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文献名1霊界物語 第53巻 真善美愛 辰の巻
文献名2第4篇 神愛遍満よみ(新仮名遣い)しんあいへんまん
文献名3第21章 軍議〔1384〕よみ(新仮名遣い)ぐんぎ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2024-03-24 08:33:34
あらすじ
刹帝利、タルマン、左守キュービット、新任右守エクス、左守の息子ハルナは、王の居間に集まってバラモン軍の急な退却について憶測談にふけっていた。

一同は、ヒルナ姫とカルナ姫が、両将軍を操って、ビク国に永遠に害が及ばないようにバラモン軍を別の場所に移動させたのだろうと考えた。そしてビク国からバラモン軍を退却させた以上、二女はもう国に戻ってくることはないだろうと推察した。

一同は二女の忠義に感じ入り、刹帝利もハルナも、もう二度と彼女たち以外に妻を持つことはないだろうと決意を新たにした。

そこへ牢番が、逆臣シエールが脱獄したと報告しに来た。一同は、シエールがベルツと合流したら、またしても反逆を企てるに違いないと心配し、右守エクスはベルツ・シエールの動向を探るために密偵を放った。

ベルツは山奥に譜代の家来を集めて立て籠もり、機をうかがっていた。そこへバラモン軍が退却したとの報を聞き、道々農民を徴発して三千人ものにわか軍隊を集め、ビク国の王城に迫ってきた。

ビクの王城には、先のバラモン軍侵攻の敗戦から、代々右守に仕えた武士たちがわずか八百名残っているだけであった。刹帝利をはじめ、この状況に苦慮していた。

ハルナは厳然として立ち上がり、自分は夜な夜な乞食や平民に身をやつして兵営を見回っていたが、今王城を守っている武士たちはみな忠義一途の者たちばかりで、ベルツの悪業を憎んでおり、裏切るものは一人もないだろうと報告した。

そのため兵力を考慮して籠城を選択することを進言し、自ら指揮官に任じてほしいと刹帝利に申し出た。

父の左守はハルナの申し出を退け、未来ある若者は王を守って将来に備え、自分と右守が軍を率いて敵に当たるべきだと進言した。刹帝利も一度は左守の策を取ったが、ハルナは自分の策を取らなければ国が危ういとして、刹帝利に人払いを願い出た。

刹帝利が願いを容れて人払いすると、ハルナは、実は自分は昨夜神王の森に参拝して国家安泰を祈っていたところ、盤古神王ではなく神素盞嗚尊が現れ給い、籠城して敵に当たれば不思議の援軍が現れ、またヒルナ姫・カルナ姫も戻って背後から助けるだろう、と策を授けたことを明かした。

