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文献名1霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
文献名2第5篇 百花爛漫よみ(新仮名遣い)ひゃっからんまん
文献名3第28章 窟の邂逅〔421〕よみ(新仮名遣い)いわやのかいこう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-06-23 23:19:10
あらすじ梅ケ香姫に宿を申し出た男は、春山彦と名乗った。春山彦の妻・夏姫と、三人の娘たちが梅ケ香姫を出迎えて食事を供した。夏姫は、後ろの山に密かに石室を築いて大神様を祭っているという。梅ケ香姫に、宣伝歌と神言の奏上を依頼した。案内されて行くと、石室の中からしとやかな宣伝歌が聞こえる。梅ケ香姫は宣伝歌に聞き入っていた。そこにいたのは二人の姉・松代姫と竹野姫であった。三人が再開に嬉し涙を流す間に、表からは騒々しい物音が聞こえてきた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月16日(旧01月20日) 口述場所 筆録者森良仁 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月5日 愛善世界社版220頁 八幡書店版第2輯 353頁 修補版 校定版228頁 普及版93頁 初版 ページ備考
OBC rm0928
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本文  冷えたる月は天空に光輝き、木枯の風は肌に沁み渡り、骨も徹さむばかりなる寒けき夜の細道を一人の男に伴はれ、年は二八か二九からぬ、花の蕾の梅ケ香姫は、疲れし足もたよたよと、とある山蔭の瀟洒たる一つ家に伴はれ行く。一人の男は、
『私は今まで途中の事と言ひ、名前も申上げませんでしたが、春山彦と申す者で御座います。実に見窄しき荒屋なれど、どうかゆるゆる御休息の上、尊きお話を聴かせて下さいませ』
と挨拶しながら、密かに門の戸を開いて梅ケ香姫を迎へ入れたり。春山彦は手軽なる夕餉を出し、梅ケ香姫と諸共に食膳の箸を採り、茶漬さらさらと茲に夕餉を済ませたり。春山彦の娘と見えて、花を欺く三人の娘は、叮嚀に会釈しながら膳部を片づける。春山彦の妻夏姫はこの場に現はれ、叮嚀に挨拶をしながら、
『モシ宣伝使様、お年にも似合はぬ、お道のために世界をお廻り遊ばすとは、真に感心いたします。妾も御覧の通り三人の娘を持つて居りますが、何れも此れも嬢さま育ちで、門へ一つ出るのにも、風が当るの、風をひくの、恥かしいのと申して、親の懐ばかりに甘えて居りますにも拘らず、貴女様の雄々しき御志、真に感じ入りました。私も今年の夏の初め頃より、三五教の信者となり、神様を祀つて信仰を致して居りますが、何分にも此処は高砂の島から常世の国へ渡る喉首、常世神王の宰相司鷹取別の権力強く、三五教の宣伝使がここを通つたならば、一人も残らず縛り上げて、常世城へ連れ参れとの厳しき布令が廻りまして、誰も彼もこの国人は欲に迷ひ褒美に与らうとして、昼も夜も宣伝使の通行を探して居るやうな次第でございます。夫春山彦は信仰の強い者でありまして、夏の初め智利の国から此方へ帰つて来る際、アタル丸の船中において美しい姉妹三人の宣伝使の歌を聞いて、今まで奉じてゐたウラル教をスツカリ止め、三五教に転じましたのでございます。然るに表向き三五教を信ずれば、常世神王様の御気勘に叶はぬので、何んな責苦に遇はされやうも知れませぬ故、密かに後の山に岩屋戸を築き、石室の中に祀つて居ります。可なり広い座敷でございますれば、何卒一度、神様に宣伝歌と神言を奏上して下さいませぬか』
『有難うございます。危ふき処を助けられ御恩の返しやうも御座いませぬ。左様ならば神様に神言を奏上さして戴きませう』
