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文献名1霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻
文献名2第1篇 変現乱痴よみ(新仮名遣い)へんげんらんち
文献名3第6章 狂転〔1260〕よみ(新仮名遣い)きょうてん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-05-20 10:07:01
あらすじ
ランチ将軍が、二人の女にちやほやされながらいい気分で酒宴を張っていると、片彦がやってきてランチを怒鳴りつけ、この有様をハルナの都の大黒主へ報告すると息巻いた。

片彦はそれがいやなら初稚姫をこちらに渡せと迫るが、初稚姫から強烈に馬鹿にされてますます怒り、剣に手をかけてランチ将軍に切腹するか軍の支配権を渡せと詰め寄った。

ランチは二人の副官(ガリヤ、ケース)に目配せし、やにわに片彦の両手を縛らせた。そして物見やぐらの高殿から眼下の谷川に片彦を投げ込ませて殺害した。

ランチは得意になり、皆で踊ろうと提案した。あまり踊ったためか、二人の美人が頭にかぶっていたかつらがぽたりと落ちた。ランチと二人の副官があっと驚くとたんに、二人の美人は恐ろしい妖怪のような顔と変わり、大口をあけて迫ってきた。

三人は驚いたとたんに手すりにしりもちをついた。手すりはメキメキと音をたてて壊れ、三人もまた川に落ち込で沈んでしまった。

お民は、物見やぐらに上がって行った片彦が帰ってこないので、様子を見に梯子を上ってみれば、大きな白狐が二匹いて、お民をにらみつけた。お民は驚いて梯子から落ち、気絶してしまった。はるか向こうの方から涼しい宣伝歌の声が聞こえてくる。
主な人物 舞台浮木の森のバラモン軍の陣営 口述日1923(大正12)年01月12日(旧11月26日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年10月25日 愛善世界社版75頁 八幡書店版第8輯 615頁 修補版 校定版78頁 普及版38頁 初版 ページ備考
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本文  雪見櫓の可なり広い最高部の一室には、ランチ将軍をはじめ清照姫、初稚姫及びガリヤ、ケースの副官と共に、鐘や太鼓や拍子木などを叩いて、底抜け散財が始まつて居る。ランチは二人の美人に交る交る酒を盛り潰され、上機嫌になつて、そろそろ法螺を吹き出した。
『オイ姫、イヤ清さま、何うだ、この綺麗な雪の色とランチの顔の色とは、どつちが美しいか、エーン』
『それより私の方からお尋ね致しますが、この雪の色と私の顔の色と、どつちが白う厶いますか、言つて下さいねえ』
『ウンさうだ。どちらが雪か、どちらが花か、また月か判別し難い三国一のナイスだ。この広い五天竺も、清さまのやうなシヤンは又とあるまい、初ちやまだとて其通りだ。それだからこのランチが重要の任務を忘れ、千金の身を顧みず、此処へお交際に来たのだよ、随分親切なものであらう、これでも矢張片彦の思想が気に入るのかな』
『ハイ片彦さまは平和論者ですからねえ、何だか其思想が気に入りましたよ。武術修業は臆病者のする事だと仰有つた点が天来の妙音、金言玉辞と本当に嬉しく思ひましたわ、武者修業だとか云つて、武術修業に歩くやうな、乞食的生涯を送る男はつまりませぬからねえ』
『さうだ、俺もそれは同感だ。武者修業と云へば、お面、お籠手、お胴と云ふ様に竹刀を矢鱈に振り廻す様な武術家は俺も大嫌ひだ。あれは武者修業でなく無駄修業だ。俺の云ふ武者修業は聊か選を異にして居る。真の武術修業はそんなものぢやない。或は敵城を攻め、又防城と云つて押寄せた敵を防禦せむ事を考へたり、そして諸国を遍歴し、堀の深浅や、又山城なれば何れの方面より攻めたら落ちるか、落ちないか、又城の要害を調べ、又平地にある城なれば谷を塞いで水攻にするとか、又は市街を焼いて火攻にするとか、水源の所在及糧道を絶つとか、さう云ふ事を調べる修業をするのだ。一人対一人のお面、お籠手では詰らないからな、俺達の云ふ武術と云ふものはマアこんなものだ、エーン。片彦の云ふ武術と俺の云ふ武術が何れ丈異ふかな、器が大きければ矢張云ふ事が大きいからな。何だ猪口才な、武備撤廃とか軍備廃止とか何とか云うても、最後の解決は矢張武術でなくては納まらないのだ』
