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文献名1霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻
文献名2第7篇 因果応報よみ(新仮名遣い)いんがおうほう
文献名3第41章 悪盛勝天〔191〕よみ(新仮名遣い)あくさかんにしててんにかつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ高月彦は常世彦と改名し、初花姫は常世姫と改名した。両者ともに最初は善政を敷いていたが、憑依した邪霊の働きにより、次第に体主霊従の行為をなすようになってしまった。天使長と竜宮城主宰を篭絡した邪霊は、身魂を分かって各八王に憑依した。常世彦は八王たちの協力を得て、天使長の職を廃して八王大神の職名を置くよう、運動を始めた。大神の神号は、常世彦の野心を表していた。しかし大八洲彦命、高照姫命の進言により、国祖は八王大神の職名を許さなかった。常世彦はこれより、国祖、大八洲彦命らに対して反抗の念を募らせた。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年12月28日(旧11月30日) 口述場所 筆録者桜井重雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月30日 愛善世界社版250頁 八幡書店版第1輯 460頁 修補版 校定版259頁 普及版113頁 初版 ページ備考
OBC rm0441
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本文  ここに高月彦は天使長に任ぜられ、神界の神司の総統者となり、父の名を襲うて常世彦と改名したり。改名したるその理由とするところは、さきに二人の高月彦あらはれ、不祥事の続出せるを忌みたるが故なり。
 また初花姫は同じく母の名を襲ひ常世姫と改名したりける。これまた初花姫に酷似せる邪神によりて、聖地および竜宮城の攪乱せられしを忌みての故なりける。
 改名したる常世彦は、初めの中は天地の律法をよく厳守し、仁愛をもつて天下に臨み至治太平の安泰国を現出したるに、八頭八尾の大蛇の悪霊憑依してより神格俄に一変し、ここに体主霊従の行為をつづけ、大神の神慮を煩はし、かつ聖地の空気を一変せしめける。次にまた改名したる常世姫は兄と同じく、最初のうちは霊主体従の大道を遵守し、至仁至愛にして城内はあたかも春の日のごとく安泰によく治まりゐたりしに、彼女に憑依したる金毛九尾白面の悪狐は、時を経るにしたがひ、常世姫の身体を駆使して、言行日々に悪化し、ために聖地ヱルサレムの神政を攪乱するの端を開きたりける。
 天使長常世彦にして、その行動かくのごとしとせば、その部下に仕ふる八王八頭もまた河川の上流濁りて下流濁るがごとく、八王八頭には八岐の大蛇なる八頭八尾の邪神の悪霊、その霊魂を千々に分ちてこれに憑依し、その妻には金毛九尾白面の悪狐の邪霊、その霊魂を分ちてこれに憑依し、つひに天下の神人をして大蛇悪狐の容器たらしめたりき。同じ悪霊の分派を受けたる、八王八頭その他は、その本霊の憑依せる常世彦の頤使に従ふは自然の道理なり。また悪狐の邪霊の分派たる悪霊の容器となりし八王八頭の妻らの挙つて、その本霊の憑依せる常世姫の頤使に甘ンずるは、これまた自然の理なり。ここに常世彦は八王八頭の協力一致の推薦によりて天使長の職名を廃し、八王大神と改称することとなり、その認許を国祖大神に奏言したるに、大神は八王大神の職名を附することを甚く嫌はせたまひける。そのゆゑは国祖の大神さへもその表面は神名を用ゐたまはず、たんに国治立命と称し給へるに、その部下に仕ふる天使長として僣越にも八王大神の名を附するは、天の大神に対して畏多く、かつ下、上を犯すの端を開くものと見なされたるが故なりき。
 されど常世彦は、八百万の神人の協力一致の推薦を堅く主張し、多数の同意をもつて強ひて八王大神の名を降下されむことを強要して已まざりにける。
 ここに国祖は、大宮殿の奥深く諸神司を集めて、八王大神の職号につき各自の意見を聴取されたるが、ここに神務長大八洲彦命は、ただちに立ちて言ひけらく、
『天に二日なく地に二王なきは、宇宙の大真理なり。いはンや国祖さへも、常に謙譲の徳を堅持したまひ、天にせぐくまり地にぬきあしして、深く上は天津神を敬ひ、下神人を敬愛したまふ。しかるに何ぞや、大神に至誠身をつくして奉仕すべき天使長たる者、我が天職を忘れ、驕慢心を起し、天下の諸神人を籠絡してこれに甘んじ、その職名の強要を申請するその心事の悪逆無道なる察するにあまりあり。希はくは国祖におかせられても天地の秩序を整ふるため、断じて御許容なきことを願ひ奉る』
と奏上されたり。他の神司は何の辞もなく、黙然として国祖の御言葉いかにと固唾を呑ンで控へゐたり。
 ここに高照姫命は国祖の大神にむかひ、
『かれ常世彦はさきの高月彦時代の精忠無比の真心なく、いまは邪神のためにその精魂を魅せられ、悪逆無道の心性と悪化しつくせり。また常世姫も初花姫時代の崇敬の心は全く消え失せ、いまは常世の悪狐の霊に憑依され、奸佞邪智の女性と化し去れり。この際、大神にして万一彼らが願ひを聴許したまはば、悪狐はますます増長し、一歩を譲れば一歩を進みきたり、二歩を譲れば二歩を進みきたりて、その要求際限無かるべし。このさい断然として彼ら悪人の奸策におちいり給ふことなかれ』
と理非をつくして言上したりしが、国祖大神は首肯かせたまひ、ただちに二神司の言を容れて、常世彦にたいし、八王大神の職名を附することを許されざりけり。
 それより常世彦の、国祖大神をはじめ大八洲彦命、高照姫命以下にたいする反抗の念は、ますます昂まりにける。
(大正一〇・一二・二八 旧一一・三〇 桜井重雄録)
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