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文献名1霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻
文献名2第4篇 関所の玉石
文献名3第17章 火救団〔1403〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年02月23日(旧01月8日) 口述場所竜宮館 筆録者北村隆光 校正日 校正場所
OBC rm5417
本文の文字数4321
本文のヒット件数全 1 件/竜宮館=1
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本文  八衢の関所にトボトボとやつて来た一人の女がある。守衛は女に向ひ、
赤『ここは八衢の関所だ、一寸調べる事があるから待つて貰ひ度い』
 女はハツと驚いて叮嚀に辞儀をし乍ら、
女『ハイ、何か御用で厶りますか』
赤『お前は何処の女だ。姓名を聞かして貰はう』
女『ハイ、私はフサの国、玉木村のテームスの娘スミエルと申します』
 守衛は『フサの国 フサの国』と云ひ乍ら横に長い帳面を念入りにめくつて、
赤『お前は未だ未婚者だなア』
スミエル『ハイ、左様で厶ります。どうも縁が遠縁で厶りまして困つて居ります』
赤『今迄幾度ともなく縁談の申し込みがあつたぢやないか。何故両親の言葉を聞いて早く養子を迎へなかつたか』
スミエル『随分立派な養子も申し込んで下さいましたけれど、御存じの通りお多福で厶りますれば、心から私を愛して養子に来る人はありませぬ。皆父の財産を相続するのが目的で養子の申し込みがあるのですから、そんな犠牲にせられちや堪りませぬからな。既に養子とならば主人です。両親の目の黒い間は兎も角、両親が国替でも致しましたら、そろそろ被つて居た猫の皮を剥ぎ本性を現はし、美しき女を妾に置いたり、或は本妻をおつ放り出し、妾を本妻にする悪性男の多い世の中ですから、うつかり養子を貰ふ訳にも参りませぬ』
赤『お前は実際の所、番頭のシーナに恋着してゐるのだらう。それだから左様な事を申して、立派な養子があつても皆刎ねつけてゐるのだらうがな』
スミエル『お察しの通り、宅に置いた番頭で厶りますけれど、ラブに上下の区別は厶りませぬ。又番頭を養子にして置けば、世間の夫の様に威張らなくて何程宜いか知れませぬから、家の為めにも自分の為めにも大変好都合と存じまして、両親は如何考へてるか知りませぬが、私はそれに定めて居ります。何程番頭と云つても人格に変りはありませぬ。凡て男も女も相互に個人としての人格を基礎として結合すべきものだと思ひます。一方から一方を奴隷扱ひするのでもなく物品視するのでもなく、又神の如く尊崇するのでもない。双方共に平等の人格と人格との結合でなければ真の恋愛でもなく、結婚でもありませぬ。今日の如き男尊女卑的の結婚は実に不合理極まるもので、其性的関係に就いても殆ど主人と奴僕の如く、顧客と商品との如く、或は牝馬と種馬との如く、個人として已に一度目の覚めた人間から見れば甚だしく非人間的な非論理的な性的関係だと云はねばなりますまい。夫が女房に対して可愛がるとか、面倒を見てやるとか、優くするとか等の言葉に対して、妻の方から旦那様のお気に入るとか、可愛がられるとか云ふ言葉が存立し得る如き夫婦関係は、そこに仮令如何なる愛情が存在して居らうとも、決して真正な結婚ではありませぬ。