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文献名1霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
文献名2第1篇 大台ケ原よみ(新仮名遣い)おおだいがはら
文献名3第7章 山火事〔307〕よみ(新仮名遣い)やまかじ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-05-01 16:23:05
あらすじ日の出神ら三神は、腰を抜かして泣き叫ぶ豆寅を置いて、宣伝歌を歌いながらどんどんと先へ進んでいってしまった。闇の中で、豆寅をからかう歌声が聞こえ始めた。豆寅は聞き覚えのある声に呼ばわった。田依彦は火打ちを取り出して枯れ枝に火をつけると、ようやく一同の顔が現れた。しかし折からの烈風に火は燃え広がり、全山を焼き尽くすほどに勢いになってしまった。日の出神一行はこの山火事に驚いて引き返してきた。このとき、山上を登ってきたのは、黄金山の三五教の宣伝使・国彦の三男・梅ケ香彦であった。梅ケ香彦は、満身の力を込めて伊吹戸主神に祈願をこらし、燃え広がる火に向かって息を吹きかけた。風はたちまち方向を転じて、ぴったりと消えうせた。夜が明けると、山の八合目以下は全部灰の山になってしまっていることがわかった。焼き出された山麓の住人たちは田依彦たちを見つけて取り囲み、犯人を火あぶりの刑に処すると宣言した。豆寅や田依彦たちが住人たちに責められているところへ、日の出神一行が戻ってきた。日の出神は、豆寅たちを山麓の酋長に預けて、焼けうせた人々の家を再建させた。豆寅は久々能智と名を与えられた。そして、梅ケ香彦の功労を賞して、風木津別之忍男と名を与えた。日の出神、大戸日別、天吹男、風木津別之忍男の四柱は山を下り海を渡り、そこで別れて東西南北にいずこともなく宣伝使として進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年01月30日(旧01月03日) 口述場所 筆録者高木鉄男 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月31日 愛善世界社版39頁 八幡書店版第2輯 50頁 修補版 校定版42頁 普及版17頁 初版 ページ備考
OBC rm0707
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本文  このとき暗中に声あり、
『神が表に現はれて  善と悪とを立別る
 身魂を磨けよ立替へよ  身の行状を立直せ
 この世を造りし神直日  心も広き大直日
 ただ何事も人の世は  直日に見直せ聞直せ
 身の過は宣り直せ』
と歌ひながら豆寅に構はず、ドシドシ進み行く。豆寅は、
『モシモシ日の出神様、大戸日別様、天吹男様、しばらく待つて下さいナ。腰が抜けました、頭を割られました。助けて助けて』
と呶鳴りゐる。
 宣伝使の声はだんだん遠くなり行くのみなりき。
『豆寅奴が家を出て  草香の姫は喜ンで
 嬶が表に現はれて  御膳を据ゑて玉彦に
 目玉を剥いて立替へよ  身の行ひはさつぱりと
 善から悪に立替へた  この世を造つた肝心の
 目玉も光る鬼神は  夜でも光る豆寅の
 頭をぴつしやりと打叩き  日の出神はさつさつと
 跡白浪と走り行く  なにほど頭は光つても
 心は暗の豆狸  狐狸に魅まれて
 巌窟の内へと引込まれ  目から火の出神が出て
 暗に倒れた腰抜けよ』
と歌ひ出したる者あり。豆寅はその声に何処ともなく聞き覚えがあるので、
『やい、暗がりに俺の頭をしばきよつて、目から火を出させよつて、びつくりさして腰を抜かさした奴は誰だい』
と呼べば、暗から、
『腰を抜かしたのは、豆寅ぢやないか』
と叫ぶ者あり。豆寅は大地にへたばりながら、
『何だか聞き覚えのある声の様だが、俺の嬶が、玉彦の奴に御膳を据ゑたとか云うたなあ』
『善は急げぢや、善因善果、悪が変じて善となり善が変じて悪となる。どちらも玉の磨き合ひの玉彦さまだぞ』
時彦『馬鹿ツ』
玉彦『馬鹿つて何ンだ。玉奪られ奴が』
時彦『玉取られとは貴様のことぢや、嬶取り奴が。貴様の嬶に密告しようか』
玉彦『まあ待て、同じ穴の狐、貴様も密告するぞ』
