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文献名1出口王仁三郎著作集 第2巻 変革と平和
文献名2第2部 社会批判の展開よみ(新仮名遣い)
文献名3吾人の現代観よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考「神の国」に掲載後「霊界物語69巻 巻頭言」として少々修正して掲載
タグ データ凡例 データ最終更新日2016-11-25 01:53:24
ページ185 目次メモ
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本文  吾々が現代に於て最も虫の好かない、嫌いな者は多数にある。先ず第一に借金取の矢の催促、次に絹足袋を履いて歩行きまわる商店の丁稚、知ったか振りをして英語交りの会話をやる奴、老女の眉毛作りにハイカラ青年の赤いネクタイ、白頭爺の鍋墨頭、女学生の巻煙草、風呂の中の根深節、眼鏡越に光った眼をして人の顔を下から上に覗く様に見上げる奴、可笑しくもないのに幇間的追従笑をする奴、箱根越えずの江戸児を用いる徒輩、豹の皮の首巻をする女等、数限りもなく嫌な者がある中に、最も虫の好かぬのは、現代の政治家・宗教家の禿頭である。
 因循姑息・時代錯誤・頑冥無智・不親切・偽善生活・厚顔無恥・没常識等を以て充された連中が、万世一系・天壌無窮の神国の国政を料理しようとするのだから堪らない。憲政の逆転か、時代の錯誤か、時勢の要求か知らないが、今日の内閣員の顔振れを見ると、田舎の町はずれの方にありそうな、八百屋店の干しがらびた南瓜や胡瓜・大根・蕪の様な、到底中等の家庭の料理には適せないような、味の悪相な雑物計りである。併し乍ら吾人は政治家でないから、却って斯う云う内閣が出来たのが時代に相応して居るかも知れない、或は天意であるかも分らない。政治圏外に在る吾々は唯表面から見た丈の事を謂う迄だ。それよりも斯の時代に当って、精神的文明を鼓吹し、国民信仰の中心とならねばならぬ宗教家の現状を見ると、是れ亦日暮て道愈遠しの感に打たれざるを得ないのである。排他と身勝手、自己愛と嫉妬より外に知らない円頂緇衣の徒やアーメンの先生等は、何をして居るのであろうか。普選案が通過するとか、即行されるとか云う噂を聞噛って、仏教家も牧師連も神職も教育家も、全部手に唾して逐鹿場裡に立って出ようとする形勢が仄見えて居るようだ。僧侶や牧師などは、特に政治以外に超然として神仏の教を説き、国民を教化してこそ宗教家の権威が保たれるのでないか。若過って宗教家が薬罐頭に湯気を立て、捻鉢巻で選挙場裡に立っ様な事がありとすれば、それこそ信仰上の大問題である。檀家は嫉視反目し、信者は党を作り、宗教家を敵視する様になり、信仰の中心人物を失って了う。そうすれば随って神仏の権威も失墜し、信仰の中心・思想の真柱を失う道理だ。
 吾人は思う。仮令普選案が通過し、宗教家や教育家に被選挙権が与えられたにしても、斯かる俗界の仕事は俗人輩に任して、超然的態度を執って欲しいものだ。併し乍ら翻って宗教界の裏面を考えて見れば、超人間的宗教家は、金の草鞋で日本全国を捜しても、滅多に有りそうにもない。種々の悪思想の洪水が氾濫してヒマラヤ山上を潤さんとする今日の場合、釈迦・基督・マホメット・孔子に老子、小にしては空・日蓮・親鸞・法然其他高僧知識と呼ばれる連中を、一つに固め、団子にして喰う様な宗教界の偉人が現われて来なくては、到底此人心の悪化を救う事は出来ぬであろう。
 吾人は数十年間各宗教家を漁って、超人間的人物を捜してみたが、寡聞寡見の吾々には到底索むる事を得なかった。そこで、信仰に国境はないと云う点から、米国のバハイ教を研究し、朝鮮・支那の新宗教を研究して、此現代の世界を救うべき真の宗教家はないかと捜しつつあるのだ。腐敗堕落と矛盾とに充たされた現代の暗黒社会には、到底大宗教家・大理想家は現われ相にもない。併し乍らどっかの山奥には天運循環の神律によって、一人や半人位は現われて居そうなものだ。
 今年は甲子更始の年である。此葦原の瑞穂国(全地球)の何処かには一大聖人が現われるか、又は太陽・大地・太陰を串団子となし、星の胡麻をかけて喰う様な大豪傑が現われて来そうなものだと思う。そうでなくては到底、此無明暗黒な世界を救う事は出来ないと思う。吾人は今年甲子より茲数年の間に於て、キット……確に現世を天国浄土に進転せしむベき一大偉人の出現することを確く信じ、神仏を念じて待って居るのである。吾人が前陳の理由に因って、バハイ教と提携し、或は支那・朝鮮の新進宗教と握手したのも、決して現代の宗教家の如く自教を拡張せん為でもなく、唯単に我国家の前途を憂い、世界平和と人類愛の為に尽さんとする真心に外ならぬのである。
(大正十三年一月稿)瑞月
日地月あはせて造る串団子星の胡麻かけ喰ふ王仁口
日地月星の団子も食ひあきて今は宇宙の天界を呑む
(「神の国」大正十三年二月二十五日号)
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