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文献名1霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻
文献名2第1篇 奇縁万情
文献名3第6章 洗濯使〔1414〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月03日(旧01月16日) 口述場所竜宮館 筆録者松村真澄 校正日 校正場所
OBC rm5506
本文の文字数5633
本文のヒット件数全 1 件/竜宮館=1
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本文  治国別の居間へはフエル、アヅモスの両人が膳部を運び、叮嚀に辞儀をし乍ら、フエルの方は慄うてゐる。フエルは三五教の宣伝使とアヅモスに聞いたので、俄に恐ろしくなつたのである。併し乍ら治国別、松彦、竜彦は一面識もないので、此家の下男とのみ考へてゐた。フエルは鬼春別以下三人の姿を見て、様子は分らず、不思議相に俯いたまま横目で四人の顔を見比べてゐた。エミシは早くもフエルの姿を見て、
エミシ『オオお前はフエルぢやないか。何うして此処へ来たのだ』
フエル『貴方はカーネル様で厶いましたか、能うマア……何うしてお出でになりました。私は貴方の命令に仍つて、シメジ峠に三五教の宣伝使の閉塞隊を勤めて居る矢先、道晴別宣伝使に霊縛をかけられ、当家の庫に放り込まれ、ヤツと今朝ここの若主人に解放され、炊事や掃除の役を仰せ付けられて居ります』
エミシ『お前一人か』
フエル『イエ、ベツトと二人で厶います。ベツトも私と同様に早朝から大活動をやつて居ります』
 エミシは鬼春別を指ざし、
『オイ、此お方を知つてゐるか』
フエル『ハイ、ゼネラル様ぢや厶いませぬか、どうしてマア三五教の宣伝使と、かやうな所へお出になりました。又霊縛にかかつてぢや厶いませぬか』
鬼春『アハハハ、治国別様の霊縛にかけられ、たうとうゼネラルを棒にふつて、今日は三五教の一兵士となつたのだよ』
フエル『思ひきやゼネラル様が此家に
  お越しあるとは夢にも知らず。

 夢の世に夢を見るてふ人の世は
  はかなきものと今や悟りぬ』

鬼春別『三五の神の光に照されて
  暗は晴れけり心の闇も』

治国別『テームスの珍の館に落合ひて
  神の恵を味はふ今日かな』

アヅモス『客人よいと平けく聞召せ
  万公別が献立の味を』

竜彦『万公の姿見えぬと思ひしに
  早飯焚となりにけるかな』

 松彦は飯の少しく色の変つたのを見て、
松彦『此飯は何とはなしに色づきぬ
  灰カラ女のたきしものにや』

アヅモス『色付きし万公別の献立と
  思へば何の不思議かはある。

 さり乍ら直日に見直し聞直し
  今日一朝は忍ばせ玉へ』

松彦『何となくゲヂゲヂゲヂと歯はきしり
  砂を噛むよな飯の味かな』

竜彦『万公が主人気取となりよつて
  灰カラ飯を炊しなるらむ』

 治国別は、
『皆さま、頂戴致しませう。お先へ御免』
と云ひ乍ら、一口口に含んで目を白黒し、吐き出す訳にも行かず、涙を流し乍らグツと呑み込んで了つた。白い飯の上に所々灰が黒く塊つてゐた。
治国別『黒胡麻のふりかけ飯と思ひきや
  目も白黒と麦粟をふく』

松彦『麦飯の色にもまがふ灰飯に
  黍悪相に粟を吹くかな』

竜彦『オイ番頭さま、偶々のお客さまに、こんな飯を食はすといふ事があるか、余りヒドイぢやないか』
アヅモス『ハイ、万公別の若旦那が御指図で、お炊になつたので厶いますから、何卒今朝丈は御辛抱下さいませ。それはそれは炊事場は偉い灰埃で厶いました。飯の奴、鍋山が噴火して灰を降らし、そこら一面灰の山となりましたので、知らず知らずの間に厚い鍋蓋を潜つて、灰が浸入したので厶いませう。何なら鬼春別さま、久米彦さまにあがつて頂きまして、お腹がすきませうが、暫く待つてゐて下さいませ。更めておいしい御飯を炊いて参りますから……』
治国『イヤ、誰だつて同じ事だ。併し乍ら折角の志、無にするのも済まないから一度之をスツカリ清水に洗つて日に乾かし、お茶漬にしてよばれませう。サ、お膳を引いて下さい。誰だつて此御飯許りは勿体ない事乍ら喉へは通りませぬから……』
アヅモス『左様ならば一先づ膳をひきませう
  待たせ玉へよ暫くの間。

