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文献名1霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻
文献名2第3篇 鷹魅艶態よみ(新仮名遣い)ようみえんたい
文献名3第12章 初花姫〔1327〕よみ(新仮名遣い)はつはなひめ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-09-06 17:55:41
あらすじ片彦とランチは三人の乙女に声をかけた。三人は花摘みに夢中のふりをして驚いて見せ、二人の姓名を問うた。片彦は、二人は元バラモン軍の将軍であったが、今は軍服を脱いで三五教の宣伝使となっていることを語った。高姫は、自分は月の国のコーラン国の王女・初花姫だと名乗った。そして、コーラン国はにわかに国替えを行い、昼夜兼行で四か月ほどにてようやく城郭が出来上がったのだと説明した。さらに高姫は、自分の父王は斎苑の館の宣伝使・初稚姫によってにわかに三五教に改心し、初稚姫も今城内に逗留していると偽って、二人を城内に誘い込んだ。ランチは、忽然としてこのような立派な城郭が、噂も立たずにできるのは魔神の仕業ではないかとなおも疑いの目を向けていた。高子と宮子は芝居を打って、ランチがコーラン国の王家を魔神だと決めつけたかのような流れにしてしまった。高姫は、侍女がこのように恐れをなしたのはランチのせいだと言い立て、責任をもって城内に自分たちを送るようにと二人を促した。ランチと片彦は、城内にいるというコーラン国王や初稚姫が本物かどうか調査するのも無駄ではないと決心し、一同は連れだって城の奥に進んで行った。一同は麗しい門をいくつもくぐり、ようやく玄関口にたどり着いた。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月26日(旧12月10日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年12月29日 愛善世界社版175頁 八幡書店版第9輯 328頁 修補版 校定版180頁 普及版79頁 初版 ページ備考
OBC rm5112
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本文  片彦は三人の乙女に向つて言葉優しく、
『もし、それなる嬢様達、一寸お尋ね致しますが、向ふに見えるあの立派な城廓は、何時頃に出来上つたのですか』
 三人の女は些しも聞えぬやうなふりをして、頻りに花を摘んで居る。片彦は益々傍に寄つて、一層声高く、
『お嬢さま、一寸物を伺ひます』
 此声に三人は驚いたやうな顔で、片彦、ランチ両人の顔を打ち守つた。さうして高姫は、
『アヽ吃驚したよ。貴方どこのお方ですか』
片彦『拙者は四ケ月以前に此浮木の森にバラモン軍を引率し、滞陣して居た片彦将軍の成れの果で厶る。此処に居られるのは吾々の上官ランチ将軍で厶る。此方も拙者と同じく軍服を脱ぎ捨て、今は三五教の宣伝使で厶る』
 高姫は、花の唇をパツと開き、媚びを呈し艶かしい声で、
『アヽ、左様で厶いますか、それは尊い貴方はお役柄、妾は如意王の娘、初花姫と申します』
片彦『ハテ不思議な事も厶るものだ。如意王様とは月の国コーラン国の刹帝利様では厶りませぬか』
『ハイ、左様で厶います。此頃は父と共に数多の家来を引連れ、此方に国替を致しまして、昼夜兼行で漸く城廓が建ち上つた所で厶ります』
『ハテ、何と不思議な事だなア。何程富貴なお方でも、斯様な短日月間にかかる城廓が建ち上るとは、ランチ殿、何と不思議では厶らぬか』
ランチ『如何にも不思議千万で厶る』
『オホホホホホ、あのまア、あのお二人様の不思議さうなお顔……吾父如意王はコーラン国より四ケ月以前に参りまして、数万の部下に命じ、漸くこの通り完成致した処で厶ります。吾父は如意宝珠を所持して居りますれば、如何なる事でも出来ます。さうして貴方は今三五教の宣伝使と仰せになりましたが、私の父も俄に三五教に入信致しまして、斎苑の館からお出での初稚姫様を御招待申し、今奥に御逗留で厶います。何うかお立寄を願ひますれば父も喜ぶ事で厶いませう』
