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文献名1霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻
文献名2第2篇 狐運怪会よみ(新仮名遣い)こうんかいかい
文献名3第12章 怪段〔1222〕よみ(新仮名遣い)かいだん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-03-14 18:14:31
あらすじ万公は後髪を引かれる心地しながら、お菊への愛におぼれて神務を打ち忘れ、木枯らしすさぶ山の尾の上の薄雪を踏みしめながら、駆け落ちの道中歌いだした。しかしお菊は足早に前を走って行き、万公は息が切れだした。万公はお菊に待ってくれと声をかけ、慌てて走って行くが追いつかない。実際は万公はとぼけた面をして神社の細い階段を上っては下り、下っては上りを繰り返しているだけだった。お菊とお千代が石段のところに来ると、万公が何かわからぬことをブツブツ言いながら行ったり来たりしているのが見えた。お菊が万公に呼びかけると、万公は大金を持ってお菊と逃げているつもりになってお菊に返事をした。お菊とお千代は狐につままれたのだろうと万公を笑っている。万公は下を向いて汗をたらたら垂らしながら階段を降って行ってしまった。魔我彦は狐に膏をしぼられて松彦館を訪ねようと階段を上って行くと、万公が気の抜けた顔をして下ってくるのにばったり出会った。魔我彦に声をかけられてようやく正気に戻った万公は、今度は本物のお菊を狐だと思って掴みかかった。魔我彦にたしなめられて、万公はお菊と駆け落ちをした気になっていたことを白状し反省した。そこへ五三公、アク、タク、テクの四人が松彦館を訪ねてやってきた。万公は反省の歌を歌い、一同は戒めの歌を交わした。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年12月15日(旧10月27日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年9月25日 愛善世界社版156頁 八幡書店版第8輯 414頁 修補版 校定版164頁 普及版64頁 初版 ページ備考
OBC rm4612
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本文の文字数3555
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本文  万公は後髪引かるる心地しながら、肝腎要の神務を打ち忘れ、お菊の愛に溺れて、金と色との二道かけ、木枯荒ぶ高山の尾の上の薄雪を踏みしめながら、お菊のやさしき後姿を打ち眺め、顔の紐まで解いて道々歌ひ出した。
『神が表に現はれて  善と悪とを立てわける
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 唯何事も人の世は  直日に見直し聞き直し
 身の過ちを宣り直す  三五教の神様は
 この万公が恋の暗  迷うて脱線した事を
 心安らに平らかに  必ず許させたまふべし
 河鹿峠をのり越えて  治国別と諸共に
 野中の森迄やつて来た  時しもあれや亀彦は
 弟子の万公を振り捨てて  雲を霞とかくれけり
 これを思へば万公も  もはや御用が済んだのか
 一本橋の袂にて  恋しきお菊に廻り会ひ
 お寅婆さまにいろいろと  苦い意見を聞かされて
 大分心も改まり  松彦さまと諸共に
 悪魔の征途に上るべく  喜び勇んで居たものを
 どうした身魂の因縁か  結ぶの神の引き合せ
 いとし可愛の愛娘  お菊に深く思はれて
 引くに引かれぬ羽目となり  心ならずも神の道
 暫く捨てて往きまする  国治立大御神
 豊国主大御神  三五教の太柱
 神素盞嗚大御神  誠に済まぬ事ながら
 暫くお暇を下しやんせ  是から二人は山の尾を
 伝ひ伝ひて月の国  何処の果にか身を潜め
 二人仲よく世を送り  さうした上で神様の
 きつと御用を致します  今暫くは是非なしと
 何卒見直し下さつて  恋を許させたまへかし
 まだ十七の愛娘  肩揚さへも取れぬよな
 あれ程可愛い女をば  何程神の道ぢやとて
 これが見捨ててやれませうか  夫婦となるも前世の
 深い縁でありませう  お菊の姉も中々に
 人に勝れた器量もの  ほんとに惜しい事をした
 そのお里にも弥勝り  鈴のやうなる丸い目に
 花のやうなる唇で  ニツと笑うた其時は
 知らず知らずに魂が  中空に飛んで往くやうだ
 エヘヽヽヘツヘ何とまア  面工のよい事出来たのか
 矢張り身魂がよい故に  心の花が咲き初めて
 福の神めが降つて来て  二人の仲をば円満に
 神聖な恋を完全に  お守りなさるに違ひない
 思へば思へば俺のよな  幸福者が世にあろか
 これこれお菊ちよつと待て  お前は子供に似合はない
