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文献名1霊界物語 第69巻 山河草木 申の巻
文献名2第4篇 新政復興よみ(新仮名遣い)しんせいふっこう
文献名3第21章 貴遇〔1766〕よみ(新仮名遣い)きぐう
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ
宣伝歌の主は、国照別一行であった。

国照別は、二人の女が山賊に襲われているところに出くわし、間に飛び込んで加勢をする。その勢いに山賊たちは切りたてられ、ほうほうの体で逃げていく。

清香姫・春子姫は、国愛別の密使により、国照別の素性をあらかじめ知っていた。また清香姫は兄より、国照別こそ将来の夫、と聞かされていた。そこで、一緒にヒルの国で立て直しの活動をしようともちかける。

国照別も、ヒルの国にやってきたのは、実は国愛別との約束「珍の国の改良は国愛別が、ヒルの国は国照別が改革する」にしたがってのことであったと、明かす。

一行はヒルの都の場末にやって来た。
主な人物 舞台 口述日1924(大正13)年01月25日(旧12月20日) 口述場所伊予 山口氏邸 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1927(昭和2)年10月26日 愛善世界社版289頁 八幡書店版第12輯 378頁 修補版 校定版304頁 普及版66頁 初版 ページ備考
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本文 『桃上彦の昔より  万古不易の国体を
 保ち来りし珍の国  神の恵もアルゼンチンの
 高砂城の国司の悴  われは国照別司
 此世の暗を晴らさむと  雲霧分けて天さかる
 市井の巷に身をやつし  下人草の窮状を
 窺ひすまし新しき  五六七の御代の柱をば
 堅磐常磐に立てむとて  生れついたる仁侠の
 引くに退かれぬ男伊達  故郷の空を後にして
 踏みもならはぬ旅の空  心を研き肝をねり
 醜の大蛇も曲神も  地震雷火の雨も
 いつかな恐れぬ魂となり  天と地とに蟠まる
 八岐大蛇や醜狐  其外百の曲鬼を
 言霊剣抜きもちて  言向和し天国の
 御園を開く吾望  守らせ給へ惟神
 神に仕へし吾父は  既に年老い給へども
 新進気鋭の魂を  深く秘して忍びます
 其御心を思ひやり  子としていかで悠々と
 遊惰に日をば送らむや  思ひ切つたる今日の旅
 日出神の現はれて  開き給ひしヒルの国
 ヒルの都に身を隠し  南と北と相応じ
 此高砂の天地をば  昔の神代にねぢ直し
 神人和合の楽園に  進ませ給へ惟神
 竜世の姫の御前に  謹み敬ひ願ぎまつる
 旭は照るとも曇るとも  月落ち星は失するとも
 神の守りのある限り  いかで恐れむ敷島の
 大和男子の魂は  金鉄よりも尚堅し
 勇めよ勇め乾児共  進めや進めヒルの国
 高照山は峻しとも  吹き来る嵐は強くとも
 道の行方は遠くとも  いかで怯まむ男伊達
 男の中の男よと  世に謳はれて世を救ふ
 之ぞ吾等の望なり  之ぞ吾等の願なり
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
 国照別の国州始め駒治、市、馬、浅の一行五人は捩鉢巻をし乍ら、真黒の腕をヌツト出し、埃まぶれの毛だらけの脛を引摺り乍ら、此処までやつて来た。見れば怪しき人の喚き声、唯事ならじと近寄り見れば、孱弱き二人の女を相手に大の男が詰めかけて居る。国州は男を売るは今此時と、赤裸の褌一つとなり、喧嘩の中に矢庭に飛込み、大音声にて、
『待つた待つた、此喧嘩、俺が預かつた』
と大の字になつて、立ちはだかれば、此声に何れも二三間許り後へ退いて息を休めて居る。源九郎は冷やかに之を眺めて、
