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文献名1霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
文献名2第4篇 鬼城山よみ(新仮名遣い)きじょうざん
文献名3第12章 信仰の力〔112〕よみ(新仮名遣い)しんこうのちから
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ村幸彦は鬼城山周辺で情報収集をしていたが、清熊らに見つかって捕まり、言霊別命の居場所を白状するようにと責められた。悪神らは氷の張った池に村幸彦を沈めて責め立てたが、村幸彦は天津祝詞を心中に奏上すると、凍え死にするどころか、身体から煙が立ち上って寒気すら覚えなかった。これは村幸彦の信仰の力と、国治立命の神助によるものであった。悪神らは竹箒で、次に鉄棒で村幸彦を打ち据えたが、村幸彦は痛痒も感じなかった。最後には美山彦は怒って大刀で切りつけたが、逆に剣は曲がって刃こぼれし、槍の穂先も葱のように曲がってしまう有様であった。この神徳を目の当たりにした美山彦・国照姫はついに感じ入り、改心して鬼城山を明け渡し、地の高天原に参向することになった。ここに真鉄彦、元照彦が鬼城山の八王八頭神として着任することができた。天地の律法は厳格であるが、根本からまた改心した者は直ちに許される。悪逆無道の限りを尽くした美山彦・国照姫も許されて、地の高天原の神業に参画することになったのは、大神の無限の仁慈の賜物である。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年11月15日(旧10月16日) 口述場所 筆録者土井靖都 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月3日 愛善世界社版73頁 八幡書店版第1輯 286頁 修補版 校定版75頁 普及版32頁 初版 ページ備考
OBC rm0312
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本文  ここに村幸彦は言霊別命の内命により、ふたたび鬼城山にとつて返し、城内外の偵察に苦心しゐたり。あるとき猿世彦、清熊らの一行に城外において出会したり。清熊は村幸彦の姿を見るなり直ちに従臣らに命じ、四方より包囲して難なくこれを捕縛せしめ、直ちに城内に連れ帰り、言霊別命の所在をきびしく訊問したりける。村幸彦は空とぼけて、
『言霊別命は城内にましまさむ。汝らは何を狼狽して吾に向つてかかる奇問を発し、かつ吾らを捕縛せしや、思ふに汝らは酒興のあまり、滑稽にも我を愚弄する心算ならむか。いやしくも天使言霊別命の従臣なり。いかに卑怯未練の命なりとて、何を苦しみて城内をひそかに脱出するの要あらむや、囈語もほどほどにせられよ』
と大口を開けてからからと打笑ひける。城内の魔神どもは真剣になり、たちまち憤怒の色を現はし、口々に罵りつつ執念深くも、
『命の所在を汝は知るならむ、逐一白状におよべ』
とたたみかけて厳しく訊問の矢を放ちしが、村幸彦は神色自若として何の怖るるところなく、ますます空とぼけて笑ひくづれける。
 魔神どもは、
『かかる狂人を相手とするはあたかも暖簾と腕押しをなすがごとし。エエ面倒なり、此奴の衣類を脱がせ、冷水を頭上より浴びせかけ、逆上を下げやらむ』
といふより早く寄つてたかつて真裸となし、氷の張りつめたる池端に連れゆき、氷を打ち破り、池中に陥れ、頭上よりは長柄の柄杓をもつて幾千杯ともなく、水を代るがはる浴びせかけたり。
 村幸彦は心中に深く神を念じ、小声になりて天津祝詞をしきりに奏上しつつ、たちまち身体冷え、凍え死するかと思ひきや、村幸彦の身体よりは濛々と湯煙たち昇り、少しも寒気を感ぜず、悠々として湯に入りしごとき愉快にみちたる顔色に微笑をうかべ、
『ヤイ魔神、湯が熱いぞ、も少し水をくれないか』