刹帝利はハルナの言に偽り無きことを見てとり、また神素盞嗚尊が授けたもうた籠城策に感じ、ハルナに臨時兵馬権の全権を委任した。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年02月14日(旧12月29日) 口述場所竜宮館 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年3月8日 愛善世界社版257頁 八幡書店版第9輯 598頁 修補版 校定版265頁 普及版127頁 初版 ページ備考
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本文  刹帝利を始め、タルマン、左守のキユービツトや新任の右守なるヱクスはハルナと共に、王の居間に首を鳩めてバラモン軍の退却に対し、いろいろ臆測談に耽つてゐる。
左守『エエ、タルマン殿に神勅を伺つて貰へば分るでせうが、あれ丈立派な陣営を建てビクトリヤ城を威圧致して居りました両将軍が全軍を率ゐて俄に退却致したのは、どうも合点の行かぬ事で厶いますが、貴方は何う御考へなさいますか』
タルマン『どうも私には神懸が厶いませぬので、詳しい事は存じませぬが、察する所、忠勇義烈のヒルナ姫様、カルナ姫様が、ビク国の絶対的安全を保たせむとして、両将軍をうまくチヨロまかし、立去らしめ玉うたものと推察致しまする』
刹帝利『大方さうかも知れない。彼れ両女は本当に国家の柱石だから、一身を犠牲にして国家を救うたかも知れないよ。ああ天晴れの女丈夫だ、偉い奴だなア』
左守『何ともハヤ、ヒルナ姫様の御誠忠には、左守も恥かしう厶います。併し乍ら刹帝利様は之れ丈老齢にお成り遊ばして、万機の政治を御覧し玉ふに、内助に仕ふべき后の君がなくては嘸御不便で厶いませう、ヒルナ姫様は左様な決心を持つておいでになつた以上は、ヨモヤお帰り遊ばすやうな事は厶いますまい。ついてはお后様を選定致さなくては、王様もさぞ御不便で厶いませう』
刹帝利『否々、此方は決して左様な事は思うて居ない。仮令少々不便でも、ヒルナ姫の貞節に対し、どうして後添が持たれうものか、彼の心もチツとは汲取つてやらねばなるまいからのう』
左守『御言葉御尤に厶いますが、何を云つても新に兵馬の権を取り戻され、一国の主権者として、御独身では到底完全なる国政を御覧す事は難しう厶いませう。何とか一つ御考へを願ひたいもので厶います』
と左守は自分の息子ハルナにも嫁を持たせたい、それに就いては刹帝利様より先に后をきめておかねば、臣下の身として憚るといふ考へから頻りに勧めてゐるのである。されど刹帝利はヒルナ姫の心を察し、何と云つても承諾せなかつた。タルマンは左守司の心を推し量り、
タルマン『吾君は何と云つても御老齢、又数多の従臣もお仕へ致して居り、沢山の侍女も居りますれば、御聖慮に任し奉るも是非なき事乍ら、ハルナ殿はまだ年の若き御方、カルナ姫は最早帰られないものと思はねばなりませぬ。さすれば適当の縁を選んでお娶りなさらなくては左守の家の胤が断れるぢやありませぬか。之は一つ吾君様にお願致して、何とかせなくてはなりますまい』
 左守はタルマンの親切な言葉を聞いて、秘に感涙に咽んでゐる。ハルナは進み出で、
ハルナ『タルマン殿、決して決して御心配下さいますな、刹帝利様でさへも、尊き御身を以て、独身生活をしようと仰せらるるので厶います。斯の如き御老齢の御身を以て独身で行かうと思召すので厶いますから、拙者の如き若い者は、決して独身で居つても少しも苦しくは厶いませぬ。又カルナ姫の犠牲的活動を思へば、何うして第二の妻が持たれませう。拙者の恋愛は実に神聖で厶います。此後カルナに会ふ事がなく共終世妻帯は致しませぬ』
タルマン『実に見上げたお志、感服致しました。ああ併し乍ら、左守家の為に子孫を伝へねばなりますまい、独身では子を生む事も出来ますまい。これは枉げて承諾を願ひたいもので厶います』