『オイ、どこの唐変木か知らねいが、俺達の喧嘩に這入つた以上は、みん事、埒をあけるだらうのう。なまじひ挨拶なら、やらねえが良いぞ、みん事、甲斐性があるか』
国『アツハヽヽヽ、耄碌共、確かり聞け。其方等は旅人を掠むる悪逆無道の泥棒ぢやねえか、俺はかう見えても天下の侠客だ。義の為には命を惜まねえお兄さまだ。泥棒が旅人を掠めてる所へ入込んで来たのは仲裁ではねえぞ、懲しめの為にやつて来たのだ。どうだ、其方を始め一同の奴、改心を致して真人間になるか、返答聞かう』
源『ワツハヽヽヽ、蟷螂の空威張奴、そんなおどし文句で驚く様な源九郎ぢやねえぞ、俺達は人を裸にして、財物を盗れば可いのだ。それを否む奴は、気の毒乍ら命を取つても目的を達するのだ。其方もいらざる空威張りを致すより、赤裸のまま、トツトと帰れ。いらざるチヨツカイを出すと、気の毒乍ら命がねえぞ』
国『ハツハヽヽヽ、盗人猛々しいとはよく云つたものだ、取れるなら取つて見よ』
 源九郎は髪を逆立て乍ら、
『オイ乾児共、何を躊躇して居る。タカが侠客の四人や五人、ばらして了へ』
と下知すれば、又もや十数人の小盗人は四方八方より切つてかかる。清香姫、春子姫は之に力を得、前後左右に敵を潜つて、切立て薙立てる。瞬く間に、十数人の奴は鼻を削がれ、腕をかすられ、足を突かれ、ホウボウの体で算を乱して逃出す。源九郎も此体を見て、大人気なくも、高照山の山頂目懸け刀を打振り乍ら、殿を守り、味方を浚へて逃げて行く。国州は追ひかけるも無用と、谷川の水を手に掬ふて喉を潤し、身づくろひをし乍ら、
『オイ駒、如何だつた、チツト泡吹いただらうな』
駒『侠客の喧嘩なら喧嘩の仕応へもありますが、何を云つても一方が泥棒だから険呑でなりませぬワ。マアマア御蔭で吾々一同には怪我が無くて結構でした』
国『泥棒だつて、侠客だつて、喧嘩に変りは無い。併し乍らお前達も、此処でゆつくり一服するが可い。此姫様は如何して又あんな者と喧嘩をなさつただらうかな』
と云ひ乍ら、清香姫の側に寄り、
国『エー姫様、危ねえこつて厶えやした。先づ御怪我が無くて、お芽出度う厶いやす。わつちや、国州と云つて、珍の国の者、ヒルの国へ行く途中、計らずも泥棒に出会し、一つ目覚しをやつて見ましたが、イヤ早もろい者で厶えやした。アツハヽヽヽ』
清香『ハイ有難う厶います、危い所へお出下さいまして、こんな嬉しいことは厶いませぬ。貴方は今、珍の国の国州と云ふ侠客だと仰有いましたが、そんなら貴方は妾の尋ぬるお方、国照別さまぢや厶いませぬか』
 浅公は側より、
『左様々々、今こそ侠客になつて厶るけれど、珍の都の御世継国照別様で厶いますよ。用も無いのにヒルの都へ行かうと仰有るので、乾児の悲しさ已を得ず従いて来ましたが……ヘヽヽヽこんな別嬪さまが厶るので、親分さまも御越しになつたのだな、イヤ分りました、親分さま、一杯買うて貰はにやなりませぬぞ』
国『エ、仕方の無い男だなア。之だから口の軽い奴ア、困ると云ふのだ。チツト控へて居らう』
浅『何とマア、親分の愉快相な顔、そらさうだらう。乾児の私だつて、愉快で堪らないもの……若し姫さま喜びなさい。貴女が遥々慕ふて怖い目をして、尋ねて来た三国一の婿さまは、ヘエー、此親方で厶いますよ。何をグヅグヅして厶る、恥かしい事も何もない、及ばず乍ら此浅公が月下氷人となつて握手をさせませう。何と悪うは厶いますまいがな』
清香『妾は余りの驚きで何も申上げる事は出来ませぬ。春子姫、お前代つて、あの国さまにお話をして下さいな』
春子『これはこれは危い所、お助け下さいまして、厚く御礼を申上げまする。貴方が噂に高き珍の国の国照別様で厶いますか、存ぜぬ事とて御無礼を致しました。姫様の仰せに従ひ、妾が代つて御話を申上げ度う厶いますが、姫様はお兄様と牒し合せ、国家の窮状を救はむとして、色々と画策を遊ばされ、今又お兄様の密使に依つて……珍の国の国州さまと云ふ侠客にお前を娶合してやらう、さうすればヒルの国を救ふ事が出来る……と御通知が厶いましたので、取る物も取敢ず此処迄参つたので厶います。果して貴方が国照別様ならば、こんな好都合は厶いませぬ。之からヒルの国へお伴をして帰り度う厶います。どうぞ此儀御聞届を願ひます』
