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文献名1霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻
文献名2第1篇 自愛之柵よみ(新仮名遣い)じあいのしがらみ
文献名3第4章 盗歌〔1434〕よみ(新仮名遣い)とうか
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ
白と赤の八衢の守衛たちは生死簿を調べ、ヘル、シャル、ケリナ姫もまだ現界に数十年の寿命が残っていると告げ、東に向かって進むようにと命じた。三人は言われるままに向かって行くと、一人の男と鉢合わせた。

男はケリナ姫の貧しい身なりを見るとからかいだして三人に絡んだ。その男・六造とシャルは掛け合いをやっている。すると蓑笠をかぶった五十あまりの婆がとぼとぼとやってきた。四人はその姿がどこともなく変わっているのに不審を抱き、道端の草むらに身を隠した。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月14日(旧01月27日) 口述場所竜宮館 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年5月3日 愛善世界社版42頁 八幡書店版第10輯 161頁 修補版 校定版44頁 普及版19頁 初版 ページ備考
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本文  高天原と根の国を  中断したる中有界
 百のエンゼル下り来て  伊吹戸主の御館に
 集まりたまひ愛善の  徳をば教へ信真の
 光を照して精霊を  皆悉く天界に
 救はむものと大神の  大御心を畏みて
 言葉を尽し気を配り  諭したまへど現世に
 ありたる時に諸々の  悪と虚偽との罪悪に
 御魂を汚し破りたる  精霊は清きエンゼルの
 宣る言霊に堪へきれず  頭は痛み胸はやけ
 耳には針をさす如く  いと苦しげに自ら
 自由自在に根の国や  底の国へと駆り行く
 ああ惟神々々  宇宙の主宰と現れませる
 仁慈無限の大神は  人の精霊は云ふも更
 禽獣虫魚に至るまで  霊あるものは悉く
 皆天国へ救ひ上げ  各団体の円満を
 はからせ給へど如何にせむ  悪に慣れたる精霊は
 善と真とを忌み嫌ひ  悪と虚偽との悪魔道へ
 自ら勇んで降りゆく  醜の御魂ぞあはれなり
 皇大神は此様を  憐みたまひ現世に
 厳の御魂や瑞御魂  神の依さしのエンゼルを
 下したまひて霊界の  奇き有様悉く
 完全に委曲に説き諭し  示させたまへど現世の
 自愛の欲に囚はれて  眼をふさぎ耳を閉ぢ
 神の光を背にして  皆散り散りに逃げて行く
 醜の御魂ぞ憐れなり  神が表に現はれて
 善と悪との報ひをば  いと審に説き諭し
 罪をば宥し救けむと  心を千々に砕きつつ
 血を吐く思ひの杜鵑  八千八度の声枯れて
 竜宮館の渡船場に  立たせたまふぞ畏けれ
 ああ惟神々々  御霊幸倍ましませよ。
 白赤の守衛は、ヘル、シャル、ケリナ姫の生死簿を調べ、未だ何れも数十年現界に寿命の残つて居ることを三人に宣り聞かせ、一時も早く此処を立ち去り東に向つて進めよと命じた。三人は夢か現か、現界か、幽界か、少しも合点ゆかず暗中摸索の体にて、守衛が云ふままに踵をかへし、東を指してトボトボと進み行く。
ケリナ『細き煙も絶え絶えの  光の影を後にして
 恋しき夫を尋ねむと  草の枢を引き立てて
 エルシナ河の辺まで  進み来れる折もあれ
 傾く峰の月影は  妾が姿を見下して
 諸行無常と慄ひ居る  ああ懐しや懐しや
 恋しき人の後追ふて  荒野ケ原を打ち渡り
 露に体を霑して  涙を絞る悲しさよ
 濡るるも花の下影に  宿らむものと立ち寄れば
 傾く月は夜を残し  仰げば高し天の河
 空には雁の声すれど  尋ぬる人の便りをば
 聞知るよしもないぢやくり  ああ如何にせむ千秋の
 恨を呑んで遠近と  彷徨ひ来りエルシナの
 谷川目蒐けて身を投じ  寂滅為楽となりしよと
 思ふまもなくヘル、シヤール  二人の男に助けられ
 又も浮世の荒風に  当りて心を砕く折
 泥坊頭のベルさまが  無体の恋慕を吹きかける
 ヘルとシヤールの両人を  向ふにまはしケリナをば
 互に妻に娶らむと  鎬を削る果敢なさよ
 妾は驚き森林の  パインの梢にかけ登り
 難を避け居る時もあれ  闇をつらぬく水の音
 忽ち三人の黒影は  エルシナ河の深淵に
 落ちたるものか憐れやと  窺ふ途端に踏み外し
 ケリナも共に深淵に  落ち込みたりと思ひきや
 いつの間にかは知らねども  草花茂る田圃道
 彷徨ひ来りし訝しさ  思ふに此地は霊界か
 探ねあぐみし背の君の  鎌彦さまに廻り会ひ
 過し昔の物語  聞いて驚く吾心
 恋しき人は兄の仇  如何なる因果の廻り来て
 斯も不思議な運命の  綱に繋がれ居たりしぞ
 これも現世の宿業が  廻り廻りて吾の身に
 来りしものか情けなや  兄のベルジーを殺したる
 夫と恃みし鎌彦は  又もやベルに殺されて
 ライオン河の泡となり  消えて後なく霊界の
 巷に迷ふ憐さよ  ああ惟神々々
 御魂の恩頼を賜りて  中有界に迷ひたる
 吾等の御魂を速に  神の御国へ救へかし
 朝日も照らず月もなく  星さへ見えぬこの道に
 咲き誇りたる百の花  香りはあまりなけれども
 艶を競ふて並び居る  草木の花に至るまで
 常世の春を楽しみて  歓ぎ遊べる世の中に
 吾等三人は何として  花も実もなき霊界の
 心淋しき此旅路  憐みたまへ天津神
 国津神達八百万  神の使の御前に
 謹み敬ひ願ぎまつる  謹み畏み願ぎまつる』
と歌ひ乍ら進み行く。一人の泥酔男頬被りを深く被り乍ら、淋しさうな筒袖で、労働姿の儘やつて来た。三人は道の傍の木影に立ち留り其男を目送して居る。余り広からぬ道を、右によろよろ左によろよろと足許危く、

