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文献名1霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
文献名2第1篇 長途の旅よみ(新仮名遣い)ちょうとのたび
文献名3第5章 海上の神姿〔398〕よみ(新仮名遣い)かいじょうのしんし
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-06-23 19:26:19
あらすじ進み来る船団の大船には、気高き女神が舷頭に立ち会われた。気高き女神は東天を拝して、何事かを祈るごとくの様子であった。女神の傍らには、筋骨たくましく眼光けいけいなる大神人が立っていた。その歌う宣伝歌に、三笠丸の人々は、これが日の出神であり、女神は伊邪那美大神であることを知った。照彦をはじめ、松・竹・梅の三姉妹は思いもかけず伊邪那美大神と日の出神のお姿を拝することができたことを喜んだ。船中の客たちはまたもや雑談を始めたが、そのとき船底に怪しい物音が聞こえた。船頭は大声で、船が座礁して沈没しつつあることを叫んでいる。船内は一度に大騒ぎとなってしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月12日(旧01月16日) 口述場所 筆録者桜井重雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月5日 愛善世界社版36頁 八幡書店版第2輯 288頁 修補版 校定版38頁 普及版15頁 初版 ページ備考
OBC rm0905
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本文  数十艘の大船小船は真帆に風を孕んで、堂々と陣容を整へ進み来る。三笠丸は風に逆らひながら、櫂の音高く進み行く。向ふの大船には、気高き女神舷頭に立ちあらはれ、涼しき瞳滴るが如く、楚々たる容貌、窈窕たる姿、いづこともなく威厳に満ち東天を拝して何事か祈るものの如くなり。傍に眉秀で鼻筋通り、色飽くまで白く、筋骨たくましく、眼光炯々として人を射る大神人立ちゐたり。船中の人々は期せずして此の一神に眼を注ぐ。
『限りも知れぬ波の上  救ひの船をひきつれて
 黄泉の国におちいりし  百の身魂を救ひ上げ
 仰ぐも高き天教の  山にまします木の花姫の
 神の命の御教を  あをみの原の底までも
 宣べ伝へゆく宣伝使  神伊邪那美の大神の
 御許に仕へ奉る  吾は日の出神司
 醜のあつまる黄泉島  黄泉軍を言向けて
 世は太平の波の上  皇大神に従ひて
 救ひの神と顕現し  善と悪とを立別る
 この世を造りし神直日  心もひろき大直日
 直日のみたまを楯となし  厳のみたまや瑞みたま
 並んで進む荒海の  波をも怖ぢぬ荒魂
 風も鎮まる和魂  世人を救ふ幸魂
 暗世を照す奇魂  茲に揃うて伊都能売の
 神の命の神業は  山より高く八千尋の
 海より深き仕組なり  海より深き仕組なり』
と歌ふ声も風にさへぎられて、終には波の音のみ聞えけり。照彦はこの歌に耳をすませ、頭を傾け、
『モシ松代姫様、今往きちがひました船の舷頭に立てる二人の神様は、恐れ多くも伊邪那美の大神様と、天下に名高き日の出神様でありませう。幽かに聞ゆる歌の心によつて、慥に頷かれます。伊邪那美の命様は、根の国、底の国へお出で遊ばし、最早や此の世に御姿を拝することの出来ないものと、私共は覚悟致してをりました。然るに思ひもかけぬ此の海原で、伊邪那美の神様にお目にかかるといふは、何とした有難い事でございませうか。あゝ実に、貴女様はお父上を探ねてお出で遊ばす船の上で、あの世へ一旦行つた神様が、再び此の世へ船に乗つて現はれ、何処かは知らぬが東を指してお出ましになつた事を思へば、お父上に御面会遊ばすのは決して絶望ではありませぬ。否お父上のみならず、母上も御無事でゐらつしやるかも分りませぬ。何と今日は目出度い事でございませう』
