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文献名1霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻
文献名2第3篇 霊魂の遊行よみ(新仮名遣い)れいこんのゆうこう
文献名3第13章 試の果実〔1097〕よみ(新仮名遣い)ためしのこのみ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグエツキス光線(エックス光線) データ凡例 データ最終更新日2022-12-02 11:41:08
あらすじ二人は天国浄土の美しい光景の中を進んで行ったが、足は疲れ腹はすいてきた。天国浄土の旅路にも、飢えや渇きの悩みがあるものかと座りこんで休息しながら、祈願を深く凝らし、悔悟の涙にくれていた。そこへ美しい女神が二個の果実をたずさえて現れ、二人に話しかけた。女神は生魂姫命と名乗り、月照彦神の命によって都率天からやってきたという。カルとレーブは女神に礼を述べて果実をいただこうとしたが、女神は二つの果実の効能を説明し始めた。一つの果実は足魂といって、味よく内臓をさわやかにし五年十年も空腹を満たすもの、一つは玉都売魂といって苦く固く、わずかに空腹を満たすことができるだけのものだという。カルとレーブはお互いに、自分が玉都売魂をいただくので、足魂は相手にやってくれと女神に申し出た。女神は、人に甘いものを与え自分が辛抱して善をおこなった、という心がある間は、真の善心ではなく虚偽的善事だと断じ、それによって天国浄土に行こうという野心があるのではないかと戒めた。二人は女神に心を見透かされて恥じ入った。女神はさらに、どちらを取るかと問いかける。レーブはどちらも取ることはできないと答えると、女神は『天の与ふるを取らざれば災其身に及ぶ』とこれも戒めた。カルはついに、レーブには気の毒だが自分の身を保つために足魂が欲しいと女神に頼んだ。カルは、人間の判断ではなく女神が与える方を受け入れる、と応えた。女神は、何事も人間の道徳や倫理では解決がつかない、神にお任せするのが第一だと諭し、ようやく神界旅行の資格ができたとカルに足魂を与えた。カルは足魂を受け取ると瞬くうちに平らげてしまった。女神は玉都売魂を地上に投げうった。すると五色の火光が発射して、数多の美しい女神となって天上に帰っていく。二人はこの光景を眺めて伏し拝んでいる。女神は懐からもう一つ足魂を取り出すと、レーブに与えた。レーブは瞬くうちに木の実を平らげてしまった。生魂姫神は、数多の女神に囲まれて中空に舞い上がり、天上に去って行った。カルとレーブは互いに顔を見合わせて、この顛末に心を揉んでいた。レーブは、苦いといった玉都売魂から数多の女神が現れたところを見ると、玉都売魂はどんなにか結構な果実だったかもしれないが、天から与えられなかったのだから、仕方がないと述懐した。カルは天国といってもやはり、苦い目、苦しい目をくぐり抜けなければ都率天へは昇れないというお示しではないか、一つの功もたてずに天国をぶらついていては、本当の栄えと喜びは出てこないと、心を取り直し、天国でひと働きしようとレーブに呼びかけた。二人が歩みだすと、右側の下の道には現界の人間のありさまが見え、鬼や夜叉のような人間が羽振りをきかせ、正直な人間は車に引かれたり血を絞られたり、苦役を強いられていた。またその先の道には、ランチ将軍の軍勢が黄金姫、清照姫と死闘を繰り広げ、狼の群れに追い散らされる様が見えた。生魂姫神が再び現れ、レーブとカルが見たものについて問いかけた。女神は、二人が今見たような現界幽界の亡者を救おうと、国治立大神様は三五教を開かれたのだと諭した。そして難を避け安きにつき、世界人類の苦難を傍観して人力の及ぶところではないという態度を、無責任・無能・卑怯・人畜と非難した。そして自分の良心と相談しなさいと忠告し、去って行った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月03日(旧09月15日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年5月25日 愛善世界社版171頁 八幡書店版第7輯 480頁 修補版 校定版177頁 普及版79頁 初版 ページ備考
