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文献名1霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
文献名2第5篇 百花爛漫よみ(新仮名遣い)ひゃっからんまん
文献名3第36章 偽神憑〔429〕よみ(新仮名遣い)にせかんがかり
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例2022/10/14章題を「偽神懸」から「偽神憑」に修正。 データ最終更新日2022-10-14 21:20:07
あらすじ照彦は三姉妹の宣伝使と再会を果たした。駒山彦は、智利の国の山奥で、照彦の神懸りに絞られた件を持ち出して挨拶する。照彦は神懸りの真似を始めた。照彦は言霊で駒山彦のあらを述べ立てる。駒山彦も負けじと言霊で応戦する。駒山彦は怒って立ち上がろうとすると、体が動かない。駒山彦が降参すると、照彦は霊縛を解いた。しかしこれは、駒山彦、照彦が戯れに神懸りと霊縛の真似をしたのであって、本当の神懸り・霊縛ではなかった。一同はどっと笑うが、そのうちに鷹取別の部下が、召し取られた(ということになっている)照彦を護送しに来た。照彦は悠然として罪人の駕籠に乗り込んで行ってしまったが、不思議にも本当の照彦は、春山彦の館に居たままであった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年02月17日(旧01月21日) 口述場所 筆録者東尾吉雄 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年7月5日 愛善世界社版277頁 八幡書店版第2輯 373頁 修補版 校定版288頁 普及版116頁 初版 ページ備考
OBC rm0936
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本文  馬を乗り捨て、春山彦と共に悠々とこの場に現れたる戸山津見神の照彦は、一同の顔を見て大に驚き、
『オーこれはしたり、松、竹、梅の御姉妹、思はぬ処でお目に懸りました。御姉妹否御主人様、日に夜に心にかかる旅の空、何処の空に坐しますやと、明け暮れ空を仰いで雲の行方を眺め、心を煩はして居りました』
と落つる涙を袖に拭ふ。
 松、竹、梅の三人は、
『そなたは照彦……いやいや戸山津見神殿、ようまあ御無事でゐて下さいました。これといふのも吾らを守り給ふ三五教の神の御恵み』
と嬉し涙に暮れ居たる。
『イヤア照彦、アヽではない戸山津見神殿、この夏は智利の山奥にて、いかいお世話になりました。イヤもうその時の苦しさ、友達甲斐もない男だと、駒山彦も一度は恨んで見たが、思ひかへせば何事も神様の御引き合せ、併しながら、もう何卒神懸りにならないやうに気をつけて下さい』
 照彦はワザと神懸りの真似をして、
『アヽヽ』
『イヤー、また始まつた。この美しい七人の女神様の前で、吾々の恥を素破抜かれては堪まつたものでない。あゝどうか今日は皆さまに免じてお鎮まりを願ひます』
『アヽヽ三五教の宣伝使、荒野に彷徨ひ唯一人、涙に咽ぶ腑甲斐なさ。イヽヽいぢけたイモリのベタベタと、井戸の底を潜るやうに、枉津に懼れて生命からがら此処まで出て来た誰やらの宣伝使。ウヽヽ珍山彦に棄されて、動きの取れぬ谷の底、憂しや悲しや、蹇への、身はままならぬ百日百夜、泣いて暮すか杜鵑。エヽヽえらい元気ではしやいで、後先見ずに進み行く、向ふの見えぬ誰やらの宣伝使。オヽヽ可笑しかつたぞ、面白かつたぞ。恐ろしさうな顔をして、暗い谷間に残された、愚者の何処やらの宣伝使』
