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文献名1霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
文献名2第5篇 亜弗利加よみ(新仮名遣い)あふりか
文献名3第27章 蓄音器〔327〕よみ(新仮名遣い)ちくおんき
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-05-06 18:56:13
あらすじ小島別はこれは邪神の声でないと悟り、岩窟の神の御名を問うた。しかし岩窟の声はますます小島別を譴責する。小島別はしきりに赦しを懇願するが、神の声はますます激烈になる。最後に岩窟は百雷の一時にとどろくような大音響を立てて唸り始め、小島別は驚いて大地にぺたりと倒れこんだ。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月01日(旧01月05日) 口述場所 筆録者谷村真友 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月31日 愛善世界社版166頁 八幡書店版第2輯 94頁 修補版 校定版172頁 普及版71頁 初版 ページ備考
OBC rm0727
本文のヒット件数全 1 件/常世の国=1
本文の文字数3401
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本文  小島別はこの巌窟の中より出る声に、合点ゆかぬといふ身振りをしながら、以前の元気に引かへて、虫のやうな声を搾り出し、
『さう仰有る貴方様は果して何れの神に坐しますや、御名を名告らせ給へ』
 巌窟の中より大声にて又も、
『アハヽヽヽヽ、あかぬあかぬまだ改心はできぬ。オホヽヽヽヽ恐ろしい渋太奴ぢやな、ウフヽヽヽヽ浮か浮かするな、この世は悪魔の巣窟ぞ、エヘヽヽヽヽ豪さうに威張つて歩く宣伝使、頭の先から足許まで好く気をつけよ。イヒヽヽヽヽ威張散らして竜宮の小島別の宣伝使、カヽヽヽヽ必ず神を鰹節にいたすなよ、コヽヽヽヽ小島別の盲ども、クヽヽヽヽ腐つた魂の宣伝使、臭い物に蓋して歩く小島別、ケヽヽヽヽ見当の取れぬ神の仕組、好く味はうておくがよい、キヽヽヽヽ気違ひじみた小島別、真の神が気をつける内に改心いたすが好いぞ、サヽヽヽヽさらりと迷ひを覚ませ小島別、天の探女の仲間入をいたすな、ソヽヽヽヽ損と思へば手も出さぬ、我身の徳と思つたら牛の骨でも手を出す、欲心坊の小島別、スヽヽヽヽ好きぢや嫌ひと人に区別を立てる宣伝使。セヽヽヽヽ脊に腹は替へられぬと甘い言葉に遁を打つて薄志弱行の張本人、シヽヽヽヽ知らぬ事をば知つたやうに法螺吹き歩く宣伝使』
 小島別は縮上り、
『何れの神様か知りませぬが、もう改心いたします、これで許らえて下さいませ』
『タヽヽヽヽ』
『もう沢山です、どうぞ御免を蒙ります、骨身にこたへますワ』
 穴の中より、
