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文献名1霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
文献名2第4篇 千山万水
文献名3第22章 晩夏の風〔415〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ一行はアタルの港で群集に向かって宣伝歌を歌い、宣伝を行った。不思議にも珍山彦の腰はまっすぐになり、若々しくうるわしく輝き始めた。
宣伝使一行は市中を抜けて、玉山のふもとで休息した。虎公、熊公の二人は一行の前に現れてひれ伏し、改心の色を表した。松代姫は虎公を許し、珍山彦は二人の改心を褒め称え、宣伝使として尽くすように、と諭した。
虎公は珍山彦について宣伝使として教えを受けたい、と願うが、珍山彦は、難しい教理を学ぶ必要はない、ただ心から誠を祈り悔改めることだ、神の道は入り易く歩み易いものだ、と諭した。
おとなしく柔らかく湯のような温情をもってすべての人々に臨むのが、宣伝使の第一の任務である。また、腹を立てるな、偽るな、飾るな、誠の心で日々自身の身魂を省みること、それが立派な神の道の宣伝使であり、難しい理屈を言うには及ばない、と諭した。
そして、虎公と熊公はカルとヒルの国境にそびえる高照山で禊をなし、その後にカルの国を宣伝せよ、と任命した。
珍山彦は三姉妹を伴って北へ北へと進んで行く。その後姿を虎公と熊公は伏し拝み、神恩に感謝してその場に泣き伏した。
主な人物珍山彦(蚊々虎)、松竹梅の宣伝使、虎公(志芸山津見)、熊公 舞台 口述日1922(大正11)年02月15日(旧01月19日) 口述場所 筆録者大賀亀太郎 校正日 校正場所
OBC rm0922
本文の文字数2255
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本文  珍山彦や松代姫の一行は埠頭に立ち、群集に向つて宣伝歌を歌ふ。熊公、虎公も後に整列して共に歌ふ。六人の歌ふ声は、アタルの港を科戸の風の塵を払ふ如き光景なりき。
『天と地とを造らしし  尊き神の貴の子と
 生れ出でたる民草は  百姓と讃へられ
 天と地との神々の  この世を開く神業を
 喜び仕へ奉るべき  主宰と生れ出づるなり
 嗚呼諸人よ諸人よ  天と地とに漲れる
 裏と表との息を吸ひ  生ける御神と現はれし
 その尊さに顧みて  清く身魂を研き上げ
 村雲四方に塞がれる  暗きこの世を照らし行く
 光りとなれよ和田の原  潮の八百路のいと広く
 光りも清き潮となり  世人を清め朽ち果てし
 身魂の腐りを締め固め  すべてのものの味はひと
 なりて尽せよ神の子よ  神が表に現はれて
 千尋の海を乗り越えて  潮照りわたる天津日の
 光の如く世を照らせ  この世を造りし神直日
 心も広き大直日  神の御稜威に照らされて
 身の罪科も消えて行く  人の命は朝露の
 消ゆるが如く哀れなる  果敢なきものと言騒ぐ
 ウラルの神の宣伝歌  飲めよ騒げよ明日の日は
 雨か嵐か雷電か  一寸先は暗の夜と
 醜の教に村肝の  心を曇らせ身を破り
 根底の国へ落ちて行く  遁れぬ罪の種播くな
 ただ何事も人の世は  直日に見直し聞直す
 尊き神の御前に  祈れよ祈れただ祷れ
 祈りの道は天津国  栄の門戸を開くなる
 神の誠の鍵なるぞ  祈れよ祈れただ祈れ
 五六七の神は御恵みの  御手を伸ばして待ち給ふ
