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文献名1霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻
文献名2第3篇 霊魂の遊行よみ(新仮名遣い)れいこんのゆうこう
文献名3第12章 心の反映〔1096〕よみ(新仮名遣い)こころのはんえい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-12-01 11:21:04
あらすじ二人は着衣のまま、広い川を意外にも無事に渡った。見れば美しい花が咲き匂っている花園が見えた。二人は神界へ来たのかと舞い上がったが、カルは自分の身を省みれば、決してこのような結構なところに来られる道理はないといぶかった。いつの間にか二人が立っていた地面は持ち上がり、両側の低いところには大道が通じ、種々雑多な人や獣が往来していた。前方から悲鳴が聞こえてきた。二人が駆け寄ると、一人の男が血刀を持ち、四五才ばかりの童子の胸を突き刺そうとしているところであった。レーブとカルは男に飛び掛かったが、びくともしない。男は童子を突き殺してしまった。カルとレーブは男を非難したが、男は自分はお前たちの心の反映だと言い、生前には童子にひとしい青人草の生血を吸い、修羅の戦場に身を置いた罪がここに顕現しているのだと嘲笑った。レーブは、幽界旅行がさびしくて道連れがほしくてカルと打ち解けたが、その実はこのような悪人はいつかは地獄道へ突き落さなければと思っていたことを懺悔した。カルは殺された童子は自分のレーブへの恐怖心だったと悟った。二人はお互いに自分の心を開きあい、両手を合わせて天地に祈願した。しばらくして目を開けば、あたりは紅の花が咲き匂い、美しい蝶が舞い遊んでいる。両人は初めて心の迷いをさまし、天津祝詞を奏上しながら北へと仲良く手をつないで進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月03日(旧09月15日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年5月25日 愛善世界社版158頁 八幡書店版第7輯 476頁 修補版 校定版164頁 普及版73頁 初版 ページ備考
OBC rm4012
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本文  秋風切りに吹きすさぶ  玉山峠の谷間で
 バラモン教の大棟梁  イソの館の征討に
 上りしランチ将軍の  部下に仕へしカル司
 鬼熊別の家の子と  仕へて名高きレーブ等と
 衡突したる其結果  互に谷間に墜落し
 人事不省に陥りて  いつとはなしに幽界の
 枯野ケ原を歩みつつ  野中の巌に休む折
 カルの部下なる八人は  赤黒二人の鬼共に
 引つ立てられて枯草の  莽々茂る野原をば
 一途の川を指して行く  レーブとカルの両人は
 青き鬼奴に誘はれ  三途の川の渡場に
 漸く辿り来て見れば  果しも知らぬ広い川
 清き流れは滔々と  白き泡をば吐きながら
 大蛇のうねる如くなり  川の畔の一つ家は
 金光きらめく玉楼の  眼まばゆきばかりなり
 金門をあけて青鬼は  館の中に身を隠し
 二人の男をやうやうと  ここ迄誘ひ参りしぞ
 受取りめされと云ふ声の  聞えて暫し経つ間に
 以前の鬼は会釈して  何処ともなしに消えにける