と大声に笑ひける。魔神どもは一体合点ゆかず、かかる厳寒の空に投込まれその上幾千杯とも限りなき寒水を頭上より浴びせかけられ、神色自若として、何の苦痛も感ぜざるのみか剰さへ……この湯は熱い、も少し水をくれ……とは正気の沙汰にあらざるべし。かかる大狂人をいつまでも池中に投じて苦しめむとするも何の益なしと、つひに村幸彦を救ひ上げたりしが、村幸彦の身体よりは盛ンに湯煙たち上りけり。これまつたく村幸彦が信仰の力と、国治立命の厚き神助によるものなりけり。
 美山彦、国照姫はこの奇瑞を訝かり、このたびは赤裸のまま北風吹き荒ぶ廊下の柱に村幸彦を縛りつけ、寄り集りて嘲笑罵詈をきはめ、かつ、
『汝は大狂乱の大馬鹿者ぞ。見かけによらぬ土間助よ』
といひつつ竹箒をあまた携へきたり、四方八方より頭といはず顔といはず身体一面を、あるひは打ち或ひは突き、つひには竹箒の柄にて頭部を幾百千ともなくなぐりつけたり。されど村幸彦は何の苦痛も感ぜず、平然として笑を含み、
鬼城山の魔神どもの腕力の弱さよ』
と腮をしやくりて嘲笑したりける。ここに美山彦は烈火のごとく憤り、
『然らば吾らの力を現はしくれむ。従臣どもは各自鉄棒を携へきたつて、彼が面上を力にまかせて打ちすゑ粉砕せよ』
と命ずれば、鶴の一声従臣どもはたちまち鉄棒かざして現はれ、前後左右より村幸彦を力かぎりに頭部面部の嫌ひなく打ちすゑたり。されど村幸彦は心中深く神を念じ、天津祝詞を奏上しつつありしためか、さしも烈しき鉄棒の乱打も鎧袖一触の感じもなく、口をきはめて魔神どもの非力を嘲笑したり。彼らはますます怒り、つひには面上目がけて、各自に痰唾を吐きかけ辱むとしたるに、いかがはしけむ、いづれの痰唾も村幸彦の面上にいたらず中空に飛びあがり、たちまち落下して各自の面上に、数十倍の量と数十倍の汚穢とを増して滝のごとくに降りきたりぬ。
 美山彦はおのれの吐き出したる痰唾に祟られ、面部一面に布海苔を浴びたるごとく、青白き瓜実顔は、たちまち紙雛をなめて吐きだしたるごとき滑稽なる顔貌とはなりにける。
 美山彦はますます怒り大刀を抜きはなち、村幸彦に切つてかかれども、村幸彦の身体は石地蔵のごとく、切れども突けども何の答へもなく、剣は曲り刃は欠れ、たちまち鋸の刃のごとくなりにける。こんどは美山彦奥に入り、ねぢ鉢巻に赤褌、袴の股立高くからげ、大身の鎗をしごきながら、村幸彦の胸先目がけて「エヽ」と一声、電光石火の勢をもつて突込みしが、いかがはしけむ、鎗の穂先は葱の葉のごとく脆くも曲り、美山彦は空を突いて、ひよろひよろと数十間ばかり前方に走り、どつとばかりに倒れける。このとき高手小手に縛られたる太き麻縄を見て村幸彦はからからとうち笑ひ、
『かかる腐れ縄を吾にかけて何とする。いらざる戯事をすな。鼻屎にて的を張りしごとき汝らの計画、実に失笑に値す』
といひも終らず、「エヽ」の一声、さしもの強き太縄もばらばらに寸断されたり。この様子を最前より窺ひゐたる須賀彦、小桜姫は走りきたつて両手をつき、村幸彦にむかつて、
『貴下は如何なる尊き強き神人にましますぞや。吾らはここに前非を悔ひ、真情より反逆の罪を謝し奉る』
と畏るおそる述べたてたり。傍にありし美山彦、国照姫は声をはなつて号泣し、神徳の威大なるに感じ、夢のさめたるごとく始めて本心に立ち帰り、大八洲彦命の直命を奉じ、鬼城山をこころよく開け渡し、一同は従臣を率ゐて地の高天原に参向し、帰順の意を表し、犬馬の労を執らむことを誓ひける。
 ここに目出度鬼城山は真鉄彦、八王神となつて、灰色の玉を瑞の御舎仕へまつりて恭しく鎮祭し、元照彦は八頭神となり、真鉄姫、元照姫は共に城内にとどまり、夫の補佐を勤むることとなりける。
 天地の律法はもつとも厳重にして毫末も犯すべからざるものとはいへども、発根より改心と認められたる時は直ちにこれを許さるるものなり。実に改心にまさる結構は無かるべし。現に悪逆無道の極みをつくしたる美山彦、国照姫の罪を赦し、地の高天原の神業に参加せしめたまひしは、大神が無限の御仁慈の発露といふべし。
(大正一〇・一一・一五 旧一〇・一六 土井靖都録)
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