 随分早い足だなア  道もないよな山の尾を
 さう安々と歩くのは  矢張り結ぶの神様が
 お前の体を委曲に  お守りなさるに違ひない
 暫く待つて呉れぬかい  俺等は呼吸が切れさうだ』
 待てよ待てよと呼ばはれば  お菊は後を振り向いて
 『これ万さま焦つたい  今暫くは身の限り
 足の続かむ其限り  走つて往かねばなりませぬ
 もしも追手に見つけられ  捕はれようものならば
 それこそ甚い事になる  大泥棒の駆落奴
 此儘許しは致さぬと  蠑螈別が腹を立て
 どんな事をなさるやら  分つたものぢやありませぬ
 それが私は気にかかる  もう一息ぢや万さまよ
 サアサア早う往きませう』
 言葉を後に残しつつ  小松茂れる山の尾を
 見えつかくれつ走り往く  万公は息を喘まして
 『おいおい待つたお菊さま  それ程早く走るなよ
 姿が見えずなつたなら  この深山で何とする
 お前と俺と唯二人  外に力になるものは
 猫の子一匹居らぬぞや  まアまア待つて下しやんせ
 アイタヽタツタ躓いた  途なき処をスタスタと
 ようまアそれだけ走られる  遉の万公も舌を巻き
 尾を巻き降参せにやならぬ  そりや其筈ぢや誰だとて
 大胆至極な事をして  何うしてゆつくり歩かれよか
 これから肝玉放り出して  もう一気張りお菊さまの
 後を慕うて往つて見よう  何とはなしに呼吸めが
 苦しくなつて来たわいな  此処で一服しよぢやないか
 これだけ逃げて来た上は  よもや追手もかかるまい
 アイタヽタツタ目をついた  松葉の奴めが出しやばつて
 大事な大事な眼をば  遠慮もなしに突きよつた
 こりやこりやお菊どこへ往つた  子供の癖にとんとんと
 はぐれて仕舞つたら何とする  向ふ見ずにも程がある
 待て待て暫し待て暫し』
と云ひながら、呆けたやうな面をして細い階段を登つては下り、下つては登り、何か口をもがもがと動かして幾度となく上下して居る。
 お菊とお千代は手を引きながら石段の所まで下りて来た。見れば万公が何かブツブツ分らぬ事を呟きながら、石段をトントントンと下つたり上つたりして居る。
お菊『お千代さま、あの万公さまを御覧、間抜けた顔して、お千度をして居るぢやありませぬか、何で又あんな妙な事をするのでせうなア』
千代『万公さまが、狐に撮まれて居るのでせうよ。随分小北山には古狐の穴が沢山ありますからなア』
『一つ背中でも叩いて気をつけてやりませうか』
『兎も角「オイ」と云つて見なさい。そしたら気が付くかも知れませぬぜ』
 お菊は登つて来る階段の上に立ち一間程前から、
『オイ万公さま、確りせぬかいな』
と声をかけた。万公は矢庭に口重たげに、
『オーイお菊、さう走つては追付かれない。二十七万両の金を落しては大変だぞ。まアちつと待つてはどうだ。もう此処まで逃げて来たら大丈夫ぢや』
『ホヽヽヽ好かぬたらしい。万公さまは私と駆落をして居る夢でも見て居るのだらうか、なアお千代さま』
『きつとさうですよ、あの顔を御覧なさい。あれは狐に撮まれて居るのですよ。さうして夢を見て居るのですよ。困つた気の利かない男ですなア』
 万公は又下を向いてトントントンと汗をタラタラ流しながら下つて往く。魔我彦が散々狐に膏を取られ、松彦館を訪ねむと階段を上り往くと、万公が気のぬけたやうな顔して下りて来るのにベツタリと出会つた。魔我彦は、
『ハヽ此奴も悪い狐にやられよつたのぢやな。俺ばかりかと思へば、伴侶もあるワイ。こいつは大方、お菊と駆落でもして居る積りで撮まれて居るのだらう、オイ万公、何をグヅグヅして居るのだ、何を喋つて居るのだ』
と云ひながら、力をこめて背を三つ四つ打ち叩く途端に万公は気がつき、
『アヽ一体此処は何処だ、お菊は何処へ往つたのだ、オーイ、お菊ヤーイ、オーイ』
魔我『アハヽヽヽ、これ万、確りして呉れい、最前から随分ここを上つたり下つたりして居たさうだが、大方狐に撮まれたのだらう。余りお菊を思つて居るから、こんな目に遇ふのだよ』
万公『ここは一体何処だと云ふのだ』
『分らぬ奴だなア、小北山の階段だ。目を閉いどつては分らぬぢやないか。何だい、大きな口を開けやがつて』
『エヽ馬鹿にしやがつた。余りド狐の悪口を言つたものだから、奴さん仕返しをしやがつたな』
『アハヽヽヽ、俺の二代目が出来たわい、ウフヽヽヽ』
 お菊は傍に走り来り、
『これ万さま、お前最前からここに何して居るの』
 万公はお菊の首筋グツと握り、
『これド狐、何で人を馬鹿にしやがるのだ。サアもう了簡せぬぞ、覚悟せい』
お菊『万さま恐い、魔我さま助けてえ』
魔我『こりやこりや万公、狐の化けたお菊と、本物のお菊とごつちやにしては困るぢやないか、ちつと確りさらさぬかい』
万公『ウンさうだつたか、そりや済まぬ事をした。神さまは恐いものぢや、もう斯うなつては白状するが、実はお菊と駆落をした積りだつた。矢張り神様に気を引かれたのかなア』
 斯く云ふ所へ、五三公、アク、タク、テク四人は松彦館を訪ねむと階段の下までやつて来た。魔我彦は直に、

