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文献名1霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
文献名2第4篇 千山万水よみ(新仮名遣い)せんざんばんすい
文献名3第25章 窟の宿替〔418〕よみ(新仮名遣い)いわやのやどがえ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-06-23 23:12:11
あらすじ岩窟の前で祈念していた志芸山津見は、大蛇彦と何かを申し合わせると、谷川を渡って反対側の西の岩窟の中に入っていった。熊公が追って行こうとすると、岩窟から大蛇彦の声が出て熊公を霊縛してその場にとどめた。そして、志芸山津見を頼らずに自力で宣伝するように、と諭した。そこへ鹿公がやってきて熊公に声をかけた。大蛇彦は、熊公の霊縛を解いた。そして、これから西の岩窟に宿替えするから、鹿公と供に谷川を渡って西の岩窟の前に行くように、と命じた。西の岩窟の前に着くと、岩窟から声が聞こえてきて、鹿公の悪事を責め、改心を迫る説教を始めた。鹿公は大蛇彦の声ではないと疑って岩窟の中に入ろうとしたが、大音響が響いてきて驚き、その場に平伏してしまった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月16日(旧01月20日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月5日 愛善世界社版193頁 八幡書店版第2輯 344頁 修補版 校定版200頁 普及版82頁 初版 ページ備考
OBC rm0925
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本文  神の御稜威も高照の  山より落つる琴滝の
 響に飛び散る玉川や  水音清き渓流の
 右と左に千引岩  堅磐常磐の巌窟に
 千代の言霊宣り伝ふ  神の恵も大蛇彦
 教は深き穴の奥  浅き賤しき人の身の
 如何でか知らむ志芸山祇の  神の命や肝向ふ
 心も迷ふ熊公が  問ひつ答へつ烏羽玉の
 暗夜をここに明しける  暗夜をここに明しける
 七十五声の音調に天地神人を清むる言霊の滝は、水晶の飛沫の玉を遺憾なく飛散し、水煙濛々と立ち昇つて深き谷間を包んでゐる。
 志芸山津見、熊公の二人は、この巌窟の前に端坐し、言霊の問答に胸の帳は開かれて、天津日の影、空を茜に染めなしつ、豊栄昇りに輝き初めり。志芸山津見は何か口の中にて巌窟の神に向ひ問答を始めてゐる。その声極めて微にして、傍にある熊公の耳にさへも入らぬ程度である。
 志芸山津見はつと巌窟の前に立つて、立ち昇る狭霧の中に姿をかくし、ひそかに谷川を渡りて西の巌窟の奥ふかく姿を隠し、滝壺の傍にある鉢と竹筒を左右の手に提げ、水鉢に水を盛つて巌窟の奥深く身を潜めたるを見て、熊公は、
『オイ、志芸山津見、何処へ行くのだ。先づ待て、俺も一緒に行かう』
 この時巌窟は又もや、
『ウー、オー』
と山も崩るるばかりの大音響を発したるが、暫時にしてその音響止まると共に巌窟の中より、
『熊公々々、その方は暫くこの場を動く事はならぬ。志芸山津見を杖につき力と頼むやうな事で、どうして宣伝が出来やうか。汝の身体には、志芸山津見に百千倍の神力を持つた神が守護をいたして居るぞ』
『ソソそれは、誠に結構ですが、一体彼は何処へ参つたのでせうか』
 巌窟の中より大蛇彦は、
『それを訊ねて何とする。汝が心の神に訊ねるがよい』
 かかる所へ、昨日山口の芝生で会つた鹿公は、数多の村人と共にこの巌窟の前に現はれ来り、叩頭拍手し熊公の姿を見て、
『オヤ、お前は昨日会つた熊公ぢやないか、どうだつた。随分叱られただらう。さうして虎公はどうしたのだ』
『オー、鹿公か、虎の奴、友達甲斐もない、俺をこんなとこへ置き去りにして何処か勝手に行つて仕舞つたのだ。俺も後を追つて行かうかと思つたが、何だか知らぬが、俄に胴が据つて動けぬのだ』
『そりや貴様、腰を抜かしよつたのだらう、弱い奴だなア。モシモシ、巌窟の中の神様、今日は沢山の村人を連れて参りました。どうぞ村の者に結構な教を聞かしてやつて下さいませ』
大蛇彦『ヤア鹿公か、よくも出て来た。この巌窟は昨日虎公がやつて来て汚しよつたによつて、唯今より西の巌窟に宿替を致す。熊公は霊縛を許したれば、足腰は自由に立つであらう。サア熊公に随いて、鹿その他の者共はこの谷川を越えて、西の巌窟の前に行け。誠の事を聞かしてやらう。ウー、オー』