OBC rm4013
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本文  芳香薫じ花匂ひ  蝶舞ひ小鳥は謳ひ
 地は一面に花毛氈  空地もなしに敷きつめし
 極楽浄土の光景を  眺めて通る頼もしさ
 紺碧の雲ただよへる  空に日月相並び
 其光彩は七色に  輝き渡り暑からず
 又寒からず其気候  中和を得たる真中を
 カルとレーブの両人は  足に任せて進み行く
 浄土の旅と云ひながら  少しく足は疲れ来て
 腹は空虚を訴へつ  五体の勇気は何時しかに
 衰へ来りて道の辺に  ドツカと坐して息休め
 天国浄土の旅路にも  娑婆の世界と異ならず
 饑渇のなやみあるものか  神の御諭に説かれたる
 楽中苦あり苦中亦  楽しみありとの御教は
 今目のあたり実現し  とても天地は苦と楽の
 互に往き交ふものなるか  至喜と至楽の境遇は
 神と云へども得られない  これが天地の真相か
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましまして
 苦楽の道をほどほどに  まくばり与へ吾々を
 安く守らせ給へよと  心に深く念じつつ
 道の傍に座を占めて  大空仰ぎ地に伏して
 悔悟の涙にくれにける。
 かかる処へ五色の薄絹をしとやかに着流したる妙齢の美人、忽然として現はれ、両手に二個の美はしき名の知れぬ果物を携へ二人に向ひ声も静かに、
『貴方はレーブ、カルの御両人様で厶いませう。貴方は三途の川を渡つてから早已に一万里の道程を徒歩して、お出でになりましたのだから、嘸お腹が空いたでせう。妾は都率天より月照彦神様の命を奉じ、ここに現はれたもので、生魂姫命と申します。此果実は、貴方の飲食に授けたいと存じまして態々ここ迄持ち参りました。何卒食つて下さい』
 レーブは、
『ハツ』
と頭を下げ、
『宏大無辺の神様のお慈悲、美はしき花は道の両側に咲き匂うて居りますれど果実は一つもなく、飢に迫つて両人が苦しみ悶え、もはや一歩も行かれませぬので、ここで休んで居りました。天道は人を殺さずとやら、実に有難う存じます』
カル『お礼の申様もなき有難き、その仰せ、慎んで頂戴致します』
と両手を拡げて早くも体を前へつき出す。
女神『此果物は都率天より下されしもの、二つに割つて食ふわけには行きませぬ。一つの方は、足魂と云ふ果物、一つは玉都売魂と云ふ果物で厶います。かう見た処では色も香も容積も同じやうに見えて居りますが、此足魂の実は得も云はれぬ甘い汁を含み、五臓六腑を爽かに致し、此実を食へば五年や十年は腹の空かぬ重宝なもので厶ります。又玉都売魂の果物の方は僅かに飢を凌ぐ事は出来ますが、石瓦の如く固く味も悪く苦い汁が出て参ります。然し乍ら空腹を凌ぐ丈は、どうなと出来ますから、何れか一個づつ進ぜたう厶います。レーブ、カルの両人様、お心に叶うたのをお食り下さいませ』
レーブ『ハイ、有難う厶います。それなら私は玉都売魂の果実を頂きます。足魂の果実は何卒カルに与へて下さいませ』
カル『もし女神様、私が玉都売魂の果物を頂きますから、何卒レーブに足魂の果実を授けてやつて下さいませ』
女神『オホヽヽヽ何方も揃ひも揃うて此苦いまづい固い果実がお好きで厶いますなア』
レーブ『ハイ、嫌ひと云ふ訳は厶いませぬが、甘いと云つても喉三寸を通る間だけ、味ないと云つても其通り、なるべくは己れの欲する処を人に施し、欲せざる処は人に施すなとのお諭を守つて居ります吾々、どうしてカルに味ないものを廻す事が出来ませうか』
カル『私も実はレーブと同様の意見で厶います』
