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文献名1霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻
文献名2第1篇 山陰の雪よみ(新仮名遣い)さんいんのゆき
文献名3第4章 立春到達〔254〕よみ(新仮名遣い)りっしゅんとうたつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-04-09 16:32:41
あらすじ足真彦の前に現れた美人は、あたりに人がいないことを確認すると、自分はモスコーの春日姫であることを明かした。月照彦神に導かれて宣伝使となっていた、鷹住別・春日姫夫婦は、互いに別れて宣伝の旅に出た。その途上、春日姫は従者の春姫とともに、鬼城山の美山彦にかどわかされて、この館に軟禁されていたのであった。春日姫はまた、月照彦神もやはり鬼城山にとらわれの身になっていることを明かした。春日姫の計略で、春日姫が美山彦になびいた振りをして酒を飲ませ、その混乱に乗じて邪神をこらしめ鬼城山を清めることとした。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月16日(旧12月19日) 口述場所 筆録者藤松良寛 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月10日 愛善世界社版27頁 八幡書店版第1輯 641頁 修補版 校定版28頁 普及版12頁 初版 ページ備考
OBC rm0604
本文のヒット件数全 14 件/美山彦=14
本文の文字数1903
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本文  花の顔色、霞の衣、姿優しき春の日の、花に戯る蝶々の、得も言はれぬ風情をば、遺憾無くあらはし乍ら、宣伝使の前に座を占めたる美人あり。
 足真彦は思はず、
『ヤア』
と叫べば、女性はハツと胸を仰へ、
『鬼熊はあらざるか、鬼虎はいづこぞ、申付く可き事あり早く来れ』
と、しとやかに呼はつた。されど何れの神も、この女に任せて何彼の準備に取かかり、近辺には一柱の厄雑男さへ居らざりける。
 女性は四辺に人無きを見済まし、梅花のごとき美しき唇を漸く開いて、
『アヽ貴下は足真彦にまさずや。月照彦は、当山に割拠する美山彦の謀計にかかり、今や奥殿に休息されつつあり。悪人の奸計にて、痛はしや、今宵の間にその生命も、晨の露と消え給はむ。貴下もまた同じ運命の下に刃の露と消えさせ給ふも計り難し。心配らせ給ひ、妾と共に力を協せ、この館の悪人どもを打亡ぼして、世界の難を救ひ給へ。妾は月照彦の懇篤なる教示を拝し、吾夫鷹住別は宣伝使となつて天下を遍歴し、妾は御恩深き月照彦の御跡を慕ひ、一つは吾夫鷹住別に巡り会はむと、モスコーの城を後にして、雨に浴し風に梳り、流浪ひめぐる折から、今より三年のその昔、美山彦の計略に乗せられ、鬼熊彦の馬に跨り、この深山の奥に誘拐かされ、面白からぬ月日を送りつつある春日姫にて候』
と有りし次第を涙と共に物語り、かつ足真彦の耳に口寄せ、何事か囁きにける。
 足真彦は、無言のまま打ちうなづきぬ。
 春日姫は、四辺に何人も無きに安心したるものと見え、涙を片手に、激昂の色を満面に漂はせながら、
『妾は美山彦の妻なる国照姫が、ウラル彦に招かれて、ウラル山に出発せしより、閨淋しき美山彦のために「昼は娘となり、夜は妻となれよ」との日夜の強要に苦しみ、涙の日を送ること茲に三年に及ぶ。されど妾は貞操を守り、今にその破られたることなし。しかるに美山彦は執拗にも、最初の要求を強要してやまざるを幸ひ、今宵は一計を案出し、美山彦の一派の悪人間を打ち懲しくれむ。その手筈はかくかく』
と再び耳うちしながら、悠々として一間に姿を隠したりける。
 場面は変つて、ここは見晴らしの佳き美山彦の居間なり。美山彦にとつて強敵たる月照彦、足真彦の甘々とその術中に陥り、吾が山寨に入り来れるは、日頃の願望成就の時到れりとなし、勝誇りたる面色にて、花顔柳腰の春姫に酌させながら、
『飲めよ騒げよ、一寸先きや暗黒よ
  暗黒のあとには月が出る
 月照彦の運のつき
  足真の寿命も今日かぎり
 春日の姫は軈て妻』
と小声に謡ひながら、上機嫌で果物の酒をあほり居たり。
 かかるところに、衣摺れの音しとやかに、襖を押開け入りきたる女は、美山彦の須臾も忘るる能はざる春日姫なりける。
 春日姫は満面に笑みを湛へ、美山彦に向つて会釈しながら盃を執り、美山彦に差したりしに、美山彦は意気揚々として、満足の色をあらはし乍ら、春日姫の顔を酔眼朦朧として眺めて居たり。春日姫は春姫に目配せしたれば、春姫はこの場を立つて、奥殿の月照彦命の居間に急ぎける。春日姫は形容をあらため、襟を正し、さも嬉しげに言ふ。
『今日は如何なる吉日ならむ。日ごろ妾が念頭を離れざる彼の月照彦の、貴下の術中に陥れるさへあるに、又もや足真彦の、貴下の神謀鬼略によつて、この山寨に俘虜となりしは、全く御運の強きによるものならむ。妾は此の二人さへ亡きものとせば、この世の中に恐るべき者は一柱も無し。今宵は時を移さず、貴下の妻と許し給はざるか。幸ひに夫婦となることを得ば、互に協心戮力して二人を平げ、彼が所持する被面布の宝物を奪ひ、かつ足真彦は、天教山の木の花姫より得たる国の真澄の玉を所持し居れば、之またマンマと手に入るからは、大願成就の時節到来なり。この吉祥を祝するため今宵妾と夫婦の盃をなし、かつ残らずの召使どもに祝意を表するために充分の酒を饗応はれたし』
と言ふにぞ、美山彦は大いに喜び、心の中にて、「アヽ時節は待たねばならぬものだなア、日ごろ吾を蛇蝎のごとく、毛蟲のごとく嫌ひたる春日姫の今の言葉、全く縁の神の幸ひならむ。善は急げ、又もや御意の変らぬうちに」と二つ返事にて春日姫の願を容れ、手を拍つて侍者を呼び招けば、禿頭の鬼熊彦は忽ち此の場に現はれたり。美山彦は機嫌良げに、イソイソとして、
『今宵ただちに結婚式を挙ぐる用意をせよ。又召使一同に残らず祝酒を与へて、思ふままにさせ、各自に唄ひ舞ひ踊らしめよ』
と命令したれば、鬼熊彦は、
「諾々」
と頭を幾度も畳にうちつけ乍ら、喜び勇んで此の場を駈け出したり。而して一般的に今宵の結婚の次第を一々伝達せしめたりけり。
(大正一一・一・一六 旧大正一〇・一二・一九 藤松良寛録)
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