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文献名1霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻
文献名2第3篇 理想新政よみ(新仮名遣い)りそうしんせい
文献名3第21章 三婚〔1788〕よみ(新仮名遣い)みこん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
その協議会の中で、レールが新しい左守となり、テイラと夫婦になる、マークが新右守となってハリスと夫婦となることが定められた。また、王女は照国別の弟子・春公と夫婦となることとなった。

また太子は、タラハン国スダルマン太子の妹バンナ姫が許婚であった。

照国別と照公は婚礼の祝歌を歌う。そこへ番僧テルマンもやってきて、改革派の一同全員がそろう。
主な人物 舞台 口述日1925(大正14)年08月25日(旧07月6日) 口述場所丹後由良 秋田別荘 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年10月16日 愛善世界社版263頁 八幡書店版第12輯 487頁 修補版 校定版270頁 普及版134頁 初版 ページ備考
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本文  シグレ町の九尺二間の臨時御殿には、主客八人膝をすり合して月の輪となり、面白さうに笑ひ乍ら内局組織の大会議が開かれて居る。
チウイン『宣伝使の云はれた通り、もはや教政改革の時期が迫つて来た様だ。しかし此際教政改革に最もよき人物を採用せなくてはなるまい。どうぢやレール君は左守司となつて教政の重任に当つて呉れまいか』
レール『仰とあらば喜んでお受け致しませう。併し乍ら左守、右守家は今日迄世襲となつて居りますが、もし私が左守とならばテイラさまのお家はどうなるのですか』
チウ『左守家、右守家世襲制度は此際全廃せなくてはなるまい。何事も根本的の大改革だからな。ついてはテイラさまを君の妻君に余が仲人しよう』
レ『太子様、一寸お待下さい。拙者にはマサ子と云ふ妻もあり子も御座います。左様な事は到底出来ますまい』
 チウインはニコニコ笑ひ乍ら、
『ア、そんな心配は要らないよ。これが証拠だ』
と云ひ乍らマサ子から預かつた離縁状を投げ出した。レールはつくづく封筒の表を見、又裏をかへして見、
レ『チエ、山の神の奴、洒落た事をしをるな』
と封をおしきり見れば、水茎の跡鮮かに細々と長い手紙が記してある。
チウ『ハヽヽヽヽヽ、どうだレール、一寸其文句を読んで聞かして呉れたまへ』
レ『ハイ、しかたがありませぬ。女房から離縁状を貰ふなんて、男としては余り褒めた話ぢやありませぬ。併しもうかうなつちや破れかぶれです。サア聞いて下さい、読み上げますから』

前文御免……『何ぢや失敬な、挨拶もせずに前文御免とけつかるわい。夫を馬鹿にしてけつかる』……エー、妾事不思議の御縁によりまして、貴方様の妻となり子迄なしたる間柄で御座いますれども、貴方は万民の忌み嫌ふ向上運動だとか、免囚運動だとか反逆人のやうな行ひを遊ばすので、兄弟親類近所合壁より排斥し、妻たる私迄が非常な圧迫を受けますのみならず、日夜番僧共の凄い目で睨めつけられ、かよわき女の身として到底耐へ切れませぬ。しかるに貴方は今度、畏れ多くも王妃の御輿に対し不隠の御行動を遊ばし、重大事件を引き起し、囚はれ人とおなり遊ばしたのも、全く天地の神に見離され給ひし事と推察致します。かかる重大事件を犯せし上は、もはや貴方は死刑は免れますまい。それ故今の中にどうか妻子が可愛いと思召さるるなら、私を離縁して下さるであらうと、堅く堅く信じます。何事も因縁因果の廻り合ひと御諦め下さいませ。そして此子は幸ひに貴方が出獄されるやうな事が有りましたらお返し致します。又御不幸にして極刑におなり遊ばすやうな事があれば、是非なく貴方の忘れ形見として育てますから、御安心下さいませ。仮令無罪になつてお帰り遊ばすとも、私は断じて貴方と夫婦となる事は致しませぬ。よつて兄弟親族と相談の上離縁状を差上ますから、宿世の因縁と御諦め下さいませ。   妻マサ子より
   レール殿