女神『オホヽヽヽ、何とまア、偉い偽善者ですこと。貴方は神のお諭によつて、そんな善い心になれたのですな。それでは、まだ駄目です。天然自然惟神の心から起つた誠でないと駄目ですよ。自分は味ないものを辛抱して食ひ、人に甘いものを与へ、大変な善を行つたと云ふやうなお心のある間は、矢張真の善心ではありますまい。左様な虚偽的善事を行ひ、其酬いによつて天国浄土に行かうと云ふ矢張野心があるのでせう。何故本能を発揮して赤裸々に自分の好みを請求なさらぬのか。まだまだ貴方は表面を飾る心が盛に発動して居ますよ』
レーブ『ヤア、恐れ入りました。腹の底までエツキス光線で見透かれて了ひました。ほんにまだ私には虚偽の精神が、どつかに伏在して居ます。よく御注意を下さいました』
カル『私もレーブと同様の心で厶いました』
女神『それなら今ここで此果実を貴方はどちらをとりますか』
 レーブは頭を掻きながら、
『ハイ、どうも決しかねまする。仰せの通り分ける訳には行かぬのですから、一層のこと、どちらも私は頂きますまい』
女神『天の与ふるを取らざれば災其身に及ぶと云ふ事を貴方は覚えて居りますか』
レーブ『ハイ、それも確に存じて居ります』
女神『それなら何故此果物をお受けなさらぬか』
レーブ『エー、何ともはや善悪邪正の道に踏み迷ひ、どう致してよいか私には合点が参りませぬ』
女神『これカルさま、貴方は如何思ひますか』
カル『ハイ、私は正直に味の良い足魂の方を頂戴致します。レーブさまには気の毒だけど吾々個体たる一人前の魂として持身の責任が厶います。今飢渇に迫る此際、自分の本心の欲求する足魂を頂戴致しませう』
女神『オホヽヽヽ、それならカルさまの欲せざる玉都売魂の果実をレーブさまに与へても宜しいかな。それで貴方は満足しますか』
カル『愈むつかしくなつて来ました。もう斯うなつては何とも申上げやうが厶りませぬ。人間の判断では駄目です。此上は、神様にお任せ致します。貴方が下さるのを頂戴致しませう。決して私の方から好きだの、嫌ひだの、彼是と請求は致しませぬ』
女神『あゝそれでお前さまも初めて神界旅行の資格が出来た。何事も人間の道徳や倫理説では解決がつきますまい。神にお任せなさるが第一だ。サア、カルさま、神様に代つて足魂の果物を貴方に進ぜませう』
カル『天の御恵、有難く頂戴致します』
と女神の手より受取り嬉しげに飛びつくやうにしてガブリガブリと食い始め、
『あゝうまい、味が良い、何とした結構な果物だらう』
と頻りに褒めちぎつて瞬く間に平げて了つた。
 女神は玉都売魂の果実を忽ち地上に投げ打てば五色の火光発射し、数多の美はしき女神となつて天上に帰り行く。二人は此光景を眺めて思はず知らず手を合せ、伏し拝んでゐる。女神は懐中より又もや足魂の果物をとり出し、
『さあ、レーブさま、不公平のないやうに神に代つて生魂姫の此果物を上げませう、直様お食りなさい』
とつき出すを両手を合せて押戴き、
『あい、有難う』
と嬉し涙をこぼしながら、これも飛びつくやうにして瞬く間に平げて了つた。
 今生魂姫の神が大地に投げつけたる玉都売魂の果物より現はれ出でたる数多の女神は一旦天上にかけ上り、再び盛装を凝らし此場に降り来つて生魂姫の四方を囲み、お手車に乗せたまま嚠喨たる音楽の響と共に中空に舞ひ上り、天の羽衣軟風に翻へりつつ虹の如き道を開いて天上に上り行く。後見送つて両人は互に顔を見合はせながら、此解決に又もや心を揉むのであつた。
レーブ『これ、カルさま、大変良い心持になつてきたぢやないか。九死一生の場合に当り斯様な結構な果物を下さつて、これで吾々も生返つたやうな心持になつたぢやないか。九分九厘になつたら神が助けてやらうと仰有るのはここの事だな。それにつけても玉都売魂の果実から、あの様な数多の女神が現はれた処を見ると、あの玉都売魂の果実を頂いたら、どんな結構な事になつたか知れないよ。然し天から与へられないのだから、之も仕方がないわ。神様も皮肉ぢやないか。石、瓦の様な味で苦い汁が出ると仰有つた、あの果実から、あんな美はしい女神が出るとは思はなんだ。これは何かのお諭かも知れないぞ』
