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文献名1霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
文献名2第1篇 千軍万馬よみ(新仮名遣い)せんぐんばんば
文献名3第6章 額の裏〔436〕よみ(新仮名遣い)がくのうら
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-07-18 20:59:17
あらすじ一同が照彦が消えてしまったことを不審に思っていると、欄間にかかっている額の裏から、唸り声が聞こえてきた。一同が驚いていると、声は照彦を取り逃がした中依別の失態をあげつらい出した。照山彦が木刀で額を打つと、声は今度は別の方角から聞こえてきた。そして、ロッキー山の偽伊弉冊命の計略や、常世神王も広国別の影武者であることを暴露して、声は消えてしまった。固虎、蟹彦は声に馬鹿にされて、常世城への不満をひそひそと語り合っている。それを聞きつけた竹山彦ら上役が、二人をしかりつけているところへ、間の国から春山彦の三人娘を送り届けてきたという使いが返ってきた。一同は、遠山別がそんなに早く間の国へ行って往復してこれるはずがない、と不審に思い、門を開けると、そこには誰もいなかった。(遠山別が帰城したのは夢だった)
主な人物 舞台常世城 口述日1922(大正11)年02月19日(旧01月23日) 口述場所 筆録者森良仁 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年8月20日 愛善世界社版53頁 八幡書店版第2輯 409頁 修補版 校定版56頁 普及版24頁 初版 ページ備考
OBC rm1006
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本文  鷹取別、中依別、その他の並居る役人共は呆気に取られ居る時しも、照山彦はこの場に引返し来り、
『ヤア、妙な事もあるものですなア。今御覧の如く、照彦とやらこの場に現はれ、忽ち姿を隠し、門外にて又もや数多の従者共を相手に乱暴狼藉を働くとの注進によつて、取るものも取敢へず、表に駆け出し様子を見れば、豈計らむや、人影さへもなく、ただ彼方の森に、コンコンと狐の鳴き声聞ゆるのみで御座つた。さてもさても不思議な事で御座るワイ』
竹山彦『不思議と言つても、斯様な不思議が御座らうか。イヤ中依別殿、はるばると御苦労千万にも、間の国まで御足労になつたのも全く水の泡、泡を喰つてアフンと致すとはこの事で御座らう』
鷹取別『フギヤフギヤフギヤ』
竹山彦『是はしたり鷹取別殿、まだ明瞭とは申されませぬか。寔に以て不憫、不体裁、不幸、フギヤフギヤの至りで御座る』
 欄間の懸額の後より、ウーと唸り声響き来る。一同は合点ゆかずと、懸額に向つて目を注ぎ耳を傾くれば、額の後より、
『アハヽヽヽ、アニ図らむや、妹図らむや、はかり知られぬ神変不思議の魔術にかけられ、案に相違の汝らが、アフンと致して呆れ果てたるその面付き、余りと云へば余りでないか。頭拘へてアイタヽコイタヽ、暗から現はれた赤玉に、頭を押へ叩かれ、鼻をメシヤゲられ、赤い顔して目をキヨロつかせた悪神の寄合ひ、浅い智慧を以て何を企んでも、足下の見えぬ汝等が盲目神、足下から鳥が立つぞよ。何程焦慮つても鉄面しう致しても細引の褌、彼方へ外れ此方へ外れて、後の始末はこの通り、あな可笑しやな。三五教の宣伝使と侮つて、阿呆の限りを尽した汝等、余りの事で二つの眼からあはれや雨が降る。怪しい物音に耳を澄ませ、有らう事か有ろまい事か、肝腎の玉を取られたその有様、有るに有られぬ御心配、御察し申す、アハヽヽヽ、阿呆々々と烏のお悔み、オホヽヽヽ』