 二人は川辺に佇みて  思はぬ美しき此家は
 土地に似合はぬ不思議さと  囁く折しも金鈴を
 振るよな清き女声  早く来れと呼びかくる
 不思議の眼をみはりつつ  近づき見れば鬼婆と
 思うた事は間違か  花も恥らふ優姿
 年は二八か二九からぬ  神妙無比の光美人
 いとニコニコと笑ひ居る  二人は驚き川端の
 女と暫し掛合ひつ  一間を奥へと入りみれば
 奥の一間は草野原  三途の川の滔々と
 以前の如く鳴りゐたり  水晶館に導かれ
 鏡の如く透きとほる  館の中で出口をば
 失ひ互に辟易し  千言万語を並べつつ
 救ひを乞へば川端の  美人は二人の手を取つて
 醜けき小屋の其前に  立ちあらはれて言ひけらく
 今迄汝の立入りし  家屋は娑婆と神界の
 住居の姿の模型ぞや  此茅屋は鬼婆の
 弥永久に鎮まりて  娑婆にて重き罪かさね
 十万億土の旅立を  致す亡者の皮を剥ぐ
 脱衣婆さまの関所ぞと  いふより早く忽ちに
 娘は醜き婆となり  痩せからびたる手を伸べて
 二人の素ツ首引つ掴む  其いやらしさ冷たさに
 三途の川の中つ瀬に  身を躍らして両人は
 ザンブとばかり飛び込んで  抜手を切つて向ふ岸
 やうやう渡り着きにけり。
 二人は着衣の儘、際限もなき広い川を、意外にも易々と無事に渡つたのを、非常な大手柄をしたよな気分になり、爽快の念に堪へられず、川の面を眺めて、紺青の波を見入つてゐた。
レーブ『鬼婆アさまに首筋を掴まれ、生命カラガラ此川へ飛込んだものの、これだけ広い川、到底無事には渡れまいと真中程で思うたが、此激流にも似合はず、弓の矢が通つたやうに、一直線に易々と、而も匆急に渡られたのは何とも知れぬ不思議ぢやないか』
カル『そこが現界と神界との異る点だ。ヤアあれを見よ。何時の間にか川はどつかへ沈没して了ひ、美はしい花が百花爛漫と咲き匂うてるぢやないか。アヽ何とも知れぬ芳香が鼻をついて来る。あれ見よ。川ぢやないぞ。エデンの花園みたいだ』
『ヤアほんにほんに、何とマア不思議な事ぢやないか。ようよう白梅の花が大きな木の枝に所々に咲いてゐる。バラの花に牡丹の花、紫雲英に白連華其外いろいろの草花が所せき迄咲いて来た。ヤツパリ天国の様子は違つたものだ。モウこんな所へ来た以上は虚偽ばかりの生活をつづけてゐる現界へは、万劫末代帰りたくないワイ。なあカル公、お前と俺とは、少しばかりの意地から、忠義だとか義務だとかいつて主人の為に互に鎬を削り、名誉を誇らうと思つて、猟師にケシをかけられた尨犬の様にいがみ合ひ、恨も何もない者同士が、命の取りやりをやつてゐたが、竜虎互に勢全からず、とうとう玉山峠の谷底で寂滅為楽急転直下、神界の旅立となつたのだ。が之を思へば現界の奴位可哀相な者はないのう』
『併し乍ら、お前と俺と偽善の行り比べをやつたおかげに、互に娑婆の苦を逃れ、こんな天国浄土へ来られるやうになつたのだから、何が御都合になるとも分らぬぢやないか。昨日の敵は今日の味方、虎狼の唸り声も極楽の花園を渡る花の薫風となりにけりだ。モウ斯うして神界へ来た以上は、名位寿福の必要もなければ互に争ふ余地もない。勝手に広大無辺な花園を逍遥し、自由自在に木の実を取つて食ひ、一切の系累を捨てて単身天国の旅をするのだから、これ位愉快な事はないぢやないか。併し乍ら善因善果、悪因悪果といふからは、斯様な所へ来られる様になるのは余程現界に於て善を尽したものでなければならぬ筈だ。俺達の過去を追懐すれば、決してかやうな所へやつて来られる道理はない。ヒヨツとしたら、神様が人違を遊ばしたか、感違をなさつたかも知れぬぞ。モシそんな事であつたなら、俺達は大変だ。此美はしき楽しき境遇が忽ち一変して、至醜至苦の地獄道へ落されるかも知れない。之を思へばヤツパリ執着心が起つて来る。何程執着心をとれと云つても、此天国に執着が残らいでたまらうか。あゝ惟神霊幸倍坐世。どうぞ神様、夢でも構ひませぬから、どこ迄も此境地において下さいますやうに』