 夏姫は、
『妾が案内いたしませう』
と先に立つて裏庭を越え、広き巌窟の傍に伴ひ行く。
 石室の中には、淑やかなる女の声にて宣伝歌が聞えて居る。夏姫は梅ケ香姫に向ひ、
『サア、どうぞ此戸を向ふへ押して下さいますれば、可なり広い間がございまして、大神様が祀つてございます。どうぞ神言を奏上して下さいまして、悠りと御休息なさいませ。表に少しく用がございますから、妾は是にて失礼いたします』
と本宅の方へ姿を隠したり。
 梅ケ香姫は戸口に立つて、室内の宣伝歌を床しげに聞いてゐる。
『天地の神の守ります  美しの御国に生れたる
 青人草のここかしこ  茂り栄ゆるその中に
 この世の花と謳はれし  高天原の貴の宮
 神の長なる桃上彦の  父の命の御跡辺を
 日に夜に恋ひつ慕ひつつ  雨の夕や風の朝
 心をいため暮したる  松竹梅の姉妹が
 心の暗を晴らさむと  花咲く春の上三日
 花の都を立ち出でて  山川渡り海原の
 浪おし分けてやうやうに  智利の港に着きにけり
 朝日もてるの港より  大蛇の船に乗せられて
 空鳴き渡る杜鵑  悲しき三人の姉妹が
 心も清き照彦の  御供の神と諸共に
 菖蒲も匂ふ五月空  五日の宵に嬉しくも
 珍の館のわが父に  父子の縁の浅からず
 神の恵みに助けられ  会うて嬉しき相生の
 祝ひの宴席とこしへに  喜ぶ間もなく惟神
 神の教を開かむと  四男三女の宣伝使
 父の館を後にして  智利山峠の頂きに
 立ちて都を振返り  父母に名残を惜しみつつ
 ハルの港を船出して  秘露とカルとの国境
 アタルの港を後になし  神の御稜威も高照の
 御山を越えて進み来る  歩みも軽きカルの国
 ここに三人の姉妹は  袂を分ちめいめいに
 三五教の宣伝歌  歌ひて進む折柄に
 間の国に差掛る  頃しも秋の末つ方
 冬の境の木枯に  吹かれて艱む旅の空
 鷹取別の目付らに  虐げられて玉の緒の
 息も絶えなむその時に  花も実もある春山彦の
 神の命に助けられ  この世を忍ぶ松代姫
 竹野の姫は今ここに  美しき顔を見合はせて
 神の御言を宣りつれど  心にかかるは梅ケ香姫
 わが妹の一人旅  いづくの果に漂浪の
 旅に足をや痛むらむ  あゝ懐かしき妹よ
 あゝうつくしき梅ケ香の  姫の命よ松竹の
 姉の心も白浪の  大海原に漂ふか
 荒野の果にさまよふか  心慢れる鷹取別の
 曲の手下の曲神に  虐げられて千万の
 責苦に遇うて苦しむか  聞かまほしきは妹の
 便りなりけりいたはしや  会ひたさ見たさ懐しと
 思へば心もかき曇る  この世を造りし神直日
 心も広き大直日  唯何事も人の世は
 直日に見直し聞き直し  三五教の御教を
 思ひ廻せば廻す程  妹の行方偲ばれて
 涙のかわく暇もなし  あゝわが涙この涙
 天に昇りて雨となり  雪ともなりて世の人の
 心の玉を洗へかし  力に思ふ照彦の
 下僕の神は今何処  曲神の猛ぶ黄泉島
 黄泉の国に渡れるか  常世の国にさまよふか
 せめては空行く雁の  便りもがもと思へども
 この世を忍ぶ今の身の  何と詮方なくばかり
 誠の神よ皇神よ  わが妹や照彦に
 一日も早く会はしませ  一日も早く会はせまし
 あゝ梅ケ香よ妹よ  あゝ妹よ照彦よ』
と歌つてゐる。梅ケ香姫はこの声を聞いて、かつ驚きかつ悦び、静かに戸を開けて一室の内にまろび込み、
『あゝ恋しき姉上様』
と言つたきり、嬉しさに言葉詰つて泣くばかりなり。
 松代姫、竹野姫は思はぬ姉妹の対面に、狂喜の涙堰きあへず、三人は無言のまま嬉し涙に咽ぶのみなり。
 折しも表に当つて騒々しき物音聞え来る。アヽこの三人の娘の運命は如何になるべきか、心許なき次第なり。
(大正一一・二・一六 旧一・二〇 森良仁録)
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