『また言霊か、言霊の妙を得たるこの駒山彦には敵ふまい。よし此方にも覚悟がある。アフンと致して泡を吹いたる、阿呆面のどこやらの宣伝使。三人の姫を見失ひ、開いた口が閉まらなんだ、顎の達者な何処やらの宣伝使、哀れなりける次第なりだ。イヽヽいらざる理屈を拗ね廻し、そこら中の人間に、茨のやうに忌み嫌はれる意地悪のいかさま宣伝使。ウヽヽ狼狽へ廻り、姫の跡を血眼になつて騒ぎ廻り、夢にさへも囈言を喋くり、嘘は言うたか言はぬか知らぬが、霜にうたれ頭を打ち、夢か現か三太郎か、馬に乗せられ生命からがらここまで出て来た何処やらの宣伝使。エヽヽヽエグイ責苦にあはされて、腰を抜かし、人の前では豪さうに法螺を吹く、オヽヽ大馬鹿者の臆病者、オケオケ、もうそんな馬鹿な神懸りは、誰も聴手がないやうになるぞよ』
 照彦は、
『カヽヽ』
と始め出す。
『イヤー、また神懸りが始まつたのか。こいつが神懸りになりよると、執拗いの執拗うないのつて、腐り鰯が網にひつ着いたやうに、容易に放れて呉れぬので困つて了ふ』
『カヽヽ烏を鷺と言ひくるめ、恥かき歩く何処やらの宣伝使。一つ言うては頭掻き、遣り込められては恥をかく。かけ替へのない一つの頭を粗末に使ふ粕宣伝使。頑固一方の、神鰹節のガツト虫。キヽヽ北へ北へと進んで来たが、きつい嵐に吹き捲られ、際どい処で生命を助けられ、消ゆるばかりの思ひをいたし、きつい戒め食うた何処やらの宣伝使。クヽヽ黒い顔して燻つて、四十八癖を列べられ、谷底でくたばつた心の弱い、ケヽヽ毛色の変つた、怪態な、吝な、コヽヽ菎蒻腰。コソコソと二人の男に逃げられて、困り入つたる駒山彦の宣伝使』
『照彦の奴、どこまでも俺を馬鹿にするのか。これほどの多勢の前で悪言暴語を列べるか、善言美詞の神の教、守らぬ奴は枉津の容れ物。カヽヽ勘弁ならぬぞ、覚悟はよいか。売り言葉に買ひ言葉だ。まだこの上に勝手な熱を吹きよるなら、俺も沢山言分があるぞ。キヽヽキリキリチヤツトこの方の申すことを諾かばよし、聞き入れなくば聞くやうにして聞かしてやる。貴様のやうな奇態な面をして、気違ひのやうな事を言つて、人に傷をつけ、奇的滅法界な枉津の神懸りを致し、人の気に入らぬ事ばかり囀り、それで気分がよいと思ふか。気味の悪い手つきをさらしよつて、智利山の谷底で何を吐いた。クヽヽ苦労が足らぬから、もつと苦労を致せと言うたぢやないか。二本の足を持ちながら、苦労が辛さに馬に乗るとは何のこと。ケヽヽ家来の身を持ちながら、主人を見放し、コヽヽ小賢しくコセコセ小理屈を申す何処やらの宣伝使。言ふなら言へ、なんぼ言つてもこたへぬ此方、今までの駒山彦とはわけが違ふぞよ』
『サヽヽ騒ぐな囀るな、酒を食うて酔うたよな、逆理屈は聞く耳持たぬ、さてもさても騒がしい奴だ。シヽヽ醜女探女に追ひかけられて、スヽヽスウスウ息をはづませながら、スタスタ逃げゆくそこらの宣伝使。雪隠で饅頭食つたよに、ソヽヽ素知らぬ顔した臭い臭い宣伝使』
『オイ、照彦、言霊の練習をやるのか、言霊ならまた後でゆつくりと聞かう。もういい加減にサヽヽさらりと止めたらどうだ。余りさし出るとシヽヽ尻尾を出して遣らうか、しぶとい奴だ。スヽヽ酸いも甘いも弁へ知つた駒山彦を、セヽヽ攻めやうと思つても、ソヽヽそうはゆかぬぞ。その手は食はぬ秋鼠だ』
『タヽヽ叩くな叩くな、顎を叩くな。高い鼻を捻折つて改心さして遣らうか。チヽヽ力も神徳もない癖に、ツヽヽ次へ次へと理屈を申すつまらぬ奴、月夜に釜をぬかれたやうな詰らぬ顔して、テヽヽ天地の間を股にかけ、途中に踏ん迷うて栃麺棒をふる、トヽヽ呆け面の何処やらの宣伝使。トコトンまで剥いてやらうか』
『タカの知れた宣伝使の言葉。チヽヽ一寸も取り柄のない、ツヽヽ詰らぬ事を、テヽヽ手柄顔に喋くり散らして、仕舞の果にや、トヽヽトンブリ返りを打ちよるな、トツクリと自分の心に相談して見よ』
照彦『ナヽヽ怠惰な事を言ふな、其辺中をウラル彦の手下に追はれてニヽヽ逃げ廻し、ヌヽヽ脱つた面して、ネヽヽ猫を冠つて野良鼠のやうに、のさばり歩く宣伝使』