と手を合して一生懸命に天地を拝んでゐる。何時の間にか、二人の立つてゐた地面は二十間ばかり持上り、左右の低い所に坦々たる大道が通じて、種々雑多の人物や禽獣が右往左往に往来してゐるのが見えて来た。
レーブ『ヤア俄に又様子が変つて来たぞ。オイ、カル、気をつけないと、どんな事になるか知れぬぞ、チツとも油断は出来ないからな』
 かく話す折しも、二三丁前方に当つて猿をしめる様な悲鳴が聞えて来た。二人は物をも言はず、其声を尋ねて何人か悪魔に迫害され居るならむ、救うてやらねばなるまいと、無言のまま駆出した。近よつて見れば、白衣をダラリと着流した丸ポチヤの青白い顔をした男が、右手に血刀を持ち、左手に四五才ばかりの美はしき童子の首筋を引掴み、今や胸先へ短刀を突き刺さむとする間際であつた。
 レーブ、カルの二人は吾を忘れて、其男に飛びかかり、血刀を引つたくり、童子を助けむと、力限りにもがけども、白衣の男は地から生えた岩のやうに、押せども突けどもビクとも動かぬ。みるみる間に其童子を無残にも突き殺して了つた。
レーブ『コリヤ悪魔奴、此処は何処と心得てゐる、勿体なくもかかる尊き天国に於て、左様な兇行を演ずるといふ事があるか』
男『アハヽヽヽ阿呆らしいワイ。悪魔の容物の分際として、此方を悪魔呼ばはりするとは何の事だ。糞虫は糞の臭気を知らぬとは貴様の事だ。サアこれから其方の番だ、そこ動くな。イヒヽヽヽ、なんとマアいぢらしいものだなア、いかさま野郎のインチキ亡者奴、身魂の因縁に依つて、此天来菩薩が之から汝を制敗致すから、喜んで此方の刃を受けたがよからうぞ』
レーブ『アハヽヽヽ天来菩薩とはソラ何を吐かす、苟くも菩薩たる者が凶器をふりまはし、天国の街道に於て殺生をするといふ事があるか。況して罪のない童子を殺害するとは、以ての外の代物だ。コリヤ悪魔、イヤ天来、よつく聞け、此方こそはバラモン教にて英雄豪傑と世に謳はれた武術の達人、カル、レーブの両人だ。汝の如き小童共、仮令幾百万人一団となつて武者ぶりつくとも、千引の岩に蚊軍の襲撃した様なものだ。サア今に此方の武勇を現はし、汝が剣をボツたくり、寸断にしてくれむ、覚悟を致したがよからうぞ。神界の名残に神文でも称へたがよからう』
男『ウツフヽヽヽうろたへ者奴が、神界の法則に依つて、此方が使命を全くする為、此童子を制敗してゐるのだ。汝はいつも現界でホザいて居るだらう、神が表に現はれて、善と悪とを立別ける、神でなくて、身魂の善悪が分るものか。貴様達の容喙すべき限でない、人間は人間らしく黙つて自分の行くべき所へ行けばいいのだ。訳も知らずに安つぽい慈悲心だとか、義侠心を発揮しようと思つても、そんな事は、鏡の如き明かな神界に於ては通用致さぬぞ』
レーブ『仮令此童子に如何なる罪があらうとも、神界に於ては何事も善意に解し、神直日大直日に見直し聞き直し宣直し給ふのが大慈大悲の神様の御恵だ。其方は使命だと申すが、娑婆地獄ならば知らぬこと、天地の神の分霊たる人間を自ら手を下して制敗するといふ道理があるか』
