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文献名1霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻
文献名2第2篇 常世の波よみ(新仮名遣い)とこよのなみ
文献名3第11章 山中の邂逅〔261〕よみ(新仮名遣い)さんちゅうのかいこう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-04-11 17:42:33
あらすじ船で常世の国を去り、長白山を宣伝のため進んでいた春日姫は、毒蛇にかまれて行き倒れてしまった。そこに長白山を宣伝していた春姫が出会い、二人は偶然の出会いに涙した。久しぶりの邂逅の感慨に浸るまもなく、二人を山賊が取り囲んだ。山賊たちはウラル彦の手下であり、二人が天教山の宣伝使であると知ると、襲いかかろうとした。しかし春日姫は宣伝歌の言霊で山賊たちを打ち倒し、春姫が指から霊光を放射すると、山賊たちは戦意を失ってしまった。また、そこへ日の出神の宣伝使が現れ、山賊たちは一目散に逃げ出した。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月17日(旧12月20日) 口述場所 筆録者藤松良寛 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月10日 愛善世界社版68頁 八幡書店版第1輯 655頁 修補版 校定版70頁 普及版28頁 初版 ページ備考
OBC rm0611
本文のヒット件数全 2 件/ウラル彦=2
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本文  樹木鬱蒼として昼なほ暗き長白山の大森林を、か弱き足を踏み占めて、トボトボ来る手弱女の、優美しき姿の宣伝使、叢わけて進みつつ、
『キヤツ』
と一声、その場に打ち仆れたり。よくよく見れば無残や、足は毒蛇に咬まれて痛み、一足も歩みならねば、岩角に腰うち掛けて、眼を閉ぢ、唇を固く結びながら、その苦痛に耐へず、呼吸も苦しき忍び泣き、呼べど叫べど四辺には、ただ一人の影も無く、痛みはますます激しく、玉の緒の生命も今に絶えなむとする折からに、はるか向うの方より、優美しき女の声として、
『時鳥声は聞けども姿は見せぬ  姿隠して山奥の
 叢分けてただ一柱  天教山の御神示を
 山の尾の上や川の瀬に  塞る魔神に説き諭し
 やうやう此処に長白の  山路を深く進み来ぬ』
 心も赤き春姫の、春の弥生の花の顔、遺憾なく表白して、ここに現はれ来たり。近傍の岩石に腰打掛けて苦しみ悶えつつある一柱の女人のあるに驚き、天が下一切の神人を救ふは、宣伝使の聖き貴き天職と、女人の側にかけ寄りて、背なでさすり労りつつ、介抱に余念なかりける。
 女人はやや苦痛軽減したりと見え、やうやうに面を上げ、
『いづこの御方か知らねども、吾身は女の独旅、草分け進む折からに、名も恐ろしき毒蛇に咬まれて、か弱き女の身のいかんともする術もなき折からに、思ひがけなき御親切、いかなる神の御救ひか、辱なし』
と眺むれば、豈はからむや、モスコーの城中において、忠実しく仕へたる春姫の宣伝使なりける。
春日姫『ヤア汝は春姫か』
春姫『ヤア貴下は春日姫にましませしか。思はぬ処にて御拝顔、かかる草深き山中にてめぐり会ふも仁慈深き神の御引合せ、アヽ有難や、勿体なや』
と、前後を忘れ互に手に手を執り交し、嬉し涙は夕立の、雨にも擬ふ許りなりき。
 かかる処に、一柱の荒々しき男現はれ来り、二人の姿を見るより早く、一目散に後振り返り振り返り、彼方の森林めがけて姿を隠したるが、漸時ありて、以前の曲男は、四五の怪しき男と共にこの場に現はれた。
甲『ヤア居る居る。素的滅法界な美しい女が、しかも両個だ』