『あゝ、あの気高い御姿を妾は拝んだ時、何とも言へぬ崇高な感じがしました。又日の出神様とやらのお姿を拝した時は、何となくゆかしき感じがして、わが父上の所在を御存じの方のやうに思はれてなりませぬ。もしや父上は、あのお船にお乗り遊ばして御座るのではあるまいか。あゝ何となく恋しい船だ』
と少しく顔の色を曇らせながら物語る。竹野姫は、
『お姉さま、お父さまに会はれた上に、又お母さまに会へるやうなことが御座いませうかな』
 梅ケ香姫は静に、
『妾のいつもの夢に、お父さまには何時も会へますが、お母さまに会つても、何だか妙な霞に包まれてハツキリ致しませぬ。神様のお蔭で父上にはめぐり会ふ事は出来ませうが、お母さまに会ふといふ事は覚束ないでせう』
 主従四人は斯くの如き話を船の片隅でひそひそとしてゐる。船中の無聊に堪へかねて、腰の瓢から酒をついで、互に盃を交す三人の若者あり。追々と酔がまはり、遂には巻舌となり、
甲『タヽヽヽヽ誰だい。この荒い海の中で、死んだお母さまに会ひたいの、会はれるのと言ひよつて、縁起の悪い。ここは何処だと思つてるのかい、太平洋の真中だぞ。三途の川でも血の池地獄でもないワ。死んだ者に、それ程会ひたきや、血の池へでも舟に乗つて渡らぬかい。クソ面白くもない。折角甘い酒がマヅくなつて了ふワ』
乙『貴様、酒飲むと、ようグツグツ管を巻きよる奴だな。何でも彼でも引つかかりをつけ人様の話を横取りしよつて、何をグツグツ喧嘩を買ひよるのだ。あのお方はな、貴様のやうな素性の卑しい雲助のやうな奴とは、テンからお顔の段が違ふのだ。なんだ、仕様もない雲助野郎が、訳の分らぬ事を言つて、寡婦の行水ぢやないが、独りゆうとるワイと心の中で笑つてゐらつしやるのかも知れぬぞ。それだから貴様と一緒に旅をするのは御免だといふのだ。酒癖の悪い奴だな。アフリカ峠を痩馬を追ふ様に、酒を飲まぬ時にはハイハイハイハイと吐かしよつて、屁ばかりたれて、本当に上げも下しもならぬ腰抜けのツマらぬ人間だが、酒を食ふと天下でも取つたやうな気になつて、何をほざくのだ、身の程知らず奴が。一体あのお方はどなたと思つてるのか。恐れ多くもヱルサレムの宮に天使長をお勤め遊ばした結構な神様の箱入娘さまだぞ』
『ナヽヽヽ何だ、箱入娘だ、箱入娘がものを言ふかい。馬鹿な事を吐かすな。箱入娘なら俺の所には沢山あるワ。娘ばかりか箱入息子も箱入爺さまでも箱入婆さまでも箱入牛まで、チヤーンととつといてあるのだ』
『それは貴様、間違つてケツかる、人形箱の事だらう』
『さうだ、人形だつたよ。人形がものを言うて堪るかい』
『やア、その人形で思ひだしたが、この海には頭が人間で体が魚で、人魚とかいふものが居るさうだぞ。そいつを漁つて料理して喰ふと、千年経つても万年経つても年が寄らぬといふことだ。一つ欲しいものだのう』
丙『やかましう言ふない。折角の酔が醒めて了ふぢやないか。人の眼の前に立ち塞がりよつてな、エーせめて俺の眼の邪魔なとすない。俺は最前からな、あの三人の三日月眉毛の花のやうな美しいお姿のお姫様のお顔を、チヨイチヨイと拝んで、それをソツと肴にして楽しんでをるのだ。そんな所に立つてガヤガヤ吐かすと、眼の邪魔になるワイ』
 かく話す折しも、船底に怪しき物音聞え来る。一同は、
『ヤア何だ』
と驚いて一度に立上る。船頭は力なき声にて、
『お客さま達、皆覚悟をおしなさい。もう駄目だから』
甲『ダヽヽヽダメだつて、ナヽヽヽ何がダメだい。ベヽヽヽ別嬪がダヽヽヽダメと言ふのかい』
 船頭は大声で、
『船が岩に打つかつたのだ。裸になつて飛び込め、沈没だ沈没だ』
 船内一同は一時に阿鼻叫喚の声と化し去りぬ。あゝ松竹梅の手弱女一行の運命は如何。
(大正一一・二・一二 旧一・一六 桜井重雄録)
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