 田依彦は火打袋より火打石火口を取出し、かちかちと打はじめ傍の木の葉枯枝を暗がりに掻き集めながら火を点けたれば、火は炎々として燃え上り一同の顔は始めて明るくなりし。折からの烈風に煽られて、見る見る火は四方に燃えひろがり、轟々と音を立てて忽ち四辺は昼のごとく明くなりぬ。火は次第に燃え拡がり、全山を殆ど焼き尽さむ勢となり来たりたれば、日の出神一行はにはかに四辺の明くなりしに驚き、後振返り見れば、全山ほとんど火の山と化しゐる。三柱は石土毘古、石巣比売の消息を気遣ひ、一目散に後に引返し、急いで山を登り来たりぬ。
 このとき山上目がけて登りくる宣伝使ありき。此は黄金山の三五教を天下に宣伝する、国彦の三男梅ケ香彦なりき。全山ほとんど焼きつくして已に立岩の麓に燃え移らむとする時しも、梅ケ香彦は満身の力を籠め、伊吹戸主神に祈願を凝らし、燃え拡がる焔に向つて息吹かけたるに、風はたちまち方向を変じ、山上より暴風吹き来りて、瞬く間にぴつたりと消えうせにけり。
 時しも夜は漸く明け放れ、山の八合目以下は全部灰の山と変りぬ。山麓にある神人の住家は全部焼け落ちければ、山麓の住民は何人の所為ぞと四方八方に手配りをなし、山の谷々を隈なく尋ね廻りゐたりける。豆寅、田依彦、時彦、芳彦、玉彦は余りの大火に胆を潰し腰を抜かし、一と所に首を鳩めて慄ひ戦きゐたり。住家を失ひし数多の人々はこの場に現はれ来り、口々に、
『この山を焼きよつたのは大方貴様らならむ。元の通りに建てて返さばよし、さなくば汝等を縛つて帰り、酋長の前にて火炙りの刑に処せむ』
と怒りの顔色物凄く呶鳴り立てたるに、豆寅は周章てて、
『わゝゝゝ、わしは、ちゝゝゝとゝゝゝしゝゝゝ』
 大勢の中よりは、
『この瓢箪』
と云ひながら携へ持てる棒千切をもつてポンと叩けば、豆寅は声を揚げて泣き出し、右手の二の腕にて両眼を擦り乍ら、
『今日は如何なる悪日ぞ、折角日の出神に助けられ、早く帰つて恋しき妻の草香姫に取付き、互に抱いて泣かむものと思ふ間もなく、今此処で泣いて死ぬとは情ない。日の出神に助けられ、今度は火の出に殺されるか。草香姫いまはの際に唯一目、やさしい顔を見せて呉れ。死ぬるこの身は厭はぬが、後に残りし草香姫、これを聞いたら泣くであらう。思へば悲しい憐らしい』
 群衆の中より、
『エイ、めそめそと吼面かわきよつて、そンな事は聞き度は無い。誰が火を出したのか、確かり返答せ』
 四人は黙然として俯向き居るのみ。豆寅は、
『たゝゝゝ確かに田依彦が致しました』
と云はむとするや、田依彦は、
『こら馬鹿ツ』
と云ひながら、またもや豆寅の頭を棒千切を以てがんと叩く。このとき日の出神は山上より降り来りこの態を見て、
『やあ豆寅か、頭は如何した。何を泣いて居る』
 豆寅は地獄で仏に逢うたる心地して、
『まあまあ、よう来て下さいました』
と立上り、
『やいこら田依彦、時彦、芳彦、玉彦、その外みなの奴らよつく聞け。この方は勿体なくも日の出神の一の御家来、そのまた家来のその家来、もうちつと下のその家来、豆寅彦さまだぞ、無礼をひろいだその罪容赦はならぬ』
と章魚の跳る様な姿になつて肩肱怒らしにはかに元気づく。衆人はこの見幕に或は恐れ或は噴き出し、無言のまま言ひ合した様に大地に平伏したり。これは日の出神をはじめ梅ケ香彦、大戸日別、天吹男の威厳に何ンとなく打たれたる故なりき。豆寅は自分に降伏したものと思ひ、ますます鼻息荒く、
『やい田依彦、貴様は最前何と云うた。玉彦が俺の留守中に、俺の嬶をちよろまかしたと吐かしただらう、本当か白状いたせ。貴様は嬶の兄弟ぢやと思うて、許してやりたいは山々なれど、神の道には親子兄弟他人の区別はない。やい玉彦返答はどうだ』
と威張りだす。日の出神は又もや宣伝歌を歌ひながらこの場を見捨てて行かむとす。豆寅は、
『もしもし家来を捨てて何処に御越し遊ばす。夫れはあんまり胴欲ぢや』
と袖に縋つて泣き付く。
 日の出神は梅ケ香彦に、風木津別之忍男と名を与へてその功労を賞し、豆寅以下の四人を山麓の酋長なる大屋毘古の身許に預けて、焼け失せたる人々の住家を新に造らしめたり。豆寅はここに久々能智といふ名を与へられける。日の出神は山を下り海を渡り四柱ここに袖を分ちて、東西南北に何処ともなく、宣伝使として進み行きける。
(大正一一・一・三〇 旧一・三 高木鉄男録)
(序~第七章 昭和一〇・二・二一 於島根県地恩郷 王仁校正)
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