『沢山でない、まだまだあるぞ、七十五声の有らむかぎり教へてやらねば目が覚めぬ、トヽヽヽヽ当惑顔の宣伝使栃麺棒の小島別、トツクリ思案をするが好い、トテも逃れぬ此場の仕儀、トコヨの国に遣つてしもうか、トテも改心は覚束ないぞ、ツヽヽヽヽ月夜に釜を抜かれた様につまらぬ面した小島別、掴まえ所の無いやうな道にはづれた宣伝使、テヽヽヽヽ手柄顔して世の中を廻つて歩く宣伝使、チヽヽヽヽ智慧も力もない癖に、チツトの手柄を笠に被て、力の自慢の宣伝使。ナヽヽヽヽ長い間の慢神でお道のために艱難苦労、救ひのためとは何の囈語、情ないぞよ、思へば思へば涙がこぼれる小島別、ノヽヽヽヽ喉から血を吐く神の胸、よう汲みとらぬ宣伝使、ヌヽヽヽヽぬかるな気をつけ小島別、ネヽヽヽヽ熱心らしく見せかけて此世を誑かる小島別、ニヽヽヽヽ日天様に叱られて、目さへ不自由な小島別』
『何れの神様か存じませぬがもう沢山でございます、これで御赦しを願ひます』
 岩窟の中より一層大きな声で、
『ハヽヽヽヽ耻かしいか、腹が立つか、神の言葉に歯節はたつまい、ホヽヽヽヽほうけ面して常世の国より竜宮城へ、肩怒らして帰つて来た小島別の信天翁、フヽヽヽヽぶるぶる振ふ頭をかくしあやまり入つた宣伝使、ヘヽヽヽヽ屁つぴり腰の小島別、へなへな腰の宣伝使、ヒヽヽヽヽ日暮に企みた梟鳥、夜食にはづれて小難かしい面をさらした小島別』
『もうもう沢山でございます、解りました、貴神はウヽヽヽウシトヽヽヽトラ』
 岩窟の中より、
『マヽヽヽヽ待て待て、まだある まだある まだあるぞ、曲津の正体ひきむいて呉れる、盲目の宣伝使、老碌爺の小島別、ムヽヽヽヽ無理と思ふか小島別、虫が好くまい此方の言葉、無理と思ふか無理ではないぞ、昔昔の其の昔し、古き神世の昔しより此世を守る無限絶対の生神、この方の姿は見えたか。メヽヽヽヽ盲の分際で神の姿は解るまい。ミヽヽヽヽ見えぬは道理目の帳、かき上げて神の光を身に宿せ、ヤヤヽヽヽ大和魂と申せども、汝の魂は曇り切りたるやまこ騙、知らず識らずの間に世人を迷はし騙すやまこの立派な宣伝使、ヨヽヽヽヽ世の中に鬼は居ないと申して歩く腰抜の宣伝使、鬼は在るぞよ、この鬼神の姿が見えぬか、ユヽヽヽヽ幽霊の如きフナフナ腰で神の大道を開くとは片腹痛い、エエヽヽヽ縁の糸に繋がれて、斯程に曇つた魂さへ、神から綱をかけられて助けてもらうた小島別、イヽヽヽヽ何時まで言うても同じ事、今日かぎり宣伝使の役をサツパり返上せよ、言分あるか、違背があるか、何れになりと返答聞かう』
『ハイハイどうも仕方がありませぬ、平あやまりにあやまります、臍の緒切つてから、こんな薄い目に逢うた事はありませぬワ、どうなりと神様の思召しにして下さい』
『ラヽヽヽヽ乱心賊子とは貴様のこと、これしきの小言に膽を潰し難を避け、易きにつかむといたす卑劣極まる宣伝使、リヽヽヽヽ理屈ばかり並べたて月日をくらす小島別、ルヽヽヽヽ累卵の危きこの世を振捨て、我身の安全を謀る卑怯未練の宣伝使、レヽヽヽヽ連木で腹を切る様なその場逃れの言訳いたす狡猾至極の小島別、ロヽヽヽヽ碌でもない囈言世界にひろむる小島別、ワヽヽヽヽ我身の目的ばかり日に夜に企む小島別』
『モモヽ何ンぼ神様でもあまりでございます。神様は善言美詞を御使ひ遊ばす筈だのに、あなたは乱言暴語を仰有いますが……』
『イヒヽヽヽヽ痛いか痛いか耳が痛からう、ウフヽヽヽヽうつかり聞いて後悔するな、浮世の暗に彷徨ふ汝、狼狽者の宣伝使、ヱヘヽヽヽヽ』
『モモもうこらへて下さいませ』
 巌窟の中より、
