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文献名1霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
文献名2第4篇 鬼城山よみ(新仮名遣い)きじょうざん
文献名3第10章 無分別〔110〕よみ(新仮名遣い)むふんべつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-04-28 15:24:07
あらすじ須賀彦は眉目秀麗な美男子であった。鬼城山に颯爽と乗り付けると、竜宮城の直使として門を開かせた。美山彦も須賀彦の雷のような言霊に打たれた感があったが、美山彦・国照姫の娘である小桜姫の色香に迷い、ついには夫婦の間柄となってしまった。須賀彦はあろうことか、敵方の婿養子になってしまい、地の高天原へも復命することはなかった。後に須賀彦は、どこからともなく飛んできた白羽の矢にあたり、悶死を遂げることになる。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月15日(旧10月16日) 口述場所 筆録者有田九皐 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月3日 愛善世界社版62頁 八幡書店版第1輯 282頁 修補版 校定版64頁 普及版27頁 初版 ページ備考
OBC rm0310
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本文  天使長大八洲彦命の命により、須賀彦は第二の使者として、伴をも連れずただ一騎竜馬にまたがり蹄の音高く、鬼城山にむかひて出馬したりけり。須賀彦は、容貌うるはしく眉目清秀にして、あくまで色白く肌滑らかにしてあたかも天女の再来かと疑はるるばかりの美男子なりけり。
 須賀彦は鬼城山の城門を何ンの憚る色もなく、竜馬に鞭うち奥ふかく侵入し、玄関先に馬をすて奥殿に進みいり、大音声をあげていふ。
『我こそは、地の高天原を司りたまふ国治立命、天使大八洲彦命の直使として出馬せり、言ひ渡すべき仔細あり。美山彦はあらざるか、国照姫は何処ぞ。すみやかに我が眼前にまかり出で、直使の命を承れ』
と呼ばはりし。その言霊の力は、実に雷鳴のごとく轟きわたり何となくすさまじき中にも優しみありき。美山彦は須賀彦の言霊にのまれ、やや恐怖の念にかられて躊躇逡巡の色見えにける。
 この時国照姫は一室より走りいで、須賀彦の容姿端麗にして、どことなく権威に充てるその態度に荒肝をひしがれ、何の言葉もなく頭を垂れて黙視するのみなりしが、又もや静に入りきたる女性あり。須賀彦は一目見るよりハツタと睨み、
『反逆不忠の口子姫、見るもけがらはし、片時も早くこの場を立ち去れよ』
とにらみつけられ、口子姫は恨めしげに須賀彦の顔を見あげ、袖をもつてしたたる涙をふきながら四辺に眼を配り、わが胸を押へ、何事か口には出さざれど秘密のこもれることを暗示する様子なりける。
 美山彦の一女に小桜姫といふ絶世の美しき若き女性あり。この小桜姫は最前よりの須賀彦の容貌端麗なるを、戸の陰より垣間見つつ心臓に劇しき波を打たせゐたるが、つひに耐へかねて顔を赤らめながら戸を押しひらき、静々と須賀彦の立てる前にはづかしげに両手をつき、慇懃に述ぶる挨拶も口ごもるそのしほらしさ。
 小桜姫は思ひきつて面をもたぐるその刹那、須賀彦とたがひに視線は合致せり。いづれ劣らぬ花紅葉、色香争ふ美人と美人、両者の眼は何事かを物語るやうに見へにける。このとき美山彦、国照姫、口子姫はその場に現はれ、山海の珍味をもちだし須賀彦を丁寧に饗応し、ここに五人の神司は互ひに打ちとけ談話を交換したりける。
 須賀彦はおもむろに使者のおもむきを伝へ、美山彦の返答を促しければ、美山彦は、
『使者のおもむき、たしかに拝承し奉る。しかしながら、城内の諸神司をあつめ一まづ協議を遂ぐるまで、数日の猶予を与へたまはずや』
と顔をやや左方にかたむけ、須賀彦の返答いかにとその顔を見上げたり。須賀彦はその請求を許し、数日城内に滞在し返事を待ちゐたり。国照姫は小桜姫に命じ、須賀彦の身辺に侍せしめ用務を便ぜしめける。
 遠きやうでも近く、難きに似て易きは男女の道とかや。ここに須賀彦、小桜姫は人目の関を破りて割無き仲となり終りぬ。この様子をうかがひ知りたる国照姫、口子姫はおほいに喜び、須賀彦をとどめて婿となさむと思ひ、種々心を配りゐたりける。
 それより須賀彦と小桜姫は両親の黙認のもとに夫婦きどりになり、緊要なる大神の使命を忘却するにいたりけるぞ歎てけれ。須賀彦は小桜姫に魂をうばはれ日夜姫を相手に淫酒にふけり、あまたの城内の神司とともに花見の宴を催したるに、諸神司は酒に酔ひつぶれ、かつ庭前にいまを盛りと咲き香ふ桜木の下に、あるひは謡ひあるひは舞ひ、鐘や太鼓の拍子に乗つて踊りくるひ、かつ須賀彦の手をとり、「貴下も謡ひたまへ、舞ひたまへ」と、諸手をとつて大桜木の下に誘ひ、春風に散る花吹雪を浴びつつ愉快気に、須賀彦は酒の威力を借りてうたひ出しけり。その意味の大要を、今様式にここに挙ぐれば左の意味の籠れる歌なりける。
『花の顔色月の眉  富士の額に雪の肌
 天津乙女の再来か  小野の小町か照手の姫か
 ネルソンバテーか万竜か  欣々女史か楊貴妃か
 褒似の姫か難波江の  よしもあしきも判きかぬる
 富田屋八千代も丸跣  年は二八か二九からぬ
 小桜姫の微笑は  天下の城も傾けむ
 鬼神もおそるる幽庁の  閻魔もよだれを流すらむ
 優び姿は海棠の  雨の湿ほふごとくなり
 かかる美人がまたと世に  三千世界にあるものか
 有明月のまるまると  背は高からず低からず
 一度にひらく紅梅の  露に綻ぶ姿かや
 口より見する歯の光  光明姫か衣通姫の
 美し命の再生か  すずしき声は鈴虫か
 さては弥生の鶯か  松の神代に遇ふよりも
 小桜姫ともろともに  仲も吉野の山ふかく
 竹の柱に茅の屋根  虎狼の住家をも
 なぞか厭はむ糸桜  夜半の嵐に散るとても
 散らぬ両人の恋衣  恋に上下の隔てなし
 隔てないのが恋の道  隔てないのが恋の道
 心須賀彦須賀々々と  八雲の琴の須賀掻も
 シヤツチン シヤツチン シヤツチンチン  シヤツチン シヤツチン シヤツチンチン』
と二弦の琴を弾じながら、あたりかまはず土堤を切らして踊り狂ふ。
 かくして須賀彦は、つひに恋の虜となり、地の高天原への復命をなさず、敵城の養子婿となりすまして不義の臣とはなりにける。楽しき鴛鴦の契もつかのま、いづこよりとも知らず白羽の矢は飛び来りて須賀彦の胸を貫ぬきたれば、あはれ悶死を遂げにけり。あゝ、実に慎むべきは男女の道にこそあれ。
(大正一〇・一一・一五 旧一〇・一六 有田九皐録)
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