男『晴れを待つ宵、曇るも憎や
 曇りまつよに、晴れる月
 恋は誰が(五位、鷹)
 教(鴛鴦)へつるかも仮初に(鶴、鴨、雁)
 ほのみし影の身にしみて憂き(家鶏、鵜)
 やつこらしよ、やつこらしよ……ぢや』

と唄ひ乍ら三人にドンと突き当り、
男『ドド誰奴だい、往来の妨げをしやがつて些済まぬぢやないか。見れば男が二人に女が一匹、ヘン馬鹿にしてけつかるわい。一寸見た所では綺麗な女だが、その衣類は何だい。まるきり古家の障子見たやうに窓が明きさらして肌が見えて居るぢやないか。えらい、虱だ。何だ美人かと思へば虱太夫さまか、ペツペツペツ、ああ汚い、臭い臭い』
と鼻を撮む。
ヘル『こりや、どこの誰奴か知らないが、俺の奥さまを捉へて何といふ暴言を吐くのだ、もう承知はしないぞ』
男『アハハハハ。乞食女を奥さまだなんて好いデレ助だなア、ハハー、こんな虱太夫でも後を慕つて来る男が〆て二人もあるかと思へば世の中は不思議のものだなア。オイ阿魔女お前の名は何と云ふのだ。虱のお宿さま、名を云ふのが恥かしいのか、ペツペツペツ』
ヘル『こりや、何所の奴か知らぬが一寸待て、貴様は一体此処を何処と心得て居るか』
男『ヘン、何処も彼所もあるものかい、此処はフサの国テルモン山の麓の高野ケ原だ。俺の女房がこの先の村に待つて居るのだ。これから帰るのだよ。夫は夫は別嬪だぞ』
ヘル『これや、惚けやがるない、貴様は此処を高野ケ原と思つて居るか知らぬが此処は冥土の八衢だ。些確りせぬかい、そして此処に現はれた女の方は俺の女房とは佯り、実の所は三十三相に身を変じ遊ばす観自在天様だぞ』
男『ハハハハハ、何を吐しやがるのだい。観自在天とはよく洒落たものだ。このナイスの体には、胡麻を撒りかけた如く観音様が御出現だからな、ウフフフフ
 噛みつかば許しはするなよただ捻れ
  布子の裏にわたがみはなし