『えぐいと思ふか俺の言葉、ヰヒヽヽヽヽ命が惜しいか小島別、忌々しいか、意見が合はぬか、鼬の最後屁、以後は必ず慎めよ。ガヽヽヽヽ我が折れねば餓鬼道に落してやるが、ギヽヽヽヽ義理も人情も弁へ知らぬ宣伝使なら止めて置け、グヽヽヽヽ愚にもつかない世迷言、愚図愚図いたすと日が暮るぞ、ゲヽヽヽヽ元気の無さそなその面附、ゴヽヽヽヽ劫託並べたその報い、ザヽヽヽヽ醜体さらされて耻をかく、ジヽヽヽヽ自業自得だ小島別、ズヽヽヽヽ図抜けた馬鹿の分際で、づうづうしくも天下を廻る宣伝使、ゼヽヽヽヽ善と悪とを弁へよ、善に見へても悪もあり、悪と見えても善がある、善と悪との真釣り合ひ、ゾヽヽヽヽ存外渋太い宣伝使、これでも改心いたさぬか』
『モシモシもう改心いたします。あまりと言へば余りの雑言、御無礼ではございませぬか』
『ダヽヽヽヽ黙つて聞いてをれ、神をだしに致したその報い、ヂヽヽヽヽ地震、雷、火の車、好くも駄法螺を吹きをつたナ。ヅヽヽヽヽ図抜けた間抜けの宣伝使。デヽヽヽヽデンデン虫の角生し、理屈を争ふ小癪面、ドヽヽヽヽ』
『ドヽヽドウも恐れ入りました、どうも恐れ入ました。何卒これで御赦し下さいませ、どうもかうも頭が痛くて堪りませぬ』
 巌窟の中より、
『胴欲と思ふか、何処の何国へ行つたとて、度胸の据らぬ宣伝使、どうして道教が開けやうか、バヽヽヽヽ馬鹿を尽すも程がある、馬鹿に与ふる薬はないぞ、米搗きバツタの腰のやうに稚桜姫の目の前で腰をぺこぺこ何の態』
『モシモシ、岩の神様、もう沢山でございます。昔の棚卸までなさいまして、大勢の前でございます、私の顔は丸潰れ、チツトは大慈大悲の御心に、この世を造りし神直日、心も広き大直日、ただ何事も人の世は、直霊に見直せ聞き直せ、身の過は宣り直せぢやございませぬか』
 岩窟の中より、
『ヂヽヽヽヽヂツクリ聞かぬか、ヂレツタイか、地震の孫め、ビヽヽヽヽ貧乏動ぎもさせぬぞよ、ブヽヽヽヽ仏頂面の宣伝使、武運の尽きた小島別、ベヽヽヽヽ便所の掃除が性に合ふ、尻の締りのつかぬ宣伝使、ボヽヽヽヽ呆た面してボロボロ涙、パヽヽヽヽパツパ一服するがよい』
『ハイハイ有難う、やれやれアアもうこれで済みたか、長い岩のやうな堅い御説教を曲津か何が云ふのか知らぬが、ほンたうに豪い目に会はして、どつさり油を搾りよつた。しかし俺は夢でも見て居やせぬかな、一寸頬べたを捻つて見よう。アヽ矢張り痛いな、一体全体岩の前で何のことだい。岩ぬは言ふに弥まさるが、この岩はほンたうに怪体な巌窟だ、まるで天然の安い蓄音器見た様だワイ。オイ蓄音器先生、ヤイ俺は天下晴れての宣伝使だぞ、俺でもお前の言ふやうな事は何でも言へるわい。なンぼなと言へ』
『ピヽヽヽヽ』
『ヨー、なンだ鵯でも居るのかな、オイ鵯の谷渡り、いくらでもピヽと囀れ、天下晴れての宣伝使だぞ、俺が黙つて聞いてやつて居れば、調子に乗りよつて殆ど言霊の七十五声を並べよつた、仕舞に往生しよつて何の醜態だい、腹下りが雪隠に行つたやうにピヽヽヽヽそら何の態だ、穴が呆れて雪隠が躍るわ』
 このとき巌窟は百雷の一時に轟く如き大音響を立てて唸り出したりければ、小島別は心砕け魂消ゆる許りに驚きて大地にぺたりと倒れける。
(大正一一・二・一 旧一・五 谷村真友録)
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