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文献名1霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
文献名2第9篇 小波丸よみ(新仮名遣い)さざなみまる
文献名3第49章 乗り直せ〔349〕よみ(新仮名遣い)のりなおせ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグサルヂニヤ島(一つ島) データ凡例 データ最終更新日2020-05-06 19:52:54
あらすじ船は、瀬戸の海の一つ島の近くにやって来た。向こうから来る船のへさきにも、被面布をかけた宣伝使がたっている。北光神は、やってくる船の宣伝使に歌で名を問いかけた。これは広道別であった。これから阿弗利加の熊襲の国に渡って、曲霊を言向け和すという。二人はすれ違いに、被面布を取って互いの安全を祝した。船中の客たちは、かつてここにシオン山という高い山があったが、大洪水の際に地の底に沈んでしまい、竜宮海と瀬戸の海が一つになったのだ、と昔話をしている。かつて稚桜姫命が竜宮城を治めていた時代の話に花を咲かせた。甲は、善と悪とが立て別けられたのは大洪水以前の話だ、と三五教の教えを一笑に付している。すると船の中から宣伝歌を歌う者がある。甲は頭痛がしだした。そして宣伝使に向かって悪態をつく。するとまた別の宣伝使が宣伝歌を歌いだした。甲は船が岸に着くや否や、船を飛び出して姿を隠してしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月02日(旧01月06日) 口述場所 筆録者桜井重雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年5月31日 愛善世界社版300頁 八幡書店版第2輯 142頁 修補版 校定版311頁 普及版127頁 初版 ページ備考
OBC rm0749
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本文  折から吹き来る真夏の夜風に面を吹かせながら、船頭は舳に立つて、
 竜宮見たさに瀬戸海越せば  向ふに見えるは一つ島
と歌ひ出したり。
 船は小波の上を静かに辷り行く。空一面に疎の星が輝き、月は中空に水の滴るやうな顔をして海面を覗いてゐる。海の底には竜の盤紆るやうな月影沈ンでゐる。この時前方より艪を漕ぎ舵を操りながら、グーイグーイ、ギークギークと音をさせて、此方に向つて進み来る一艘の船があつた。その船の舳に蓑笠を着し、被面布をつけた男が立つてゐる。北光神は、その船に向つて声を張上げ、
『心を尽し身を尽し  天地の神に麻柱の
 道を立て抜く宣伝使  四方の国々巡り来て
 やうやう此処に北光の  我は目一箇神なるぞ
 名告らせ給へその船の  舳に立てる宣伝使
 舳に立てる神人よ』
と歌へば、その声に応じて向ふの船より、
『天津御神や国津神  木の花姫の御教を
 四方の国々島々に  広道別の宣伝使
 汝は何れに坐しますか  我はこれより亜弗利加の
 熊襲の国に渡るなり  熊襲の国は猛くとも
 神の依さしの言霊に  四方の曲霊を悉く
 言向和はせ天教の  山に坐します木の花姫の
 神の命や黄金の  山の麓に現れませる
 埴安神の御前に  奇しき功を立つるまで
 浪路を渡る宣伝使  稜威も広き広道別の
 神の使は我なるぞ  神の使は我なるぞ』
と歌ふ声も幽かになり行く。二人は互ひに立ち上がり、被面布を振つてその安全を祝し合ひける。船中の人々は亦もや雑談を始め出したり。
甲『もう、つい竜宮城が見えるぜ。おとなしくせぬと、竜宮さまが怒つて荒浪を立てられたらまた昨日のやうに八百屋店を出して苦しまねばならぬから、小さい声で話しをしようかい』
乙『お前らこの竜宮の訳を知つてるか、今こそかうして船に乗つて瀬戸の海から竜宮城まで楽に行けるが、昔は竜宮と瀬戸の海との真中に、それはそれは高い山があつて、その山はシオン山というてな、何でもえらい玉が出たといふことだ。それが大洪水のあつた時に、地震が揺つてその山が地の底に沈ンで了ひ、竜宮と瀬戸の海とが一つになつて了うたといふことだよ』