 梅桜摺縫箔の古小袖
  花見虱の飛び散りにけり

 汗水になりて世渡る人の身の
  夏の虱は浮つ沈みつ

か、ウントコシヨ、ウントコシヨ、か。
 引きかつぎ帷布ごしに空見れば
  雲井を走る月の夜虱

 冬籠布子の綿に住む虱
  雪の如くに白けてぞ臥す』

ヘル『アハハハハ。こりや虱太夫、ソロリソロリと新左衛門坊主の云ふやうな事を吐くぢやないか、貴様は余つ程虱博士と見えるな』
男『定つた事だ。俺こそ虱のお庄屋さまだ。これ見ろ、こんな浅黄の筒袖を着て居るから貴様の目には分るまいが、俺の着物は六道の辻だ。沢山の虱がウヨウヨと右往左往に活動して居るのぢや。俺の名も六造なり合ふたり叶ふたりだ。一層の事その虱ナイスと此処で一つ観音較べをして夫婦になる訳にはゆくまいかなア』
ヘル『こりや、貴様は今この先に美しい女房が待つて居ると言つたぢやないか、夫にも関らず、このナイスと結婚すれば重婚の罪で八衢の関所で厳罰に処せられるのを知らぬのか。貴様は気の多い、箸豆人足と見えるわい』
六造『実の所はまだ女房が無いのだ。俺の方から女房と定めて居るだけで、先方の意志はテンと分らぬのだ。今日で三年計り顔を見に通つて居るのだが、まだ一口も心の思ひを先方に響かした事はないのだ。つまり予定の女房だからなア』
ヘル『アハハハハ。大方其辺のことだと思ふて居たのだ。貴様のスタイルで猫だつて女房になる奴があるかい、虱に体を舐らして置く位が性に合つて居るわい。も少し先に行くと六道の辻だから、虱でも提出して地獄行の冥罰を助かつたらよからう、虱は観世音菩薩だからのう』
六『碌でもない事を云ふない。八衢だとか六道の辻だとか、何を呆て居るのだ。此処は現界だ。貴様は大方夢でも見て居るのだらう。虱のやうなものは俺も実は好かないのだけれど、何分洗濯して呉れる女房もなし、噛んだり捻つたり縁側に拡げて徳利を転がしたりして征伐しても仲々絶え切らぬものだ。六道の辻と云へば地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上、と云ふ事だが夫れについて面白い虱の歌がある、一つ聞かしてやらうか』
ヘル『ウン、承はらう、どうで碌な歌ぢやあるまいが、併し乞食の門付けを聞くと思つてお耳を借してやらう、古汚い虱のわくやうな歌なら御免だぞ』
六『どうせ虱のわく着物は古いに定つて居るわ、黴の生へた頭から捻り出した歌でなくては虱に対する名歌が出来るものでない、野暮の事を云ふな。サアこれから地獄の虱だ。

   地獄
 捻る楽潰す極楽火は浄土
  水に入るこそ地獄なりけり

   餓鬼
 脱ぎ捨てて竿にかけたる古布子
  餓鬼の如くに痩虱かな

   畜生
 人を喰ふ事より外はいざ虱
  生畜生の果と云ふべき

   修羅
 血交りに殺し捨てたる虱こそ
  さながら修羅の衢なりけり

   人間
 帷布の縫目に宿る虱こそ
  人と同じく立ちてゆくなり

   天上
 五月雨や竜の鱗にわく虱
  つれてもろ共天に登れり

 かくれ住む肌の守の虱こそ
  生きた観音菩薩なりけり』

シャル『アハハハハ。十八世紀のお茶坊主が吐いた歌ぢやないか、貴様の作つたのぢやあるまい』
六造『誰が作つても同じ事ぢや、現在俺の口から出たのぢやないか、他人のものなら他人の口から出る、俺の作つた証拠には俺の声をもつて俺の口から貴様に伝へてやつたぢやないか、ゴテゴテ云ふない』
シャル『他人の歌を盗む奴は、八衢の関所で調べられたら矢張咎られて咎人になるぞよ、歌を盗む奴を盗歌人といふのだぞ、ウフフフフ』
 斯かる所へ蓑笠を被つた五十余の一人の婆アが、金剛杖をつき、何か小声に歌ひながら、トボトボと進み来る。四人は其姿の何処ともなく変つて居るのに不審を抱き、つくづくと眺めて居た。婆は何か急用でもあるやうに頻りに足許を急いで居る。四人は何と思ふたか道端の背丈の延びた雑草の中に身を隠した。
(大正一二・三・一四 旧一・二七 於竜宮館二階 加藤明子録)
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