飼ひ主が愛犬に対する愛情、或は資本家が賃金報酬に対する温情主義と称するものと何等異なるものなきもので、真の人と人との道徳的な関係ではありませぬ。女性に向つて只々温良貞淑をのみ強要せむとする如き夫は、所謂奴隷の道徳を異性に強ゆるものであります。私等は社会の因襲的、かかる悪弊は絶対的に排除したいもので厶います。今日の多くの婦人の間に媚びるとか、甘へるとか、じやれるとか、飼ひ犬や、飼ひ猫と共通的な性情をさへ具有せしむるに至つた悲しむべき事実を見るに至つたのは、畢竟今迄の人間に少しも恋愛結婚に対する理解力がなかつたからで厶います。私は第一、主人だとか番頭だとかの下らぬ障壁を取除き、神聖なる恋愛に生き度いもので厶います。それ故何程立派な男でも智者学者でも、此間の道理が分らない頑固な人には、一身を任せる事は出来ませぬ。恋愛至上の思想があつて初めて一夫一婦の的確なる精神的、道理的、合理的基礎を与ふる事が出来るものでせう。それ以外の一夫一婦論は偽善説にあらざれば、即ち単なる便宜的、因襲的、実利的の御都合主義か、形式主義たるものに過ぎないでせう。理想の合はない夫婦は、何時か相互の間に必然的紛擾を起し、モルモン宗の様に一夫多妻主義を止むを得ず採らなければならない様になります。又女の方では已むを得ずラマ教の様に、表面は兎も角、裏面に一妻多夫主義を心ならずも行はねばならぬ様な破目になりますから、此結婚問題のみは、何程両親の言葉だと云つても承諾する事は出来ませぬ。それ故番頭のシーナさまも私も困り果てて居るのですよ。頑迷不霊の親を持つた娘位不幸な者は厶いませぬ』
赤『またしても恋愛神聖論者がやつて来て、吾々の頭脳に一種異様の反響を与へよつた。併し乍ら此女の云ふ事も、今日の人間としては最勝れた考へだ』
 斯く云ふ所へ少しく年の若い、非常な美人がトボトボとやつて来た。スミエルは此女を見るより嬉しさうに、
スミエル『やア其方は妹スガールぢやないか』
スガール『ハイ、姉さまで厶いましたか。いい所でお目にかかりました。猪倉山の岩窟に連れ込まれ暗い陥穽へ落されたかと思へば、こんな所へ抜て来てゐました。姉さまもヤツパリ私の様な目に会つたのでせうね』
スミエル『これ妹、ここは現界ではなく、どうやら霊界の様な塩梅ですよ。姉妹二人が深い穴へ放り込まれ、命を失つて霊魂がここへ来てゐるのでせうよ』
スガール『そんな事は厶いますまい。これ丈け気分が確りしてゐますもの。夢でもなければ死んだのでもありませぬ。そんな事云つて下さるな。私心淋しう厶いますわ』
赤『スガールとやら、其方スミエルの妹と見えるが、ここは霊界の八衢だから未だお前達の来る所ではない。之から現界へ帰つて暫く働かねばなりますまいぞ。併し乍ら両人の身体は、深い暗い陥穽に放り込まれてゐるのだから、容易に救ひ出す事は出来まい。併し不思議な事には生死簿には生としてあるから、神様が何とかして現界に返して下さるだらう』
スガール『左様で厶いますか。さうするとヤツパリ此処は霊界で厶いましたかな。鬼春別、久米彦と云ふゼネラルの部下に捕へられ、深い穴に放り込まれたと思へばヤツパリその時に私等姉妹は現界を去つて来たのですかな』
 かかる所へ道晴別、シーナの二人は道々何事か話し、又幽かな声で宣伝歌を歌ひ乍ら、此方に向つて進んで来る。その姿が道端の樹の間を透して、仄に現はれて来た。
道晴別『神が表に現はれて  善と悪とを立別ける
 此世は神のゐます国  世の人草は押し並べて
 尊き神の御恵みに  洩れたる者はあらざらめ
 斎苑の館を立出でて  魔神の猛る月の国
 大雲山に蟠まる  醜神等を言向けて
 此世の塵を払はむと  治国別に従ひて