『もしランチさま、もうそんな武張つた話はよして下さい、私何だか恐ろしくなつて耐りませぬわ』
『アハヽヽヽ、遉は女だ、角張つた話はお気に召さぬと見えるわい、それぢや何か些とはんなりとした歌でも歌つては何うだ』
『将軍様から一つ歌つて下さいな』
『ヨシヨシ、それぢや一つ歌つてやらう、太鼓や拍子木で力一杯囃して呉れ、囃が悪いと歌ひ憎いからな』
『ハイ承知致しました、サア初稚姫さま、貴女太鼓を打つて下さい、私拍子木を打ちますから』
 茲にランチは酔が廻るにつれ、銅羅声を張り上げて歌ひ出す。二人の女は拍子木や太鼓で歌に合す。二人の副官は耐りかね立ち上り、両手を前後左右に振り廻し、腰付をかしく踊り狂つた。
『ハルナの都で名も高き  天人のやうな石生能姫さま
 衆人羨望の的となり  清きお顔を一目でも
 拝みたいものだとやつて来る  それ故ハルナの都は
 いつも花咲く春のよだ  こんなナイスはまたと世に
 二人とあるまいと思ふたに  こりや又どうした事ぢやいな
 殺風景なる陣中へ  遉の石生能姫さまも
 尻端折りてスタスタと  逃げ出すやうなこのナイス
 一人ばかりか二人まで  ランチ将軍さまのお手に入り
 酒汲み交してどんちやんと  騒ぎ廻るのはこれは又
 どうした拍子の瓢箪か  遉の大黒主さまも
 こんな所を見て居たら  嘸やお気をば揉まれるだらう
 ほんに俺程仕合せ者が  三千世界にあるものか
 ヨイトセノ、ヨイトセ  コレヤイノ、ドツコイシヨ
 エーエーエ  ハーレ、ヤーレ、ヨイヤサ
 ヨイヤサ、ヨイヤサ、ドツコイサ  二人のナイスに取り巻かれ
 天国浄土の楽しみを  今目のあたり見る俺は
 如何なる前世の因縁か  昔々の其昔
 も一つ昔のまだ昔  ずつと遠き神代から
 此世の為によい事を  して来た報いでこんな目に
 遇ふのであらう有難い  運は天にあり福は寝て待てと
 これまで度々聞いたけど  こんな結構とは知らなんだ
 俺に引きかへ片彦は  嘸今頃は吾居間に
 双手を組んで吐息吐き  ポロリポロリと涙をば
 流してふさいで居るだらう  是を思へば些とばかり
 俺も同情の涙をば  落してやらねばなるまいが
 何だか知らぬが気味がよい  アヽドツコイシヨ、ドツコイツヨ
 ヨイヨイヨイのヨイトサ  エーエーエ
 ハーレ、ヤーレ、コレハノサ  ドツコイセエ、ドツコイセ。
アヽ苦しい、アヽもう是で御免蒙らう、サアこれからが清さまの番だよ。歌つたり歌つたり』
『ランチ様、私は歌は不調法で厶います、どうぞ貴方歌つて下さいな』
『エヽ人に歌はして置いて自分が歌はないと云ふ事があるか、それなら初ちやま、お前歌つたらどうだ』
『それでも私恥かしいわ、ナア姉さま、歌なんか知りまへんもの』
『アハヽヽヽヽ、今日はまるで、このランチ将軍が、芸者兼幇間のやうなものだ。女王様の御機嫌を取るのは並大抵のものぢやない、唯一言で三軍を指揮するこのランチ将軍も、清照姫さまにかかつては弱いものぢや』
 かかる所へ片彦将軍は宙を切つて走り来り、案内もなく物見櫓にかけ上り、酒宴の席に現はれて、
『ランチ将軍殿、貴方は三軍を指揮する身分をもつて、繊弱き女に現を抜かし、軍職をお忘れなさるとは以ての外の御振舞、拙者は是より部下に命じ急使を立て、ハルナの都の大黒主様へ将軍の不行跡を報告仕る、覚悟なさいませ』
と気色ばんで仁王立となつた儘呶鳴り立てて居る。
 ランチ将軍も、片彦将軍は吾部下とは云へ、斯様の事を大黒主に報告されようものなら首は胴について居ない、こりや困つた事になつたと、俄に酒の酔ひも醒め、真青の顔をして、やや狼狽へ気味になつて、
『イヤ片彦殿、物には表裏が厶る。サウ貴殿のやうに几帳面に致されてはやりきれない、まづ一献召上れ』
と盃を突き出す。片彦は腹立紛れにビリビリ慄ひながら、
『魂迄も腐り切つた将軍の盃は真平御免蒙る、汚はしう厶る』
と、ランチの差出した盃を無残にも叩き落した。盃は金火鉢の上に落ち、パツと三つに割れて仕舞つた。
『マアマアさう云つたものぢやない、まづ気を落ち着けられよ、御所望とあらば初稚姫をお譲り申す』