レール『ハヽヽヽヽヽ。このレールも最早駄目だ。マサ子列車がたうとうレールを脱線しよつたわい。太子様、御命令に従ひ、左守司を奉職さして頂きませう。テイラ様の縁談は別として、……到底私のやうな女房に尻を振られる様な者に、テイラさまがどうして婚姻して下さいませうや、覚束なう御座いますからなあ』
太子『何、そんな心配は要らないよ。俺の天眼通でテイラさまの心中を鏡にテーラして見ておいたのだ。なあテイラさま、異存はありますまい』
 テイラは『ハイ』と云つたきり、顔を赤らめ袖を掩うて俯向く。
太『ハヽヽヽヽヽ、これで一夫婦落着だ。サア之からはマークさまだ。マークさま、君は右守司になるのだよ』
マ『思ひもよらぬ御恩命、実に有難う御座います。到底私如き不徳者の身をもつて、右守司などといふ重職には耐へ得られますまい。どうかもう少し軽い御用にお使ひ下さいますまいか。沐猴にして冠するものと世の笑ひを受けますから』
レ『オイ、マークそれや何を云ふのだ。太子様の御命令ぢやないか。そんな遠慮はするに当らないよ。俺だつて二つ返事で左守司を頂いたぢやないか』
マ『サア暫く考へさして貰ひたいなあ』
レ『それや何を云ふのだ。考へも糞もあつたものかい。いつも云つて居つたぢやないか。「此運動が成功したら、君は左守になれ、僕は右守になる」と気焔をあげて居た癖に、なんだ、卑怯に、今になつて尻込すると云ふ腰抜があるか』
マ『……………』
太『オイ、マーク確りせないか、何だその面は』
マ『ハイ、謹んでお受け致します。至らぬ吾々どうか宜敷くお引立を………』
太『アハヽヽヽヽヽ、たうとう落城しよつたな。よしよし、それについては、ハリス女将軍を君の奥様にお世話しよう。随分美人だらうがな』
マ『私には妻が御座います。これ許りは御容赦を……』
太『それ、これを見ろ。これが証拠だ』
と一通の封書をマークの前に投げ出した。マークは不思議さうに其書面を手に取あげ、よくよく見れば妻の筆跡である。直ちに封押し切り見れば、

カル子より、マーク様に離縁状を差上ます。人間は諦めが肝腎ですよ。貴方も男でせう滅多に女々しい、未練たらしい事は決して云はない方と信じて居ます………

マ『ヤこいつは手厳しい。嬶の奴大変なメートルを挙て居やがるな』
レ『アハヽヽヽヽヽ。態を見い、オイ、マーク其次を読まないか』
マ『いやもう耐へてくれ。余りひどい事が書いてあるので、読むに忍びないわ』
とパリパリパリと引き破り、矢庭に頬張、クシヤクシヤクシヤとかみたれこにし、灰の中に鉄の火箸で埋け込んでしまつた。
マ『エー、もう思ひ切りました。併し嬶が離縁状を呉れるのも無理は御座いますまい。第一彼奴の兄弟や親が没分暁漢ですから、カル子の奴、一刀両断的の態度に出よつたのですわい』
太『かうなる上はハリスさまを新夫人としても差支ないぢやないか』
マ『何事も太子様にお任せ致します。どうか宜敷くおとりなしを………』
太『ヤアこれで二夫婦揃うた。ハリスさま満足だらうな』
ハリ『ホヽヽヽヽヽ。仰有る迄もなく満足ですわ。私が始終求めて居た理想の夫に出会つたのですもの』
 レールは頭を叩き乍ら、
『ヤーこいつは猛烈だ。耐らぬ耐らぬ耐らぬ、アハヽヽヽヽヽ』
ハリ『ホヽヽヽヽヽ』
マ『エヘヽヽヽヽヽ』
チンレイ『もし兄さま甚いわ、私だつて女ですよ。どうして下さるのですか』
太『ほんにお前の事は忘れて居つた。まさか俺の女房にする訳にも行かず、困つたなあ。まあ待つとつて呉れ。何とか適当な夫を探してやるから』
チン『兄さま、そんな事云つて何時迄も引張るのは否やですよ。妾だつて、性の欲に囚はれ、日夜悩んで居るのですもの』
太『アハヽヽヽヽヽ。こいつは猛烈だ。今時の女性は総てかふいふ式だから困つて了ふわ』
照国『王女様に適当な夫をお世話致しませうか、仲々気の利いた好人物ですよ。決してレールさま、マークさまに優つても劣らない人物です』
太『どうか世話をしてやつて下さい』
照国『実は私の弟子に春公と云ふ立派な男が居ります。今は城外の牢獄の看守を勤めて居りますが、どうでせうかなあ』
太『どうか宜敷う願ひませう。サア、チンレイ、これでお前も安心だらう』
チンレイ『兄さま否ですよ、なんぼなんでも牢獄の番人なんて殺生だわ』
照国『実の所は春公と云ふ男、神様の命令により吾々の入牢を前知し、臨時牢番となつて、いろいろと便宜を与へて呉れた義理堅い情深い神司です。きつと人物は保証致します。男前も仲々捨てたものぢやありませぬ。王女様に配はすには負ず劣らずの器量をして居ります』
チン『そんなら兄さまお世話になりませうかねえ、ホヽヽヽヽヽ』
太『お気に入りましたかなあ、やお目出たう。サアこれで一時に三夫婦結婚の約が結ばれた。一つ祝盃を挙げて歌はふぢやないか』
チン『兄さま貴方の奥さまはどうなさいますか』
太『そんな事は云はなくてもお前も予てより聞いて居るぢやないか。タラハン城のスダルマン太子の妹バンナ姫に定つて居るぢやないか。親と親との許婚だもの』
チン『オホヽヽヽヽヽ、えらい失礼な事申し上げました。随分兄さまも執念深い方ですね』
太『馬鹿云ふな、俺の事は構はいでもよいわ。

