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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第2篇 中軸移動よみ(新仮名遣い)ちゅうじくいどう
文献名3第12章 不食不飲〔212〕よみ(新仮名遣い)くわずのまず
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじそこへウラルの山颪が吹きまくり、神々を中天に巻き上げて釣りまわした。吊り上げられた神々らの首は、鶴のように長く伸ばされてしまった。風が止むと全員、地上に落下して半死半生の状態で苦しんだ。中空に『八岐大蛇、八岐大蛇』という声が聞こえた。一柱の神が思わず、『八岐大蛇様、助けたまへ』と叫んだ。すると天上よりうるわしい男女の神々が下ってきた。その中の長とおぼしき神は口を耳まで開き、ウラル山を守護する八頭八尾の大蛇である、と名乗った。そして、アーメニヤに神都を開くためには、八頭八尾の大蛇の霊を祀って百日の断食をすべし、と命じた。神々らはウラル山に登山して、断食をなすこととした。断食を破って果物を食べた神々は、腹が裂けて苦しみを受けた。断食の違反者たちは縛られて木の枝にかけられた。空中からは、『鬼になりたい者は神命違反者を食らえ』と声がしたが、さすがに誰も応じる神は無かった。断食五十日目には、神々らは立つ気力さえない状態となった。そこへ、東北の空から六面八臂の鬼神らが襲い掛かった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月06日(旧12月09日) 口述場所 筆録者桜井重雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年4月15日 愛善世界社版71頁 八幡書店版第1輯 543頁 修補版 校定版73頁 普及版33頁 初版 ページ備考
OBC rm0512
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本文  折しもウラルの山颪、地上を吹きまくり、終には空前絶後の大旋風となつた。あらゆる樹木を吹き倒し、泥田に落ちたる神々を、木の葉のごとく土諸共、中天に捲きあげ、天上をぐるぐると住吉踊りの人形のやうに釣りまはした。そのため何れの神人も、鶴のやうに首が残らず長くなつて了つた。丁度、空中に幾百千とも限りなき首吊りが出来たやうなものである。首吊りでなくて、残らず鶴首になつてしまつた。
 風がやむとともに、一斉に雨霰のごとく地上に落下した。腕を折り足を挫き腰をぬかし、にはかに半死半生の者ばかりとなつてしまつた。そのとき何処ともなく、
『八岐の大蛇、八岐の大蛇』
といふ声が聞えた。八百万の腰抜け奴、不具者はぶるぶる唇をふるはせながら、
『八岐の大蛇様、助けたまへ』
と叫んだ。
 たちまち天上より美はしき八柱の男女の神人が、神人らの前に降つて来た。さうしてその中の一番大将と思しき男神は、耳まで裂けた紅い口を開いて、
『吾はウラル山を守護する八頭八尾の大蛇である。もはや今日は国祖国治立尊は、わが神力に恐れて根の国に退隠し、その他の神人はいづれも底の国に落ち行き、無限の責苦に遭へり。この世界はもはや吾の自由なり。汝らこのアーメニヤの地に来つて神都を開き、神政を樹立せむと思はば、まづ第一に宮殿を造り、わが霊魂を鎮め、朝夕礼拝を怠るなかれ。また盤古大神をはじめ八王大神その他の神人は、ただ今より百日の断水断食を励むべし』
と言ふかと見れば、八柱の神人の姿は烟のごとく消え、ただ空中を運行する音のみ聞えてきた。その音も次第々々に薄らいでウラル山目蒐けて帰つたやうな気持がした。
