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文献名1霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻
文献名2第4篇 浮木の岩窟よみ(新仮名遣い)うききのがんくつ
文献名3第14章 清春山〔1079〕よみ(新仮名遣い)きよはるやま
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-11-21 10:35:54
あらすじ清春山の大岩窟には、バラモン教の一派が暴力をもって地方民に生産物を奉納させ、信仰を強要し、恨みの声は地上に満ちている有様であった。照国別は照公・梅公を連れて清春山山麓にさしかかったとき、谷底に聞こえてきた女の声に立ち止まった。一行が谷底に向かうと、大の男が女を縛って打ち殴っている。宣伝歌を歌いながら近づくと、男たちは逃げてしまった。女は、梅彦というウラル教徒の兄が竜宮の一つ島へ渡ったのを探しいているのだという。三五教に梅彦という宣伝使がいると聞き、信者と化けて兄の行方を探っていたが、いつしかその教えがありがたくなり、本当の三五教徒になったのだという。女は、兄の行方を尋ねる旅の途上、清春山に巣窟を構える大足別というバラモン教の悪神の部下たちに捉えられていたのだと明かした。照国別は、女の名・菖蒲から、この女が自分の妹であることを確信した。菖蒲は大足別の妻になるようにと強要され、両親をさらわれてしまったことを照国別に明かした。照国別は大神の使命の途中に寄り道をすることをためらうが、照公と梅公は、人々の危難を見過ごして通り過ぎるわけにはいかない、と主張し、大足別を言向け和しに出発することになった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年10月28日(旧09月9日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年5月5日 愛善世界社版194頁 八幡書店版第7輯 350頁 修補版 校定版204頁 普及版83頁 初版 ページ備考
OBC rm3914
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本文  フサと月との国境に屹山せる半禿山の山奥に大岩窟を構へて、バラモン教を開設し、一方無暗に地方民の生産物を暴力を以て奉納せしめ、驕慢日に募り怨嗟の声は地上に充ちてゐる。バラモン教の宣伝使は清春山の部下に限り、左手にコーランを持ち右手に剣を携へて無理往生に信仰を強要しつつあつた。
 照国別は照公、梅公の両人と共に、河鹿峠を難なく打越え清春山の山麓にさしかかる時しもあれや、俄に谷底に聞える女の叫び声に一同立止まり暫し首を傾けてゐた。叫び声は益々烈しくなつて来た。只事ならじと照国別一行は悲鳴を尋ねて谷底に近寄り見れば、大の男四五人、女を後手に縛り打擲してゐる。人を助くる宣伝使、これが見すてておかれやうかと、宣伝歌を歌ひ乍ら其場に間近くかけつけた。五人の荒男は三人の姿を見るより、あわてふためき、女をそこに残して、チリヂリバラバラに思ひ思ひの方へ逃げて行く。照国別は女の側近く立寄り、
『吾々は三五教の宣伝使、此街道を通る折しも、俄に女の叫び声、コリヤ何事か惨劇が演ぜられてゐるのであらう、何は兎もあれ助けねばなるまいとここ迄尋ねて来たもの、最早吾々が現はれた以上は大丈夫だから、御安心なされよ』
と親切に労はれば、女は目をしばたき、
『ハイ、有難う厶います、ようマア危急存亡の場合をお助け下さいました。これと云ふのも全く神様のお助けで厶いませう。何を隠しませう、妾は三五教の信者、兄の行方を尋ねて巡礼する者、女の一人旅、ここ迄参りますとバラモン教の連中に取巻かれ、高手小手に縛められ、無体の要求に立腹の余り、口を極めて罵つてやりました所、五人の男は大に怒り殺してくれむと四方八方より、刀の鞘にて体一面所かまはず、突いて突いて突きまはし、苦痛に堪へかね、卑怯にも悲鳴を上げた所で厶います。よくマアお助け下さいました』
照国別『それは危い事、マアマア安心なさい。オイ、照公、梅公、此婦人の縛を解け』
 『ハイ』と答へて両人は手早く縛をときにかかつた。
照公『何とマア惨酷な縛りやうだ。藤蔓で肉にくひ入る様に縛つてゐやがる』
と言ひ乍ら守刀をスラリと引ぬき、蔓を切り放し、女を漸くにして縛よりとき放つた。