 厳の御魂の御力  瑞の御魂の御名により
 この世を造りし国治立の  神の命に真心を
 捧げて祈れ夜も昼も  心一つに祈れよや
 誠の神の御眼  隠れし処をみそなはす
 花の祈りは効果なし  隠れて祈れ誠の身
 神と人とは睦び合ひ  親しみ合ひていと清く
 神を敬ひ敬はれ  天地の御子と生れたる
 その本分をば尽すべし  尽せよ尽せ神の為め
 世人の為めや身の為めに  誠をこめて天地に
 祈れや祈れよく祈れ  祈る心は神心
 神に等しき心ぞや  神に通へる心ぞや』
 珍山彦のくの字に曲つた腰は、何時しか純直になつて、容貌、声音共に若々しく見ゆるぞ不思議なれ。珍山彦の二つの眼は何となく麗しく輝き始めたり。一行はアタルの港を後にして夏木の茂る市中を通り抜け、宣伝歌を歌ひながら、緑樹滴る美はしき玉山の麓に辿り着き、青芝の上に腰打ち掛けて息を休めて居る。虎公、熊公の二人は恐る恐るこの場に現はれ、大地にひれ伏し以前の罪を泣き詫ぶるに、松代姫は気も軽々しく、満面に溢るるばかり笑を湛へて、
『アヽ虎公様とやら、ようまあ改心して下さいました。今日は妾が宣伝使の初陣、貴方の御改心が出来なかつたならば、妾は最早宣伝使にはなれなかつたのです。嗚呼有難や、野立彦命、野立姫命、木の花姫命、日の出神様』
と合掌し、且つ感謝の祝詞を奏上し嬉し泣きに泣く。
珍山彦『オー感心々々、虎公さま、貴方は最早悪人ではありませぬ。悔い改めと祈りによつて、勝れた尊き神の御柱です。貴方も斯くして神の御恵みに救はれた以上は、御神徳の取り込みは許しませぬ。これから宣伝使となつてあらゆる艱難辛苦と戦ひ、世の人を三五教の教に救ひ、黄泉比良坂の御神業に奉仕して下さい』
虎公『私は改心致してから未だ時日が経ちませぬ、さうして三五教の教理の蘊奥は存じて居りませぬ。宣伝使となれとのお言葉は、吾々の如きものに取つては実に無上の光栄ですが、かやうな事で何うして尊き三五教の宣伝が出来ませうか。せめて二月三月あなた方のお供を許して頂き、色々の教理を体得したその上にて、宣伝使にお使ひ下さいますやうお願ひいたします』
『イヤ神の道は入り易く、歩み易く、平地を歩く様なものだ。ただ心から誠を祈り悔い改めるのみだ。今までの罪悪、日々の行為を人の前に悔い改めて、神の救ひを蒙つたその来歴を教ゆれば、どんな身魂の曇つた人間でも、忽ち神の尊き事を覚つて神の道に従ひ、それに引換へ自分の事を棚に上げ、自慢話を列べ立てたりして、人の罪を審いたり罵つたりしてはなりませぬ。神に仕へる身は羊の如くおとなしく柔かく、湯の如き温情を以て総ての人に臨むのが、即ち宣伝使の第一の任務である。腹を立てな、偽るな、飾るな、誠の心を以て日々の己が身魂を顧み、恥づる、悔ゆる、畏る、覚るの御規則を忘れぬやうにすれば、それが立派な神の道の宣伝使である。六ケ敷い小理屈は言ふに及ばぬ、ただ祈ればよいのである。貴方は是より吾らと袂を別ち、カルとヒルとの国境に聳え立つ高照山の谷間に到つて禊をなし、その上カルの国を宣伝なされ、吾らは是にて御別れ申す』
と珍山彦は三人の娘と共に宣伝歌を歌ひながら北へ北へと進み行く。虎公、熊公二人はその影の隠るるまで両手を合はせて伏し拝み、神恩の厚きに感じてや、わつとばかりにその場に泣き伏しにけり。
 青葉を渡る晩夏の風は、口笛を吹きながら二人の頭上を撫でつつ通ふ。
(大正一一・二・一五 旧一・一九 大賀亀太郎録)
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