 フエルさまお前も共に炊事場へ
  急ぎ御飯を炊いてくるのよ』

フエル『炊き様に依つてお米はフエルさまだ。
  サア是からが一生懸命。

 生命の綱と聞えし此飯を
  灰にまぶせし吾れはハイカラ。

 万公別主人の君と諸共に
  腕に撚かけむし返しみむ』

と云ひ乍ら、アヅモス、フエルの両人は急いで膳部を片付け、幾度も謝罪し乍ら、炊事場に引返して来た。見れば万公はお民をつかまへて、一生懸命に指図をしてゐる。
万公『オイお民、火消壺の蓋は何時もキチンと出来てるか、底の方に火がまわりはせぬかと能く気をつけるのだぞ。コンロの下の灰を一遍々々捨てる事を忘れるな。井戸の水はどんなとこへ使へば危険でないか。煮物、炊物、沸かして呑む水等の外、決して生水は呑んでは可かぬぞ。此頃は梅雨だから、水に塩気があつて、妙な黴菌が生いてゐるから充分に沸らして、水が呑みたけりや冷して呑め、生水を使ふのは手洗水か雑巾水より外にはならぬぞ』
お民『流しを洗うたり、食器類や爼板を洗ふのは何うしたら可いのですか。ヤツパリ之も湯を沸かすのですか』
万公『エー、そんな事迄指図せなくちや分らぬのかナ、其奴ア水で辛抱するのだ。そして水壺に何時も水を用意して、非常の時の用意に備へておくのだ。そして毎日新しい水と取かへるのだぞ。柄杓などを水の中へつけておくと、水の味もかわるし、杓もホトびて損むから、一遍々々外へ出して乾かしておくのだよ。そして井戸は使つたあとは蓋をしておくのだ。釣瓶縄の新しいのを使う時は、ようスゴいて使はないと、クロロを脱線するから気をつけよ』
お民『贋旦那さま、指図計りして居らずと、貴方も一つ手伝うて下さいナ。ここは井戸ぢやありませぬよ。水道の水を使つて居るのですよ』
万公『水道でも井戸でも同じ事だ。痳病やみが小便をたれるやうに、いつもジヨウジヨウと洩しておいては公徳上すまないから、水道の栓は、使つたら固く締めておくのだ。そして朝水道の水はバケツに一杯丈は使水とし、余りは滌ぎ水にして外へ利用するのだ。お水を粗末にすると、月の大神さまの神罰が当るぞ』
お民『ハイハイ。能うゴテゴテと構ふ人ですな。そんな事位知らいで、大家の下女が勤まりますか』
万公『コリヤ主人に口答するといふ事があるか。何だ灰だらけの飯を炊やがつて、おまけに火のいつた黒い黒い飯を沢山拵へたぢやないか』
お民『あんたが出て来て喧ましう差出なさるものだから、つい気を取られてお前さまの顔計り見て居つたら、焦げついたのですよ』
万公『ヘヘヘヘ、気を取られて俺の顔計りみとつたといふのか、其奴ア駄目だ。諦めたがよからう、下女を女房にする訳にも行かず、又汝の赤い頬ぺたでは、如何に物食ひのよい万公別でも、一寸は三舎を避けるからのう』
お民『ホツホホホ、誰が主人だつて、貴方の様なお顔に惚ますか。余り奇妙な顔だと思つて、気を取られてゐたのですよ。モウ可いかげん彼方へ行つて下さいな』
万公『今日はどうやら日和もよささうだから、お客さまの着物が大分汗じゆんでゐる。着替を出して着て貰つて、其お装束を洗濯するのだな』
お民『ハイハイ飯を焚かねばならず、洗濯もせにやならず、本当に忙しい事だ。私はここへ飯焚き女に雇はれて来たのだから、洗濯は約束以外ですワ、洗濯さすのなら二人前の給料をくれますか。お前さまは俄主人だから私の約束を知らぬのだらう。庭掃きとも座敷の掃除番とも云つて、雇はれて来たのぢや厶りませぬよ』
万公『下女と云ふ者は家の内一切を構ふものだ。飯焚きといへば一切の事が含んでをるのだ。融通の利かぬ奴だなア』
お民『そんなこた分つてをりますよ。併し余り融通を利かすと、忙しい計りで身体が疲れて損ですワ。目のない主人に使はれて居つては、何程骨を折つても椽の下の舞だから、マアやめておきませうかい。お前さま若主人だなんて、勝手にきめてるのだらう、そんなこたチヤンとお民の目に映つてをりますよ。宣伝使の褌持ぢやありませぬか、オホホホホ、チツと何うかしてますねえ』
万公『エー、お上の事が下に分るものかい。サア是から洗濯だ。洗濯の仕方は分つとるかなア』
お民『洗濯と云つたら、河へ持つて行つて、浅瀬に石を一々乗せて、漬けておけば可いのでせう。そして十日程して行けば自然に垢が除れてますワ。万公さま、ここに古い褌や湯巻の古手が沢山つつ込んであるから、お前さま抱えて猪倉川迄持つて来て下さらぬか』