片彦『何と仰せられますか、初稚姫様が此御城内に御逗留とは、そりや何時からの事で厶います』
『ハイ、二三日以前斎苑の館から祠の森とやらに御出張になり、それから此曲輪城をお訪ねになり、吾両親は尊きお話を承はり、今は全く三五教の信者になりました。初稚姫様のお言葉には、やがて片彦、ランチと云ふ三五教の宣伝使がお通りになるであらうとのお言葉に、かうして二人の侍女をつれ、花を摘みながら、もしお二人様がお出でになれば、お迎へ申したいと最前から此処に待つて居ました。何卒一寸お立寄をお願ひ申す訳には参りますまいかなア』
 片彦は少しく首を傾げながら、ランチに向ひ、
『ランチ殿、貴殿のお考へは如何で厶りますか。初稚姫様が御逗留と云ひ、斯かる麗しき乙女と云ひ、いやもう吾々は一向合点が参りませぬ』
『成程、拙者も何うも不思議で厶る。斯くも立派な普請が出来る以上は、少しは噂位はありさうなもので厶るのに、忽然としてかかる蜃気楼的城廓が出来るとは、察する所魔神の仕様では厶いますまいかな』
 高子はランチの傍に寄り、
『モシ小父さま、魔神とは如何なるもので厶りますか、どうぞ教へて下さいな』
『ハハハハハ、教へて上げませう、魔神と申せば悪魔の事です』
『貴方は此立派なお屋敷を、さうすると悪魔の住家と思うておいでになりますか。それなら妾は悪魔の虜になつて、斯様な所へ連れて来られたのでせうかなア』
宮子『姉さま、それなら私も魔神とやらに矢張使はれて居るのだわ。もし初花姫様、吾等姉妹に何卒お暇を下さいませ』
と怖さうな風をして慄へながら泣く。
高姫『これこれ高子、宮子、畏れ多くも如意王様の妾は娘、左様な事を申すと承知致しませぬぞや。コーラン国の刹帝利様のお館をさして、魔神の城とは以ての外の事、も一度そんな事を云うて御覧、決して許しはしませぬぞや』
高子『それでも嬢様、あの小父さまが魔神の仕業と仰有いました。妾姉妹はそれを聞くと、何だか怖ろしくなりました。何卒此処でお暇を下さいませ。さうして妾のお友達がまだ十人ばかり御厄介になつて居ますが、皆許してやつて下さい、お願ひ致します』
 宮子は又涙を袖にぬぐひながら、
『もしお嬢様、お願ひで厶います、妾は仮令殺されても厭ひませぬが、十人の友達を何卒助けて下さいませ。其代り妾は此処で喉をついて死にます。ああ惟神霊幸倍坐世』
と云ふより早く、懐の懐剣を抜いて喉に突き立てむとす。高姫は慌てて飛びつき懐剣をもぎ取り、腹立たしげに、
『これ宮子、何と云ふ不心得の事をなさるのだ。もし旅の方、貴方等が何でもない事を仰有るものですから、初花姫の迷惑、どうか二人の侍女を諭して下さいませ』
ランチ『イヤ、お子供衆の前で不謹慎な事を申しまして、実に申訳が厶いませぬ。これこれ侍女殿、決して私の云うた事を真に受けて貰つては困ります。あまり立派なから、曲神の仕業ぢやあるまいかと云つただけです。決して曲神の仕業であるとは申しませぬ、さう早合点しては困ります』
宮子『いやいや何と仰有つても貴方の仰有つた事は真実で厶います。そんな気休めを云はずと、何卒死なして下さいませ。繊弱き女の身をもつて曲神の擒で居らうより、死んだ方が増で厶ります』
と泣き倒れる。片彦は気の毒で堪らず、傍へ寄つて宮子をなだめるやうに、
『もしお嬢さま、どうも済みませなんだ。皆嘘ですから、何卒気にかけて下さいますな』
『イエイエ何と仰有つても貴方の気休めと思ひます。よう云うて下さつた、曲神の業に違ひありませぬ、サア高子さま、早く逃げませう』
と早駆け出しさうにする。
高姫『これ高子、宮子、なんぼ逃げてもお父さまが馬で追つかけさせるから、駄目ですよ。そんな小父さまの云ふ事など聞かずに、妾と一緒に帰りませう。お前は主人の云ふ事を聞きませぬか』
と極めつける。高子は涙を袖に拭ひながら、
『初稚姫様のお言葉に……宣伝使は決して嘘や偽りは云はぬものだ……と仰有いました。このお方は宣伝使様、どうして嘘など仰有りませう、妾はどうしても初のお言葉を信じます』
片彦『ああ困つたことだなア、どうしたらよからうか』
『何卒小父さま、一遍来て下さい。そして果して魔神の館なら、何卒妾を連れて逃げて下さい。妾のお友達も十人許り来て居ますから』