照山彦『ヤア怪しき額の裏、何れの悪神か、汝が正体暴露し呉れむ』
と額を目がけて、あり合ふ木刀を取るより早くハツシと打てば、怪しき声は再び方向を転じ、何処ともなしに、
『イヒヽヽヽ、いぢらしいものだ。幾程この方の所在を探した処で、煎豆に花が咲くまで此方の姿は判るまい。如何なるらむと呼吸も絶えだえに心を焦つ意気地なし、俺が意見をトツクと聞け。長途の旅を漸う此処に手柄顔して威張顔、帰つて来た中依別、一寸一服憩ふ間もなくこの場の仕儀、聊か以て御迷惑千万、石が降つても槍が降つても、照彦の居所を探して常世神王の御目にかけねば、汝の顔は丸潰れ、上役の椅子も保てまい。今迄の威勢はさつぱり地に落ちるぞよ。手柄顔して欣々帰つた中依別も、嗚呼痛はしやいたはしや、只一人の照彦を数多の人数に守らせ、漸う帰つて来たものの、何時の間にやら蛻の殻、お憫しい事で御座るワイ。今も古も類例なき赤恥を掻いて、犬にも劣る浅猿しさ。犬でさへも嗅付けるのに、何と困つたものだのう。言ひ甲斐なき汝ら一同、忌々しさうなその面付、常世の国人に茨の如く忌み嫌はれ、嫌らしい面付きになつて胴も据らず、いらいらとその肝煎り、曲津の神の好い容器、思案の外とは色情ばかりではないぞよ。ウフヽヽヽ』
照山彦『如何にも合点のゆかぬ物声で御座る。何れも方、如何いたしたらよからうかな。色いろと工夫を致して、斯の如き異声を打ち消さねばなりますまい』
 又もや何処ともなく、
『ウフヽヽヽ、呆気もの、狼狽もの、何をウサウサ吐くのか、憂いか、辛いか、うかうかと計略にかかり、こんな憂き目を見せられて、浮ぶ瀬もあろまい。動きの取れぬこの有様、嘘で捏ねた罰は目の前、頭を打たれ鼻を打ち、呆けた面して現三太郎、智慧の疎いにも程がある。甘い企みも水の泡、うようよと毛虫のやうに何をして居る。ウラル彦の教を奉ずる狼狽もの、この方の申す事は気に入ろまい、煩さからう。その憂ひ顔は何だ。この上もなき馬鹿な目に遇うて、頭はへさへられ、鼻は挫がれ、照彦には逃げられ、他所の見る目も気の毒なりける次第だ。ワハヽヽヽ』
中依別『ヤー方々、あの声は何者で御座らうな。強う耳に触り申す。ウラル教の宣伝歌でも歌へば消えるでせうかな。コレコレ竹山彦殿、貴下は何とか御工夫はあるまいか』
『サア、吾々も斯の如き声ばかりに向つては、何の手段も御座らぬ』
 額の上より、
『エヘヽヽヽ、オホヽヽヽ』
照山彦『エヽ又始まつた。奇怪千万な笑ひ声で御座る』
 何処ともなく、
『エヘヽヽヽ、エヽ面倒な、モー之位で止めようか。イヤイヤまだあるまだある。オホヽヽヽ、大国彦の神を日の出神と偽り、大国姫を伊邪那美神と偽つて、ロッキー山に立籠り、この世を乱さむ汝等一味の企み。常世神王とは真赤な偽り、極悪無道の広国別、鬼とも蛇とも分らぬ悪人、カヽヽヽ神も堪へ袋が切れるぞよ。固虎や蟹彦の不具人足の構へて居る常世城の表門、体主霊従国はサツパリ破れて今の状態、悔んで還らぬ照彦の宣伝使、どうして顔が立つと思ふか、返す返すも馬鹿な奴だ。可憐相なから、神は之きりにして帰つてやらう。今後は気を附けたが宜からう。ウー』
 固虎、蟹彦は広き庭前に蛙突這となつて、蛙に煙草の汁を呑ませし如く、目をしばしばさせながら、
固虎『アヽヽ阿呆らしい、悪性な目に遇はされて、イヽヽ何時の世にか忘れられやうか。ウヽヽ迂濶々々して居ると、カヽヽ蟹彦よ、キヽヽ狂者になるぞよ』