 不思議にも、大負傷に悩んでゐた神人は手も足も腰も旧のごとくに全快し、ただ首のみは長くなつたままである。神人らは先を争うて、ウラル山方面さして断食をなさむと駆登つた。
 ウラル山の中腹には、非常な広い平地がある。この平地は南向きになつて、非常に香りのよい甘さうな果物が枝もたわむばかりになつてゐて、平地に垂れてゐる。
 あまたの神人は、やつと此処まで登つてきたが、咽喉はにはかに渇きだし、腹は非常に空いてきた。されど大蛇の厳命によつて、咽喉から手が出るほど食ひたくても食ふことが出来なかつた。ちやうど餓鬼が河の端に立つて、その水を飲むことが出来ぬやうな苦痛である。
 盤古大神はじめ八王大神は頻りに口なめしをなし、長舌を出し、この果物をみて羨望の念にかられてゐた。神人は咽喉は焼けるほど渇き、腹は空いて板のごとくなつてゐる矢先、目の前にぶらついたこの美味を食ひたくて堪らず、見るより見ぬが薬と、いづれも目を閉ぶつて見ぬやうに努めてゐた。さうすると何処ともなしに百雷の一時に落下したやうな音響がきこえ、地響がして身体を二三尺も中空に放りあげた。吃驚して思はず目を開くと、目の前、口の前に甘さうな果物がぶらついてゐる。エヽ儘の皮よと四五の従者は、そのまま大きな果物を鷲づかみにしてかぶりはじめた。何とも言へぬ甘さである。濡れぬうちこそ露をも厭へ、毒を食うたら皿までねぶれといふ自棄糞気味になつて、四五人の神人は舌鼓をうつて猫のやうに咽喉をごろごろ鳴らしながら、甘さうに食ひ始めた。傍の神人はその音を聞いて矢も楯もたまらなくなつて、目を閉ぢた上、両方の指で耳を塞いで、顔をしかめて辛抱してゐた。風が吹くと、果物の枝が揺れて、その甘さうな果物は口のあたりに触つてくる。思はず知らず舌がでる。こいつは堪らぬとまた口を閉いだ。ちやうど見ざる、聞かざる、言はざるの庚申さまの眷属が沢山に現はれた。四五の自棄糞になつた神人は腹一杯布袋のやうになつて息までも苦しく、肩で息をするやうになつた。腹の中は得心したが、まだ舌が得心せぬので、無理無体に舌の要求をかなへてやつた。もはや舌も得心をしたが、肝腎の眼玉が得心せぬので無理矢理に取つては食ひ取つては食ひ、大地にドンドンと四肢を踏んで、詰め込まうとした。そのとたんに臍の括約筋がバラバラになつて、果物の赤子が沢山生れた。アイタヽアイタヽと腹を抱へて顰み面しながら大地に七転八倒した。他の神人はまた目をあけてこの光景を見、あり合ふ草の蔓をとつて腹の皮を一処へ集め、これを臍の真中で堅く括り、五柱の神人を神命違反の大罪人として棒にかつぎ、その果物の樹の枝にかけた。
 この時、またもや天上から声がした。
『腹が空いたら、神命違反者を食へ』
と言つた。神人は果物は食はれぬが、この五柱の神人でも食つて見たいやうな気がした。このとき早玉彦といふ八王大神の侍者は、天の声のする方にむかひ、
『断食する吾々、この者を食うても神意に反せずや』
と尋ねて見た。
 さうすると、また空中に声あつて、
『鬼になりたき者はこれを食へ』
と言つた。いづれの神人も自分の悪は分らず、各自に至善至美の立派な者と自信してゐるので、流石の邪神も鬼になることだけは閉口したとみえ、一柱もこれを食はうとする者もなかつた。さうかうする中に、断食の行も五十日を経過した。何れの神人も声さへも立てる勇気は失せ、目は潤み、耳はガンガン早鐘をつくがごとくになり、ちやうど蛭に塩したやうにただ地上に横たはつて、虫の息にピコピコと身体の一部を動揺させてゐた。このとき、東北の空より、六面八臂の鬼神、あまたの赤、青、黒などの顔をした幕下の鬼を引き連れ、この場にむかつて嬉しさうに降つてくるのを見た。
 あゝこの結果は如何なるであらうか。
(大正一一・一・六 旧大正一〇・一二・九 桜井重雄録)
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