丙『そんな事かい、そんな事は祖父の代から誰でも聞いてゐる事だよ。もつと珍しい話はないのかい』
乙『竜宮城には稚桜姫といふ、それはそれは美しい神様があつて、そこに大八洲彦命とか、大足彦とかいふ立派な神様が竜宮城とヱルサレムの宮を守つて御座つた。さうすると常世の国の常世姫といふ偉い女性が竜宮を占領しようと思うて、何遍も何遍も偉い神様の戦ひが始まつたということだのう。今の竜宮もヱルサレムの宮も昔の話と比べて見ると、本当にみじめなものだ。ヨルダン河というて大きな河があつたのが、その河も洪水の時に埋つて了ひ、今では小さい細い川となつて、汚い水が流れて居る。変れば変る世の中だ。これを思へば何ンな偉い神様でもあかぬものだな。翔つ鳥も落ちる勢の稚桜姫といふ神様も、大八洲彦といふ神様もさつぱり常世姫とかにわやにされて、今は吾々の行く事のできぬ富士とやらへ逃げて行かれたといふ事だよ』
丙『フーン、さうかい。さうすると我々も今豪さうに言つて居つてもどう変るやら分らぬな』
乙『知れた事よ、神様でも時世時節には敵はぬのだもの、我々はなほ更の事だ。併しこの船には立派な宣伝使が乗つて居られるといふ事だが、一遍話を聞かして貰つたら如何だらう』
甲『イヤ最う宣伝使の歌も好い加減なものだよ。神が表に現はれて善と悪とを立別けるなンて、冷飯に湯気が立つたやうな事を吐かすのだもの、阿呆らしくて聞かれたものぢやない。そンな歌は大洪水前の事だ。大洪水のときは善の神様は天教山とか天橋とかに助けられ、悪い者は洪水に漂うたり、百足虫の山や蟻の山に揚げられて、善悪の立別がハツキリあつたさうだ。俺等の祖父の代の話だから詳しい事は知らぬが、今ごろにそんな事を歌ふ奴は、死ンだ子の年を数へるやうなものだ。阿呆らしいぢやないか。これだけ開けた世の中が、さう易々と立替はつて堪るかい。善と悪とを立別けるとか変るとかいふが、俺の処の村の久公のやうな悪人は段々と栄えて来るなり、新公のやうな善人は益々貧乏して、終ひには道具を売つて親子夫婦が生別れして乞食に出たぢやないか。俺はそれを思うと神様を頼む気にならぬがなア。宣伝使の歌なンて古めかしいわい、六日の菖蒲十日の菊だ。併しながら、憂晴しに聞くのは善いが、それをほンまの事だと思つたら、量見が違ふぞ。宣伝使といふものは、方便を使つて吾々に悪い事をせぬやうにするのだが、今日のやうに悪が栄えて善が衰へるやうな暗がりの世の中に、何ほど宣伝使が呶鳴つたところで、屁の突張にもなつたものぢやないよ』
 この時、船の一方より、
『神が表に現はれて  善と悪とを立別る』
甲『それ始まつた、頭が痛い。こいつは耐らぬ。この船には怪体な奴が乗つてけつかるものだ』
『この世を造りし神直日  心も広き大直日
 ただ何事も人の世は  直日に見直せ聞直せ
 身の過は宣り直せ』
乙『オイ貴様心配せいでもよいわ。宣伝使が今乗り直すと言つてゐた。今其処へ来る船に乗り直して呉れるわい。さうしたらいやな歌は聞かいでもよいわ』
甲『早く乗り直しやがらぬかいな』
『神が表に現はれて……』
甲『ソレ亦始めよつた。アイタヽヽヽ』
『善と悪とを立別る……』
甲『あゝたゝ怺らぬ怺らぬ』
と言ひながら、甲は立つて、
『やいやいやい宣伝使  それ来るそれ来る船が来る
 お前のやうな痛い事  囀る奴はあの船に
 一時も早く乗り直せ  早う乗れ乗れ乗り直せ
 そら来たそら来た船が来た  乗らぬか乗らぬか宣伝使
 貴様のお蔭で頭痛がする』
と呶鳴つてゐる。後の方より亦もや乙の宣伝使が立つて、
『神が表に現はれて  善と悪とを立別る』
甲『また出よつた。一体この船は何だい。もう船の旅は懲り懲りだ』
船頭『お客さま、船が着いた。早く上らつしやれ』
と叫ぶ。甲は頭を抱へて、いの一番に船を飛出し、どこともなく姿を隠したり。この男は果して何者ならむか。
(大正一一・二・二 旧一・六 桜井重雄録)
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