蟹彦『何だ、貴様は化物の真似をしよつて、クヽヽなんて目計りクルクル剥いて、黒い面してくたばつて、クヽヽもあつたものかい。ケヽヽ怪体が悪いぞ、怪しからぬ目に遇うた。マア怪我がなくてまだしもだ。コヽヽこんな目に遇うたら、如何な鷹取別でも、サヽヽ早速に開いた口が閉まるまい』
『シヽヽ静かにせぬかい、聞えたら叱られるぞ、スヽヽ好かぬたらしい。セヽヽせんぐりせんぐり仕様もない事言ひよつて、背に腹が替へられぬと言ふ様な、誰も彼も面付を遊ばしたその可笑しさ。タヽヽ狸の奴に、チヽヽチツクリ、ツヽヽ魅まれよつて、テヽヽ体裁の悪い、トヽヽ蜥蜴面して、ナヽヽ何の態だ。中依別もあつたものか。ニヽヽ二進も三進もならぬ目に遇はされて、月夜に釜を抜かれたやうな面をして、根つから葉つから見当が取れぬでないか。ノヽヽ進退ならぬ目に遇うて、ハヽヽ恥を掻き、ヒヽヽ雲雀のやうに、フヽヽふざいた、ヘヽヽ屁理屈も、ホヽヽ反古になつて、マヽヽ松代姫や竹野姫、梅ケ香姫の、ミヽヽ三人の、ムヽヽ娘を、メヽヽ妾にしよつて、モヽヽ桃の実だとか、梅の実だとか、ウメイ事ばつかり、ヤヽヽやらかそと思つても、イヽヽいきはせぬぞよ。ユヽヽ幽霊の浜風ぢやないが、またドロンと消えられて、エヽヽ豪い泡を吹くのであらう。ヨヽヽ余程よい白痴ぢやワイ』
竹山彦『ヤイ、その方共は何を小さい声で吐いて居るか。なぜもつと大きな声で申さぬのか』
固虎『カヽヽ勘忍して下さいませ。一寸化物のかたとらを行りました。固虎の狂言、がたがた顫ひの御一同、実に以て御気の毒千万』
 照山彦は大声にて、
『馬鹿ツ』
 固虎、蟹彦、両手を拡げ立上り、
『アー』
固虎『オイ蟹公、貴様は何を言うたのだ』
蟹彦『固公、貴様は何言うたのだい。俺は何も言ふ積りぢやなかつたのに、俄に腹の中から何だか出て来よつて、止度もなく喋つたのだ』
『貴様もさうか。俺も何だか腹の中から声が出て来よつて、止めようと思つても止まらぬ。止めて止まらぬこゑの道だ』
『洒落ない、洒落どころの騒ぎかい』
 この時門前に又もや騒がしき人馬の物音聞え来る。一同は立ち上り、何事ならむと聞耳立つるを、蟹彦は矢庭に横しなげになりて、表門に駆け付くれば、
『ヤアヤア吾こそは、常世神王の命を奉じ間の国に使ひして、月、雪、花の三人を奪ひ帰つた手柄者、一時も早く此門を開けよ』
蟹彦『何と合点のゆかぬ事だワイ。現に今夜出立した遠山別が、何ほど足が速いと言つても、間の国へは三百里もある。そんな馬鹿な事があつて堪るものか。這奴アまた化物だ。開けて堪らうかい』
 門外より、
『コラコラ門番、何をグヅグヅ、……速かにこの門開け』
『此門も彼の門もあるもんか。訳の分らぬもんが遣つて来よつて、又も一もんちやくを起さうとするのか。よしこの方にも考へがある、門番だとて馬鹿にはならぬぞ。この蟹彦さまの腕力で、もんでもんで揉み潰してやらうか。オーイオーイ、赤熊早う来ぬかい、又こんこんさまだ。今夜のやうな怪体な夜さりと言ふものは、古今独歩珍無類だ。今晩は非が邪でも、この門開ける事はまかり成るもんか』
と呶鳴り立てて居る。
 赤熊はこの場に走り来り、
『ヤイヤイ蟹彦、確りせぬか。何を吐いて居るのだ。門はすつかり開いてあるぢやないか、開けるも開けぬもあつたもんかい。モーつい夜が明けるのだ。何を寝呆けて居るのだ』
と拳固を固めて横面をポカンと打てば、蟹彦は吃驚し目を擦りながら、よくよく見れば門はがらりと開いて人影もなく、月は西山に落ちて、木枯の風ヒユウヒユウと笛吹いて渡り行くのみなり。
(大正一一・二・一九 旧一・二三 森良仁録)
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