『駒山彦だぞ、ソリヤ、ナヽ何吐かす』
と顔色を変へ立上がらむとする。不思議や何時の間にか身体強直して、首から下は又もやビクともせなくなつてゐる。
『オイ駒山彦の宣伝使、イヤ羽山津見、一つ立つてはね廻つたらどうだ』
『オイ、また霊縛をかけよつたなア。此奴は降参々々、どうしてもお前には、この宣伝使も兜を脱がねばならぬワイ。改めて戸山津見神どの、今までの御無礼、平に御宥し下さいませ。アヽヽ怪体の悪いことだ。無理往生をさせられて堪つたものぢやないワ』
 照彦はウンと一声。羽山津見は立ち上り、
『アヽこれで鬼に鉄棒、おまけに羽の生えたやうなものだ。サアこれから常世の国へ行つて、鷹取別の羽をむしつて、跳ねてはねて跳ね廻つて、羽山津見にならうかい』
 一同は声を上げて思はず、
『ワハヽヽヽ、オホヽヽヽ』
と笑ひ伏す。
春山彦『なんと神憑りと云ふものは妙なものですな、戸山津見の神さま、神憑りの時にはどんな御気分になつて居られますか』
駒山彦『イヤ、春山彦さま、嘘ですよ。この男はいつもよく喋舌る癖があるのですからなア。あんな事が神憑りであつて堪りますか、アハヽヽヽ』
『それでも貴方、霊縛とやらかけられて、身動きも出来なかつたぢやありませぬか』
『いや、一寸足が痺れたので立てなかつたのです。この場の興を添へるため、滑稽を演じてお目にかけたのですよ』
照彦『アハヽヽ、そらさうだ。お前もよく霊縛にかかつた様な真似を上手にしたねー。アハヽヽヽ』
夏姫『なんと貴方がたは気楽なお方ですこと、今宵貴方を常世の国に連れ帰ると、鷹取別の家来の中依別が駕籠を持つて来るのですから、それまでに何とか用意をしなくてはなりませぬが……』
照彦『イヤ、御心配下さいますな。吾々には、神様のお護りがあります。確信が御座いますから』
と話す折りしも、又もや門外騒がしく、人馬の足音近寄り来る。春山彦は、
『どうやら捕手が来た様子、どうぞ御一同、奥の岩窟にお這入りを願ひます』
駒山彦『吾々は敵を見て旗を捲くは本意でござらぬ。捕手の来るを幸ひ、常世の国に連れ行かれ、跳ねてはねて跳ね廻り、一泡吹かせてやりませうかい』
『左様でもございませうが、吾々の願ひごと、どうぞ素直にお聞き下さいますやうに』
『イヤー主人の頼みとあれば仕方がない。サア、松竹梅の三人さま、暫く奥で休息いたしませうかい。ヤー戸山津見神殿、常世の国へ潔く行つて来い。吾々は後からお手伝ひに行くからな』
と言ひ残し、裏口さして悠々と出でて行く。
 早くも中依別の配下は門口の閾をまたげ、
『ただ今中依別の神、宣伝使を召捕りに参りました。どうぞお渡し下さいませ』
春山彦『大切の罪人、よく検めて受取られよ』
 中依別は静に、
『ヤア、宣伝使殿、気の毒ながらこの駕籠にお召し下さい』
 照彦は悠然として表に現はれ、
『オー、汝は悪逆無道の鷹取別の家来、中依別と申す者か、イヤー面白い面白い。吾こそは三五教の宣伝使、常世の国に打渡り、汝の如き悪神を片端から言向け和し、誠の神の御教へに救ひやらむと此処まで来たのだ。ヤー出迎へ大儀だ。早くこれへ駕籠を持て。大切に舁げよ。途中に落しなど致すに於ては神罰立処だ。気を注けて大切に送り申せ』
『汝罪人の身を以て、中依別に対し大胆不敵な広言、吠面かわくな』
 戸山津見は、莞爾としながら、駕籠の中に姿を隠したり。
『ヤー春山彦、天晴れあつぱれ褒美にはこれを遣はす』
と懐より数多の宝を取り出し、玄関に投げつけ、葦毛の駒にヒラリと跨り、数多の人を指揮しながら、中依別は悠々としてこの家を後に帰り行く。
照彦『アハヽヽヽ、狐にまた抓まれよつたな』
(大正一一・二・一七 旧一・二一 東尾吉雄録)
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