『魚心あらば水心ありで厶る。然らば初稚姫を拙者に綺麗薩張とお渡し下さるか』
『武士の言葉に二言は厶らぬ』
『エヽ好かぬたらしい、あんな、カツクイのやうな男、妾死んでも嫌だわ、エヽ気分が悪い、トツトと帰つて下さい。姉さま、塩でも撒つて帰なして下さい。私はランチさまが好きだわ。片彦なんて、名を聞いてもガタガタして、体中がガタガタ彦になり、嫌になりますわ。マアあの貧相な顔わいのう。ホヽヽヽヽ』
『コレコレ初稚姫、左様な気儘を云ふものぢやない、なぜ将軍の命を承知ないのですか』
『ホヽヽ、仕様もない、将軍の命をきくものは殺人器同様の低脳児の雑兵ですよ。私は独立した一個の女、軍籍に身は置いて居りませぬ、将軍さまだつて私に命令する権利はありますまい、嫌と云うたら嫌ですよ』
『エヽ恥の上に恥をかかされ、何うして片彦将軍の顔が立つか。エヽもう仕方がない、斯うなれば大黒主様へ御注進だ。ランチ殿、御切腹なさるか、但しは兜をぬいで、支配権を片彦にお譲りなさるか、返答如何で厶る』
と剣の柄に手をかけ、チクリチクリとつめ寄つた。ランチ将軍はセツパ詰り、しようこと無き儘に、二人の副官に何事をか目をもつて命じた。二人の副官は、矢庭に片彦の左右につつと寄り、両手を手早く縛り、三階の高殿から、眼下の谷川の青淵目蒐けて、ドブンと許り投げ込んだ。
『アハヽヽヽヽ、ても心地よく斃つたものだ。ヤア両人、出かした出かした。是より其方は副官の職を解き、片彦将軍及び久米彦将軍の後任者に命ずる』
『ハイ、有難う厶います』
『ガーター勲章を与ふべき所だが、これは後日又大黒主様に奏上して与へらるるやう手続きを致してやらう』
『ハイ、有難う厶います、何分宜敷くお願ひ致します』
 両手を縛られて高殿から谷川へ投り込まれた片彦将軍は、ブカリ ブカリと浮きながら早瀬を流れゆく。ランチ及び外二人は此光景を眺め、手を打つてウロウ ウロウと歓声をあげてゐる。清照姫、初稚姫は吃驚したやうな顔をして、
『アレマア、妾恐いわ、姉さま、何うしまひよう、逃げて帰りませうか』
『さうね、こんな怖い人ばかり、妾、もうよう居りませぬわ』
『アハヽヽヽヽ、清照姫殿、初稚姫殿、何も怖い事はない。決してお前達に危害を加へようと云ふのではない、お前達を可愛がつてやり度いばかりに片彦将軍をなきものにしたのだ。凡て軍人は百人や二百人殺した位で、気を弱らして居つては軍職が勤まらない。大根の葉についた害虫を草鞋で踏みにじるやうな心持だ。一日の内に二万三万と云ふ人間を殺さなくては、何うしても国家を守る事は出来ぬのだからな』
『ランチ様、もうそんな怖い話はよして、この勾欄の傍で三人様手を繋いで、面白可笑しく踊つて下さいな。私怖くて体が慄へて来ましたよ』
『姉さま、私も怖くなつてよ。一遍ランチさまの品の好い体で踊つて欲しいわ』
『ヨシヨシ踊つてやらう、併しお前も一緒に手を繋いで踊らうぢやないか』
『姉さま、一緒に踊りませうよ』
『それなら五人輪になつて面白う踊つて見ませう、初稚姫さま、貴女、将軍さまの右のお手を取つてお上げ、私左の手を取つて上げます』
『ヤアこれは面白い』
と顔の紐を解き、副官と五人輪になつて踊り初めた。余り踊つたためか、二人の美人が頭に被つて居た鬘はポタリと落ちて、テカテカの青坊主……ランチと二人はアツと驚く途端に、二人の美人はさも恐ろしい鬼とも蛇とも妖怪とも分らぬ顔になり、大口をあけてワツと迫つて来る。三人は驚いた途端にヒヨロ ヒヨロと蹣き、一度にドツと勾欄に尻餅をついた。勾欄は、メキメキと音をたて、三人は片彦将軍の落ちた青淵にドブンと音を立て、石を投げ込んだやうに水中に沈んで仕舞つた。下に待つて居たお民は、片彦将軍の、三階へ上つた儘下りて来ないのに不審をおこし、段梯子を上つて見れば、大きな白狐が二匹、お民の顔を目を瞋らして白眼みつけて居る。お民はアツと云つて反身になつた儘、段梯子の上からドスン、ガタガタガタ、ウンといつたきり気絶して仕舞つた。
 遥か向ふの方より涼しき声の宣伝歌が聞えて来た。果して何人の宣伝歌であらうか。
(大正一二・一・一二 旧一一・一一・二六 加藤明子録)
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