ハルナ『何と仰せられましても、此事計りはお許しを願ひます。刹帝利様も嗣子がないぢやありませぬか、況んや左守家に嗣子なしとて、夫れを憂ふるに及びますまい。何事も皆神様の御心の儘よりなるものぢやありませぬ。左守家はハルナの子孫でなくてはならないといふ道理もありますまい、現にヱクス殿が新に右守になられた例もあるぢやありませぬか』
 タルマンは頻りに首を傾け、感じ入り、返す言葉もなかつた。
 世の中には最愛の妻に別れ、今後は決して妻は持たない、彼に対して済まないから、誰が何と云つても独身生活をすると頑張つてゐる男が沢山あるものだ。或は追悼の歌を作り、或は追懐の書籍を作り、之を知己友人に配布し、或は天下に公にして独身生活を表白した男が、其宣言をケロリと忘れて、遅いのが二月或は三月、早いのになると三日目位に、早くも第二の候補者をつかまへてゐる。これが人間としての赤裸々な心理状態である。然るに刹帝利を始めハルナは有りふれた世間的の偽人ではない、真に其妻の心を憐み、一生帰つて来る望みのない女房の為に、独身生活を続けたのである。
 斯く話す所へ慌ただしくやつて来たのは牢番のエルであつた。エルは心配相な顔をして、畳に頭を摺つけ、
エル『申上げます、大切な咎人シエールが、何時の間にか牢屋を破り逃走致しました。誠に職務怠慢の罪、申し訳も厶いませぬ』
と泣いてゐる。右守のヱクスは、
『ナニ、シエールが脱獄致したか、ソリヤ大変だ、左守殿、如何致したら宜しからうかな』
左守『ハテ、困つた事を致したものだ。併し乍ら今となつて悔んだ所で仕方がない、彼が脱獄致したのは恰も虎を野に放つが如きもの、キツとベルツと牒し合せ、又何事か謀反を企むに相違厶らぬ、就いては彼が行方を捜索致す必要が厶らう』
刹帝利『速に人を遣はし、彼が所在を尋ね出し、召捕帰るべく取計らつてくれ、右守殿、万事抜目のなき様に頼むぞよ』
 右守は『委細承知仕りました』と此場を立出で、河守の長を勤めたカント及びエルに命じ、変装させて、ベルツの隠れてゐるといふキールの里へ入り込ましむる事とした。
 話替つて、ベルツは三方山に包まれ、一方に大河を控へたキールの山奥に立籠り譜代の家来を集め、武を練り、時を待つてゐた。そこへバラモン軍が一人も残らず退却したといふ報告を耳にし、願望成就の時こそ来れり、今を措いて何時の日か吾目的を達せむや……と無慮一千騎を引率し、道々農民を徴発し、同勢三千人を以て、ヂリリヂリリと攻め寄せ来る内報がカントより届いて来た。刹帝利始め左守の驚きは一方でない。例の如く秘密会議を開いて、反軍の攻撃に備ふべく凝議をこらした。されど何れも右守に代々仕へたる武士のみ僅に八百余名、兵営に国防の大機関として蓄へあるのみ、万一ベルツ押寄せ来ると聞かば、何時反旗を掲げ、王に逆襲するやも計られ難い、其心痛は一通りでなかつた。刹帝利は涙をハラハラと流し、
刹帝利『ああ一難去つて一難来る。どうしてこれ丈心配が絶えないのであらう』
と悲歎に沈む。タルマンも左守司も一向名案が浮んで来ない、何れも青息吐息の為体であつた。ハルナは儼然として立上り、
ハルナ『必ず必ず、御心配なさいますな、城内八百の兵は何れも誠忠無比の人物計りで厶いますれば、メツタに裏返る気遣ひはありませぬ。此ハルナはまだ兵士に面を知られてゐないのを幸、種々雑多に身を窶し、兵営を乞食となつて、夜な夜なめぐり、彼等が話を考へて居りまするが、一人として王の為に命を捨つる事を否む者はありませぬ。そしてベルツの悪業を非常に憎み居りますれば、何程譜代の家来なりとて、大義名分上、左様な不義な事は断じてないと信じます。拙者に此軍隊をお任せ下さらば、みん事敵を打破り、再野心を起さぬやうに致してみせませう。そしてキツとベルツ、シエールの両兇を生捕に致し、お目にかけませう、之に就いては拙者に成案が厶います』