国『ウン、貴女が国愛別様のお妹御で厶つたか。兼々兄上より貴女の思想も御器量も承はつて居りました。実の所は此国照別もヒルの都を指して来たのは、貴女に会ひ度くもあり、又一つ珍の国は国愛別様に御願ひ申して改良して頂き、其代りとして拙者がヒルの国を根本的に改革せむと、侠客となつて浮世を忍び下層生活をし乍ら、回天動地の大業を為さむと、此処迄やつて参りました。之は願ふても無き互の奇遇、然らば之より姫様の御伴を致し、ヒルの城下へ参りませう』
 之より一行男女七人は堂々として、大道の正中を宣伝歌を唄ひ乍ら、ヒルの都を指して進み行く。浅公は先に立つて、道々宣伝歌を唄ふ。
『テルとカルとの国境  高照山の山麓に
 高砂島で名も高い  大親分の国さまと
 あたりを払ひ堂々と  地踏みならし進み来る
 時しもあれや谷川の  傍辺に怪しき人の声
 何事ならむと近寄れば  豈計らむや雲をつく
 ばかりの大きな泥棒が  長い奴をば引抜いて
 二人の姫をまん中に  前後左右から切りつける
 此奴ア救はにやなるまいと  親分さまが赤裸
 喧嘩の中に跳り入り  待つた待つたと四股踏めば
 さすがの泥棒肝つぶし  二足三足後しざり
 蜥蜴が欠伸をした様に  空を仰いで呆れ顔
 親分さまの掛合で  木つ端泥棒は悉く
 大切の大切の仕事をば  可惜棒に振り乍ら
 手疵を負ふて逃げて行く  後に国照別さまは
 ヒルの国からやつて来た  天女のやうな姫様と
 二世の約束堅めつつ  吾等乾児を引伴れて
 そんならお前の云ふ通り  之からヒルの都路へ
 行つてやらうと嬉し気に  云はれた時の姫の顔
 側に見てゐる俺さへも  何だか嬉しうなつてきた
 オイオイ駒治、市、馬よ  お前は元は取締
 現在泥棒を目の前に  眺め乍らに何のザマ
 コラツと一声かけもせず  青い面して慄ふて居た
 こんな取締が世の中に  あると思へば衆生も
 枕を高う寝られない  何奴も此奴も腰抜だ
 親分さまの御光りで  ここまで御伴はしたものの
 若しも一人になつたなら  キツト泥棒にこみわられ
 腕の一本も捩ぎ取られ  ベソをかいたに違ひない
 あゝ惟神々々  之を思へば浅公は
 矢張り肝が太いワイ  サア之からは浅公が
 親分さまの一の枝  お前は乾児になるがよい
 ウントコドツコイ ドツコイシヨ  天を封じた老木の
 並木の街道を進み行く  吾等一行は何と無く
 勝利の都へ行くやうな  涼しい気分になつて来た
 谷の流れは淙々と  飛沫の玉を飾りつつ
 吾一行を歓迎し  琴を弾じて待つて居る
 峰の嵐は松柏の  梢を吹いて吾々を
 謳歌して居る勇ましさ  ウントコドツコイ ドツコイシヨ
 今は侠客渡世だが  親分さまがたつた今
 ヒルの都に現はれて  清香の姫の婿となり
 国の政治を執られたら  必ず抜擢遊ばして
 使ふて下さるだろ程に  駒公市公馬公よ
 それをば先の楽みと  思つて俺に従いて来い
 前途はいよいよ有望だ  思へば思へば身も魂も
 勇みに勇み跳り出す  何程坂はきつくとも
 何程日かげは暑くとも  前途に望みを抱へたる
 吾等一行の魂は  火にも焼けない又水に
 溺るる事なき大丈夫  大和男子の典型と
 末代迄も名を揚げて  国の柱となるだらう
 あゝ勇ましや勇ましや  全隊進めいざ進め
 勝利の都が近づいた  勝利の都はヒルの国
 あゝ惟神々々  国魂神の御前に
 吾等が前途の幸福を  守らせ給へと願ぎ奉る』
 斯く代る代る行進歌を唄ひ乍ら、十数日を経た黄昏頃ヒルの都の町末の或る茅屋に着いた。
(大正一三・一・二五 旧一二・一二・二〇 伊予 於山口氏邸、松村真澄録)
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