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文献名1霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
文献名2第7篇 宣伝又宣伝よみ(新仮名遣い)せんでんまたせんでん
文献名3第44章 夜光の頭〔244〕よみ(新仮名遣い)やこうのあたま
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-04-05 16:58:18
あらすじロッキー山のふもと、スペリオル湖では、少彦名神の宣伝使が、船に乗っていた。激しい風に湖面は荒れて、すさまじい光景を見せていた。少彦名神が言霊を唱えると、暴風はぴたりと止んだ。船内の常世の国の人々は一様に少彦名神に感謝の念を抱いた。船客のひとりが少彦名神の素性を問うたのをきっかけに、少彦名神の船内の講話が始まった。曰く、宇宙間には無限絶対無始無終の大国治立の大神が存在し、この世のものすべては、大神の御分霊である、と。そして船客の問いに答えて、スペリオル湖にも神はおり、あらゆる場所に神が宿るがゆえに、神を汚してはならない、と教えを説いた。船を降りると、少彦名神は宣伝歌を歌いながら西へ西へとあてもなく進んでいった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月13日(旧12月16日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年4月15日 愛善世界社版270頁 八幡書店版第1輯 612頁 修補版 校定版275頁 普及版113頁 初版 ページ備考
OBC rm0544
本文のヒット件数全 9 件/少彦名神=9
本文の文字数1700
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本文  ロッキー山の山颪、世を艮と吹く風に、スペリオル湖の水面は、忽ち怒濤を捲き起し、小船を前後左右に翻弄した。ここに少彦名神は数多の神人とともに漂うた。風は刻々に唸りを立てて激しくなつた。空は一面の暗雲に鎖され、船の前後に数限りもなく出没する海坊主の姿は実に凄じき光景である。少彦名神は忽ち祝詞を奏上し、声爽かに、
『朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 スペリオル湖の浪高く  吾らの船は覆るとも
 変らぬものは神心  神の心を胸にもち
 寄せくる怒濤を言霊の  息吹の狭霧に吹き払ひ
 払ひ清むる神の道  浪も鎮まれ風も凪げ
 されどもされど常暗の  心の暗き魔神は
 慄ひ戦き顔の色  土と鳴門の渦巻や
 嗚呼凪げよ凪げなげ科戸彦  科戸の風の永久に
 吹くなら吹けよ吾々が  この湖水を安全に
 渡つた後にどつと吹け  今は吹くなよふくの神
 今は吹くなよふくの神』
と暴風に向つて謡へば、不思議にもこの声の止まると共に、さしもの暴風もぴたりと止まり、浪は俄に凪ぎ、海面は恰も畳を敷き詰めたるが如き平穏に帰してしまつた。
 青瓢箪が寒さに怖ぢけた時のやうな面構へをした常世国の人々も、にはかに蘇生の思ひをなし、少彦名神に向つて、異口同音に嬉し涙と共に感謝する。
 少彦名神は節面白く、例の宣伝歌を唱へた。神人の中に秀でて逞しき、色浅黒き背の高き男は口を尖らせながら、少彦名神に向ひ、
『貴下は何れの宣伝使なるぞ、貴下の言霊の威力に風も海も皆従ひたり、願はくは御名を吾らに聞かせたまへ』
と云ふ。少彦名神は、
『吾こそは、この世の宝その物にたいして、凡夫の如き無限の欲望は少彦名神なり』
と枕言葉を沢山に並べて名乗り、而してそろそろ大神の御徳を説き始めたりける。
『総てこの広大無辺の宇宙間は、無限絶対無始無終の全智全能力を有し給ふ、一柱の大国治立の大神御座しまして万有を創造したまひ、その至粋至純の神霊を伊都の千別きに千別きたまうて、海河山野などの神人を生みたまうたのである。故にこの世界は神の御座さぬ処は一寸の間もない。神を讃美し、かつ神に頼らねば、吾々は片時の間もこの世に生存へることは出来ない。いま吾々が呼吸する息も皆神の御息であつて、決して自己のものでなく、昆虫の端に至るまで、皆神の慈をうけざるはない。ゆゑに天地間において最も敬すべく親しむべく信ずべく愛すべきは、第一に世界の造り主なるただ一柱の真の神なる大国治立尊の尊さを措いて外にはないのである。この大神の聖霊によつて分派出生したる海河山野の神人もまた尊敬しなくてはならない、何事も皆このごとき弱き凡夫は、神の力を借るより外にはないのだ』
と説示した。船中の神人らは各自に口を開いて、
『果して宣伝使の言はるる如くならば、今このスペリオル湖の水中にも神はいますか』
と尋ねける。少彦名神は、
『海には海の神、河には河の神、また船には船の神がある。決して吾々は神を汚してはならないのだ』
 船はだんだんと進んで西岸に近づいた。湖辺に明滅する漁火の光は、あたかも夏の夜の暗に螢の飛び交ふごとく、得も云はれぬ光景なり。船中は暗の帳に包まれて真黒である。
 このとき頭のピカピカと光つた神は頓狂な声をふりあげ、
『ヤア殺生な、オレを馬鹿にするない』
といふ。船の片蔭にはクスリ、クスリと笑ふ声さへ聞えてゐる。
 廿日の月は東の山の端を出でて皎々として輝き始めた。第一番に禿頭は鏡のごとく照り出した。よくよく見れば、ズクタンボーである。禿頭は声を尖らし、
『暗の中で知らぬかと思つて、吾々の頭に尿をした奴がある。暗がりでも神の目は光つてをるぞ、承知がならぬ』
と目の玉まで光らして怒りたてる。傍にゐた屋根葺の手伝ひか、炭焼のやうな顔した黒い男は立ち上り、
『海には海の神があり、船には船の神が御座すと聞いたから、神(髪)なき頭に尿ひつかけたのが何が悪い』
と逆捻を喰らはす。禿頭の男はぶつぶつ呟きながら、湖水の水に光つた頭を洗ひはじめた。船は漸くにして西岸についた。少彦名神は又もや宣伝歌を謡ひながら、西へ西へとあてどもなく進み行く。
(大正一一・一・一三 旧大正一〇・一二・一六 加藤明子録)
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