と又もや大音響を発し、巌窟も破裂せむかと思ふばかりなり。
 熊公を先頭に一同は滝の下の谷川を飛び越えて、西の巌窟の前に辿り着き頭を下げて、
熊公『ヨー今日は大蛇彦様の新しき御殿、ではない暗い巌窟のお座敷に御転宅遊ばされまして、誠にお目出度う存じます。お取込の際とて、嘸お忙しい事でございませう。私でお間に合ふ事ならば、どうぞ手伝はせて下さいませ』
 巌窟の中より、
『ブー、ブー、ブル、ブル、ブル、ブル』
熊公『大蛇彦の神さまとやら、私がこれ程叮嚀に頭を下げて御挨拶を申上げて居るのに、只一言のお答もなく、ブー、ブー、ブル、ブル、ブル、ブルとは、何程神様でも些と失敬ぢやありませぬか。水桶に尻を捲つて、揚げたり浸けたりしながら、屁を放つてお尻で返事をなさるとは、それは本気でなさるのか、吾々を侮辱するのか』
鹿公『オイオイ、熊公、本気も何もあつたものかい、神様は平気なものだよ。貴様のやうな奴はこれで結構だ。水の中で屁をこいたやうな三五教とやらに恍けて居るから、神様が阿呆らしいと云つて、屁を御かまし遊ばしたのだ』
 この時巌窟の中より、竹筒を吹くやうな声が聞え来る。
『ブウー、ブウー、ブル、ブル、ブル、ブル、ブル』
熊公『なんだ、阿呆くさい、また屁だ、屁の神様だ』
 巌窟の中から、
『アヽヽヽ悪に強い鹿公の奴、朝から晩まで、神の使はしめの当山の猪を狩立て、兎を獲り、威張り散らして、玉山の麓の玉芝の上で、虎、熊の二人に向つてほざいた事覚えて居るか。イヽヽヽ否応なしに改心いたせばよし、違背に及べば、今この場において白羽の矢を持つて射殺して仕舞はうか』
鹿公『モヽヽもし、神様、それは、あまりぢやありませぬか。貴神様は、悪に強い者は善にも強い、悪をようせぬやうな者は、人間ぢやない、この神の氏子ぢやない、力一杯山河を駆けまはつて、イヽヽ生物の命を取つて、人の生血をしぼつて威勢よく暮せ、と仰有つたぢやないか。それに今日は全然掌をかへしたやうに妙な事を仰有います。大方貴神は悪魔でせう。東の穴の神さまとは違ふのだらう』
熊公『オイ鹿公、それでも貴様、これから西の巌窟へ宿替へすると仰有つたぢやないか』
『ウン、それも、さうぢやつたなあ』
『貴様は、今日は叱られる番だ、確と耳を掃除して聞くがよからう。神に叱られ気は紅葉、踏み迷ひ鳴く鹿の、声聞く時は気の毒なりける次第なりけりだ』
『馬鹿にするない』
 巌窟の中から、
『ウー、ウー疑ふか、鹿の奴、疑へばその方の素性を大勢の前で素破抜かうか。朝から晩まで、猪や兎の尻を追ひまくるのはまだしも、東の後家や西の後家、五十の尻を作つて、若い娘の後を追ひ廻し、肘弓に弾かれて、腹立紛れに酒を喰ひ、家へ帰つて女房に面当、その態は何の事だ』
『アヽもしもし、岩の神様、それはあまりです。どうぞ、そればかしは言はぬやうにして下さい。あまり気のよいものでは御座いませぬ』
 巌窟の中より、
『エヘヽヽえらう困つたさうなその顔は、人を酷い目に遇はした報いで、今日はえらい恥を曝されるのも身から出た錆、まだ、まだ、まだ、まだあるぞ』
熊公『エヽヽ好い加減に往生せぬか、鹿の野郎』
『何を貴様まで、エヽヽなんて真似をしよつて、何をほざきよるのだ』
 巌窟の中より、
『オヽヽ大蛇彦の眼は、隅から隅まで透き通る、鬼の眼に見落しはなし。大盗賊の張本人、大悪魔の容器、大馬鹿者の鹿の奴、この大穴の前で、大恥かいて大味噌つけて、怖ぢ怖ぢと尾を捲く可笑しさ、アハヽヽ』
『ヤア此奴、些とをかしいぞ。東の巌窟の声とは余程変だ。竹筒を吹いて、物を言ふやうな事を言ひよる。大方虎公の奴、俺を一杯かけやうと思つて、熊公と申合せて芝居を仕組みよつたのだらう。よし、よし、よし、これから、この鹿公が、虎穴に入らずむば虎児を得ずだ。一つ命を的に穴の中に探険と出かけやうカイ』
と云ひながら、むつくと立ち上り、鹿公が今や巌窟に立ち入らむとする時、天地も破るるばかりの大音響、
『ウー、オー』
 鹿公は、
『イヨー此奴は矢張り本物だ。どうぞお赦し下さいませ』
と拍子抜けしたやうな声で、又もや巌窟の前に平伏する。
 折から吹き来る烈風の梢を渡る音、滝の響きと相和して心砕け、魂消ゆる如き騒然たる光景を現出したり。
(大正一一・二・一六 旧一・二〇 加藤明子録)
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