カル『何程天国と云つても、やはり苦い目、苦しい目を致さねば、都率天へは上れないと云ふお示しだらうよ。一つの功もたてずに天国だと思つて、よい気になつて、ブラついて居つては本当の栄えと喜びは出て来ない。一時の幸福を充すだけの御神徳ではつまらぬぢやないか。これから一つ心を取直して天国で一働きをやらうぢやないか』
『あゝさうだなア』
と話しながら又ボツボツと歩み出した。右側の二三十間ばかり下の大道から阿鼻叫喚の声が聞えて来た。二人は期せずしてこれを見下せば、馬車、自動車、人力車、其外種々雑多の人々が往来してゐる。これは現界の人間の生活の有様であつた。よくよく見れば自動車の中には角の生えた鬼や口の耳まで裂けた夜叉の様な女がシガレツトを薫らしながら、意気揚々として大道を吾物顔に走つてゐる。憐れな正直な人間が自動車、馬車に轢き倒されたり或は肉を削がれたり、血を絞られたり、餓鬼となつて重い荷を負ひ、生命からがら往復してゐる。
 其惨状は目もあてられぬ許りであつた。さうしてゐると又二三十間右側の大道から阿鼻叫喚の声が聞えて来る。二人は又もや此声の方に身を寄せ走り寄り、足下を見下せばバラモン教のランチ将軍が黄金姫、清照姫に出会し、弓矢を射かけ槍を打振り血刀を揮つて十重二十重に取囲み、二人の命をとらむと息まいて居る。母娘二人は一生懸命に言霊を奏上するや数限りなき狼現はれ来つて、ランチ将軍の率ゐる軍隊に向ひ縦横無尽に荒れ狂ひ噛み倒し、互に血潮を流して争ひ狂ふ光景が歴然と見えて来た。これは幽界の地獄道の真中であつて戦慄すべき惨劇が繰返されて居たのである。
 かかる処へ以前の女神何処ともなく現はれ来り、
『レーブさま、カルさま、貴方は何か今御覧になりましたか。いや何か高見から御見物をなさいましたか』
レーブ『ハイ、いろいろ雑多の惨劇が目に映りました。吾々は幸ひ斯様な天国へ救はれ神のお諭の如く「高見から見物致さうよりも仕方がないぞ」と云ふ境遇におかれました。これを思へば人間は決して悪い事は出来ませぬなア、何事も神のまにまに任すより、人間としては採るべき手段も厶りませぬ』
女神『カルさま、貴方は此惨状を目撃してどう御考へですか』
カル『ハイ、何とも申上げやうのない可憐想の事と存じます』
女神『国治立大神様は斯くの如き現界幽界の亡者を救はむために三五教をお開き遊ばしたので厶いますな。一掬同情の涙があれば、如何してもこれを看過する事は出来ますまい。貴方の御感想否今後の御採りなさる手段をお伺ひ致し度いもので厶いますなア』
カル『ハイ、私は何事も惟神に任すより道は厶りませぬ。人間がどれほど焦慮つた処で如何する事も出来ませぬから……』
女神『二十世紀の三五教の信者のやうに貴方も余程惟神中毒をして居られますなア。尽すべき手段も尽さず、難を避け易きにつき、吾身の安全を守り、世界人類の苦難を傍観して……到底人力の及ぶ限りでない、何事も惟神に任すより仕方がない……とは実に無責任と云はうか、無能と云はうか、卑怯と云はうか、人畜と申さうか、呆れはてたる其魂、左様な事で如何して衆生済度が出来ませう。お前さま達両人は神の恵によつて高天原の門口へ臨みながら、そんな利己主義の心では局面忽ち一変して八万地獄の底の国へ、たつた今落ちますぞや。今日は他人の事、明日は貴方の事、因果は巡る小車の罪の重荷の置き所、どうして貴方は何時までも、悠々楽々と天国の旅行が続けられませうか。実にお可憐想なお方だなア。少しは貴方の良心に御相談して見なさい。左様な事で、能うまあバラモン教だの、三五教だのと云つて世界を歩けたものですなア。貴方のやうな無慈悲な方には最早これきりお目にはかかりますまい。左様ならば足許に御注意遊ばして御機嫌ようお越しなさいませ』
と云ふかと見れば後は白煙、女神の行衛は見えずなりぬ。
(大正一一・一一・三 旧九・一五 北村隆光録)
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