めのためじゃとおっしゃっている、というので、側にいた四方祐助と四方春蔵を誘って見てみた。

三人が見回していると、カエルがミミズを飲み込み、蛇がカエルを飲み込んだ。次いで、自分が寵愛しているお長という雌猫が蛇をかみ殺した。すると大きな黒猫が現れてお長を追い、お長は黒猫にかまれて木の枝から墜落して伸びてしまった。

自分はお長の敵と黒猫を木から揺り落そうとしたが、猫の糞まみれにされてしまった。三人は、上には上があるものだということを知った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年10月18日(旧08月28日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年4月3日 愛善世界社版180頁 八幡書店版第7輯 226頁 修補版 校定版185頁 普及版96頁 初版 ページ備考
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本文
 明治三十三年八月一日、喜楽は郷里なる穴太より義弟危篤の電報に接し、急ぎ故郷へ帰つた。案の如く大病で義弟なる西田元吉は重態である。早速神界へ祈願の上、全快すべきことを告げ、其翌々三日綾部へ帰つた。大本の布教者西田元教は此時始めて神の尊き事を知つて信仰に入つた。其動機には実に面白い次第あれど稿を改めて口述することとする。
 さて綾部へ帰つて見ると、門口に喜楽の荷物一切が荒縄や古新聞で包んで、放り出してある。不思議に思つて四方春三を呼んで、誰が斯んな事をしたのかと尋ねると、彼は顔色を変へて奥の間に逃げ込んだ。益々不思議だと思つて四方祐助を呼んで委細を聞くと斯うである。
祐助『先生の御不在中に役員会議がありました。其時に四方春三サンが発起人で、あんな上田サンの様な訳の分らぬ先生は、一日も早く追ひ返すがよい。天眼通も天耳通も何もかも、皆上田サンの知つて居る事は、四方春三が皆覚えたから、今故郷へ帰つて居られるのを幸ひ、一時も早く荷物を穴太へ送つて、断りに四方平蔵サンが役員総代で行かれる処でありました。あなたの御帰りが一日遅かつたら、皆の役員サンの思惑が立つのに惜い事ぢや』
と頭を掻いて苦笑ひをして居る。そこで、
喜楽『此事は教祖さまは御承知か』
と尋ねると、
祐助『イエイエあんたを先へ送つて了ふた上で教祖様に申上げるのです。前に教祖様に申上げたら、キツと止められるは必定ぢや。あんな権太郎先生に永らく居つて貰つては、皆の役員が困るから、善は急げといふ事があると昨日から皆の者が位田の村上新之助サンの家で集会してます』
との事である。誠に油断も隙もあつたものでない。又一方の四方春三は陰謀露顕に及んだので、何とか善後策を講ぜねばなるまいと、位田の村上宅へ自ら走つて報告した。反対者は驚愕の余り施すべき手段がないので、とうとう山家村鷹栖の四方平蔵方へ、謝罪して貰ひたいと歎願に出かけた。平蔵氏の取持で双方共に一先づ無事に治まるは治まつたが、機会さへあらば、上田を追出してやらうといふ考へは少しも放れなかつたのである。何れも皆金光教会の教師や役員や信者になつて居つた人々計りだから、金光教の守護神が憑つて、上田を排斥せむとするので其肉体は実に気の毒なものである。
 喜楽が斯道の為に満腔の熱誠をこめ、寝食を忘れて活動せる結果は大に功を奏し、日に月に隆盛に赴き、教祖も是非神勅なれば上田をして事務を総理せしめむとされたので、例の足立氏は憤怨措く所を知らず、身は京都に在り乍ら、従来の部下を使嗾して百方排斥を試み、野心満々たりし四方春三を旗頭となし、今回の横暴を繰返したるなるに、斯る重大事件を傍観し居られし教祖の心事面白からずと、稍捨鉢気分に成り居れる際、四方祐助の使を以て、教祖は上田を招かれたれば、心中に積み重なれる疑団を晴らすには好機逸す可からずと、直に広前に参じ教祖に故郷の様子などをお話し、互に義弟の病気の快方に向へることを喜び合つて居たが、中村竹造は奥の一間より御神諭を奉じて出で来り、さもおごそかに喜楽に向ひ、