女『おかげで安心致しました。あなたは三五教の宣伝使様、私はコーカス山に参り或動機より三五教の信者になつた者で厶います。私の兄は梅彦といつて盤古神王様の教を伝ふべく、竜宮の一つ島へ参つたきり、今に行方が判りませぬ。父母はそれを苦にして最早世を去り、後に残つた妾は只一人、家にゐる事も出来ず、噂に聞けば、三五教の宣伝使に梅彦といふ方があると承り、コーカス山に元は信者と化け込んで様子を探る折しも、いつとはなしに三五の教理が有難くなり、とうとう誠の信者となつて了ひました。承はれば兄の梅彦は自転倒島とやらへ宣伝使となつて参つたと云ふこと、そして日出別の神様のお弟子になつた事まで承はり、斎苑の館の日出別様にお目にかかり、兄の所在を尋ねむと、アーメニヤを後にはるばる此処まで参る途中に、悪者に出会つてかかる憂目に会うた所で厶います。此近くには清春山といふ高山があつて、其山奥に大足別といふ悪神の大将が巣窟を構へて居りまする。其部下共に捉へられ、大足別の女房になれよとの無体の要求に腹を立てこんな憂目に会うてゐた所、よくマア助けて下さいました。たつた一人の兄妹を尋ねて参る憐れな女で厶います。あなた様も三五教の宣伝使と承はりましたが、梅彦の所在は御存じでは厶いませぬか』
照公『ヤア其梅彦とやら梅公とやら云ふ男は此処にザツと一対居られますよ』
女『エヽそれは本当で厶いますか』
照公『梅公といふのは此男、照国別の宣伝使は今迄梅彦さまと言つてゐました。ナアもし宣伝使様、あなたは何時やら、一人の妹があると仰有つたやうに覚えて居ります。ヨモヤ此お方ではありますまいか、三日月眉毛にクルリとした目の具合、よく似て居りますで』
梅公『ホンにホンに似たりや似たりや、瓜二つだ。何と云つても照国別様の妹に違ない』
 照国別は黙然として女の顔をマジマジと眺めてゐる。女も亦宣伝使の顔を穴のあく程首をかたげ乍ら見つめてゐた。暫くあつて女は思ひ切つた様に、
『あなたは兄上ぢや厶いませぬか、お懐かしう存じます』
照国別『お前の幼名は何と云つたか』
『ハイ私の幼名は菖蒲と申しました』
照国別『そんなら擬ふ方なき吾妹、ようマア無事でゐてくれた。併し乍ら海山の御恩深き御両親は、此梅彦の事を苦にやんでお国替なさつたか、アヽ残念やなア。如何して両親に申訳が立たうか、余り神様のお道に一生懸命になつて今迄両親の事や妹の事を忘れてゐた。妹、どうぞ許してくれ』
菖蒲『勿体ない兄上様、許すも許さぬも厶いませぬ、斯うなる上は最前申しました事は取消します。実の処は吾々の両親は清春山の岩窟に捕はれて居るさうで厶います。要するに私を女房にくれよと、バラモン教の大足別が幾度となく使を遣はしましたなれども、教理が違ふので、両親はやらぬと申しますなり、私も兄上に巡り会うた上でなければ、返答は出来ないと申してゐましたら、何時の間にやら、私の山に行つてゐる不在中に、両親をかつさらへて、清春山の岩窟に立帰り、私に女房になるならば、両親の命を助けてやらう、さなくば両親を殺して了うとの悪虐無道の掛合、両親も最早三五教の信者となつた以上は、何程苦しき責苦に会うても、バラモン教には降伏せないと頑張つて居りましたから、さぞ今頃は悪神の為に苦んでゐる事でせう。私は心も心ならず、何とかして兄上の所在を尋ね兄妹力を合せて両親を救ひ出さむと、斎苑の館へ進む途中で厶いました』
とワツと許りに声をあげて泣き倒れる其憐れさ。照国別は吐息をつき乍ら落涙に沈んでゐる。
照公『ヤア菖蒲様、あなたの今のお話で、何もかもハツキリ致しました。サアこれから宣伝使様のお供して、清春山の征伐に向ひませう』
照国別『神素盞嗚大神より大切な使命を受け乍ら、如何に両親の危難を救ふとは云へ、使命も果さずに、そんな私上の事は致されまい、ハテ困つたことだなア。両親を救はむとすれば、大神の使命が遅れる、神の命に従はむとすれば両親の身の上はいかに成行くかも計られない。ハテ困つた事が出来たワイ』
梅公『モシ宣伝使様、何程御神命なればとて、途中に悪者のために虐まれてゐる者があれば、これを見のがして行く事は出来ますまい。却て世界を救ふ宣伝使の職務に反するもので厶いませう。谷底の叫び声を尋ねて、ここへ道寄りしたも同じ事、そんな斟酌は決していりますまい、サア早く清春山征伐に参りませう』
照国別『お前のいふのも一応尤もだ。そんならすまぬ事乍ら、両親の危難を救ふ事に致さう』
菖蒲『兄上様、有難う厶います。そんなら私が先導に立ちます。最早之から三里ばかり奥まで行けばそこが敵の岩窟否御両親の捉はれ場所、かういふ内にも心が急ぎます。サア早く行つて下さい』
照国別『そんなら照さま、梅さま、御苦労だが一緒に来てくれるか』
両人『ハイあなたのお供だもの、どこへでも参ります』
 照国別は二人の言葉に勢を得、一行四人山奥の岩窟さして、天津祝詞をひそかに奏上し乍ら尋ね行く。菖蒲は道々歌ふ。
『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  直日に見直せ聞直せ
 世の過は宣り直せ  此御教は三五の
 尊き神の御託宣  とは云ひ乍ら両親を
 悪魔の司に奪はれて  どうして見直し聞き直し