 千早振る神代のままに女と夫とが
  嫁ぎの道を開く今日かな。

 三組迄夫婦揃うて盃を
  挙ぐるは御代の瑞祥なるらむ』

レール『吾君の恵の露を盃に
  汲みて嫁ぎをなすぞ嬉しき』

テイラ『世に稀な男子を夫にもちながら
  君に仕ふる吾ぞ楽しき』

マーク『有難し世嗣の君の媒介に
  今日新しき妻を持ちぬる』

ハリス『求めてし理想の夫に添ひながら
  世を開きゆく事の嬉しさ』

チンレイ『如何にせむ未だ見ぬ夫に身を任せ
  神の宮居に仕ふる吾身を』

太子『ヤ、目出度い目出度い、これで余も安心した。モーシ宣伝使様、どうか祝歌を歌つて下さいませ』
照国別『億万年の昔より  億万年の末迄も
 人の情は皆一つ  男子と女と相睦び
 嫁ぎの道を開きつつ  神の依さしの神業に
 仕へたまはむ人々の  今日の心の勇ましさ
 仰ぎ見るさへ楽しけれ  尊き神の引き合せ
 清き奇はしき女子と  男子が茲に寄り集ひ
 嫁ぎの道を初めつつ  トルマン国の政事
 常磐堅磐に末永く  固めたまひし今日こそは
 天の岩戸のそれならで  十方世界も皎々と
 輝く許りの思ひなり  あゝ惟神々々
 神の恵の弥深く  これの縁をどこ迄も
 互に睦び親しみて  大神業に仕ふべし
 守らせたまへと主の神の  御前に祈り奉る
 鶴は千年の松ケ枝に  御子を生みつつ君が代を
 祝ぎまつりて緑毛の  亀は海より這出でて
 底津岩根の聖場に  万世祝ひ舞ひ遊ぶ
 実にもミロクの新政か  神政成就の暁か
 実にも目出度き次第なり  あゝ惟神々々
 御霊幸倍ましませよ  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  たとへ大地は沈むとも
 誠の神の結びたる  六人の縁はどこ迄も
 解けざらまし惟神  神に誓ひて三五の
 照国別の神司  喜び祝ぎ奉る』
照公『目出度し目出度しお目出たし  茲に三夫婦相並び
 嫁ぎの道を初めまし  トルマン国の柱石を
 固めたまひし尊さよ  この喜びを吾々は
 言葉にかくる術もなし  唯何事も目出たしと
 祝ぎまつる外はなし  あゝ惟神々々
 御霊幸倍ましませよ』
 かく互に謡ひ終り盃を汲みかはして居る所へ、如意棒をぶら下げてやつて来たのは、ラムのテルマンであつた。テルマンはニコニコし乍ら入り来り、
『ヤア、レールさま、マークさまお目出たう。仁恵令が行はれ無事出獄せられたと聞き、取るものも取り敢ずお喜びに参りました。やチウイン太子様、お目出たう御座います。どうか宜敷くおとりなしを願ひ上ます』
(大正一四・八・二五 旧七・六 於由良海岸秋田別荘 加藤明子録)
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