中村『今回教祖殿は此寒空に、何国へか神命を奉じて御修行に御出ましになり、御老体の身として御苦労遊ばすこと、吾々は何とも申様がありませぬ。是も全く上田サンの改心が出来ぬからであります。謹んでお筆先を拝読きなされ。神様や御国の為に尽さなならぬ人が、病人位で郷里へ帰るなんて、実に神様を軽しめて居られるのぢや。人の一人や半分死んだつて、大切の御用に代へられますか、此筆先は今度教祖さまが御修行に御出ましなさる御神勅でありますぞ、改心の出来ぬ者は教祖の御伴叶ひませぬ。上田を伴れて行くとありますが、あなたのやうなお方のお出でになるべき所ぢやない。何程神勅でも、役員として御道の為に、拙者が今回の御供は、生命に代へてもさせませぬ。其代りに拙者が及ばず乍ら御供仕る。上田サン如何で御座る。只今教祖の前で御返答なされ。トコトン改心するから、御供をさして下さいと契約書を御書きなさい』
云々と中村氏は胸に一物ある事とて、口角泡を飛ばして上田に毒付いて居る。喜楽は聞かぬ顔して、横を向いて庭の面を眺めて居ると、教祖は中村氏に向ひ、
教祖『御神諭は上田さまの事ぢやと思ふたら違ひますぜ、中村サン チと胸に手をおいて、先日からの皆サンの行ひを考へて、取違ひを成さらぬやうに……』
と一言柔かな針を入れられて、中村は首尾悪さうに教祖の前を下がり、御神諭を元の所へ納めて了つた限、物も言はず面ふくらしつつ、足音高く畳ざわり荒々しく、自分の居間へ下つて了つた。
 教祖は自ら座を立ち、神前の三宝の上に置かれたお筆先を手づから喜楽に渡された。恭しく押戴いて直に其場で拝読すると、御神文の中に、
『今度は普通の人間では行かれぬ処ぢや。実地の神の住居いたして居る、結構な所の怖い処である。皆の改心の為に上田海潮、出口澄子、四方春三を連れ参るぞよ』
と記されてあるので、早速教祖に向つて厳しく談判を吹きかけた。其理由は四方春三の御供に加はつて居ることである。彼は当年の夏頃より上田排斥の主謀者とも云ふべき人物で、西原と上谷の間の峻坂にて上田を○○せむとなしたる如き侫人である。それでも寛仁大度の吾々は、神直日大直日に見直し聞直し宣直して赦して置いたにも係はらず、又々今回吾帰郷中に大排斥運動の原動力となつて駆廻つて居る。然るに世界の善悪正邪を透見し玉ふ艮の金神様が彼をお供に加へられるとは如何しても合点が出来ぬ、艮金神さまは良い加減な神さまだ。彼の如き者と同行するは恰も送り狼と道づれになるやうなものだ。それを知つて同行させると神から言はれるのは、要するに上田を排斥されたのであらう。表面は体裁を良くし、裏面には上田を同行させない御神意であらうから、今度の御伴は御免蒙りたい……と稍憤怒の情を以て教祖に肉迫した。さうすると教祖は、
教祖『イエイエ決して其様な主意ではありませぬ。最早此通り旅立の用意も出来て居りますから、今度は是非同行して貰はねばなりませぬ』
と蓑笠に杖草履など準備の出来上つたのを、見せられたので、漸く得心して御供することにした。其日は八月の七日であつた。教祖は尚も上田に向ひ、
教祖『海潮さん、一寸裏口を開けて御覧なさい、恐ろしい事がありますからよく見ておいて下されや。皆戒めの為ぢやと神様が仰有りますぜ』
との言である。何となく気味が悪いので側に居た四方祐助と四方春三とを誘うて、裏口の障子を開放して見たが、教祖の言はれたやうな恐ろしいものは一つも見当らぬ。何の事か合点が行かぬので、三人がそこらをキヨロキヨロ見廻して居ると、裏口の柿の木の下に蚯蚓が一筋這うて居る斗り、暫時経つと一疋の殿蛙が勢よく飛んで来たかと思ふと、矢庭に其蚯蚓を呑んで了うた。其後へ又黒い可なり太い蛇が出て来て、其蛙を一呑みにして了うた。併し別に是位の事が何恐ろしいものかと思つて三人が熟視してゐると、平素上田が寵愛して居るお長といふ雌猫が走つて来て其蛇を噛み殺して了うたと見る間に、何処から来たか、黒色の大猫がお長を噛殺さむとする。お長は驚いて直に柿の木へ逃げ登つた。黒猫も亦続いてお長の跡を追うて柿の木へ登つた。上田はお長を助けたさに柿の木へ続いて攀登つたが、一の枝まで上つた頃、お長は黒猫に噛まれて、悲しい声を出して、高い枝の上から地上に墜落しふンのびて鳴いてゐる。上田はお長の仇敵と一生懸命になつて黒猫をゆり落さうとしたが、何うしても落ちぬので、止むを得ず下へおりて見ると、上田の新しい浴衣の白いのが、猫の糞まぶれになつて居た。三人は始めて……あゝ上に上のあるものぢや、如何にも恐ろしい事ぢや……と肌に粟粒を生ずる程に驚いた。其時教祖はニコニコし乍ら三人の前に現はれ、
教祖『これで何事も分りませう』
と言はれたが、其時には余り深く教祖の御言葉も心にとめなかつたけれど、後に至つて其理由が判明したのである。
(大正一一・一〇・一八 旧八・二八 松村真澄録)
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