乙『本当に本当に、黒熊の言つたやうな天女の天降りだよ。別嬪だなア、こいつは素敵だ。しかし男四人に女二人とは、チト勘定が合はぬぢやないか』
甲『そりや何を言ふのだい。自分の女房か何ぞの様に、四人に二人もあつたものかい。女さへ見ると直に眼尻を下げよつて、オイ涎を落すない』
 乙は周章てて涎を手繰る。
甲『貴様のその面は何だい、杓子に眼鼻をあしらつた如うな面構へで、女が居るの居らぬのと、それこそ癪に障らア。何程女が癪気で苦みて居つたつて、御前のやうな杓子面に助けてくれと言ひはしないよ。左様なことは置け置け、薩張り杓子だ』
 乙は烈火のごとく怒りて、狸の如うな眼をむき、息をはづませる。
丙『アツハヽヽヽヽ杓子狸の橡麺棒、黒い眼玉を椋鳥、鵯、阿呆鳥、阿呆にくつつける薬は無いわい』
丁『オーオー、その薬で思ひ出した。俺は今癪の薬を所持して居るのだ。これをあの女人様に献上しようか』
甲『貴様は女に甘い奴だ、なぜ左様に女と見たら涙脆いのだ。貴様のやうな仏掌薯のやうな面つきで、なんぼ女神様の歓心を買うと思つて追従たらたらやつて見ても駄目だよ。肱鉄砲の一つも喰つたら、それこそよい恥さらしの面の皮だよ』
丁『面の皮でも何でも放つとけ。俺がこの薬を飲ましたら、それこそ女人は全快してニコニコと笑ひ出し、あの優美しい唇から、雪のやうな歯を出して「何処のどなたか知らねども、この山中に苦しみ迷ふ女人の身、この御親切は、いつの世にか忘れませう。アヽ嬉しや、おなつかしや」と言つて、白い腕をヌツと出して、離しはせぬと来るのだ。そこで俺は「コレハコレハ心得ぬ貴き女人のあなた様、荒くれ男の仏掌薯のやうな吾々にむかつて、抱き附きたまふは如何の儀で御座る」とかますのだ。すると女人の奴、梅の花の朝日に匂ふやうな顔をしやがつて「いえいえ仮令御顔はつくねいもでも生命の親のあなた様、どうぞ私を可愛がつてね、千年も万年も」と出て来るのだ』
甲『馬鹿ツ』
と大喝する。
丁『馬鹿ツて何だい、美しい女の姿に見惚れよつて、顔の紐まで解き、貴様の篦作眉毛を、いやが上にも下げて、章魚のやうな禿頭を見せたとて、いかな物好きな女人でも、そんな土瓶章魚禿には一瞥もしてくれないぞ、あんまり悋気をするない、チト貴様の面相と相談したがよい、馬鹿々々しいワ』
とやり返せば、
丙『オイ黒熊、貴様は結構な獲物が有るなンて、慌しく俺らの前に飛ンで来よつて、御注進申し上げたが、一体この女人は何だと思ふ、恐ろしい宣伝使ではないか。若しも此女らの病気でも全快して見ろ、又もや頭の痛む、胸の苦しい「三千世界」とか「時鳥」とか、「照る」とか「曇る」とか吐す奴だぞ。貴様は明盲者だな、こんな被面布を被つてをる奴は俺らの敵だ。こンな奴を助けてやらうものなら、アーメニヤのウラル彦様に、どんな罰を与へられるか知れやしないぞ。いつそのこと皆寄つて集つて、叩きのばしてウラル彦様の御褒美にあづからうではないか』
一同『それが宜からう、面白い面白い』
と目配せしながら、四方より棒千切を持つて攻めかくれば、春姫は涼しき声を張り上げて、
『惟神霊幸倍坐世』
と唱へ、かつ、
『三千世界一度に開く梅の花』
と歌ひ出したるにぞ、一同は頭をかかへ、大地に跼蹐みける。
 春姫は、右の人差指を四人の頭上めがけてさし向けたるに、指頭よりは五色の霊光放射して、四人の全身を射徹したり。
 一同は、
『赦せ赦せ』
と声を立て、両手を合せ哀願するのみ。このとき又もや山奥より、
『三千世界一度に開く梅の花』
と歌ふ声、木精を響かせながら、雲つくばかりの男が現はれたり。これぞ大道別のなれの果、日の出の守の宣伝使なりける。
 黒熊以下の魔人は男神の出現に膽を潰して、転けつ輾びつ、蜘蛛の子を散らすがごとく逃げ去りぬ。後に三人は顔見合はせて、うれし涙に袖を絞るのみなりき。
(大正一一・一・一七 旧大正一〇・一二・二〇 藤松良寛録)
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