 進み来れる折もあれ  祠の森に残されて
 瑞の御舎仕へつつ  その神業も相果てて
 又もや進む宣伝使  浮木の森を後にして
 シメジ峠の山麓に  来かかる折しも曲津見が
 猪倉山に陣取りて  四辺の人を悩ませつ
 玉木の村のテームスが  娘二人を掠奪し
 帰りし事を聞くよりも  見捨て兼ねたる義侠心
 軍服姿に身を窶し  シーナと共に曲神の
 集まる岩窟に立ち向ひ  悪神達の計略の
 暗き穴へと投げ込まれ  気絶したりと思ひきや
 何時とはなしに漂渺と  涯りも知らぬ大野原
 知らず知らずに辿りける  思ふにここは霊界の
 八衢街道にあらざるか  四辺の空気はなんとなく
 現の世とは変りけり  ああ惟神々々
 御霊幸はひましまして  現界幽界隔てなく
 罪に穢れし吾々の  身魂を救ひ天国に
 上らせ玉へ惟神  国治立の大御神
 豊国姫の大御神  瑞の御霊の大前に
 慎み敬ひ願ぎ奉る  ああ惟神々々
 御霊幸はひましませよ』
 二人は漸く関所の門前に着いた。よくよく見れば救ひ出さうとしてゐた、スミエル、スガールが、赤、白の守衛と共に何だか話をしてゐるので道晴別は不思議相に、
道晴『拙者は三五教の宣伝使道晴別と申します。ここにゐられるのは玉木村のテームス殿の番頭シーナさまで厶ります。二人の御婦人はスミエル、スガール様ぢや厶りませぬか』
赤『左様で厶る。只今ここへ精霊となつてお入来になりましたから、今お帰りを勧めて居る所です』
道晴『あ、それは御厄介で厶いました。私も仄に心に浮びますのは、此御両人を助け出さうと思ひ、猪倉山の岩窟へ奇計を以て忍び入り、失敗を致し、敵に覚られ暗黒なる深き穴に投げ込まれたと思へば、斯様な処へ両人が来て居りました。さうすれば、吾々もヤツパリ現界の者ではありませぬかな』
赤『いや御心配は要りませぬ。まだ貴方方四人共ここに来られる方ぢやありませぬ。何等かの手続きを以て現界へ帰られるでせう。時にシーナとやら、ここにスミエルさまが来て居られるから御挨拶をなさらぬか』
シーナ『ハイ、何とも恥かしくて言葉が出ませぬ』
と俯向く。
赤『シーナさま、随分スミエルさまは貴方に対し、大々的気焔を吐いてゐられましたよ。ま一度現界へ帰つて何卒親密に社会奉仕なり、神霊奉仕をお励みなさい』
シーナ『一旦肉体をとられた私、如何して現界へ帰る事が出来ませうかな』
赤『ここへ来なくてならぬものは、何程嫌だと云つても来なくてはなりませぬ。又現界に命数のある人は何程来たいと云つても来る事は出来ませぬ。何れ立派な宣伝使の精霊が来て、貴方等を現界へ連れて行つて下さるでせう』
 四人は意外の感に打たれて、二人の守衛の顔を見つめてゐた。そこへ東の方から、『オーイ オーイ』と三四人の声が聞えて来た。四人はハツと声する方に身を転ずれば、一道の光明が低空を轟かしてゴウゴウゴウと進み来り、四人の前に緩やかに落ちて来た。火団は忽ち四柱の神人と化した。道晴別は『はて不思議』と、よくよく顔を透かし見れば、恋ひ慕うてゐた治国別の一行である。道晴別は嬉し涙にくれ乍ら、
道晴『ああ先生様、松彦、竜彦、万公殿、よう来て下さいました』
と涙を袖に拭ひ嬉し泣きに泣く。何時とはなしに四方から普遍的な光明がさして来た。此光明に照らされて八人の姿は煙の如くに消えて了つた。随つて八衢の関所も赤白の守衛の姿も見えなくなつた。
(大正一二・二・二三 旧一・八 於竜宮館 北村隆光録)
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