左守『コレ伜、左様な事を申して、万一敗軍を致したら、何うして吾君様に言訳を致すのだ。其方は年が若いから、左様な楽観を致して居るが、あのベルツといふ奴は卑怯者なれど、シエールは軍略の達人、シエールあつて後ベルツの光が出るやうなものだ。汝の如きうら若き弱輩の知る所ではない。及ばず乍ら、年老たりと雖も、父キユービツトが君の御為、国の為、右守殿と全軍を指揮し矢面に立つて奮戦激闘してみよう程に、父は余命も幾何もなき老齢、捨ても惜うない命、其方は行先の長い未来のある男子、吾君のお側に仕へ、安全の地位に身をおいて、吾亡き後は君の為、国の為、十分の忠勤を励んで貰はねばならぬ。吾君様、何卒此防戦は、左守、右守にお任せを願ひます』
刹帝利『左守の言葉、実に吾肯綮に当つてゐる。然らば全軍の指揮を、左守、右守に一任する』
左守『ハイ、御懇命を辱なうし、有難う存じます、命を的にあく迄も奮戦致して、王家及国家を守護致しませう』
右守『及ばず乍ら、左守司の指揮に従ひ、命を鴻毛と軽んじて奮戦激闘仕りますれば、必ず御安心下さいませ』
タルマン『左守、右守殿、命を捨つるは匹夫のなす所、両将は身を安全地帯におき、全軍の指揮を終局までなさらねばなりませぬ。軽挙妄動を謹み、最後の一人迄ながらへるお覚悟でなくては此戦ひは駄目で厶います』
左守『なる程、タルマン殿の仰の通り、委細承知仕つて厶る』
右守『タルマン殿の仰には決して反きませぬ、御安心下さいませ』
ハルナ『お父上が全軍の総指揮官となられた以上は、何卒私を参謀長としてお使ひ下さいます様に、たつてお願ひ致します』
左守『イヤイヤ其方は最前も申した通り、決して危険な所へ行つてはならない。王様のお側に忠実に仕へ、御身辺を守るが其方の役目だ』
と親の情で吾子を戦場に向け討死させまいと頻りに心を悩ましてゐる。
ハルナ『父上の御指揮なれば、今度の戦ひは零敗で厶います。これに就いては吾々に深遠なる計画が厶いますから、何卒、刹帝利様、拙者にお任し下さいませぬか、キツと手柄を現はしてお目にかけます』
刹帝利『ハテ心得ぬ汝が言葉、其計画とは如何なる事か、余が前に言つてみよ』
ハルナ『恐れ乍ら、すべてのお人払を願います。拙者の申し上ぐる事が若し御不承知なれば御採用下されずとも、お恨みは致しませぬ』
刹帝利『若輩の言にも亦取るべき事があらう、然らば聞いて遣はす……ア、イヤ、一同の者、暫く席を遠ざかつたがよからう』
と鶴の一声に、タルマン始め左守、右守は不性不精に席を遠ざかつた。ハルナは王の側近く進み、声を潜めて、
ハルナ『実の所は昨夜神王の森に参拝を致し、真心を籠て国家の安泰を祈る折しも、盤古神王と思ひきや、神素盞嗚尊現はれ玉ひ、仰せらるるやう、……其方は国家を思ふ忠良の臣だ、実にビクの国の柱だ。今やベルツは反旗を掲げ、一千騎の軍隊を引率れ、数多の農民共を従へて、無慮三千人、日ならず押寄せ来るであらう、あ、其時は決して手向ひを致すでない、城内を固く鎖し籠城を致せよ。さすれば八百の味方は一人も裏返る者はない。もしも城外へ出でて戦はむか、裏切りするものが現はれて、味方の不利益であるぞよ。兎も角も籠城の心持にて、四方の入口を固め居れば不思議な援軍が現はれて敵を追ひ散らすであらう。又ヒルナ姫、カルナ姫は帰り来つて、敵の背後より、奇兵を放ち、叛軍をして、一人も残らず降伏せしむることが出来るであらう……とアリアリとお示しになりました。何卒、夢とは云へ、決して虚妄の言では厶いませぬ。賢明な吾君は必ずや、吾進言を御嘉納下さる事と固く信じて居りまする』
刹帝利『いかにも、汝の言葉には一理ある。到底人間の力では及ぶものでない、素盞嗚尊様のお示しになつた戦略は、実に完全な戦法だ。然らば全部、汝に臨時兵馬の権を委任する』
 ハルナは嬉し涙をハラハラとながし乍ら、
ハルナ『若年者の言葉、御聞き届け下さいまして、有難う厶います。キツと御神力に仍りて、国家の大難を救はして頂きませう。御安心下さいませ。ああ惟神霊幸倍坐世』
と合掌した。王はさも頼もしげに、ニコニコとして面色とみに輝き出したり。
(大正一二・二・一四 旧一一・一二・二九 於竜宮館 松村真澄録)
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