小北山醜の狐にだまされて
  この階段を上りつ下りつ。

 お菊さまと手を引きあうて駆落を
  してる覚悟で同じとこゆく』

五三『お寅さま魔我彦さまをたばかりし
  醜の狐の仕業なるらむ』

万公『二十あまり七万両の金もつて
  駆落せしと思ひけるかな』

アク『馬鹿だなアお菊にうつつ抜かしよつて
  狐にまでも騙されてけり』

万公『木石にあらぬ身なれば俺だとて
  女に心動かざらめや』

タク『女なら是非はなけれどド狐に
  まゆ毛よまれて馬鹿を見るかな』

万公『俺だとて狐位にやだまされぬ
  つもりぢやけれどまんが悪うて』

タク『慢心が頂上までも登りつめ
  この浅猿しき態となりぬる』

万公『狐まで化けて惚れよる俺の顔は
  どこかに柔和しいとこあるだらう』

テク『テクテクと二百の階段下り上り
  騙されきつた馬鹿者あはれ』

万公『ここは又高天に登る階段だ
  何も知らずにゴテゴテ云ふな。

 狐にもせめて一度は撮まれて
  見ねば社会の事は分らぬ』

五三『村肝の心に迷ひある時は
  醜の曲津の誘ふものなり。

 万公さま心の駒を立て直せ
  狐のやつにもてあそばれて。

 如何にして神の御業がつとまろか
  ほうけ男を伴ひし身は』

万公『恥かしや恋の狐にたばかられ
  思はぬ醜態現はれにけり。

 大神の道おろそかにした罪は
  今目のあたり現はれてけり』

(大正一一・一二・一五 旧一〇・二七 加藤明子録)
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