万公『馬鹿云ふな、主人候補者の俺に向つて、チツと失礼ぢやないか。ここの背戸口で盥に水や湯を汲んでバサバサとやれば可いのだ。きめの粗い水だとみた時は、始めに曹達を能く溶かして使へばキツト美しうおちる、さうすると石鹸と時間とが経済になる。そして滌ぎ水は奇麗に濁らなくなる迄何遍も変へないといふと、生地が早くいたむぞ。そして水で洗うて可いものと、湯で洗うて可いものとある。それを第一心得ておかないと洗濯婆にはなれぬぞ。俺は世界の人民の霊を洗濯する三五教の洗濯使だ。併し乍ら今日は譲歩して、汝に衣類の洗濯方法を教てやるのだから、能く忘れぬやうに覚えておけ。洗方に注意せないと、折角の結構な衣類が台無しになつて了ふものだ。絹物や毛織物や色物は熱い湯につけて洗うと駄目だ。又毛織物は冷たい水に漬けても悪い。そして絹物、毛織物、麻織物は強く揉んでは駄目だぞ。曹達(灰汁)や悪い石鹸で、絹物はキツと洗つてはならない、色物は猶更だ。そして色物は皆陰干にせなくては、日向に出したら皆色が褪せて了ふ。干す時は竿か縄を通して、木から木へ掛けておくのだ。白い物を色物の竿にかけると、色がついて台なしになつて了ふぞ。あああ宣伝使も何から何迄知つてをらねば勤まらぬ、本当に難しい職掌だなア』
お民『ハハア、さうするとお前さまは若い時から洗濯屋の番頭をして居つたのだなア。男の癖にそんな事を知つて居るものは、首陀の内だつてありませぬワ。モウ余り喋りなさるな、お里が見えると、折角の縁談もフイになりますよ。ホツホホホホ』
万公『馬鹿云ふな、女子大学家政科の卒業生だ。それだから何もかも知つてるのだ』
お民『ホホホホ、女子大学へ男が行くのですか。さうするとお前さまは男の腐つた女の屑だな。道理でクヅクヅ云うと思つてゐた』
万公『女は口を慎むが第一だ。男子に抗弁するといふ事が何処にあるか、らしうせよといふ言を知つてゐるか』
お民『其位のこた、とうの昔に御存じのお民ですよ。主人は主人らしう、奴は奴らしう、下女は下女らしう、宣伝使は宣伝使らしう、居候は居候らしうせよと云ふ事でせうがな。お前さまも若主人なら、なぜ若主人らしうせぬのだい。私が一寸考へてみると、お前さまは、馬鹿らしう、ケレ又らしう、自惚男らしう、腰抜らしう、デレ助らしう、雲雀らしう、九官鳥らしう、まだも違うたら鸚鵡らしうみえますよ、ホツホホホホ』
 かかる所へアヅモス、フエルの両人はツマらぬ顔をして、入り来り、
アヅモス『オイ、お民、何といふ飯を炊きやがるのだ。偶々のお客さまに灰飯を食はしやがつて、マ一遍炊き直さぬかい。サ、早う、何をグズグズしてゐるのだ。ハハア此お客さまにうつつをぬかしやがつて、飯の焦たのも知らず、灰の這入つたのも気がつかなかつたのだなア』
お民『モシ二の番頭さま、此人、どつかへ伴れて行つて下さい、蕪から大根菜種のはしに至る迄ゴテゴテ云つて構ふのですもの、骨折つて炊事も出来やしませぬワ』
アヅモス『ヤア貴方は夜前のお客様、何卒奥へお入り下さいませ。先生が御待ち兼で厶います』
万公『ウン、お前が番頭のアヅモスだなア。スガールやシーナが病気で伏せつて居るので、お前も忙しい事だらう。併し乍らここ二三日辛抱してくれ、其代りに褒美は又此若主人がドツサリ使はすから』
アヅモス『ヘーエ、妙ですな。貴方何時の間にここの主人になられましたか』
万公『遠き神代の昔から、霊の因縁でここの主人ときまつて居るのだ。俺は今の主人の父親のテームスの生れ変りだぞ』
アヅモス『ヘーエ、貴方のお年は、一寸見た所で四十近いぢやありませぬか、御主人のお父さまは亡くなつてから、まだ五六年よりなりませぬがな』
万公『其モ一つ親だ、親と云つたら先祖をすべて親といふのだ。それで遠津御祖代々の親等と祝詞にもいうてあるぢやないか。祖父さまだの、曾祖父さまだのと、人間は云ふか知らぬが、神の方では一口に親と云へば、それで可いのだ。ゴテゴテ言はずに、お民に飯の炊方から洗濯の方法まで教へてあるから、能く聞いて早く膳部を拵へ、珍客さまを待遇すやうに致さぬか』
アヅモス『モシ、若旦那の候補生様、之から吾々が骨を折つて御飯を拵へますから、何卒治国別さまのお居間へいつて、暫くお客さまの待遇をして居つて下さいませぬか』
万公『主人が番頭の言ひ付を聞く法はないけれ共、暫く折角のお客様だから、主人が出ないのも却て失礼になる、そんなら能く気をつけて万事抜目のないやうにやつてくれ。……お民、汝も、今度は性念入れて飯を焚くのだぞ』
と言ひ捨て、広い家を迷ひさがし乍ら、漸くにして治国別一行の陣取つてゐる庭園内の建物を見つけて走り行く。
(大正一二・三・三 旧一・一六 於竜宮館 松村真澄録)
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