高姫『貴方は元は将軍で、今は立派な三五教の宣伝使と仰有つたぢやありませぬか。それに妾の迷惑になるやうな事を仰有つて、それで貴方の勤めがすみますか』
 片彦、ランチ両人は芝生の上に手をついて、
『イヤ姫様、誠に失礼を致しました。何卒見直し聞直しを願ひます』
『妾は初花姫と申すもの、初稚姫様とよく似た名で厶ります。承はれば霊の姉妹だと仰有いました。サア何卒城内に一度宣伝の為お出で下さいますまいかなア』
片彦『ランチ殿、如何致しませうか、初稚姫様が御逗留とあれば、お目にかかつて置くも結構ぢやありませぬか』
『何と云うても、治国別様が道寄をしてはならぬと仰有つた以上、何事があつても道寄はなりますまい』
高姫『モシ、ランチ様とやら、侍女二人がこの通り逃げると云ひます。妾は何うして一人で城内に帰れませう。何卒お二人で送つて下さいますまいか。これと申すも、皆貴方等から起つた事、宣伝使の職責を重んじて、邪が非でもお願ひ申します』
『ランチ殿、年にも似合はぬ偉い理窟をかますぢやないか、驚いたなア』
『驚いたなア、こりやうつかりしては居られますまい。併し本当の初稚姫様、如意王か、但は曲か、調査するのも強ち無駄ではありますまい。一層此初花姫の言葉に従ひ、城内を探つて見ませうか』
『サア、さう致しませう』
と二人は茲に決心し、口を揃へて両人は、
『イヤお供致しませう、お世話に預りませう』
『それは早速のお聞きずみ、有難う厶います。初稚姫は申すに及ばず、父母も嘸喜びますで厶いませう。サア高子、宮子、もう心配には及びませぬ。宣伝使様が来て下さいますから』
 高子、宮子はやつと機嫌を直し、二男三女は連れ立つて、金銀珠玉を鏤めたる楼門を潜り奥へ奥へと進み入る。高姫は道々歌ふ。
『七千余国の月の国  中にも別けてコーランの
 国の王とあれませる  妾は如意王の子と生れ
 恋しき国を立出でて  はるばる此処に引き移り
 十二の侍女を従へて  何の不自由もなけれども
 山河風土の変りたる  これの都は何となく
 物淋しくぞ思はれぬ  ウラルの教を守りたる
 父と母とはバラモンの  神の軍に降服し
 コーラン国を打ち捨てて  漸く此処に逃れまし
 安全地帯に都をば  造りて永久の住処ぞと
 定め玉ひし尊さよ  城の普請も漸くに
 夜に日をついで竣工し  いづれの神を祀らむと
 考へ居ます折もあれ  瑞の御霊の御教を
 四方に伝ふる宣伝使  初稚姫が現はれて
 父と母とを初めとし  吾等一同を神国の
 花咲く園に誘ひて  天国浄土の楽みを
 諭したまひし有難さ  父と母とは勇み立ち
 名さへ目出度き三五の  教の道に帰順して
 朝な夕なに太祝詞  上げさせ給ふ健気さよ
 妾は未だ十八の  蕾の花の初心娘
 二人の侍女を引き連れて  春野の蝶に憧憬れつ
 菫タンポポ摘まむとて  いつとはなしに門外に
 歩みを運び湯津蔓  椿の下に遊ぶ折
 遥に聞ゆる宣伝歌  よくよく耳を澄ますうち
 初稚姫の宣りたまふ  御歌の心によく似たり
 これぞ全く三五の  教司にますならむ
 なぞと心を動かしつ  花を頻に摘み居れば
 忽ち聞ゆる太い声  頭を上げて眺むれば
 見るも凛々しき宣伝使  妾が乞ひを容れたまひ
 父の命に面会し  初稚姫の御前を
 訪ねやらむと宣りたまふ  其御言葉を聞くにつけ
 天にも昇る心地して  手は舞ひ足は自ら
 踊るが如く進むなり  春野に遊ぶ蝶の舞
 花に寄りくる蜜蜂の  剣を捨てたる宣伝使
 吾等三人を慇懃に  送らせ給ふ嬉しさよ
 ああ惟神々々  尊き神の御恵
 謹み感謝し奉る  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 三五教は世を救ふ  救ひの神と現れませる
 神素盞嗚の大御神  従ひませる神司
 わけて初稚姫司  ランチ、片彦宣伝使
 揃ひも揃うて吾館  訪れ給ふ嬉しさよ
 嘸や父上、母君も  喜び迎へ給ふらむ
 ああ惟神々々  神の御前に願ぎまつる』
と歌ひながら、麗しき門を幾つとなく潜り玄関口に辿りついた。
(大正一二・一・二六 旧一一・一二・一〇 加藤明子録)
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