 宣り直す事が出来ようか  山より高き父の恩
 海より深き母の恩  報い返さでおくべきか
 神は吾等と共にあり  三五教の宣伝使
 照国別とはわが兄と  分りし時の嬉しさよ
 曲津の神は多くとも  悪魔の猛びは強くとも
 いかでか恐れむ三五の  誠一つの神司
 仁義の軍に如何にして  刃向ふ術のあるべきぞ
 照国別を初めとし  照さま梅さま菖蒲まで
 心を合せ力をば  一つになして進むなら
 大足別の醜神が  何程手下は多くとも
 旭に露の消ゆる如  亡び行かむは目のあたり
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましまして
 曲津の神に苦みし  父と母との生命を
 救はせ玉へ惟神  神の御前に願ぎまつる
 旭は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  三五教に仕へたる
 女心の一すぢに  岩をも射ぬく吾覚悟
 言向和さでおくべきか  照国別の神司
 神の力をうけ玉ひ  今は立派な宣伝使
 其風采も何とやら  高尚優美に変りまし
 昔の面影どこへやら  英雄君子の御姿と
 ならせ玉ひし尊さよ  あゝ惟神々々
 思ひの晴るる今や時  花さく春の至る時
 アヽ勇ましや勇ましや  大足別は強くとも
 神の力に如かざらむ  清春山は高くとも
 此谷路はさかしとも  なぞや恐れむ三五の
 誠一つの言霊に  言向和しバラモンの
 砦にひそむ醜神を  まつろへ和さでおくべきか
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
と歌ひ乍ら登り行く。梅公は後より歌ふ。
『三五教の宣伝使  照国別に従ひて
 河鹿峠を打わたり  いろいろ雑多と面白き
 景色をながめ来てみれば  千尋の谷間に「ウントコシヨ
 ヤツトコドツコイきつい坂」  グヅグヅしてゐちや危いぞ
 キヤツと一声「ウントコシヨ  けたたましくもドツコイシヨ」
 女の叫び声がする  照国別に従ひて
 声を尋ねて来てみれば  思ひもよらぬ菖蒲さま
 兄妹名乗りをあげ乍ら  二人の親の御難儀を
 救はむ為と勇みたち  此山坂を上り行く
 其いでたちの勇ましさ  「ウントコドツコイ、ハーハーハー」
 本当にきつい坂路ぢや  コレコレまうし菖蒲さま
 足元用心なされませ  ここには蛇や蜈蚣めが
 沢山路に横たはり  手具脛引いて待つてゐる
 此奴も矢張りバラモンの  大足別の醜魂
 蛇や蜈蚣となりかはり  害を加へて「ドツコイシヨ」
 困らしやらむと待つのだろ  虫一匹と言うたとて
 決して油断はなりませぬ  「ウントコドツコイドツコイシヨ」
 これ程きつい山路を  越えて行かねばならぬよな
 山奥深き岩窟に  潜んでゐる奴あ「ドツコイシヨ」
 ロクな奴ではあるまいに  本当に力があるならば
 正々堂々と広原に  館を構へてゐるだらう
 獣もロクに通へない  此谷路のドン奥に
 鳥なき里の蝙蝠を  気取つてゐやがる馬鹿神は
 どうで弱虫腰抜の  張本人に違ひない
 脾肉の歎にたへかぬる  梅公さまが只一人
 あつたら「ドツコイドツコイシヨ」  バラモン教の奴原を
 片つ端からなで切りに  するのは手間暇いらね共
 ヤツパリ一人は危いと  直日に見直し宣直し
 四人一度に上り行く  力が余りて仕様がない
 千引の岩もて鶏の  玉子をわるより易からう
 あゝ面白い面白い  清春山はまだ来ぬか
 何をグヅグヅしてゐるぞ  アタ邪魔臭い邪魔臭い
 ヤツパリ俺がてくらねば  山はどうしても動かない
 「ウントコドツコイドツコイシヨ」  向ふに見ゆる黒煙
 どうやらあこが岩窟だ  さぞ今頃は御両親
 われ等の到るを待ちかねて  厶るであらう「ドツコイシヨ」
 悪のみたまの年のあき  いよいよこれから正念場
 進めや進めいざ進め  照国別や菖蒲さま
 照公さまも潔く  駒に鞭打ち進みませ
 それそれそこに高い石  遠慮会釈も「ドツコイシヨ」
 知らぬ顔して立つてゐる  一時も早く岩窟に
 進んで曲津の首をば  片つ端から切りおとし
 勝鬨あげて三五の  教を照らし世の人の
 悩みを救ひ助くべし  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましまして  われ等一行四人づれ
 神の御為世の為に  雄々しき功績をたてぬいて
 二人の親の生命を  救ひて月の都まで
 進ませ玉へ大神の  御前に慎みねぎまつる』
と歌ひ乍ら、勢よく秋風に吹かれつつ谷間を登り行く。
(大正一一・一〇・二八 旧九・九 松村真澄録)
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