男『エヘヽヽヽぬかしたりな ぬかしたりな、それ程よく理屈の分つた其方なれば、此方を神直日大直日に見直し聞き直し宣直さぬか。娑婆で少しく覚えた武勇を鼻にかけ、吾々を悪魔呼ばはりになし、此方の刀を掠奪して盗賊の罪を重ね、又此方を寸断せむとは自家撞着も甚だしいではないか。そんな事で如何して神界の旅が出来るか。テもさても分らぬ奴だな。オツホヽヽヽ鬼の上前を貴様ははねようと致すのか、何と恐ろしい我の強い代物だなア』
カル『コリヤ悪魔、ここは神界だぞ、貴様の居る世界は幽界だらう。かやうな所へやつて来るといふ事があるか、早く立去れ。グヅグヅ致して居ると、神界幽界の国際談判が始まり、遂には談判破裂して、地獄征伐の宣示が渙発されるやうになるかも知れぬぞ』
男『イツヒヽヽヽ其方は現界に於て一つの善事もなさず、まぐれ当りに神界へふみ迷うて来よつて、一角善人面をさらして、ツベコベと理屈を囀つてゐやがるが、此悪魔も此血刀も、皆貴様の心の反映だ。貴様は八岐大蛇の悪魔の憑いた大黒主の部下に仕ふる鬼春別の乾児の乾児の其乾児たる小悪人で居ながら、三才の童子に等しき天の下の青人草の生血を吸ひ、少しの武勇を鼻にかけ、修羅の戦場に疾駆した其罪が今ここに顕現してゐるのだ。要するに此方は貴様の罪が生んだ悪魔だから、貴様が本当に神直日大直日に見直し宣直し、発ごんと改心を致したならば、かかる尊き神界の大道に如何して俺が現はれる事が出来ようか。俺が亡ぼしたくば、貴様の心から改心したがよからう。人が悪魔だと思うて居れば、みんな自分の事だぞ。コリヤ、レーブ、其方は今の先黄金姫に出会ひ、三五教の教理を聞いたであらう。人が悪いと思うてゐると皆われの事ぢやぞよ………と玉山峠の岩蔭で聞かされたぢやないか』
レーブ『成程さうすると、お前は俺の言はば副守護神だなア。何と悪い副守が居やがつたものだなア』
男『アハヽヽヽ都合のよい勝手な事をいふな。副守護神所か、貴様の本守護神の断片だ。トコトン改心致さぬと、まだまだ此先で貴様の生んだ鬼が貴様に肉迫して、どんな目に会はすか知れぬぞ。己が刀で己が首切るやうなことが出来致すから、早く改心致したがよからう。レーブばかりでない、カルも其通りだ、此童子はヤツパリ、カルの身魂の化身だ。どうだ判つたか』
レーブ『ヤア判つた、斯うして二人仲よくして神界の旅行をやつてゐるものの、本当のことを言へば、おれも淋しくて仕方がないから、道伴れにしようと思ひ、表面こそ親切に打解けたらしくしてゐるものの、行く所まで行つたならば斯様な悪人は此下に見ゆる地獄道へつき落してやらうと、心の端に思うてゐたのだ。ヤア悪かつた、オイ、カル公、俺は本当に済まなかつた。心の罪を赦してくれ』
カル『あゝさうか、おれも実はお前と打解けて歩いて居るものの、何時お前が俺の素首を引抜くか知れぬと思うて、戦々兢々と心の底でしてゐたのだ。さうするとあの童子は俺の恐怖心が塊つて現はれたのだな。お前がさう改心してくれる以上は、最早お前も恐れはせぬ。互に打解けて心の底から仲よくして、此天国を遊行しようぢやないか。あゝ惟神霊幸倍坐世』
と両手を合せ、両人は目をとぢて天地に祈願をこめた。暫くあつて、目を開きあたりを見れば、男の影も童子の影もなく、大地に流れた血潮と見えしは紅の花、紛々と咲き匂ひ、白黄紫青などの美はしき羽の蝶翩翻と花を目がけて舞ひ遊んでゐる。両人は初めて心の迷ひを醒まし、天津祝詞を奏上しながら、北へ北へと手をつなぎつつ、いと睦じげに進み行く。
(大正一一・一一・三 旧九・一五 松村真澄録)
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