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文献名1霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
文献名2第2篇 新高山よみ(新仮名遣い)にいたかやま
文献名3第4章 鶴の首〔104〕よみ(新仮名遣い)つるのくび
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-09-17 22:12:05
あらすじ高国別夫婦の信任を得ていた玉手姫は、高国姫亡き後、高国別の後妻となった。実は玉手姫は常世姫の間者であり、高国姫の事故も仕組まれたものであった。花森彦はこれを察知していたのであった。しかし高国別、玉手姫はついに、大八洲彦命に花森彦を讒言した。そのため、大八洲彦命は言霊別命を新高山に使いし、事の次第を調査させることになった。花森彦、高国別は互いを責めて譲らなかったが、言霊別命は神殿から新高山の国魂である青色の玉を取り出して、玉手姫を射照らした。するとたちまち玉手姫は悪狐と化して逃げてしまった。高国別は花森彦の明察を悟り、今までの罪を陳謝した。今回の失敗について、高国別は許されることになった。しかし後に常世姫一派は次第に勢力を増し、高国別を陥れて蒙古別をその後釜に据えることに成功した。また花森彦を新高山の西南方に押し込めた。高砂島も、大半は常世姫の部下に占領されることになってしまった。花森彦の霊魂は、青色の玉とともに島に永遠に隠されているという。花森彦の子孫も今に現存し、神の御魂を維持しつつ、弥勒神政を待ち望んでいるという。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月13日(旧10月14日) 口述場所 筆録者土井靖都 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月3日 愛善世界社版22頁 八幡書店版第1輯 268頁 修補版 校定版24頁 普及版9頁 初版 ページ備考
OBC rm0304
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本文  高国別は妻に先だたれ、心さびしく新高山の城中にあつて、神業に奉仕しつつありけれども、花森彦の神意を了解せず、心中に不平を抱きゐたりける。玉手姫は高国別の常に怏々として楽まず、不平無聊に日を送りつつあるを慰撫し、つひに命の絶対的信任を得るにいたり、ここに第二の妻と昇進したりける。玉手姫はその実は常世姫の間者にして、高国姫を谷間に落して苦しましめたるも、また重病におちいらしめたるも、玉手姫のひきゆる悪魔の暗中飛躍的悪計なりき。花森彦はさすがに名智の神将なればよくこれを察知し、高国別にむかつて、玉手姫を追出すべく厳命されたり。されど高国別は玉手姫を少しも疑はず、深く信任して天使の厳命を無情冷酷と恨み、かつ猥に怒ることは、天地の律法違反なるをもつて、これが処罰を命ぜられたりしなり。
 高国別は玉手姫と夫婦になり、ひそかに天使長大八洲彦命に向つて信書をたてまつり、花森彦の横暴かぎりなき処置を、口をきはめて進言したり。大八洲彦命はただちに言霊別命をして新高山に急行せしめ、精密なる調査を命じたまひぬ。言霊別命はここに花森彦、高国別、玉手姫を命の前に来らしめ、審判を開始されけるが、花森彦は言霊別命にむかひ、高国別夫妻が玉手姫の悪計にかかりをることを詳細に述べたり。このとき玉手姫は涙を流して泣き伏し、言霊別命にむかつて、花森彦の無情をうつたへ、かつ自分の誠意の貫徹せざることを言葉たくみに進言したりける。
 ここに花森彦は高国別の天地の律法に違反し、かつ玉手姫を妻とせる不法の行為を述べたてたるに、高国別はうやうやしく言霊別命にむかつていふ。
『我は不幸にして高国姫に死別れ、神務を輔佐する者なく、実に煩悶苦悩せしに、忠実なる玉手姫は陰に陽に我が神業を輔佐し功績もつとも顕著にして、この高砂島においては彼にまさる完全なる輔助者なし。いかに一夫一婦の律法あればとて、我はすでに妻を失ひ孤独となれり。故にここに諸神司に信任あつき玉手姫を登用して、妻となすに何の不可かこれあらむ。一夫一婦は天地律法の精神ならずや』
と口をきはめて進言したりければ、言霊別命は、
『汝のいふところ一理なきにあらざれども、本嶋の主権者たる花森彦の認許を受けずして、独断的にかかる一大事を決行するは道理に反するものなり。今後は主権者の認許をえて何事も決行すべし』
と厳命したまへば、高国別はいふ。
『貴神の厳命は実にもつとも千万なれども、本嶋の主権者たる花森彦はすでに天則に違反し、延いて稚桜姫命を幽界に降したてまつりたる無道の神司なり。我いかに天地を畏れ長上を尊べとの律法ありといへども、かかる不徳不義なる天使の命を聞くに堪へむや。君君たらずンば臣臣たらず、願はくは公明正大なる御裁断を乞ひ奉る』
と涙を流して陳弁するにぞ、言霊別命は高国別にむかつて、
『花森彦の罪は律法制定前の罪にして、国治立命のすでに恩赦されしは汝も知るところならむ。しかるに汝律法制定後、八頭の神となり、国魂の神に仕へながら、邪神のために誤られて最愛の妻を失ひ、玉手姫の容色に迷ひ、かつ長上の命を奉ぜず。これに越えたる律法破壊者はなし』
と宣示したまひ、
『高国別にしてなほ迷夢を醒さざれば是非なし』
といひつつ神殿より青色の玉を取りだし、玉手姫の面上を射照したまへば、今まで玉を欺く姫の姿はたちまち悪狐と変じ、雲を翔りて空中高く西天に姿を隠しける。高国別はここに初めて花森彦の明察に驚き、今までの無礼を涙とともに陳謝したりければ、言霊別命は深く将来を戒め、……何事も主権者の命を奉じ、神政に奉仕せよ……と厳命し、かつ……委細を大八洲彦命に報告し、何分の沙汰あるまで謹慎を表しをるべし……と地の高天原に帰還し、一伍一什を天使長に奏上したまひける。審議の結果高国別に厳しく注意をあたへ、今回の失敗の罪は問はざることとなりにけり。
 しかるに常世姫一派の悪魔は、千変万化の悪計をめぐらし、つひには高国別をおとしいれ、蒙古別をしてその地位に代らしめ、花森彦を新高山の西南方に押込めたりければ、さしも平和の高砂島は大半常世姫の部下の占領するところとなりける。されど花森彦の至粋至純の霊魂は永く本嶋にとどまり、青色の玉とともにこの島に永久に隠されにける。花森彦の子孫も今に儼存して勇猛義烈の神民となり、神の御魂を維持しつつ弥勒神政の出現を鶴首して霊を研きて待ち居れりと云ふ。
(大正一〇・一一・一三 旧一〇・一四 土井靖都録)
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