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文献名1大本七十年史 上巻
文献名2第4編 >第4章 >2 人類愛善会の創立よみ(新仮名遣い)
文献名3発会と主旨よみ(新仮名遣い)
著者大本七十年史編纂会・編集
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-05-05 21:44:59
ページ771 目次メモ
OBC B195401c4421
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本文  万国信教愛善会は日本国内における諸宗教の提携にもとづく協力機関として発足したが、王仁三郎は一九二五(大正一四)年の五月二八日には、とくに海外諸国の人々をひろく包含する団体をつくるように幹部に指令し、その団体の会名は、六月五日にいたって、「人類愛善会」と命名された。そして王仁三郎の指示にしたがって、人類愛善会の趣意書が作成される。
 こえて六月九日、いよいよ発会準備もととのったので、その日のタ拝後に五六七殿で、出口直日の先達にしたがって人類愛善会の発会奉告祭典が挙行された。出口宇知丸はその趣意書を朗読し、その主旨目的を参集者に説明した。その趣意書は、つぎのような理想と決意にみなぎったものである。

本会は人類愛善の大義を発揚し、全人類の親睦融和を来し、永遠に幸福と歓喜とに充てる光明世界を実現するため、最善の力を尽さん事を期するものである。
抑も人類は本来兄弟同胞であり一心同体である。此本義に立帰らんとすることは、万人霊性深奥の要求であり、又人類最高の理想である。然るに近年世態急転して世道日に暗く、人心日に荒びて其帰趨真に憂ふベく、恐るベきものがある。斯くの如くにして進まんには、世界の前途は思ひ知らるるのである。されば吾等は此際躍進して、或は人種、或は国家、或は宗教等総ゆる障壁を超越して人類愛善の大義にめざめ、此厄難より脱し、更に進んで地上永遠の光明世界を建設しなければならぬ。是れ実に本会が茲に設立せられたる所以である。

 そこには、人類愛善の大義にもとづく世界同胞の思想と、国際的な思想的昏迷の打開がうたわれている。人類愛善会の目標は、宗教的理念である普遍愛にねざしており、あらゆる有形無形の障壁をとりのぞいて、恒久平和の世界を実現しようというところにある。
 王仁三郎による人類愛善会の提唱は、他面において、各宗教の偏狭にたいする批判の意味もこめられていた。『霊界物語』(64巻─普及版62巻)には、登場人物につぎのようにいわしめている。「私は現代の宗教家の態度に飽き足らない一人でございます。同じ太陽の光の下に生育する吾々人類は、どこまでも神様の最愛の御子として、相愛し相助け合ってゆかねばなりませぬ。そして凡ての迷信から脱離した宗教、……宗派根性を超越した真善美愛に徹底した宗教、種々の伝説や附会や迷信を交えた上に紛雑した教理と註訳に織込まれた曼荼羅的の教典から離脱した宗教、名実一致、霊肉一体、神人合一、聖凡不二を実現した宗教、其時代に必要あって起れる教祖を以って唯一の救世主となし、教祖の教示を万世不易となす偏狭固陋なる牢獄的信仰の束縛を解いて、万聖の大集会即ち(世界の国会開き)を出現せしむる宏大無辺の宗教、一夫一婦の大道を明示した宗教、世間と出世間の障壁を除却して、真に一実在の生ける道を教ふる宗教、善と悪、信者と不信者、救済と罪悪、天界と地獄とを区別して争論の種を蒔く狭隘な宗教から脱却して、心底から親愛の目的として凡ての人類を見る所の真の救世の宗教、国語、労働、国際等の問題、学術と宗教との問題等一切を解決し、世界人類をして平等に光明世界の住民たらしむる権威のある宗教の必要に迫られて、数十年間、あらゆる迫害や艱苦と戦って来たものでございます……」。まことに、宗教連合はそれなりに発展させながらもかつ各宗教にとらわれずに人類相互の融和と結合がなければ、地上に平和はこないとされていたのである。
 この時代には、「人類愛」とか「共存共栄」という言葉が、自由主義者や革新思想につながる人々によって喧伝されていたが、ときの官憲らは、「人類愛」の提唱についてさえも、国家意識をかろんずる内容をふくむとして目をひからせていた。しかも一方、一九二五(大正一四)年五月五日には、「護憲三派」の内閣によって普通選挙に関する法案が通過して、満二五才以上の男子には選挙権があたえられることになったが、労働運動や農民運動に利用されないように、同時に「治安維持法」が成立して、五月一二日に公布された。それによって「国体を変革し又は私有財産制を否認する目的を以て結社を組織し、又は情を知りて之に加入したる者」は処罰するというのである。普通選挙を実施して制限選挙をゆるめるうらでは国民の自由を束縛し、結社や反体制諸運動を禁じたのである。
 こうした時期に、世界的視野にたった世界人類の恒久平和をめざす宗教的な平和運動が、丹波の綾部からはじまったことは注目すべきことである。
 人類愛善会の総本部は、綾部町の月光閣に設置し、出口宇知丸が推されて委員長に就任した。ついで委員のなかから常務委員として、横尾敬義・東尾吉雄・桜井重雄・井上留五郎・北村隆光・河津雄次郎・筧守蔵らが選出されて、会務の処理にあたることになった。まず入会の勧誘や支部の設置などにわたる組織活動に重点をおくことになり、国内各地に講師を派遣し、あわせて、海外宣伝のために西村光月を欧州に派遣することに決定した。
 八月一日には、総本部を亀岡の旧城址にうつし、一〇月一日には月刊「人類愛善新聞」が創刊された。はじめはタブロイド判四頁だてであったが、翌一九二六(大正一五)年の二月からは倍判の大型四頁にあらためられ、内容をいっそう充実することになる。
 当時は、国際的にも、どのようにして世界平和を樹立することができるかという点に、世界の良識がむけられていた。大戦後、国際連盟がつくられ、軍縮会議がなんどもひらかれたのも、そうした反映であったが、しかしそれも列強諸国のとりひきの場に利用され、平和な世界をもたらす根本的な解決とはなりえなかった。人類愛善の提唱は、そのような情勢とも密接な関連がある。「人類愛善新聞」には、人類が、自己・家族・団体・国家・民族にたいする偏狭な愛にとらわれている間は、世界の平和は招来されないと主張し、人類愛善の精神こそが平和の鍵であるとのべて、

而して之を達するには、宗教の力に待つの外はないとの見地から、世界宗教連合会が出口瑞月氏の主張に依り計画せられ、着々其歩を進めてゐるが、吾等は結局に於て、真の平和幸福をもたらすものは、国際連盟とか、軍備制限とかいふ形の上の取極めでなくて、人類の心の奥底、言ひかふれば、天地の自然に出発した此種の精神運動であることを堅く信ずるものである(大正14・12・11)。

と強調して、愛善の精神こそがその基本におかれねばならぬと力説した。
 世上では、だんだんと思想問題がやかましくなり、大学のなかにもマルクス主義の研究団体がうまれ、この思想は奔流のように流入しつつあって、そのため「学園の赤化」をふせぐとか、思想善導をする必要があるとかと、政府による種々のとりしまりが露骨におこなわれはじめていた。それにたいしても、人類のすべてが、優勝劣敗や単純な唯物思想にとらわれているかぎり、反目と闘争がつづいて、平和な世界は建設されないとする立場をとり、「宇宙意志」による宗教的な愛善につちかわれなくては、平和と幸福の世界は実現できないとして、人間の覚醒をくりかえし要望しつづけたのである。
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